*

「鉄旅日記」2006年如月【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】初日-佐倉、成東、大網、上総一ノ宮、上総興津、安房鴨川、館山、安房勝山(常磐線/成田線/総武本線/東金線/外房線/内房線)

公開日: : 最終更新日:2023/04/27 旅話, 旅話 2006年

鉄旅日記2006年2月4日
2006・2・4 某リゾートクラブ安房勝山
よく晴れて冷たい、概ね気持ちのいい日だった。

我孫子で降りて、12月よりは駅前をよく歩き、成田線では印旛沼を遠望して、成田ではすぐの乗り換え。

外国人の姿をよく見かけた。
東京国際空港に降り立って、最初に見える風景の長閑さに彼等は驚いたかもしれない。

佐倉で30分待つ。
昭和60年に再建された駅舎には目新しさが残っているが、人気のない場所に立つ現代的な建物には独特の廃れた印象がまとわりつく。

12月に銚子からの帰りに通った際は、夜ということもあって駅周辺は明るく、千葉という大都会の始まりを思わせたけど、駅前には何もないと言える。

列車を待っていると、見慣れない小鳥が足元まで寄ってきて、待ち人が落としていった食べかすを啄んでいる。
愛らしい。

佐倉を出ると、銚子方面に向かう総武本線は単線になる。

成東は旅情を満たす町だった。
かつて成東から甲子園まで行った少年たちがいる。
駅も待合室も旅が似合う。

2012年3月3日撮影

0番線ホームから東金線が出る。
閑散とした住宅地を進むが、東金駅周辺にはちょっとした繁華街が見られて降りてみたくなる。
でも次の列車の到着は1時間後。
ドアが閉まるのを待った。

大網駅は高架駅で、外房線と東金線のホームはV字に交わる一風変わった構造だった。

2009年10月22日撮影

やってきたのは上総一ノ宮行。
途中の茂原は魅力的な街として映った。

上総国の一宮はどこにある。
駅はステンドグラスの小窓が特徴的な年代物。

駅前食堂で昼食。
ビールと中華丼。
旅先のビールは美味く、中華丼もいい味だった。

風が冷たい。
佐倉でもその風にあたりながら空を見ていたことを思い出した。

ホームの背後が鬱蒼とした竹藪になっている駅を通り、御宿を過ぎると左手に房総の海が見えてくる。
上総興津で5分の停車。
便所を借りに改札を抜ける。
かつて伊豆で見た、小さな商店街が海辺に続く懐かしい駅前風景があった。

2013年3月9日撮影

車内の高校生たちは、11月の両毛線のようにひどいことにはなっていない。
大原、安房小湊。
線路に沿って国道を走ったあの記憶は何年前のことになるのか。
脳内で掘り起こしながらも松本清張の小説に目を落とし、時に海を眺めながら次は安房鴨川。

改札を出ようとするところを駅員に止められて気分を害したけど、彼は仕事をしただけだ。
海辺まで鄙びた通りを歩く。
そして今年初めて足元に海を置いた。

サーファーたちが波に揉まれている。
まともに立っているのは一人もいない。
波に洗われ続ける濡れたビーチが美しい。

2013年3月9日撮影

待ち時間は長く、本屋で2冊を購入。
土産物屋では菓子を仕入れた。
赤屋根の小さな駅舎は改装中だった。

2013年3月9日撮影

跨線橋を渡った先には巨大なジャスコ。
鴨川はリゾート地なのだろうが、冬場にその本領を見ることはムズカシイのだろう。
房総の駅と列車は親切で、発車30分ほど前から入線して車内を開放している。

成東、東金線あたりでは、どこからともなくボリュームを絞ったラジオ放送が聞こえていた。
発車まで少し眠り、発車とともに目を覚まし、旅は続く。
太海、千歳。
千歳駅はあの頃と変わっていない。
車掌車を流用した無人駅。

千倉駅はまだ工事中だった。
かつて寄った昼下がり。
そこに流れていた「テネシーワルツ」を覚えている。

館山へ。
そしてまたひとつ好きな街がリストに追加された。
椰子の木が駅前広場で存在感を放ち、海辺へと続く夕映え通りのオレンジの灯が優しい。
空は茜を残していて、雲も海も荒々しい色をしている。

突堤を進む。
釣り人に黙礼して進んでいく。
そして突堤の先端で思い切り体を伸ばして、しばらく景色に包まれた。

それはとても素敵な時間で、沖を航行する船が見えなくなるまでそうしていてもよかったが、どうして切り上げてしまうのだろう。
本当に素敵な時間とは長くは続かないものだと、人生経験が告げたわけでもあるまいし。

街には品のいい店が並び、海辺には古い旅館が連なっている。
子供たちは愛らしく素直だ。
約40分いたが、館山は飽きさせず、遠くには館山城が見えて、駅では「里見八犬伝」にちなむ展示がなされている。

南洋的とも言える駅舎を行っては戻り、それこそ飽かずに両方の出口から見える景色を楽しんだ。
館山を出るまで、海と空は夜の訪れを拒んでくれていた。
ホームで列車を待つ身が凍えた。

2013年3月9日撮影

そして安房勝山へ。
凍えた手に息を吹きかけながら国道に面した店に入ると、おかみさんが「寒いですね」と声をかけてくる。
聞けば、今年で一番寒いという。
2週間前は雪も降り、東京と同じように積もったらしい。

料理屋では美味い寿司を。
余所者が訪ねることはほぼないのだろう。
店員の愛想はよくなかったが、味には満足した。

有線放送でビートルズを流しながら寛いでいる。
9階から見える風景は素晴らしい。
浦賀水道が一望のもとだ。

しばらく眺めていると、弧を描くように連なっている海辺の明かりが薄くなってきた。
一日はすでに終わっている。
窓を開けると強い風の音。

今見えている明かりは三浦のもの。
松本清張が描く人生も素晴らしく、旅の友として最適だった。

関連記事

「車旅日記」2005年春【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】初日(松本-飯山-富山)走行距離317㎞ その1-新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島駅、飯山駅

車旅日記2005年4月29日 2005・4・29 6:06 新宿駅9番ホーム 中央線は山路の入口

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その2-宇治山田、東青山、青山町、名張、大和八木、大和西大寺、新大宮(山田線/大阪線/橿原線/奈良線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・宇治山田駅、東青山駅、青山町駅、名張駅、大和八木駅、大和西大寺駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その1‐湯沢、四ツ小屋、秋田、森岳(奥羽本線)

駅旅日記2020年1月12日・・・湯沢駅、四ツ小屋駅、秋田駅、森岳駅(奥羽本線) 2020・1・1

記事を読む

「車旅日記」1998年春【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】2日目(岩手山SA-大間崎-青森駅)-岩手山SA、折爪PA、三沢市ドライブイン三陸、東通村レストラン潮騒、田名部駅、大間崎公営パーキング、大湊駅、陸奥横浜駅、青森駅

車旅日記1998年5月2日 1998・5・2 7:43 東北自動車道-岩手山SA 昨夜の強風が続

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】2日目(新潟‐象潟‐鳴子温泉) 道の駅豊栄、道の駅朝日、道の駅温海、象潟駅-茶房くにまつ、蚶満寺、九十九島、矢島、鳴子サンハイツ

車旅日記1996年11月2日 1996・11・2 8:17 7号国道‐豊栄(道の駅) よく眠れた

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】初日(東京-大船渡)その5‐奇跡の一本松、陸前高田、大船渡(大船渡線)

鉄旅日記2020年2月22日・・・奇跡の一本松駅、陸前高田駅、大船渡駅(大船渡線) 18:20 奇

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】3日目(柳井-徳島)-柳井、大畠、西条、岡山、高松、高松築港、オレンジタウン、引田、池谷、鳴門、徳島(山陽本線/瀬戸大橋線/高徳本線/鳴門線)

鉄旅日記2008年5月4日・・・柳井駅、大畠駅、西条駅、岡山駅、高松駅、高松築港駅、オレンジタウン駅

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】5日目(宇和島-観音寺)-宇和島、卯之町、八幡浜、千丈、伊予大洲、伊予市、松山、伊予北条、今治、伊予小松、伊予西条、新居浜、関川、伊予土居、箕浦、観音寺(予讃本線)

鉄旅日記2009年5月5日・・・宇和島駅、卯之町駅、八幡浜駅、千丈駅、伊予大洲駅、伊予市駅、松山駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】初日その3(東京-岩倉)-太田川、常滑、中部国際空港、上小田井、西春、岩倉(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線)

鉄旅日記2015年3月7日その3・・・太田川駅、常滑駅、中部国際空港駅、上小田井駅、西春駅、岩倉駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】2日目(新南陽-鹿児島中央)その3-宇土、松橋、八代、出水、牛ノ浜、草道、鹿児島中央(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道)

鉄旅日記2015年8月13日その3・・・宇土駅、松橋駅、八代駅、出水駅、牛ノ浜駅、草道駅、鹿児島中央

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その2‐小山田、土沢、花巻、石鳥谷(釜石線/東北本線)

鉄旅日記2020年2月24日・・・小山田駅、土沢駅、花巻駅、石鳥谷駅(

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その1‐釜石、遠野、宮守(釜石線)

鉄旅日記2020年2月24日・・・釜石駅、遠野駅、宮守駅(釜石線)

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】2日目(大船渡-釜石)その4‐宮古、陸中山田、釜石(三陸鉄道リアス線)

鉄旅日記2020年2月23日・・・宮古駅、陸中山田駅、釜石駅(三陸鉄道

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】2日目(大船渡-釜石)その3‐宮古、蟇目、茂市(山田線)

鉄旅日記2020年2月23日・・・宮古駅、蟇目駅、茂市駅(山田線)

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】2日目(大船渡-釜石)その2‐平田、釜石、陸中山田(三陸鉄道リアス線)

鉄旅日記2020年2月23日・・・平田駅、釜石駅、陸中山田駅(三陸鉄道

→もっと見る

    PAGE TOP ↑