*

「鉄旅日記」2014年夏 2日目(津山-鳥取)その2-金川、弓削、亀甲、美作滝尾、三浦、美作加茂、知和、智頭、用瀬、津ノ井、大岩、岩美、鳥取(津山線、因美線、山陰本線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/05 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年8月14日その2・・・金川駅、弓削駅、亀甲駅、美作滝尾駅、三浦駅、美作加茂駅、知和駅、智頭駅、用瀬駅、津ノ井駅、大岩駅、岩美駅、鳥取駅(津山線、因美線、山陰本線)

12:14 金川(かながわ)駅(津山線 岡山県)
岡山で津山線に乗り換える。

ここで9分間の停車。
この駅は無人駅じゃない。
ローカル線の駅では今じゃ珍しい。
駅前は広々としたロータリーになっていて、他に記憶できるものはない。

旭川に沿って蛇行する区間がどうやらここで終わるらしい。
既視感の正体はおそらく高山本線での車窓風景だ。
土地柄も気候帯も違えども、日本列島では似たような風景に時々出くわす。

岡山県内の山深いところを通って再び津山へと向かっている。

12:49 弓削(ゆげ)駅(津山線 岡山県)
数分の停車。

「川柳とエンゼルの町」。
エンゼルとは何だ。
駅にはやたらと河童がいるけれど、エンゼルとは何だろう。

和気、吉備真備、そして弓削。
岡山には百人一首の頃の人名にまつわる駅がある。
和気は清麻呂、ここ弓削は悪名高き道鏡の故郷に当たるのだろう。

桃太郎をはじめ昔話の宝庫だが、史上に岡山の名を見る機会は少ない。
この弓削駅も文化遺産的駅舎の他に見るべきものは少ない。

13:44 亀甲(かめのこう)駅(津山線 岡山県)
行き倒れの旅人を葬ると、弘法大師像を乗せた亀の甲羅状の岩が忽然とせり上がってきたという超常現象が起こったと信じられ、その岩が現存している美咲町。
武士という超現実的な武装集団が登場する前の時代には、そんな伝説が各地に残っている。

中国鉄道といった開業当初から、町名として存在しない亀甲が駅名として使用されている。
駅に食堂があったことに気づかずに通りに出て少し歩きビールを買って駅に戻った。
腹がまた暴れ出しそうだったから役場横の清潔な便所を借りる。
まとわりつくような暑さは増し、空には夏の雨雲が広がる。
雷神を連れてきそうなアイグレーの不穏な雲。

駅は食堂の他にも図書館も兼ね、実物や石像や駅舎、待合室のテーブルまでも亀づくし。
縁起のいい町の気怠い夏の日。
風はなく汗が引く気配もない。

美作滝尾(みまさかたきお)駅(因美線 岡山県)にて
津山駅で因美線に乗り換える。

15:27 三浦(みうら)駅(因美線 岡山県)
因美線内でひとりの赤ん坊をめぐる人情を見た。
席を譲った娘さんが愛らしかった。

車寅次郎が「男はつらいよ」第48作目で現れた美作滝尾駅で降りる。
列車が去った伝説駅の改札のムコウは若草色をしていた。

加茂川に沿って歩くこと約25分。
蛇やバッタの死骸を跨ぎ夏のひと降りに濡れ、ここ三浦駅まで。

民家の隙間に駅へと下る道がある。
まさに地元と生きる駅だ。

蚊に食われ、蝉の声を聞く。
これでどこからか高校野球のラジオ放送でも洩れ聞こえてくれば必要としていたすべてが揃う。

美作加茂(みまさかかも)駅(因美線 岡山県)にて

16:39 知和(ちわ)駅(因美線 岡山県)
歴史的建造物でもある秘境駅にいる。

美作加茂駅から徒歩約40分。
我ながら健脚ぶりに驚いている。

津山から智頭へは登りの行程になる。
この道を最初は車で、次には列車で、今度は歩きかと思いながら登っていった。

農機具の唸りが響き渡る。
通りすがりのお宅では3世代が玄関先でバーベキューをしていた。

人の気配はあたりに濃厚だが、秘境駅と称されるように民家はあまり見かけない。
閉鎖された駅事務所には黒電話と色鮮やかな花が花瓶に活けられている。
駅舎内には芳香剤が置かれ、掃除が行き届いている。

こんな場所にいるということは、言ってみれば夢が叶ったようなものだ。
褒めようとは思わないが、よく歩いてきたとは思う。
汗に濡れている。
次の列車が来るまでまだ時間がある。
もう一服したら、無事でいるとメールを入れよう。

ホームに戻ると線路を渡った先に木造の橋が架かっていることに気づき、思わず線路内に立ち入った。
そうしなければ、あの橋には近寄ることはできない。


智頭(ちず)駅(因美線/智頭急行 鳥取県)にて
この駅で鳥取行きに乗り継ぐ。


18:27 用瀬(もちがせ)駅(因美線 鳥取県)
数分の停車。

「流しびなの里」を謳っている。
出征兵士を見送る在りし日の写真などが飾られた古い駅だった。

両親に抱えられるように乗り込んできた浴衣姿の幼い姉妹がとてもかわいらしい。
今夜の鳥取は夏祭りか。

県境にかけて登ってきた分だけ今度は下りに入り、鳥取県に入っている。

19:02 津ノ井(つのい)駅(因美線 鳥取県)
数分の停車。

鳥取に飲みに出るのであろう、野球つながりの壮漢たちが郡家から乗り込んできた。
その内のひとりが車内で知人を見かけ声をかける。

当時から目立つ者と、当時から目立たなかったであろう者との再会の儀は、言葉少なに終わった。

次が終点鳥取。
線路は高架になっていく。
その手前の駅は、知和駅ほど古くはないが懐しいたたずまいで、夕暮れの灯は好もしい色をしていた。

大岩(おおいわ)駅(山陰本線 鳥取県)にて
鳥取駅で山陰本線上り列車に乗り換えて2つ目の駅で降りる。

20:52 岩美(いわみ)駅(山陰本線 鳥取県)
秘境駅のような大岩駅から開業100年を過ぎた由緒ある岩美駅まで歩く。

手にしていた地図から道は変わり、案に相違して大岩駅入口は9号国道に面してはおらず、仮に逆の行程を選んでいたとしたら、この暗さの中で辿り着くことに焦燥を感じたことだろう。

ひたすら歩いた9号国道は想像通りに暗く、記録すべきものはない。

岩美駅周辺には立派な病院があり、平成天皇皇后が視察に訪れたこともあるという。
終戦の日にも記すべき町の歴史があった。

様々な虫が集合した駅のホームで、思いがけず鉄道史の上で重要な駅にいることに感慨を持った。

22:46 和風ホテル松風荘
鳥取駅前は祭りの最中だった。
フィナーレに流れたのは「ふるさと」で、法被姿の若者たちが行き交っていた。

テキ屋のにいさんから買った焼き鳥は高かったけど、この旅で一番のご馳走だ。
こんなにも多くの人がいて、商圏は狭いながらも一級品の歓楽街を形成する鳥取の街に目を見張った。
粋がる若者たちと紳士的な大人たちの対比も面白かった。

この宿のご亭主と女将さんは、人としての付き合いをする上で最上級の品格を兼ね備えている。
そう言えば、今はもう閉じてしまったけど、かつてお世話になった京都祇園のスナックのマスターも出身地は鳥取と聞いていた。
ローソンの若者もいい仕事をしていたよ。

鳥取代表は八頭高校か。
頑張ってほしい。
でも山陰じゃ「熱闘甲子園」を見ることは叶わなかった。

関連記事

「鉄旅日記」2009年晩秋 最終日(和田山-東京)その2-大阪、桜島、西九条、阪神西九条、久宝寺、放出、京橋、京阪京橋、近江舞子、近江今津、近江塩津(大阪環状線/桜島線/関西本線/おおさか東線/学研都市線/湖西線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月23日・・・大阪駅、桜島駅、西九条駅、阪神西九条駅、久宝寺駅、放出駅、京橋駅

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月 最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その1-松本、辰野、北殿、伊那市、伊那福岡、伊那本郷、上片桐、飯田、天竜峡(篠ノ井線/中央本線辰野支線/飯田線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】

鉄旅日記2018年10月8日・・・松本駅、辰野駅、北殿駅、伊那市駅、伊那福岡駅、伊那本郷駅、上片桐駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 初日(東京-飯田)その2-野田城、長篠城、大海、三河大野、浦川、門島、桜町、飯田(飯田線) 【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月7日・・・野田城駅、長篠城駅、大海駅、三河大野駅、浦川駅、門島駅、桜町駅、飯田

記事を読む

2020年如月【水上温泉につかりにいったある週末の記憶をSNSへの投稿より振り返ります。】-土合、水上、後閑、沼田(上越線)

鉄旅日記2020年2月8日~9日・・・土合駅、水上駅、後閑駅、沼田駅(上越線) 水上に投宿する前に

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 初日(東京-琵琶湖志賀)デニーズ青砥店、方南町、日野駅、道の駅信州蔦木宿、峠の茶屋 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記200年8月11~12日・・・デニーズ青砥店、方南町、日野駅、道の駅信州蔦木宿、峠の茶屋

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その3‐梅ヶ沢、一ノ関、盛岡、小岩井(東北本線/東北新幹線/田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・梅ヶ沢駅、一ノ関駅、盛岡駅、小岩井駅(東北本線/東北新幹線/田沢

記事を読む

2018年秋 最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その3-安房鴨川、江見、君津、千葉、西船橋(内房線/総武本線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月23日・・・安房鴨川駅、江見駅、君津駅、千葉駅、西船橋駅(外房線/内房線/総武

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月 4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】

鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】最終日(観音寺-東京)-観音寺、宇多津、岡山、瀬戸、高槻、山崎、名古屋、豊橋、掛川、熱海、金町(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)

鉄旅日記2009年5月6日・・・観音寺駅、宇多津駅、岡山駅、瀬戸駅、高槻駅、山崎駅、名古屋駅、豊橋駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

「車旅日記」2001年盛夏 2日目(琵琶湖西-高松)その2-淡路島南PA、道の駅瀬戸の松原、高松東急イン【思い出深き四国初上陸でございます。福山に帰省していた友と待ち合わせ、いつも想っていたのは京都の彼女のことでございます。】

車旅日記2001年8月12日・・・淡路島南PA、道の駅瀬戸の松原、高

「車旅日記」2001年盛夏 2日目(琵琶湖西-高松)その1-レイクサイド琵琶湖、四条烏丸、長岡京駅、淡路SA【思い出深き四国初上陸でございます。福山に帰省していた友と待ち合わせ、いつも想っていたのは京都の彼女のことでございます。】

車旅日記2001年8月12日・・・レイクサイド琵琶湖、四条烏丸、長岡

「車旅日記」2001年盛夏 初日(東京-琵琶湖西)その4-道の駅びわ湖大橋米プラザ、レイクサイド琵琶湖【思い出深き四国初上陸でございます。福山に帰省していた友と待ち合わせ、いつも想っていたのは京都の彼女のことでございます。】

2001年8月11日・・・道の駅びわこ大橋米プラザ、レイクサイド琵琶

「車旅日記」2001年盛夏 初日(東京-琵琶湖西)その3-御嵩町次月、新鵜沼駅、岐阜駅、醒ヶ井駅【思い出深き四国初上陸でございます。福山に帰省していた友と待ち合わせ、いつも想っていたのは京都の彼女のことでございます。】

車旅日記2001年8月11日・・・御嵩町次月、新鵜沼駅、岐阜駅、醒ヶ

「車旅日記」2001年盛夏 初日(東京-琵琶湖西)その2-駒ヶ根駅、道の駅信州平谷、阿木湖【思い出深き四国初上陸でございます。福山に帰省していた友と待ち合わせ、いつも想っていたのは京都の彼女のことでございます。】

車旅日記2001年8月11日・・・駒ヶ根駅、道の駅信州平谷、阿木湖

→もっと見る

    PAGE TOP ↑