「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山陽本線)
14:31 姫路(ひめじ)駅(東海道・山陽・九州新幹線/山陽本線/播但線/姫新線 兵庫県)
大津から新快速で京都大阪神戸の3都を過ぎる。眠るには惜しい旅路だが、堪らなく眠く、淀川や美しい神戸の街並みは記憶にない。
姫路に着いて飲むか、姫路駅名物「駅そば」を食べるか迷うところだが、飲む。ホームからは姫路城の白亜な姿がそれなりに大きく見える。
恋人と高松での再会を約する友に連絡を入れる。
14:34発播州赤穂行に乗る。
15:03 相生(あいおい)駅(東海道・山陽・九州新幹線/山陽本線/赤穂線 兵庫県)
簡素に見える駅前風景。以前に降りた時と印象は変わらない。


活気のあったある夏の日の相生駅をまだ思い出すことができる。今日は乗り継ぎの記録だけを残して離れるが、駅との再会はいつもうれしい。
上郡行に乗る。播州の里山の風景を眺めている。
有年へと向かう道は徐々に山が迫り、谷と平地が交互に現れ、山峡へ向かう趣に満ちている。
15:25 有年(うね)駅(山陽本線 兵庫県)
現代的な駅舎に特に行くアテのない駅前風景。

だが駅の案内板には驚くべき事実が記されていた。

まず広範囲にわたる古墳群があること。そして昭和初期までは有年と播州赤穂をつなぐ赤穂鉄道が走っていて、昭和20年当時を再現した駅前の町内図によれば旅館が何軒もあり、さらには映画館、ダンスホールまである。
その名残とも言える旅館の看板が駅近くにあったが廃墟となっていた。

その繁栄が去ったのはもう70年もの昔。
唐突に古代遺跡に出くわしたような心地で次の糸崎行に乗った。

15:58 三石(みついし)駅(山陽本線 岡山県)
有年の次は上郡。上郡からの10分強を飽きずに車窓を眺めていた。
酒に酔っているのかマスクもせずに訳のわからないことを口走る老人に車内は凍りついたようになり、戸惑い閉口していた。
子供には見せたくない光景だ。コロナ禍という異常な世界はああした社会性を欠いた手合いをもあぶりだす。
太平記に登場する船坂山。後醍醐天皇が隠岐の島へと流される道が判別できない中で、備前の児島高徳は一族と共に天皇を救おうと一行を待ち伏せる。だが、一行は姫路から出雲街道というルートをとったため計画は未遂に終わる。
義挙の地としてここから2kmほどのところに碑があるという。
児島高徳は単身で後醍醐天皇の後を追い、厳重な警備をかいくぐり津山院庄の行在所に潜入するが、それ以上は進めず傍らの桜木に漢詩を彫る。天皇を勇気づけるその内容は、兵士たちはには理解の外で、後醍醐帝のみが理解して深く感動されたと伝わる。
その後の彼は、倒幕戦をはじめ南北朝の動乱を南朝側として戦い続けるが、その最後は伝わっていないらしい。
舟坂川に沿った小さな集落にまだ蝉の声が聞こえる。とても静かな時間。ホームからは古い工場の煙突が見える。時に涼しい風が待合室を通り抜けていく。




16:19発の三原行に乗る。

いよいよ四国につながる岡山が近づいてきた。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-鬼怒川温泉)-下今市、新藤原、川治湯元、川治温泉、湯西川温泉、龍王峡、鬼怒川公園、新高徳、鬼怒川温泉(東武鬼怒川線/野岩鉄道) 【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】
鉄旅日記2014年12月6日・・・下今市駅、新藤原駅、川治湯元駅、川治温泉駅、湯西川温泉駅、龍王峡駅
-
-
「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その3 ‐十日町、越後川口、渋川、敷島(飯山線/上越線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】
鉄旅日記2021年7月11日・・・十日町駅、越後川口駅、渋川駅、敷島駅(飯山線/上越線) 1
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その2(R8→R18→R19)直江津駅、新井、豊野町、長野駅、道の駅信州新町、道の駅大岡村
車旅日記1996年5月6日 6:58 直江津駅 恋する女よ、いつの間にか日本海とさよならしていたよ
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その2‐平田、釜石、陸中山田(三陸鉄道リアス線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月23日・・・平田駅、釜石駅、陸中山田駅(三陸鉄道リアス線) 8:52 平田(
-
-
「鉄旅日記」2007年如月 2日目(天王寺-奈良)その1-南霞町、浜寺駅前、浜寺公園、羽衣、春木、和泉大宮、岸和田、和歌山市、和歌山港、堺(阪堺電気軌道/南海電鉄南海線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】
鉄旅日記2007年2月11日・・・南霞町駅、浜寺駅前駅、浜寺公園駅、羽衣駅、春木駅、和泉大宮駅、岸和
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その3-河曲、富田浜、河原田、津(関西本線/伊勢鉄道) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月22日・・・河曲駅、富田浜駅、河原田駅、津駅(関西本線/伊勢鉄道) 18:
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その2-恵那、瑞浪、土岐市、多治見、千種、鶴舞、金山、天竜川、袋井(中央本線、東海道本線) 【青春18きっぷで、名古屋往復】
鉄旅日記2012年3月25日その2・・・恵那駅、瑞浪駅、土岐市駅、多治見駅、千種駅、鶴舞駅、金山駅、
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 2日目(香住-東萩)その3‐末恒、浦安、米子、揖屋(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月24日・・・末恒駅、浦安駅、米子駅、揖屋駅(山陰本線) 10:39&n
-
-
2018年初秋 最終日(桑名-東京)その1-桑名、養老、大垣、揖斐、垂井、美江寺、本巣、樽見(養老鉄道/東海道本線/樽見鉄道) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月16日・・・桑名駅、養老駅、大垣駅、揖斐駅、垂井駅、美江寺駅、本巣駅、樽見駅(