*

「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その1‐防府、新山口、宇部、小野田(山陽本線)/防府天満宮 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/04 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年8月14日・・・防府駅、新山口駅、宇部駅、小野田駅(山陽本線)/防府天満宮

2020・8・14  6:01  防府(ほうふ)駅(山陽本線 山口県)
明けきらぬ空に新月へと向かう三日月と飛行機雲が浮かぶ。

ホテルを出て防府天満宮の杜まで約10分。すれ違う周防人は挨拶を欠かさない。

菅原道真が亡くなった翌年の904年に創建された日本最初の天神様。

狛犬を労い、石段を上がり、楼から町を一望する。

杜は清く、祈りは深く、祈りの先には月があった。

オレは信じているよ。いつかすべてがうまくいくと。

参道に下りると7月に萩で接した「萩往還」の跡を通りかかる。終点の三田尻はここ防府の港で、防府駅は当初三田尻駅の名で開業している。

山頭火は防府の出身だったか。自らに愚かさを課すように生きた放浪の俳人。

母の自殺、自身の酒癖、結婚と父親になったことが最大の不幸と回想して、自らも自殺を図り、飢餓に悩まされながら句作。人生に孤独を貼りつけながら生きた男。

ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない

いただいて足りて一人の箸をおく

こほろぎよあすの米だけはある

オレの旅も捨てたものじゃないだろう。酔いどれにしてはよく歩く。そして山頭火の句に自身を重ねる。

飛行機雲はまるで雷の光跡のよう。

防府天満宮から駅までは徒歩約20分弱。

神聖な朝。そんな朝には酒を飲むものだ。そうしながら一番列車を待っていた。


6:37  新山口(しんやまぐち)駅(東海道・山陽新幹線/山陽本線/山口線/宇部線 山口県)

25分の停車。この長い停車時間の意味を正確には知らないが、大鉄道基地には事情がある。

クールな東西自由通路が完成して、在来線口の駅舎は変わっていた。

美人のホステスが闊歩していた繁華街に変化はなく、食事をした焼鳥屋も健在だったが、この町に宿泊した11年前より町が大きくなっているように感じた。

正確な統計はいらない。そう感じられたことは新山口、かつての小郡にとっておそらく目出度い。

従来からあって11年前にも歩いた東西連絡橋に上がって新幹線口へ。

こっちの風景も見ておきたかった。


7:13  宇部(うべ)駅(山陽本線/宇部線 山口県)

厚東川に沿って宇部に着いた。

何度も通っているわけじゃないが、懐かしいという感情が芽生える地域ではある。

ここ宇部では現在も友が暮らし、その友の結婚式で初めて訪ね、車で旅していた頃には泊めてもらった。

やがてその友の奥さんの導きで同級生の女性を紹介してもらい、彼女に会いに山口宇部空港に降りたった。その彼女の運転する車で駅前を通ったのがこの場所にいた最初。

何年前のことになるのか。それはもうどうでもいい。

宇部始発の下関行に乗り換える。滞在時間は8分。

駅そばも駅舎も健在で、11年前より人の出入りは多く感じた。

レストランが入っていた駅前の雑居ビルは残念ながらなくなっていた。

7:24  小野田(おのだ)駅(山陽本線/小野田線 山口県)

宇部線経由厚狭行に乗り換える。滞在5分。

宇部に続いて駅そばも駅舎も健在だった。11年前にはここのそばを食べている。

だが15:30までが営業時間の駅そばは新型コロナウイルスの影響からか開けていなかった。貼り紙があったが、おそらくそうした事情であろうと目を通していない。

駅前は夏の日差しに照らされて古風な涼しさをまとっていた。これが日本の夏景色。

この町を故郷にしていたら、帰郷の度に泣けてくるかもしれない。

変わらぬよさというのものは明らかに存在する。

関連記事

「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その2‐万能倉、神辺、井原、吉備真備(福塩線/井原鉄道)【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月26日・・・万能倉駅、神辺駅、井原駅、吉備真備駅(福塩線/井原鉄道)

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋-越生、坂戸、小川町、寄居、羽生、久喜、新越谷、南越谷(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)【関東ぶらぶら旅その3-武蔵国で遊ぶ日。7つの交差点へ。】

鉄旅日記2009年11月3日・・・越生駅、坂戸駅、小川町駅、寄居駅、羽生駅、久喜駅、新越谷駅、南越谷

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その1-徳山、長府、西小倉、城野、行橋、新田原、中津、中山香、高城、佐志生、熊崎、上臼杵、臼杵(山陽本線、日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月11日その1・・・徳山駅、長府駅、西小倉駅、城野駅、行橋駅、新田原駅、中津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その3-橿原神宮前、六田、吉野、近鉄御所、御所、尺土、二上山(吉野線/御所線/南大阪線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・橿原神宮前駅、六田駅、吉野駅、近鉄御所駅、御所駅、尺土駅、二上山駅

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】最終日(長岡-東京)-長岡、東三条、吉田、新潟、新津、会津若松、郡山、磐城石川、磐城塙、玉川村、常陸大宮、金町(信越本線/弥彦線/越後線/磐越西線/水郡線/常磐線)

鉄旅日記2009年7月20日・・・長岡駅、東三条駅、吉田駅、新潟駅、新津駅、会津若松駅、郡山駅、磐城

記事を読む

「鉄旅日記」2018年初秋 初日(東京-桑名)その2-吉原、岳南江尾、本吉原、吉原本町、吉原、富士川、新蒲原、西焼津、新豊橋、三河田原(岳南電車岳南線/東海道本線/豊橋鉄道渥美線)【「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】

鉄旅日記2018年9月15日・・・吉原駅、岳南江尾駅、本吉原駅、吉原本町駅、富士川駅、新蒲原駅、西焼

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その3‐小牛田、一ノ関、盛岡、八戸、野辺地(東北本線/IGRいわて銀河鉄道/青い森鉄道) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・小牛田駅、一ノ関駅、盛岡駅、八戸駅、野辺地駅(東北本線/IGRいわ

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 初日(東京-新庄)松戸、取手、友部、上菅谷、常陸太田、高萩、いわき、郡山、福島、米沢、山形、新庄(常磐線/水郡線/水郡線常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】

鉄旅日記2009年10月10日・・・松戸駅、取手駅、友部駅、上菅谷駅、常陸太田駅、高萩駅、いわき駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわ

2021年神無月~2022年如月【SNSへの投稿より】写真をお楽しみいただけますと幸いでございます。ー下高井戸商店街、辻清人先生、紅葉の頃、金町夕景、今年も暮れゆく東京、金町睦月如月、柴又

2021年10月30日 母校を訪ねるのは卒業以来30年振りでご

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その4 ‐立小路、赤倉温泉、村山、さくらんぼ東根(陸羽東線/奥羽本線/山形新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・立小路駅、赤倉温泉駅、村山駅、さく

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その2 ‐川渡温泉、鳴子御殿湯、鳴子温泉(陸羽東線)/東鳴子温泉神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・川渡温泉駅、鳴子御殿湯駅、鳴子温泉

→もっと見る

    PAGE TOP ↑