*

「鉄旅日記」2018年春 初日(東京-飯田)その1-国立、高尾、宮田、伊那八幡、三河東郷、新城、三河一宮(中央本線/飯田線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月7日・・・国立駅、高尾駅、宮田駅、伊那八幡駅、三河東郷駅、新城駅、三河一宮駅(中央本線/飯田線)

2018・4・7 6:13 国立(くにたち)駅(中央本線 東京都)
深夜のそば屋で上司と口論して、イヤな言葉を応酬して、終電車で帰り着き、丸椅子にくるまって仮眠1時間強。

一番列車は4:32にやってくる。
酔眼で地元金町を走り、北千住、日暮里、新宿と乗り継ぐ。

雨は昨夜から上がっている。

新宿から少し眠ると頭もすっきりして、この駅に降りる頃にはかなりマトモになっていた。

よかった。
今日は晴れだ。

心の支えでもある女性が暮らす町に降りた。
美しい彼女は、この町のどこかで不自由な暮らしに耐えている。
その声、その姿を、じきにオレは目の前にするだろう。

駅を出る。
彼女が誇りに思う学園通りの桜は散ったけど、新緑の頃を迎えようとする通りは美しく、朝の清々しい空気の中で町は目覚め、昨日の酒のことなどもう気にしないと、オレも目を覚ましている。


ここ国立で。
朝まで飲んで学校に行くこともあった学生時代を思い出した。

そして、この町がオレにとって最後の町になることを肌で感じていた。

6:42 高尾(たかお)駅(中央本線/京王高尾線 東京都)
八王子から長駈松本へと至る列車に高尾から乗り込んだ。

かつて天狗を見た高尾駅に、その恐ろしげな形相を見ることはなく、行く手に見える緑とトンネルに美を感じて跨線橋で立ち止まった。

南口高架を京王線が走る。

10:59 宮田(みやた)駅(飯田線 長野県)
突風の影響で中央本線に遅れが発生。
悪夢のような夜と酒のせいで、ずっと眠っていたよ。

日野春では甲斐駒ヶ岳を望み、八ヶ岳もくっきりと見えていた。

飯田線との接続は無事に行れ、5分の遅れで岡谷を発車。
ここ宮田でダイヤは復旧した。

強風が吹き荒れ、桜の木やオレの手元までも揺らす。
風に吹かれ、春を思う。

12:36 伊那八幡(いなはちまん)駅(飯田線 長野県)
伊那谷は桜の見頃。
曇り空から時折雨が舞う。

彼女とFacebooKでの会話を楽しみ、昨夜の睡眠不足を補う。

飯田では乗客の交換があり、この駅では5名ほどが降りる。
閑散とした駅前などではなく、通りを車が行き交い、大きなスーパーがある。

概して人の気配が希薄ということもなく、飯田線各駅前には居酒屋の一軒くらいは見かける。

15:26 三河東郷(みかわとうごう)駅(飯田線 愛知県)
秘境駅に着くと車内は若干のざわつきを見せ、探訪を終えた人々が乗ってくる。

列車の遅れは解消して、3分の行き違い停車。
3時間振りに外に出る。

長篠の古戦場にいる。

駅舎を出ると観音様の背中が見える。
石には文字が刻まれ、車が行き過ぎる。

今年は人生の岐路に当たる。
別れがあり、昨夜のいさかいは何を意味していくのだろう。

例えようのない悲しみに見舞われて乗る列車。
途中の天竜峡では雄大な泥の川を見た。

15:42 新城(しんしろ)駅(飯田線 愛知県)
こじんまりとした品のいい駅だった。

駅員さんは優しい笑みを浮かべ、駅前のパン屋のご主人が丁寧に頭を下げられる。
そこではウイスキーハイボールが買えた。

町へ続く道は細く、突き当たりの通りは、オレがいた場所からは町を予感させるものはなく、穏やかな駅前風景。

しんみりとした物思いが曇り空に合い、またあの優しい笑顔の駅員さんに切符を見せて列車に戻る。

16:00 三河一宮(みかわいちのみや)駅(飯田線 愛知県)
三河国の一宮、砥鹿神社の門前駅には神社風の立派な古い駅舎が立っていた。

スマホを向けたくなるような駅前風景じゃなかったが、駅舎の偉容には打たれた。

ご婦人がひとり下りて、下りホームには少女がひとり風に吹かれていた。
旅心を呼び覚ます冷たい風が乾いた大地に吹いていた。

ここから飯田へと戻る。

関連記事

「鉄旅日記」2008年初夏 2日目(和歌山-松阪)その1-和歌山市、和歌山、海南、西御坊、御坊、紀伊田辺、白浜(紀勢本線/紀州鉄道) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】

鉄旅日記2008年7月20日・・・和歌山市駅、和歌山駅、海南駅、西御坊駅、御坊駅、紀伊田辺駅、白浜駅

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春 2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】

鉄旅日記2016年3月20日その2・・・金田一温泉駅、斗米駅、二戸駅、好摩駅、いわて沼宮内駅、厨川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その2‐会津若松、郡山富田、喜久田、郡山(磐越西線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月5日・・・会津若松駅、郡山富田駅、喜久田駅、郡山駅(磐越西線) 9:07 会

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏 初日(東京-津山)-尾張一宮、播磨高岡、太市、余部、播磨新宮、三日月、西栗栖、美作江見、林野、上月、津山口、津山(東海道本線、山陽本線、姫新線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

鉄旅日記2014年8月13日・・・尾張一宮駅、播磨高岡駅、太市駅、余部駅、播磨新宮駅、三日月駅、西栗

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯、新白河(常磐線/東北本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅、新白河駅(常磐線/東北

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 初日(東京-弘前)-福島、仙台、北山形、新庄、秋田、井川さくら、大館、弘前(東北本線/仙山線/奥羽本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月10日・・・福島駅、仙台駅、北山形駅、新庄駅、秋田駅、井川さくら駅、大館駅、弘

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 最終日(志賀高原湯田中-中込-東京)-湯田中、菅平湖、中込ローソン、竜王駅、道の駅甲斐大和、藤野駅、東京町田【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】

車旅日記1998年7月20日 1998・7・20 7:25 湯田中‐某クラブ志賀高原 486㎞ こ

記事を読む

「車旅日記」2004年春 4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その3-稚内サンホテル 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月4日・・・稚内サンホテルにて 21:39 稚内サンホテル325号 素敵な部屋

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、北海道途中下車旅】3日目(室蘭-岩見沢)-室蘭、苫小牧、鵡川、静内、様似、追分、夕張、新夕張、清水沢(室蘭支線、室蘭本線、日高本線、石勝線、夕張支線)

鉄旅日記2012年8月13日・・・室蘭駅、苫小牧駅、鵡川駅、静内駅、様似駅、追分駅、夕張駅、新夕張駅

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その2-宇治山田、東青山、青山町、名張、大和八木、大和西大寺、新大宮(山田線/大阪線/橿原線/奈良線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・宇治山田駅、東青山駅、青山町駅、名張駅、大和八木駅、大和西大寺駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

→もっと見る

    PAGE TOP ↑