*

「鉄旅日記」2009年晩秋 初日(東京-倉敷)その2-北条町、姫路、播州赤穂、日生、備前片上、西片上、倉敷(北条鉄道/加古川線/山陽本線/赤穂線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/16 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年11月21日・・・北条町駅、姫路駅、播州赤穂駅、日生駅、備前片上駅、西片上駅、倉敷駅(北条鉄道/加古川線/山陽本線/赤穂線)

13:38 北条町(ほうじょうまち)駅(北条鉄道 兵庫県)
加西市の中心地。

寂れた終着駅を想像していたが現代的な駅舎を持ち、町のコミュニティと密着して多くの役割を受け持っている。

しばらく歩けば五百羅漢があり、角の大きな街案内には北条鉄道とともに大きく紹介されていた。
連絡橋を渡った先の大型店「アスティアかさい」はひっそりとしていて、町を心配したくなる。

鍛冶屋線の他にも、かつて加古川線から分岐する線は3線あったが、生き残ったのは北条線のみ。
今後の健闘を祈る。

粟生までの道中にめぼしいものはなく、開業時からの古い駅舎を売り物にしている。

15:33 姫路(ひめじ)駅(山陽新幹線/山陽本線/播但線/姫新線 兵庫県)
播州の首都は、国宝姫路城までの道のりに外人をはじめ大勢を集めて賑わっている。

みゆき通りをお城まで歩く。
西二階町にぼんぼりが灯り、街の外れに歓楽街があった。

京都時代の最後、一般道だけを走って東京から九州、四国へと渡ったあの壮大な旅でも姫路に寄った。
あれから何度も通っている。

街を貫くモノレールの廃線跡。
その存在を街に入る頃には思い出していた。
播州娘もまた美しく、多くの感慨を持って街を離れた。

30分などじゃとても足りない大きな街。

16:35 播州赤穂(ばんしゅうあこう)駅(赤穂線 兵庫県)
赤穂に寄ったのは何年前のことになるのか。

関西での記憶が雪のように積もっていく。

それはとてもうれしいことだ。

お城通りを往復する。
赤穂城址が中心の街で、品のいい店が駅に向かってぽつぽつと並んでいる。

明らかに観光地だが、風格のある静けさをまとっている。

赤穂浪士の討ち入りは師走の頃。
地元赤穂より、浪士たちが葬られた泉岳寺の方が賑わうのだろう。
事件の関係者は誰も赤穂には戻らなかった。

1983年に赤穂で王者ジャンボ鶴田は、挑戦者に「北海の白熊」二コリ・ボルコフを迎え防衛戦を行い、その日の興行はテレビ放送されている。

17:15 日生(ひなせ)駅(赤穂線 岡山県)
赤穂に寄った旅でのことだった。

宇野、城崎と泊まって京都に戻り、祇園に寄って彼女に会ったのか。
おそらくそうだろう。
ただ、もうよくは覚えていない。

その旅で250号国道を走ってここを通り過ぎて、後悔と未練が残った。
そこに何か忘れがたい景色を見たんだ。

あれから、ここを通るのは3度目になる。

港を出る船は小豆島へ向かうか、あるいは日生諸島を遊覧するもの。
案内板にはキリシタンの流刑地だった島や、潮干狩りが楽しめる島が見られる。

船の運航はもう終わって港は静まりかえり、夕暮れの寂しくも美しい風景を見せている。

今夜は三日月が出ている。

17:39 備前片上(びぜんかたかみ)駅(赤穂線 岡山県)にて

18:15 西片上(にしかたかみ)駅(赤穂線 岡山県)
ひとつ手前の備前片上駅から歩く。

備前市役所前を過ぎると町が明るくなった。

このホームから眺めると、余計に聳えて見える角の百貨店らしきものは撤退したのか。
あのあたりで畳表の懐かしい匂いが香った。

素敵なケーキ屋さんに、片上商店街があった。
菓子屋に肉、魚、旅館。
どれも一代やそこらの代物じゃない。

少し離れたところにあった居酒屋は閉まって真っ暗で、国道の時計屋は派手に電飾で彩っていた。

片上の中心は西片上で、ここから山陽本線の和気駅を通って山間に至る片上鉄道が平成に入っても営業していたが、現在は廃線となっている。

町を見下ろす高台1面ホームの駅に、先に赤穂行が入ってきた。
市役所には「赤穂線と共に」というような垂れ幕がかかっていた。

加古川線でも「加古川線をもっと利用しよう」と謳っていた。

廃線の危機が囁かれているのか。
どうかその事態は避けてほしい。

いつか2号国道から眺めた備前市の家並はどこらあたりだったのだろう。

もう暗くなってしまって吉井川にも会えない。

22:00 ヤングイン倉敷415号室
眠りから覚めたら西大寺。
乗客は増えていた。

備前国は穏やかに暮れて、岡山駅に降りる感覚はごく普通だった。

ここではもはやオレは異邦人ではない。
今となれば、かつてあれほどの縁を得た京都駅の方が緊張する。

時代は流れたのだ。
そしてオレは京都よりも先にある遠くの街を友として、こうして旅を続けている。

倉敷。
赤穂で思い出した旅で一度寄っている。
駅前風景に懐かしさは感じなかった。

あの日オレは美観地区には行っていない。
それよりももっと先へ行きたかったから、あの日はそれでよかった。

でも後悔は生じた。
それで今オレはこの街にいる。

美観地区はとても素敵だった。
似たような町並を持つ柳井、豊後竹田。
大好きな街だが、倉敷は規模において優る。

美観地区へとつながるアーケード街の風情もあわせて第一級の街だった。

倉敷で2大王座戦が組まれたのは1987年。
ジャンボ鶴田×ニック・ボックウィンクルのインター選手権。
天龍源一郎、阿修羅・原×スタン・ハンセン、ジョー・ディートンの世界タッグ選手権。

偉大なるニック・ボックウィンクルの最後の勇姿だった。

倉敷は天領か。
この街の価値が見失われることは考えられず、永遠の文化都市であり続けるだろう。
岡山は大空襲を受けたが、倉敷は無事だったのだろう。

彼女は夏にこの街に下りている。
万感の思いがあった9月は過ぎて、どうにも成長できないオレを連れて今ここにいいる。
情けない日々を過ごし、それをあらためる風もなく生きて、この街にきた。

酔客が騒ぐ声が聞こえる。
この街はいつまでも平和であってほしい。

世界に向けて誇れる街だった。

関連記事

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その4 ‐アプトいちしろ、川根小山、千頭、金谷、焼津(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/焼津温泉やいづマリンパレス 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・アプトいちしろ駅、川根小山駅、千頭駅、金谷駅、焼津駅(大井川鐡道

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 2日目(高松)その1 ‐瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋神社参道、津島ノ宮駅、詫間海軍航空隊跡、箱浦(浦嶋伝説の地)、父母ヶ浜 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

車旅日記2020年9月20日・・・瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋神社参道、津島ノ宮駅、詫間海軍

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ

記事を読む

「車旅日記」2000年春 3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月5日 8:54 象潟海岸 636㎞ 朝、人気のない海もいい。 車を降りるつ

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月 最終日(釜石-東京)その3‐一ノ関、小牛田、仙台、福島、郡山(東北本線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月24日・・・一ノ関駅、小牛田駅、仙台駅、福島駅、郡山駅(東北本線) 11:4

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 最終日(長崎-福岡空港)走行距離291㎞その1-長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村駅、千綿駅、高橋駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月15日・・・長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 初日(東京-徳山)穂積、姫路、英賀保、金光、福山、天神川、徳山(東海道本線、山陽本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月10日・・・穂積駅、姫路駅、英賀保駅、金光駅、福山駅、天神川駅、徳山駅(東海道

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その2-山田上口、宮川、川添、伊勢柏崎、尾鷲、新鹿、熊野市、紀伊勝浦(参宮線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】

鉄旅日記2014年3月8日その2・・・山田上口駅、宮川駅、川添駅、伊勢柏崎駅、尾鷲駅、新鹿駅、熊野市

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春 最終日(和歌山-東京)その1-打田、妙寺、高野口、橋本、五条、吉野口、法隆寺、平城山、木津、京田辺、四條畷、住道(和歌山線、関西本線、学研都市線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】

鉄旅日記2013年4月7日その1・・・打田駅、妙寺駅、高野口駅、橋本駅、五条駅、吉野口駅、法隆寺駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その4 ‐岡谷、北殿、伊那北、伊那市(飯田線)/ホテル青木【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・岡谷駅、北殿駅、伊那北駅、伊那市駅

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その3 ‐龍岡城、小海、青柳、下諏訪(小海線/中央本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・龍岡城駅、小海駅、青柳駅、下諏訪駅

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その2 ‐横川、軽井沢、平原、乙女、馬流(信越本線/JRバス関東碓氷線/しなの鉄道/小海線)/秩父事件戦死者の墓【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・横川駅、軽井沢駅、平原駅、乙女駅、

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その1 ‐金町、上野、籠原、高崎(常磐線/高崎線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・金町駅、上野駅、籠原駅、高崎駅(常

「鉄旅日記」2022年文月 ツレと訪ねた佐久海ノ口温泉~諏訪湖旅でございます。初日(東京-佐久海ノ口) ‐甲府、小淵沢、清里、野辺山、佐久海ノ口(中央本線/小海線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年7月23日・・・甲府駅、小淵沢駅、清里駅、野辺山駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑