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「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その2-湖北、下総松崎、成田、香取、延方、北浦、佐原、大戸(我孫子支線/成田線/鹿島線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/06 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年9月22日・・・湖北駅、下総松崎駅、成田駅、香取駅、延方駅、佐原駅、大戸駅(我孫子支線/成田線/鹿島線)
8:55 湖北(こほく)駅(成田線我孫子支線 千葉県)
成田で長い時間を待つ計画に手を加えて、沿線中唯一の町といっていい湖北に6年振りに降りる。

手賀沼はここからじゃ見えない。

「サンバパレード」が近く催されるようで、駅前ロータリーに華やかなポスターが並ぶ。

商店街のドンツキにあるセブンイレブンの店先に置かれたラジカセから大音量でサンバが流れ、対面のムエタイジムではエプロンに大あぐらをかいたオーナーが哲学的な眼差しでパソコンを操作していた。

こんなに小さな商店街だったかと記憶にケチをつけて駅に戻る途中、ロータリーを取り巻く店構えや駅前風景に惹かれていることを感じていた。

ビールと唐揚げ棒を楽しんでいると、列車の到着が近づくにつれて続々と人々が階段を上がってくる。

茨城に近い千葉県民がここからどこへ向かうのか。
年齢層が上がってきた車内。
初老の男たちの身なりは田舎じみてきて、都会のようにスマホに目を向ける姿がまばらになってきた。

お洒落にきめこんだ老人は競馬新聞に隈なく目を通している。

目をスマホから起こすと田園地帯が広がっていた。

9:21 下総松崎(しもうさまんざき)駅(成田線我孫子支線 千葉県)
行き違い3分の停車。
印旛沼が見えそうな気配がしだしたけど、そっちに目をやっても見えない。

印旛高校がセンバツで旋風を巻き起こしたのはもう40年近く昔の話。
今じゃ都市部の学校じゃなきゃ代表の座は奪えなくなってしまった。

駅長さんと二言三言。
かつてと変わらぬ駅前を写す。

9:40 成田(なりた)駅(成田線/成田線我孫子支線/成田線空港支線 千葉県)
国際都市となった成田。
我孫子支線から見えてきた街は常に増幅しているように見える。

実体はともかく世界の玄関口がいつまでも草の中じゃいけない。
かつての三里塚闘争を持ち出せるような世代ももう多くは生きていないのだろう。

よくは知らないが、一応の妥結を見たのだろう。
沖縄の基地問題は同列じゃない。

よく揺れる車内に身を置いて銚子方面に向かっている。
アルコールの匂いに寄ってきた蚊に食われた。

猛暑の今年はあの種族をはじめ、夏を生きる種族の跋扈に待ったをかけた。
地球環境はどうなっていく?

座席を得られない車内で、関東平野の端っこを眺めながら茫々としている。
見渡す限り平らで空と陸が同化したような世界では、いつもそんな自分に出会う。

10:22 香取(かとり)駅(成田線/鹿島線 千葉県)
武道の神がいる地。
関東の荒くれ者はこの地の神を信仰していた。

かつて恋人と訪ねた簡易駅舎は神色に縁取られ、当時は気づけなかった色を見て感動している。

水郷に向かう列車がすぐにやってくる。
延方で降りて、この線区を引き返す。

11:11 延方(のぶかた)駅(鹿島線 茨城県)
車窓からの水郷風景は見事だった。
十二橋手前の利根川、潮来に面したあやめ水道。












ここ延方で降りて10分も歩けば北浦の畔に出る。

鹿島線の橋脚が連なり、大河のような幅しか持たない細長い北浦も、水面に近い場所から見渡せばやはり大きな湖だ。



Facebookに投稿した心の恋人にメッセージを送る。
ついでにたった今眺めている曇り空と北浦を写して送る。

まるで「今日のことを覚えておけよ」と言わんばかりに、天からはぽつぽつ雨。

祈祷師だったと告げられた前世からは母親が。
母親になる来世からは双子の我が子が。
ほかに天神、龍神、守護神、守護龍、ご先祖様などが代わる代わるに訪ねてくれたという夏。

9月の終わりにはすべてが片付いていると思っていたけど、幸福を掴むのはもう少し先らしい。

待つさ。
そんな人生だ。

でも望む変化は年の暮れを待たないだろう。

11:53 佐原(さわら)駅(成田線/鹿島線 千葉県)
水郷の拠点は静かな賑わいを見せている。
伊能忠敬の銅像が立つ駅前から諏訪神社の鳥居が見える地点までを往復。


花嫁が船に揺られる名所までは遠く、季節が外れているのか宣伝ポスターは貼られていない。

おめかしした若者たちが成田行を待ち、ホームもまた賑わっている。
千葉へ行くのか。
通り越して東京を目指すのか。

9月3連休第2弾。
ひと駅成田方面に戻ることにした。

12:09 大戸(おおと)駅(成田線 千葉県)
下り列車の到着が遅れている。
土地の老婆の声は大きく、だいぶ訛っている。

駅舎のない駅で階段を上がると左右に下り口が分かれている。
どっちに下りてもたいして変わらない。
双方を踏切が隔てているだけだ。

踏切のたもとに酒と書かれた店がある。
他の土地の例にならえば営業していないケースが多いが、案に相違して店は開いていてビールもある。
今日4本目のビール。

再びの佐原から乗り込んできた若者たちもまた訛っている。
上総下総安房と3国に分かれていた広大な千葉という土地を思う。

オレが暮らす東京都葛飾区は、調べたことはないが、映画「男はつらいよ」によると下総国に属していたようだ。

気温が上がるにつれてつくつくぼうしの声が聞こえるようになってきた。

あれは夏の終わりの声。
江戸の民は、夏の終わりは「つくづく惜しい」と聞いていたと、仕事で車を走らせる最中にラジオから知った。

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