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「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】初日(東京-岡谷-長篠-飯田)その1-国立、高尾、宮田、伊那八幡、三河東郷、新城、三河一宮(中央本線/飯田線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/12 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月7日・・・国立駅、高尾駅、宮田駅、伊那八幡駅、三河東郷駅、新城駅、三河一宮駅(中央本線/飯田線)
2018・4・7 6:13 国立(くにたち)駅(中央本線 東京都)
深夜のそば屋で上司と口論して、イヤな言葉を応酬して、終電車で帰り着き、丸椅子にくるまって仮眠1時間強。

一番列車は4:32にやってくる。
酔眼で地元金町を走り、北千住、日暮里、新宿と乗り継ぐ。

雨は昨夜から上がっている。

新宿から少し眠ると頭もすっきりして、この駅に降りる頃にはかなりマトモになっていた。

よかった。
今日は晴れだ。

心の支えでもある女性が暮らす町に降りた。
美しい彼女は、この町のどこかで不自由な暮らしに耐えている。
その声、その姿を、じきにオレは目の前にするだろう。

駅を出る。
彼女が誇りに思う学園通りの桜は散ったけど、新緑の頃を迎えようとする通りは美しく、朝の清々しい空気の中で町は目覚め、昨日の酒のことなどもう気にしないと、オレも目を覚ましている。


ここ国立で。
朝まで飲んで学校に行くこともあった学生時代を思い出した。

そして、この町がオレにとって最後の町になることを肌で感じていた。

6:42 高尾(たかお)駅(中央本線/京王高尾線 東京都)
八王子から長駈松本へと至る列車に高尾から乗り込んだ。

かつて天狗を見た高尾駅に、その恐ろしげな形相を見ることはなく、行く手に見える緑とトンネルに美を感じて跨線橋で立ち止まった。

南口高架を京王線が走る。

10:59 宮田(みやた)駅(飯田線 長野県)
突風の影響で中央本線に遅れが発生。
悪夢のような夜と酒のせいで、ずっと眠っていたよ。

日野春では甲斐駒ヶ岳を望み、八ヶ岳もくっきりと見えていた。

飯田線との接続は無事に行れ、5分の遅れで岡谷を発車。
ここ宮田でダイヤは復旧した。

強風が吹き荒れ、桜の木やオレの手元までも揺らす。
風に吹かれ、春を思う。

12:36 伊那八幡(いなはちまん)駅(飯田線 長野県)
伊那谷は桜の見頃。
曇り空から時折雨が舞う。

彼女とFacebooKでの会話を楽しみ、昨夜の睡眠不足を補う。

飯田では乗客の交換があり、この駅では5名ほどが降りる。
閑散とした駅前などではなく、通りを車が行き交い、大きなスーパーがある。

概して人の気配が希薄ということもなく、飯田線各駅前には居酒屋の一軒くらいは見かける。

15:26 三河東郷(みかわとうごう)駅(飯田線 愛知県)
秘境駅に着くと車内は若干のざわつきを見せ、探訪を終えた人々が乗ってくる。

列車の遅れは解消して、3分の行き違い停車。
3時間振りに外に出る。

長篠の古戦場にいる。

駅舎を出ると観音様の背中が見える。
石には文字が刻まれ、車が行き過ぎる。

今年は人生の岐路に当たる。
別れがあり、昨夜のいさかいは何を意味していくのだろう。

例えようのない悲しみに見舞われて乗る列車。
途中の天竜峡では雄大な泥の川を見た。

15:42 新城(しんしろ)駅(飯田線 愛知県)
こじんまりとした品のいい駅だった。

駅員さんは優しい笑みを浮かべ、駅前のパン屋のご主人が丁寧に頭を下げられる。
そこではウイスキーハイボールが買えた。

町へ続く道は細く、突き当たりの通りは、オレがいた場所からは町を予感させるものはなく、穏やかな駅前風景。

しんみりとした物思いが曇り空に合い、またあの優しい笑顔の駅員さんに切符を見せて列車に戻る。

16:00 三河一宮(みかわいちのみや)駅(飯田線 愛知県)
三河国の一宮、砥鹿神社の門前駅には神社風の立派な古い駅舎が立っていた。

スマホを向けたくなるような駅前風景じゃなかったが、駅舎の偉容には打たれた。

ご婦人がひとり下りて、下りホームには少女がひとり風に吹かれていた。
旅心を呼び覚ます冷たい風が乾いた大地に吹いていた。

ここから飯田へと戻る。

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