*

「鉄旅日記」2018年春 初日(東京-飯田)その2-野田城、長篠城、大海、三河大野、浦川、門島、桜町、飯田(飯田線) 【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月7日・・・野田城駅、長篠城駅、大海駅、三河大野駅、浦川駅、門島駅、桜町駅、飯田駅(飯田線)

16:18 野田城(のだじょう)駅(飯田線 愛知県)
行き違い2分の停車。
停車位置の目の前に駅舎があり、駅前へと飛び出す。

攻城中の武田信玄が笛の音に誘われ、鉄砲で撃たれたという伝説が残る村。
落城後、武田軍は上洛の計画を捨てて甲斐へと引き返す。

その途中に武田信玄は生涯を終える。
撃たれた傷が原因であるとの説を信じる一定数は、いつの時代にもいるのだろう。

多くの乗客が降りて、列車に戻ると席を得た。

地図を見たら、野田城址はとても小さく記されていた。

16:49 長篠城(ながしのじょう)駅(飯田線 愛知県)
日が射して、垂れ桜が今年最後の時を迎えようとしている。
城を模した小さな駅舎に微笑む。

近くで「どーん」と音がする。
無敵の武田軍団を凋落の道へと落とした、長篠合戦での鉄砲の一斉射撃再演のサービスでもやっているのだろうか。

城址公園は整備され緑に覆われていた。
史跡地図を見ていて再訪を誓う。

設楽原の最寄り駅は三河東郷とのことだったが、さっき降りた駅前に古戦場への案内はなかった。

17:28 大海(おおみ)駅(飯田線 愛知県)
暮れなずむ古戦場でコンビニまで往復30分。

どこか肥え臭い匂いが漂い、上りホームで親子が列車を待っている。

子供の声が聞こえると、「パッパ」と呼ぶかわいい声を思い出す。
子供の姿が見えると、かわいらしく動き回る様が浮かぶ。

静かな里で「松平伊忠戦死の地」を記した碑に遇う。

長篠合戦に先立つ鳶ノ巣山砦急襲に加わった松平伊忠。
砦は落ち、余勢をかって急襲軍は長篠城の抑えとして残された武田軍へ向かう。
そこで小山田昌行勢の逆襲に遭い討死する。

武田勢では、「武田二十四将」に描かれた馬場信春、山県昌景、真田信綱・昌輝兄弟、土屋昌次、内藤修理、原隼人、三枝勘解由をはじめ、高名な多くの部将が戦死したが、織田・徳川連合軍での部将クラスの戦死者は彼ひとり。

そこにいる何の必然性を持たない夕暮れの地を歩く様は物悲しく、何をしているのかと自問する。

心の支えでもある女性の姿がスマホの待ち受けに小さく丸く存在する。
やるせない身に冷たい空気が馴染んでいく。

上り列車が遅れている。
どうも今日はそんな日だ。

17:52 三河大野(みかわおおの)駅(飯田線 愛知県)
上り特急通過待ちで3分停車。
ダイヤの遅れは1分まで縮まった。

ホームから階段を下りて外に出ると川の気配がする。
大橋の手前の風景が駅前風景。

三河とはこうまで里山か。
物静かな風情に今日は何度でも打たれる。

18:28 浦川(うらかわ)駅(飯田線 静岡県)
交換待ち4分停車。

ここは浜松市天竜区。
構内踏切を渡って古い駅舎を出ると、「鮎の町」を謳う歓迎門が迎えてくれる。

顔馴染みの人々が「おやすみ」と言って分かれていく里山風景。
天竜川の恵みが永遠であることを願う。

19:52 門島(かどしま)駅(飯田線 長野県)
闇に包まれた駅で瀬音を聞いた。
この駅で交換待ち3分の停車。

車窓に町の灯はなく、退屈してYouTubeでプロレスを見る。

1979年世界最強タッグ公式戦、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田対ミル・マスカラス、ドス・カラス。
4人の千両役者が行った偉大なる消化試合だった。

20:33 桜町(さくらまち)駅(飯田線 長野県)にて

20:56 飯田(いいだ)駅(飯田線 長野県)にて

21:42 シルクホテル別館408
飯田駅を通りすぎて桜町駅で降りる。
トイレの外観は悪くなかったが、便器が壊れている様に時代と街を感じた。

駅は坂の上にあり、アーケードが坂の下から続いていた。
下りていくに従い明かりが増していく。

もう一つ大きな通りが右手から下りてきて交わるところが中央交差点。
そこが街の中心地。
出歩く姿は少ないが、大きな声が響く。



飯田駅へと向かう坂の途中に映画館があった。
映画館がある街は文化的に思えて、いつも記憶に残る。
吉永小百合さん主演の話題作の看板が架かっていた。

かつて飯田駅に寄ったことがある。
おそらく国道からあの道を上がったのだろう。

遠い記憶はおぼろ気な駅の姿しかなく、初めて降りた街という感覚が肌から伝わり、この夜この街にいることを喜んだ。
ずいぶんとお洒落なbarや飲食店がある街だった。

飯田はかつて日本一高齢化が進んだ街として取り上げられたことがある。
名前は忘れてしまったが、飯田出身の素敵な女性に30年近く前に出会っている。
オレの記憶が定かであれば、彼女は当時風呂なしのアパートに暮らしていた。

オレの中で飯田とは、そんな街だった。
でも今夜の街の灯に、平成を生き抜いてきた飯田を知り、うれしかった。
この街に宿を求めた旅が成功だったこともまた喜んでいる。

スマホが示す気温は4度。
春なのにな。

アメリカメジャーリーグに行った大谷選手が3試合連続本塁打を放った日。
寂しく感じていることを自分自身に隠せなかった。

でももう戻れない。
もはや叶わない願い。

そしてオレがしばらくいる場所はそんなところだと悟り、暗然となる。

この飯田で迎える夜明けに期待している。

関連記事

「車旅日記」1997年1月【空しい日々を振り払い、28年目の人生もまた旅。そんな年頭の姿でございます。】-町田、愛甲石田駅、御殿場駅、岩波駅、熱海駅、西湘パーキング、奈良北

車旅日記1997年1月4日 1997・1・4 1:01 東京町田 明かりをつけた部屋にストーンズの

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏 初日(東京-津山)-尾張一宮、播磨高岡、太市、余部、播磨新宮、三日月、西栗栖、美作江見、林野、上月、津山口、津山(東海道本線、山陽本線、姫新線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

鉄旅日記2014年8月13日・・・尾張一宮駅、播磨高岡駅、太市駅、余部駅、播磨新宮駅、三日月駅、西栗

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その2‐鯉川、東能代、岩館、深浦(奥羽本線/五能線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月12日・・・鯉川駅、東能代駅、岩館駅、深浦駅(奥羽本線/五能線) 10:19

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】3日目(函館-鹿角花輪)-函館、木古内、湯ノ岱、江差、津軽新城、川部、深浦、能代、東能代、十和田南(江差線/津軽海峡線/奥羽本線/五能線/花輪線)

鉄旅日記2011年8月15日・・・函館駅、木古内駅、湯ノ岱駅、江差駅、津軽新城駅、川部駅、深浦駅、能

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その2-釜石、津軽石、宮古、田野畑、堀内(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・釜石駅、津軽石駅、宮古駅、田野畑駅、堀内駅(三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その3 ‐十日町、越後川口、渋川、敷島(飯山線/上越線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

鉄旅日記2021年7月11日・・・十日町駅、越後川口駅、渋川駅、敷島駅(飯山線/上越線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2007年皐月 3日目(福山-岡山)-福山、三原、呉、広島、三次、備後落合、東城、岡山(山陽本線/呉線/芸備線/伯備線) 【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】

鉄旅日記2007年5月5日・・・福山駅、三原駅、呉駅、広島駅、三次駅、備後落合駅、東城駅、岡山駅(山

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 いよいよ金沢へ‐その2(R8→北陸道)敦賀、尼御前SA、金沢駅

車旅日記1996年5月5日 18:11 8号国道‐敦賀 琵琶湖ともお別れ。 8号国道を飛ばした。

記事を読む

「車旅日記」1997年夏 初日(東京-三国峠-新潟)-町田、東福生駅、山田うどん、前橋市田口町、月夜野道路情報ターミナル、奥平温泉遊神館、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄 【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】

車旅日記1997年8月13日 1997・8・13 10:30 東京町田 出発が遅れている。 急ぐべ

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その4 ‐アプトいちしろ、川根小山、千頭、金谷、焼津(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/焼津温泉やいづマリンパレス 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・アプトいちしろ駅、川根小山駅、千頭駅、金谷駅、焼津駅(大井川鐡道

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その3 ‐尾盛、千頭、金谷、静岡(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/くれたけインプレミアム静岡駅前 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・尾盛駅、千頭駅、金谷駅、静岡駅(大井川鐡道

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その2 ‐奥大井湖上、接岨峡温泉(大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・奥大井湖上駅、接岨峡温泉駅(大井川鐡道井川

→もっと見る

    PAGE TOP ↑