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「鉄旅日記」2018年エイプリルフール【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】その3-谷田川、磐城石川、磐城塙、常陸大子、玉川村、常陸大宮、上菅谷、水戸(水郡線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/12 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月1日・・・谷田川駅、磐城石川駅、磐城塙駅、常陸大子駅、玉川村駅、常陸大宮駅、上菅谷駅、水戸駅(水郡線)
17:09 谷田川(やたがわ)駅(水郡線 福島県)
行き違い4分の停車。

少年たちが田舎道、家路をたどる後ろ姿を見送る。

緑のない春の田園は侘しい。
でも季節が来れば、同じ場所でみずみずしいとため息を洩らすだろう。

何事も自然に拠っている。
出会いも別れも、たぶん必然の中にある。

あとは栄光の人生を信じることができるかどうか。
オレはそう思うんだよ。

明朝から筋トレ生活が再開される。

17:44 磐城石川(いわきいしかわ)駅(水郡線 福島県)
行き違い8分停車。

県下の名門、学法石川の姿を甲子園で見なくなって久しい。
長く続く聖光学院1強時代に風穴を開ける勢力は成長しているのだろうか。

多くの若者たちが降りていった石川。
地域の有力町であることに変わりはなく、駅前の県道が商店街の明かりに照らされている。

駅前を件の若者たちの声が埋め、駅員室では5、6人が立ち働いていた。

郡山で触れた友人の故郷でもある石川。
ずいぶんと時が経った。

オレに起こったことを、彼は驚きながらも理解を示してくれるだろう。

18:23 磐城塙(いわきはなわ)駅(水郡線 福島県)
行き違いで6分停車。

9年前の道を、同じ駅で上下線すれ違いつつ水戸への道をたどっている。

心の支えでもある女性とのやりとりに潤い、愛しきものを思えば時に泣きたくなる。

町立図書館を兼ねた古代的な駅舎は健在で、照明を落とした館内はどこか気品に満ちている。

列車の到着で迎えの車が集まり、静かな駅前にほんの少しの喧騒とヘッドライトの明かりが交差して、数分で収束する。

列車に戻り、気づけばあたりは夕闇。
矢祭山の景勝は見えず、たぶんうつらうつらと水戸へ向かう。

19:05 常陸大子(ひたちだいご)駅(水郡線 茨城県)
奥久慈景勝地で乗り換え。

水の気配を感じる。
何もないと記憶していた駅前の家並みに風情を感じ、旅館を見つけて感慨を持つ。
駅は旅情を損なうことなく生まれ変わっていた。

いられる時間は12分。
9年前はもう少しあったはずだけど、夏を感じたこと以外の感慨は特に持たなかった。

あれから金町を出て、今日はまた金町に帰る。
まるでちょっとした冗談だ。

ただあの頃より、今のオレの方が好きだよ。

心の支えでもある女性は明後日、2月22日にオレがそうしたように、人生において重要な決断が書かれたペラペラの用紙を役場に提出する。

お互いの今後の幸運を祈る。

19:49 川上村(かわかみむら)駅(水郡線 茨城県)
行き違いで9分停車。

9年前に闇に浮かんだ駅は、おそらくそのままの姿で、スマホにはあの夜より鮮やかな姿が写っている。

駅を出て突き当たりまで歩く。
酒屋とスナックの看板があったけど、営業だけ止めたのか撤退したのか明かりはなく、「バス停があるんだな」とぼんやりと思って駅へ戻る。

彼女から返信が届いていた。

19:59 常陸大宮(ひたちおおみや)駅(水郡線 茨城県)
行き違いで5分停車。

森喜郎元総理を思わせる無愛想な駅長さんに迎えられ9年振りの町へ。
若者が恋人を見送るところだった。

他に乗降はなく、ガラガラのまま列車は水戸に向かっている。

この町のテレビ塔を覚えていた。
明かりは少なく、歩くほどの時間もなく、「彼女に返信しなきゃ」と、列車に戻る。

20:22 上菅谷(かみすがや)駅(水郡線/常陸太田支線 茨城県)
あぁそうだった。
数年前に茨城を旅した時に駅が生まれ変わっていることに気づいていたんだ。

構内踏切を移動する構造は変わらず、常陸太田からの接続を待って7分の停車の後に発車。

居酒屋だかがあったはずだが、駅前ロータリーも一新されていて、当時の記憶は完璧なまでに上書きされた。

パパと呼ぶ声を聞いたよ。

20:55 水戸(みと)駅(常磐線/水郡線/常陸太田支線/水戸線/鹿島臨海鉄道 茨城県)
駅構内はとても静かだ。
東京じゃ終列車が出る頃を思わせる。

ただ通路を行き交う人々は多く、振り返った水戸駅もまた変貌を遂げていた。
あるいは夜の明かりがそう見せたのかもしれない。

偕楽園には一度行かなきゃならないと思っている。
常磐線沿線に越したんだ。
いつでもできるさ。

愛しきものと別れた苦しみを味わっている。
胸じゃなく腹のあたりが落ち着かない。

行くなと泣く4歳の幼児を蹴倒して、出家の道に走った西行法師をそうさせた思いとは、自由になることだったと説く。

不自由だったとも言える。
でも愛しきものへの愛は他に代えがたく、また比べるものでもない。
修行が始まる。

列車は動き始めて、かつて降りて何もなかった内原。
到着が近いことを知らせるアナウンスが流れる頃、一際明るい巨大なイオンタウンが現れた。

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