「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その3-河曲、富田浜、河原田、津(関西本線/伊勢鉄道) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月22日・・・河曲駅、富田浜駅、河原田駅、津駅(関西本線/伊勢鉄道)
18:12 河曲(かわの)駅(関西本線 三重県)
三岐鉄道をショートカットしたことで浮いた時間がある。
関西本線駅旅に使うことにした。
約1時間後に伊勢鉄道への乗り換えに降りる河原田をひと駅過ぎて、河曲に降りる。
確かここにはダルマ駅舎があったはずだが撤去され、無味乾燥な駅前広場に迎えの車が止まっている。
地図を見ると鈴鹿川に面しているようだが、川辺は感じられるがあたりはほぼ宵闇と同化している。
当初は鈴鹿駅として開業した駅とのことだが、利便性や地理的に見た発展性などを考慮して後進の旧伊勢線鈴鹿駅に駅名を譲ったとある。
今年最後の満月前夜の月は見事で、駅灯がスマホでの撮影の邪魔をする。
生意気だと軽く憤りながら何枚か撮る。




駅と月の相性はいい。
18:51 富田浜(とみだはま)駅(関西本線 三重県)
名古屋方面に4駅戻る。
駅名に浜がついているが浜辺は遠く、見えない。
古い木造の長椅子を備えた立派な駅舎と住宅しかない周囲には違和感がある。
何があるかと歩き出せば、角にミニマートがある。
客の到来を待ち望んでいたおかみさんにあたたかく迎えられる。
品薄な商品棚に比してビールは充実していた。
「人とはいいな」と感じながら駅へ。
すると階段に猫がポツンといる。
スマホを向けても動じず、眠たげな目を開ければにゃーと甘えた声を出す。
猫とは縁のない人生だが、情が移りそうだ。
猫の後ろ姿と満月前夜の月を眺め、彼女を想って過ごした待合室。


月は美しく、祈った。
19:17 河原田(かわらだ)駅(関西本線/伊勢鉄道 三重県)
月は美しく、この伊勢の地でオレを照らしている。
祈りは止まず、視線を外せない。
この世で一番美しいものを眺めていた。
駅前に酒屋がある。
今じゃ珍しい酒の自販機もある。
手は伸びて今日6本目のビール。
まったく酔いを感じない。
伊勢鉄道ホームは高台にある。
四日市の工場夜景が美しい。
特急に乗って通りすぎたことはあるが、今日をもって伊勢鉄道完乗を記録する。





19:54 津(つ)駅(紀勢本線/伊勢鉄道/近鉄名古屋本線 三重県)にて


20:52 APOAホテル津810号室
津駅周辺の商圏の狭さに驚く。
繁華街に人はなく、「いや実は国道を抜けた向こうにあるのだ」という、あってもおかしくはない事実が隠れているとも思えない。

伊勢国の現代的な繁栄の姿は近鉄四日市周辺にしか見られない。
四日市から津へのショートカット路線である伊勢線が、採算に合わず第三セクターになった頃から見えていたのかもしれない。
かつて安濃津の名で栄えた藤堂家のお膝元も名古屋港に地位を奪われ、有事の際には彦根藩と共に先鋒の名誉を与えられていた徳川家を鳥羽伏見の一戦で裏切った津藩。
皮肉なことに津藩兵は東海道の先鋒として各地で旧幕府軍と戦い、そして歴史の表舞台から去った。
今宵はいい月夜。
彼女と不特定多数の友人に告げて、早めにベッドに入る。
いつもの量の酒を購入したけど、今夜はもういい。
【Facebookへの投稿より】
ここが伊勢だと明確に判る写真はございませんが、現在県庁のある津に投宿しております。
雨が上がった東海路はあたたかく、今宵はいい月夜でございます。
明日が今年最後の満月。
願うことがあれば、月に祈るのもよろしいかと存じます。
どうぞ皆さま
素晴らしいクリスマス🎄連休をお過ごしくださいませ。
関連記事
-
-
「車旅日記」2005年冬 2日目(都城-人吉)走行距離284㎞ その2-伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅前ホテル 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】
車旅日記2005年2月12日・・・伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その1‐大船渡、盛、綾里、唐丹(大船渡線/三陸鉄道リアス線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月23日・・・大船渡駅、盛駅、綾里駅、唐丹駅(大船渡線/三陸鉄道リアス線) 2
-
-
「車旅日記」2006年初夏 2日目(岐阜-近江八幡) その1-東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅 【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】
車旅日記2006年7月16日・・・東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 最終日(釜石-東京)その4‐安積永盛、鏡石、須賀川、新白河、黒磯、宇都宮(東北本線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月24日・・・安積永盛駅、鏡石駅、須賀川駅、新白河駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 初日(東京-盛岡)その1-金町、水戸、上菅谷、常陸大子(常磐線/水郡線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月21日・・・金町駅、水戸駅、上菅谷駅、常陸大子駅(常磐線/水郡線) 2019
-
-
「鉄旅日記」2016年夏 3日目(小樽-富良野)その1-小樽、発寒中央、琴似、石狩当別、石狩月形、新十津川、滝川、茶志内、美唄(函館本線/学園都市線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月12日・・・小樽駅、発寒中央駅、琴似駅、石狩当別駅、石狩月形駅、新十津川駅、滝
-
-
「車旅日記」1996年1月【旅を友として生きていくと決めた27歳。年頭の誓いでございます。】-町田、伊勢原駅、山北駅、沼津駅、富士駅、道の駅富士川、吉原駅、田子の浦
車旅日記1996年1月1日 1996・1・1 20:43 東京町田 始動だ。 久し振りに動かした筋
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 金沢を後にして‐その3(R8→北陸道)小矢部、富山駅、有磯海SA
車旅日記1996年5月5日 22:15 8号国道‐小矢部 恋する女よ。 あれからオレはまだ走ってい
-
-
「鉄旅日記」2015年春 初日その2(東京-宇治)-香里園、寝屋川市、門真市、守口市、淀屋橋、天満橋、中之島、樟葉(京阪本線/京阪中之島線) 【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】
鉄旅日記2015年3月21日その2・・・香里園駅、寝屋川市駅、門真市駅、守口市駅、淀屋橋駅、天満橋駅
-
-
「鉄旅日記」2008年初秋 初日(東京-羽咋)その1-東京、大垣、米原、長浜、敦賀、鯖江、西鯖江、大聖寺、加賀温泉(東海道本線/北陸本線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】
鉄旅日記2008年9月13日・・・東京駅、大垣駅、米原駅、長浜駅、敦賀駅、鯖江駅、西鯖江駅、大聖寺駅
