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「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-桑名-阿下喜-西藤原-四日市-内部-西日野-津)その3-河曲、富田浜、河原田、津(関西本線/伊勢鉄道) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年12月22日・・・河曲駅、富田浜駅、河原田駅、津駅(関西本線/伊勢鉄道)

18:12 河曲(かわの)駅(関西本線 三重県)
三岐鉄道をショートカットしたことで浮いた時間がある。
関西本線駅旅に使うことにした。

約1時間後に伊勢鉄道への乗り換えに降りる河原田をひと駅過ぎて、河曲に降りる。
確かここにはダルマ駅舎があったはずだが撤去され、無味乾燥な駅前広場に迎えの車が止まっている。

地図を見ると鈴鹿川に面しているようだが、川辺は感じられるがあたりはほぼ宵闇と同化している。
当初は鈴鹿駅として開業した駅とのことだが、利便性や地理的に見た発展性などを考慮して後進の旧伊勢線鈴鹿駅に駅名を譲ったとある。

今年最後の満月前夜の月は見事で、駅灯がスマホでの撮影の邪魔をする。
生意気だと軽く憤りながら何枚か撮る。



駅と月の相性はいい。

18:51 富田浜(とみだはま)駅(関西本線 三重県)
名古屋方面に4駅戻る。

駅名に浜がついているが浜辺は遠く、見えない。
古い木造の長椅子を備えた立派な駅舎と住宅しかない周囲には違和感がある。

何があるかと歩き出せば、角にミニマートがある。
客の到来を待ち望んでいたおかみさんにあたたかく迎えられる。

品薄な商品棚に比してビールは充実していた。
「人とはいいな」と感じながら駅へ。

すると階段に猫がポツンといる。
スマホを向けても動じず、眠たげな目を開ければにゃーと甘えた声を出す。

猫とは縁のない人生だが、情が移りそうだ。
猫の後ろ姿と満月前夜の月を眺め、彼女を想って過ごした待合室。

月は美しく、祈った。

19:17 河原田(かわらだ)駅(関西本線/伊勢鉄道 三重県)
月は美しく、この伊勢の地でオレを照らしている。

祈りは止まず、視線を外せない。

この世で一番美しいものを眺めていた。

駅前に酒屋がある。
今じゃ珍しい酒の自販機もある。

手は伸びて今日6本目のビール。
まったく酔いを感じない。

伊勢鉄道ホームは高台にある。
四日市の工場夜景が美しい。

特急に乗って通りすぎたことはあるが、今日をもって伊勢鉄道完乗を記録する。




19:54 津(つ)駅(紀勢本線/伊勢鉄道/近鉄名古屋本線 三重県)にて

20:52 APOAホテル津810号室
津駅周辺の商圏の狭さに驚く。
繁華街に人はなく、「いや実は国道を抜けた向こうにあるのだ」という、あってもおかしくはない事実が隠れているとも思えない。

伊勢国の現代的な繁栄の姿は近鉄四日市周辺にしか見られない。
四日市から津へのショートカット路線である伊勢線が、採算に合わず第三セクターになった頃から見えていたのかもしれない。

かつて安濃津の名で栄えた藤堂家のお膝元も名古屋港に地位を奪われ、有事の際には彦根藩と共に先鋒の名誉を与えられていた徳川家を鳥羽伏見の一戦で裏切った津藩。

皮肉なことに津藩兵は東海道の先鋒として各地で旧幕府軍と戦い、そして歴史の表舞台から去った。

今宵はいい月夜。
彼女と不特定多数の友人に告げて、早めにベッドに入る。

いつもの量の酒を購入したけど、今夜はもういい。

【Facebookへの投稿より】
ここが伊勢だと明確に判る写真はございませんが、現在県庁のある津に投宿しております。

雨が上がった東海路はあたたかく、今宵はいい月夜でございます。

明日が今年最後の満月。
願うことがあれば、月に祈るのもよろしいかと存じます。

どうぞ皆さま
素晴らしいクリスマス🎄連休をお過ごしくださいませ。

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