「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その2-湖北、下総松崎、成田、香取、延方、北浦、佐原、大戸(我孫子支線/成田線/鹿島線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月22日・・・湖北駅、下総松崎駅、成田駅、香取駅、延方駅、佐原駅、大戸駅(我孫子支線/成田線/鹿島線)
8:55 湖北(こほく)駅(成田線我孫子支線 千葉県)
成田で長い時間を待つ計画に手を加えて、沿線中唯一の町といっていい湖北に6年振りに降りる。

手賀沼はここからじゃ見えない。
「サンバパレード」が近く催されるようで、駅前ロータリーに華やかなポスターが並ぶ。
商店街のドンツキにあるセブンイレブンの店先に置かれたラジカセから大音量でサンバが流れ、対面のムエタイジムではエプロンに大あぐらをかいたオーナーが哲学的な眼差しでパソコンを操作していた。
こんなに小さな商店街だったかと記憶にケチをつけて駅に戻る途中、ロータリーを取り巻く店構えや駅前風景に惹かれていることを感じていた。


ビールと唐揚げ棒を楽しんでいると、列車の到着が近づくにつれて続々と人々が階段を上がってくる。
茨城に近い千葉県民がここからどこへ向かうのか。
年齢層が上がってきた車内。
初老の男たちの身なりは田舎じみてきて、都会のようにスマホに目を向ける姿がまばらになってきた。
お洒落にきめこんだ老人は競馬新聞に隈なく目を通している。
目をスマホから起こすと田園地帯が広がっていた。
9:21 下総松崎(しもうさまんざき)駅(成田線我孫子支線 千葉県)
行き違い3分の停車。
印旛沼が見えそうな気配がしだしたけど、そっちに目をやっても見えない。
印旛高校がセンバツで旋風を巻き起こしたのはもう40年近く昔の話。
今じゃ都市部の学校じゃなきゃ代表の座は奪えなくなってしまった。
駅長さんと二言三言。
かつてと変わらぬ駅前を写す。

9:40 成田(なりた)駅(成田線/成田線我孫子支線/成田線空港支線 千葉県)
国際都市となった成田。
我孫子支線から見えてきた街は常に増幅しているように見える。

実体はともかく世界の玄関口がいつまでも草の中じゃいけない。
かつての三里塚闘争を持ち出せるような世代ももう多くは生きていないのだろう。
よくは知らないが、一応の妥結を見たのだろう。
沖縄の基地問題は同列じゃない。
よく揺れる車内に身を置いて銚子方面に向かっている。
アルコールの匂いに寄ってきた蚊に食われた。
猛暑の今年はあの種族をはじめ、夏を生きる種族の跋扈に待ったをかけた。
地球環境はどうなっていく?
座席を得られない車内で、関東平野の端っこを眺めながら茫々としている。
見渡す限り平らで空と陸が同化したような世界では、いつもそんな自分に出会う。
10:22 香取(かとり)駅(成田線/鹿島線 千葉県)
武道の神がいる地。
関東の荒くれ者はこの地の神を信仰していた。
かつて恋人と訪ねた簡易駅舎は神色に縁取られ、当時は気づけなかった色を見て感動している。

水郷に向かう列車がすぐにやってくる。
延方で降りて、この線区を引き返す。
11:11 延方(のぶかた)駅(鹿島線 茨城県)
車窓からの水郷風景は見事だった。
十二橋手前の利根川、潮来に面したあやめ水道。













ここ延方で降りて10分も歩けば北浦の畔に出る。

鹿島線の橋脚が連なり、大河のような幅しか持たない細長い北浦も、水面に近い場所から見渡せばやはり大きな湖だ。




Facebookに投稿した心の恋人にメッセージを送る。
ついでにたった今眺めている曇り空と北浦を写して送る。
まるで「今日のことを覚えておけよ」と言わんばかりに、天からはぽつぽつ雨。
祈祷師だったと告げられた前世からは母親が。
母親になる来世からは双子の我が子が。
ほかに天神、龍神、守護神、守護龍、ご先祖様などが代わる代わるに訪ねてくれたという夏。
9月の終わりにはすべてが片付いていると思っていたけど、幸福を掴むのはもう少し先らしい。
待つさ。
そんな人生だ。
でも望む変化は年の暮れを待たないだろう。
11:53 佐原(さわら)駅(成田線/鹿島線 千葉県)
水郷の拠点は静かな賑わいを見せている。
伊能忠敬の銅像が立つ駅前から諏訪神社の鳥居が見える地点までを往復。



花嫁が船に揺られる名所までは遠く、季節が外れているのか宣伝ポスターは貼られていない。
おめかしした若者たちが成田行を待ち、ホームもまた賑わっている。
千葉へ行くのか。
通り越して東京を目指すのか。
9月3連休第2弾。
ひと駅成田方面に戻ることにした。
12:09 大戸(おおと)駅(成田線 千葉県)
下り列車の到着が遅れている。
土地の老婆の声は大きく、だいぶ訛っている。
駅舎のない駅で階段を上がると左右に下り口が分かれている。
どっちに下りてもたいして変わらない。
双方を踏切が隔てているだけだ。


踏切のたもとに酒と書かれた店がある。
他の土地の例にならえば営業していないケースが多いが、案に相違して店は開いていてビールもある。
今日4本目のビール。
再びの佐原から乗り込んできた若者たちもまた訛っている。
上総下総安房と3国に分かれていた広大な千葉という土地を思う。
オレが暮らす東京都葛飾区は、調べたことはないが、映画「男はつらいよ」によると下総国に属していたようだ。
気温が上がるにつれてつくつくぼうしの声が聞こえるようになってきた。
あれは夏の終わりの声。
江戸の民は、夏の終わりは「つくづく惜しい」と聞いていたと、仕事で車を走らせる最中にラジオから知った。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 初日(東京-新山口)その2-廿日市、広電廿日市、宮島口、広電宮島口、大竹、岩国、徳山、新山口(山陽本線/岩徳線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月18日・・・廿日市駅、広電廿日市駅、宮島口駅、広電宮島口駅、大竹駅、岩国駅、徳
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その1-新宿、塩崎、韮崎、日野春、富士見、青柳、奈良井、木曽福島、須原、中津川(中央本線) 【青春18きっぷで、名古屋往復】
鉄旅日記2012年3月25日その1・・・新宿駅、塩崎駅、韮崎駅、日野春駅、富士見駅、青柳駅、奈良井駅
-
-
2018年初秋 初日(東京-桑名)その3-駅前、赤岩口、井原、運動公園前、駅前大通、豊橋、岡崎、三河豊田、尾張瀬戸(豊橋鉄道市内線/東海道本線/愛知環状鉄道/名鉄瀬戸線)【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月15日・・・駅前停留所、赤岩口停留所、井原停留所、運動公園前停留所、駅前大通停
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その3-三河田原、新豊橋、豊橋、東静岡、沼津(豊橋鉄道渥美線/東海道本線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月24日・・・三河田原駅、新豊橋駅、豊橋駅、東静岡駅、沼津駅(豊橋鉄道渥美線/
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月 2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その2-平田、松本、食蔵BASARA(篠ノ井線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】
鉄旅日記2018年10月7日・・・平田駅、松本駅(篠ノ井線) 16:43 平田(ひらた)駅(篠ノ井
-
-
「鉄旅日記」2017年秋 その1-東長崎、本鵠沼、鵠沼海岸、藤沢、石上、柳小路、鵠沼、湘南海岸公園、鎌倉(西武池袋線/小田急電鉄江ノ島線/江ノ島電鉄) 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】
鉄旅日記2017年11月12日・・・東長崎駅、本鵠沼駅、鵠沼海岸駅、藤沢駅、石上駅、柳小路駅、鵠沼駅
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その4‐小柳、筒井、八戸、盛岡、北上(青い森鉄道/東北・北海道新幹線/東北本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月3日・・・小柳駅、筒井駅、八戸駅、盛岡駅、北上駅(青い森鉄道/東北・北海道新
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その3-神島にて・・・八代神社、神島灯台、監的哨、ニワの浜、神島山海荘あじさい 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月23日・・・八代神社、神島灯台、監的哨、ニワの浜、神島山海荘あじさい 14
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その5 ‐川崎新町、八丁畷、矢向、平間(浜川崎支線/南武線)/ガス橋 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・川崎新町駅、八丁畷駅、矢向駅、平間駅(浜川崎支線/南武線)/ガス橋
-
-
「鉄旅日記」2019年師走 初日(東京-酒田)その2‐新前橋、水上、長岡(上越線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月7日・・・新前橋駅、水上駅、長岡駅(上越線) 7:24 新前橋(しんまえば
