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「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その1-神島山海荘あじさい、神島漁港、菅島漁港、鳥羽城址(城山公園)、旧鳥羽小学校(鳥羽市営定期船)

公開日: : 最終更新日:2023/04/29 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年12月24日
2018・12・24 6:42 神島山海荘あじさい
横になりながら夢を見ながら、外を吹く風の音は聞こえていた。

昨夜から波が荒れることは予測され、島と伊良湖を結ぶ船は欠航が決まっていた。

伊良湖を見物した後に豊橋に出て、飯田線で長篠古戦場に行く計画でいたがご破算となり、ひとまず鳥羽へ戻る。

部屋からは荒れる水平線の上空と、青空の中に所を移した昨夜の満月が今もなお輝いて見える。





8:26 神島漁港
山海荘を出て寺への階段を上り左へ。
八代神社の鳥居は見えている。

庭だか路地だか分からない道を上り下りして石段下へ。

石段に向けて祈りというより御礼を言っていた。

何に?
昨夜の奇跡に。

そしてこれから訪れる輝かしい未来に。

狭い階段を下っていく。
昨日石段に座っていた猫が老婆と共に歩いていた。



この島にはやはり何かがある。

かつてこの島で時を知らせる唯一の場所だった時計台跡には、今も時計が置かれている。

振り返ってはスマホを向け、一旦乗り込んだ船からまた這い出てはスマホを向けた。





近い将来、彼女を連れて再訪するだろう。
そんな未来が見えている。

8:35に船は港を離れる。

8:57 菅島漁港
鳥羽の港が見える。

水道を跨ぐ巨大な橋が印象的な島で、やはり全島が山地で、神島のように集落も港付近に見えたものがすべてかもしれない。

海女の島、菅島。
神島の何倍も大きく、船内はにわかに賑やかになり、子供の姿も多く見える。



海から眺める鳥羽は白いリゾートマンションが筍のように山の中に立つ、まさにマリンリゾート。
稀有な街だ。

10分で鳥羽に到着。

9:36 鳥羽城址(城山公園)
鳥羽から多気、亀山を経て名古屋に出る鉄旅で帰ることも考えていたが、船旅の魅力に気づき、船で伊良湖に戻ろうと決めて波止場に下りたら、伊勢湾フェリーの船着き場は別にあるとのこと。

山海荘でご一緒したご夫婦と会話を交わして、やがて導かれたこの場所。

戦国時代の大海賊九鬼嘉隆の海軍城にいる。

彼は伊勢湾を牛耳り、関ヶ原では西軍に着いて徳川家康を悩まし、激怒させ、男を見せて、やがて自害。

ここから見える答志島に彼の首塚、胴塚が遺されている。

快晴下の鳥羽湾を見下ろす場所が彼が最後にいた場所。
かつて紀勢本線の九鬼駅でも彼を偲んだが、大海賊の人生を語るにはここの方が相応しい。

風は優しく日差しに満ちてあたたかい。

この場所に導かれた幸運を感謝する。









9:58 旧鳥羽小学校
9年前まで現役だった小学校が城跡の片隅に有形文化財として残されている。

昭和4年建造のモダン建築。

ただ、今は暗く薄汚れてすでに遺跡になっている。

子供たちの歓声が消えた場所は寂しく切ない。

【Facebookへの投稿より】
神島でクリスマスイブの朝を迎えました。

本日天気晴朗にして浪高く、わずか15分の距離にある伊良湖への小型定期船は動かず、菅島を経由して一旦鳥羽に戻り、あらためて伊勢湾フェリーで伊良湖岬に向かっております。

真珠で有名な鳥羽は美しい街で、戦国時代の大海賊、九鬼嘉隆が築いた鳥羽城址に上り鳥羽湾を一望いたしました。

九鬼嘉隆は関ヶ原の折りには西軍につき、東軍の進行を海上から脅かし、徳川家康を悩まし激怒させ、ついには自害する硬骨の人生を送った海賊大名でございます。

朝に出港した神島を右手に過ぎました。
思わぬ再会でございました。

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