*

「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その1-金町、上野、鹿沼、日光、東武日光、宇都宮、野崎(常磐線/東北本線/日光線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/12 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月1日・・・金町駅、上野駅、鹿沼駅、日光駅、東武日光駅、宇都宮駅、野崎駅(常磐線/東北本線/日光線)

2018・4・1 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
4:30の町は24時間営業の飲食店がいくつか並び、一日の活動を始めた人々が音を発していた。

旅立ちの町はしばらくここになる。

いつまでもいるつもりはないんだ。
アパートの次の更新までには引き払うつもりで生きていく。

新しい暮らしが整い始めた昨日。
散らかっていた部屋が徐々に片付きだして、丸椅子にどっかりと腰を下ろしてテレビを眺めた時、ふいに寂しさが込み上げる。

とうとうこんなところでひとりになってしまって。
愛しきものは、オレがいなくなったことを悟って泣いていないだろうか。
甲子園での3回戦最後の試合、星稜×近江の熱戦にも身が入らずにいたよ。

あまり眠れなかった夜には姿が浮かぶ。
やはりこうすべきじゃなかった。
でももう戻れない。

この町で8年前まで、10年もの間ひとりで暮らしていた時に感じていた寂しさは、今感じている物に比べれば屁みたいなものだ。

一緒に暮らす人がいる集合体には、ひとりでいたんじゃ味わえない類いの幸せがある。
オレはそれを経験し続けていたんだな。

そんな幸せを写したものがある。
今あらためて眺めたら、また別種の感慨に包まれた。

幸福感だよ。
腹のあたりが温まるのを感じていた。

5:09 上野(うえの)駅(東北・北海道新幹線/秋田新幹線/山形新幹線/上越新幹線/北陸新幹線/東北本線/常磐線/高崎線/山手線/京浜東北線/東京メトロ銀座線/東京メトロ日比谷線 東京都)
入谷口から表に出る。
ジャイアントパンダの親子がショーケースに収まっている。

まるでオレたちのよう。
別れの翌日、心の支えでもある女性がfacebooKに寄せてくれた写真が思い出される。

そこには、大きな花が小さな花を後ろから見守るように添う様が写っている。

電車の中で深い感動に包まれ、本当の意味での孤独な状態でいるわけじゃないと安心できた。

上野駅は開け放たれ、明るくなり始めた空の下を人々が続々と改札を通る。

じきに浦和に着こうとする車内の席はほぼ埋まっている。

7:15 鹿沼(かぬま)駅(日光線 栃木県)
宇都宮で乗り換え。

日光線ホームは、歴史的遺産とも言える日光駅をあしらった小豆色の装飾が施され、東照宮の町に既に一歩踏み込んだ気持ちにさせてくれる。

かつて国道から眺めた鹿沼は、それなりに大きな町に見えた。
12月に東武線から眺めた鹿沼にも感慨は起きた。

鹿沼駅はどうやら町外れに位置しているようだ。
駅前は肌寒く、駅へと続いている道が町に向けて下っていく様が見えた。

7:51 東武日光(とうぶにっこう)駅(東武日光線 栃木県)にて

8:06 日光(にっこう)駅(日光線 栃木県
日光線の各駅とも小豆色に装飾されていた。
このあたりじゃあの色を小豆色とは言わずに、何か地域性をうかがわせる表現を使っているのではないか。

町に人はなく、店は閉まり、観光客が発する外国語が聞こえてくる。
目の前に座っているのはフランス、イタリアといったラテン系カップルだろう。

春霞の日光の山々に清々とした凛気はなく、朧な朝。
まるで飲み疲れて眠り、目覚めた時の朝のよう。

駅前のベンチに座って、東武駅で買ったビールと買い置きのポテチを楽しむ。
「さてっ」と見上げた空が青かった。

次に会えるのがいつになるのか知らないが、土産の玩具と靴下も買った。
オレを見ると、「電車来るかなぁ」と寄ってくる別れの情景だった。

オレの未来はどうにかする。
愛しきものに損なわれた未来があるのなら、できるだけのことをすると誓う。

下りでも見かけたが、今市駅の発車音を鳴らすスピーカーに本格的なマイクを向ける集団がいて、さっきより人もマイクも増えていた。

9:05 宇都宮(うつのみや)駅(東北新幹線/山形新幹線/日光線/烏山線 栃木県)
日光線車窓風景は思っていたより退屈だった。
既視感があるからかもしれない。

今市で見えた例弊使街道に去年の12月に気持ちが戻る。
あの頃はひとりじゃなかったと。

宇都宮は降りるたびに大きくなっているような印象を受ける。
そして降りるたびに同じ場所を行き来して、駅を眺めるに止まる。

今週5日、この街で精鋭部隊を率いる女性社長に会う。
彼女ともfacebooKで知り合っている。

人生が新しい領域に踏み込みつつある。

10:06 野崎(のざき)駅(東北本線 栃木県)
那須連山が春霞みに靄っている。

那須与一の銅像が立つ駅前は、暖かな日差しの下で、列車の到着の際にはささやかな人の往来がある。

軽喫茶食堂、焼鳥屋、郵便局と通りすぎて、4号国道でコンビニを発見してお握りを買い込む。

ここは大田原市。
かつて車で通った大田原市中心部の夜の明かりはまぶしかった。
車じゃなきゃ行けない、オレにとっては幻のような町だ。

「新平家物語」によれば、屋島で見事に扇を射落とした与一のその後の人生は、男振りを誇る時代から妬まれ、浮かばれないものだったという。

関連記事

「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その3‐宮古、蟇目、茂市(山田線)/蛇の目寿司 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月23日・・・宮古駅、蟇目駅、茂市駅(山田線)/蛇の目寿司 13:25 宮古蛇

記事を読む

「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】初日(宇部-飯塚-博多)その2-博多の夜

鉄旅日記2003年2月15日 2003・2・15 サンシティ博多フレックス21 507号 とうと

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】2日目(黒磯-郡山-いわき-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】最終日(花巻-東京)-花巻、平泉、一ノ関、仙台、白石、福島、郡山、矢吹、黒磯、宝積寺、古河、蓮田、西川口(東北本線)

鉄旅日記2011年8月17日・・・花巻駅、平泉駅、一ノ関駅、仙台駅、白石駅、福島駅、郡山駅、矢吹駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その2‐角館、大曲、峰吉川、新庄(田沢湖線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2023年1月13日・・・角館駅、大曲駅、峰吉川駅、新庄駅(田沢湖線/奥羽本線) 10:0

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月 最終日(直江津-六日町-大前-東京)その2-八色、浦佐、五日町、水上、後閑、上牧、八木原(上越線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

鉄旅日記2018年2月11日・・・八色駅、浦佐駅、五日町駅、水上駅、後閑駅、上牧駅、八木原駅(上越線

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】最終日(水沢-東京)その2-気仙沼、一ノ関、小牛田、大河原、福島、安積永盛、久喜(大船渡線、東北本線)

鉄旅日記2016年3月6日その2・・・気仙沼駅、一ノ関駅、小牛田駅、大河原駅、福島駅、安積永盛駅、久

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月 4日目(徳島-善通寺)その1-徳島、中田、旧小松島駅、南小松島、阿南、牟岐、海部、甲浦(牟岐線/安佐海岸鉄道) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】

鉄旅日記2008年5月5日・・・徳島駅、中田駅、旧小松島駅、南小松島駅、阿南駅、牟岐駅、海部駅、甲浦

記事を読む

「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その2-猪苗代、磐梯町、安子ヶ島、磐梯熱海、郡山(磐越西線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】

鉄旅日記2018年4月1日・・・猪苗代駅、磐梯町駅、安子ヶ島駅、磐梯熱海駅、郡山駅(磐越西線) 1

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】初日(熊本空港-高森-湯前-都城)走行距離270㎞-羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホテル

車旅日記2005年2月11日・・・羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑