「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その1‐防府、新山口、宇部、小野田(山陽本線)/防府天満宮
鉄旅日記2020年8月14日・・・防府駅、新山口駅、宇部駅、小野田駅(山陽本線)/防府天満宮
2020・8・14 6:01 防府(ほうふ)駅(山陽本線 山口県)
明けきらぬ空に新月へと向かう三日月と飛行機雲が浮かぶ。
ホテルを出て防府天満宮の杜まで約10分。すれ違う周防人は挨拶を欠かさない。
菅原道真が亡くなった翌年の904年に創建された日本最初の天神様。
狛犬を労い、石段を上がり、楼から町を一望する。
杜は清く、祈りは深く、祈りの先には月があった。
オレは信じているよ。いつかすべてがうまくいくと。
参道に下りると7月に萩で接した「萩往還」の跡を通りかかる。終点の三田尻はここ防府の港で、防府駅は当初三田尻駅の名で開業している。
山頭火は防府の出身だったか。自らに愚かさを課すように生きた放浪の俳人。
母の自殺、自身の酒癖、結婚と父親になったことが最大の不幸と回想して、自らも自殺を図り、飢餓に悩まされながら句作。人生に孤独を貼りつけながら生きた男。
ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
いただいて足りて一人の箸をおく
こほろぎよあすの米だけはある
オレの旅も捨てたものじゃないだろう。酔いどれにしてはよく歩く。そして山頭火の句に自身を重ねる。
飛行機雲はまるで雷の光跡のよう。
防府天満宮から駅までは徒歩約20分弱。
神聖な朝。そんな朝には酒を飲むものだ。そうしながら一番列車を待っていた。
6:37 新山口(しんやまぐち)駅(東海道・山陽新幹線/山陽本線/山口線/宇部線 山口県)
25分の停車。この長い停車時間の意味を正確には知らないが、大鉄道基地には事情がある。
クールな東西自由通路が完成して、在来線口の駅舎は変わっていた。
美人のホステスが闊歩していた繁華街に変化はなく、食事をした焼鳥屋も健在だったが、この町に宿泊した11年前より町が大きくなっているように感じた。
正確な統計はいらない。そう感じられたことは新山口、かつての小郡にとっておそらく目出度い。
従来からあって11年前にも歩いた東西連絡橋に上がって新幹線口へ。
こっちの風景も見ておきたかった。
7:13 宇部(うべ)駅(山陽本線/宇部線 山口県)
厚東川に沿って宇部に着いた。
何度も通っているわけじゃないが、懐かしいという感情が芽生える地域ではある。
ここ宇部では現在も友が暮らし、その友の結婚式で初めて訪ね、車で旅していた頃には泊めてもらった。
やがてその友の奥さんの導きで同級生の女性を紹介してもらい、彼女に会いに山口宇部空港に降りたった。その彼女の運転する車で駅前を通ったのがこの場所にいた最初。
何年前のことになるのか。それはもうどうでもいい。
宇部始発の下関行に乗り換える。滞在時間は8分。
駅そばも駅舎も健在で、11年前より人の出入りは多く感じた。
レストランが入っていた駅前の雑居ビルは残念ながらなくなっていた。
7:24 小野田(おのだ)駅(山陽本線/小野田線 山口県)
宇部線経由厚狭行に乗り換える。滞在5分。
宇部に続いて駅そばも駅舎も健在だった。11年前にはここのそばを食べている。
だが15:30までが営業時間の駅そばは新型コロナウイルスの影響からか開けていなかった。貼り紙があったが、おそらくそうした事情であろうと目を通していない。
駅前は夏の日差しに照らされて古風な涼しさをまとっていた。これが日本の夏景色。
この町を故郷にしていたら、帰郷の度に泣けてくるかもしれない。
変わらぬよさというのものは明らかに存在する。
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