「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】初日(東京-岡谷-長篠-飯田)その1-国立、高尾、宮田、伊那八幡、三河東郷、新城、三河一宮(中央本線/飯田線)
鉄旅日記2018年4月7日・・・国立駅、高尾駅、宮田駅、伊那八幡駅、三河東郷駅、新城駅、三河一宮駅(中央本線/飯田線)
2018・4・7 6:13 国立(くにたち)駅(中央本線 東京都)
深夜のそば屋で上司と口論して、イヤな言葉を応酬して、終電車で帰り着き、丸椅子にくるまって仮眠1時間強。
一番列車は4:32にやってくる。
酔眼で地元金町を走り、北千住、日暮里、新宿と乗り継ぐ。
雨は昨夜から上がっている。
新宿から少し眠ると頭もすっきりして、この駅に降りる頃にはかなりマトモになっていた。
よかった。
今日は晴れだ。
心の支えでもある女性が暮らす町に降りた。
美しい彼女は、この町のどこかで不自由な暮らしに耐えている。
その声、その姿を、じきにオレは目の前にするだろう。
駅を出る。
彼女が誇りに思う学園通りの桜は散ったけど、新緑の頃を迎えようとする通りは美しく、朝の清々しい空気の中で町は目覚め、昨日の酒のことなどもう気にしないと、オレも目を覚ましている。
ここ国立で。
朝まで飲んで学校に行くこともあった学生時代を思い出した。
そして、この町がオレにとって最後の町になることを肌で感じていた。
6:42 高尾(たかお)駅(中央本線/京王高尾線 東京都)
八王子から長駈松本へと至る列車に高尾から乗り込んだ。
かつて天狗を見た高尾駅に、その恐ろしげな形相を見ることはなく、行く手に見える緑とトンネルに美を感じて跨線橋で立ち止まった。
南口高架を京王線が走る。
10:59 宮田(みやた)駅(飯田線 長野県)
突風の影響で中央本線に遅れが発生。
悪夢のような夜と酒のせいで、ずっと眠っていたよ。
日野春では甲斐駒ヶ岳を望み、八ヶ岳もくっきりと見えていた。
飯田線との接続は無事に行れ、5分の遅れで岡谷を発車。
ここ宮田でダイヤは復旧した。
強風が吹き荒れ、桜の木やオレの手元までも揺らす。
風に吹かれ、春を思う。
12:36 伊那八幡(いなはちまん)駅(飯田線 長野県)
伊那谷は桜の見頃。
曇り空から時折雨が舞う。
彼女とFacebooKでの会話を楽しみ、昨夜の睡眠不足を補う。
飯田では乗客の交換があり、この駅では5名ほどが降りる。
閑散とした駅前などではなく、通りを車が行き交い、大きなスーパーがある。
概して人の気配が希薄ということもなく、飯田線各駅前には居酒屋の一軒くらいは見かける。
15:26 三河東郷(みかわとうごう)駅(飯田線 愛知県)
秘境駅に着くと車内は若干のざわつきを見せ、探訪を終えた人々が乗ってくる。
列車の遅れは解消して、3分の行き違い停車。
3時間振りに外に出る。
長篠の古戦場にいる。
駅舎を出ると観音様の背中が見える。
石には文字が刻まれ、車が行き過ぎる。
今年は人生の岐路に当たる。
別れがあり、昨夜のいさかいは何を意味していくのだろう。
例えようのない悲しみに見舞われて乗る列車。
途中の天竜峡では雄大な泥の川を見た。
15:42 新城(しんしろ)駅(飯田線 愛知県)
こじんまりとした品のいい駅だった。
駅員さんは優しい笑みを浮かべ、駅前のパン屋のご主人が丁寧に頭を下げられる。
そこではウイスキーハイボールが買えた。
町へ続く道は細く、突き当たりの通りは、オレがいた場所からは町を予感させるものはなく、穏やかな駅前風景。
しんみりとした物思いが曇り空に合い、またあの優しい笑顔の駅員さんに切符を見せて列車に戻る。
16:00 三河一宮(みかわいちのみや)駅(飯田線 愛知県)
三河国の一宮、砥鹿神社の門前駅には神社風の立派な古い駅舎が立っていた。
スマホを向けたくなるような駅前風景じゃなかったが、駅舎の偉容には打たれた。
ご婦人がひとり下りて、下りホームには少女がひとり風に吹かれていた。
旅心を呼び覚ます冷たい風が乾いた大地に吹いていた。
ここから飯田へと戻る。
関連記事
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、名古屋往復】その2-恵那、瑞浪、土岐市、多治見、千種、鶴舞、金山、天竜川、袋井(中央本線、東海道本線)
鉄旅日記2012年3月25日その2・・・恵那駅、瑞浪駅、土岐市駅、多治見駅、千種駅、鶴舞駅、金山駅、
-
「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】4日目(西鉄柳川-広島)その2-田川後藤寺、糸田、糒、金田、門司港、厚狭、湯ノ峠、四郎ヶ原、南大嶺、美祢(平成筑豊鉄道糸田線、平成筑豊鉄道伊田線、鹿児島本線、美祢線)
鉄旅日記2015年8月15日その2・・・田川後藤寺駅、糸田駅、糒駅、金田駅、門司港駅、厚狭駅、湯ノ峠
-
「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】初日(佐賀空港-筑豊-別府)走行距離254㎞その1-葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅
車旅日記2004年8月11日・・・葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】最終日(鷹ノ巣-東京)その2‐角館、大曲、峰吉川、新庄(田沢湖線/奥羽本線)
鉄旅日記2023年1月13日・・・角館駅、大曲駅、峰吉川駅、新庄駅(田沢湖線/奥羽本線) 10:00
-
「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その2-雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖、さるふつ公園、宗谷岬、稚内駅
車旅日記2004年5月4日・・・雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖
-
「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】最終日その2(岩倉-東京)-笠松、新羽島、岐阜羽島、羽島市役所前、西笠松、新木曽川、名鉄一宮、玉ノ井、萩原、日比野、弥富、近鉄弥富(名鉄本線/名鉄竹鼻線/名鉄羽島線/名鉄尾西線)
鉄旅日記2015年3月8日その2・・・笠松駅、新羽島駅、岐阜羽島駅、羽島市役所前駅、西笠松駅、新木曽
-
「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】3日目(南宮崎-隼人)その2-宮崎、清武、田野、山之口、西都城、餅原、都城、京町温泉、えびの、吉松(日豊本線、吉都線)
鉄旅日記2013年8月12日その2・・・宮崎駅、清武駅、田野駅、山之口駅、西都城駅、餅原駅、都城駅、
-
「鉄旅日記」2018年水無月【地元からひと駅先の松戸からは、新京成線が出ております。】-松戸、八柱、新八柱、くぬぎ山、新鎌ヶ谷、北習志野、京成津田沼、ユーカリが丘、勝田台、東葉勝田台(新京成線/京成本線/山万ユーカリが丘線)
鉄旅日記2018年6月3日・・・松戸駅、八柱駅、新八柱駅、くぬぎ山駅、新鎌ヶ谷駅、北習志野駅、京成津
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その4‐置賜、高畠、米沢(奥羽本線)
鉄旅日記2020年4月4日・・・置賜駅、高畠駅、米沢駅(奥羽本線)15:32 置賜(おいたま
-
「鉄旅日記」2015年春【浜名湖周辺で遊ぶ一日】その1-掛川、掛川市役所前、西掛川、天竜二俣、西気賀、寸座、浜名湖佐久米、三ケ日、新所原(天竜浜名湖鉄道)
鉄旅日記2015年3月28日その1・・・掛川駅、掛川市役所前駅、西掛川駅、天竜二俣駅、西気賀駅、寸座