「鉄旅日記」2015年夏 初日(東京-新南陽)-はりま勝原、阿品、島田、新南陽(山陽本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月12日・・・はりま勝原駅、阿品駅、島田駅、新南陽駅(山陽本線)
2015・8・12 16:10 はりま勝原(はりまかつはら)駅(山陽本線 兵庫県)
夕暮れ近い山陽路。
今朝4:28に家を出てから約半日で姫路を過ぎた。
5:30の東京駅、土産売はすでに営業を始めていて、売り子の表情には高揚感が見える。
それから混雑した列車を乗り継いできた。
景色を楽しむのはとても困難で、大阪で窓際の席にありつくまでは座っていれば眠るしかなかった。
読みかけの本は140頁進んだ。
大阪的川辺の風景、六甲へと続く街並み。明石を過ぎると風景に隙間が現れ鄙びていく。
今は山陽人の青年が話す方言を楽しんでいる。
この駅を出ると潤いのない郊外風景を残念に思い、だだっ広い駅前ロータリーの一部に固まっている高校の部活動の一団を見るのみ。
オレにとっては望ましくない橋上駅舎を写して離れる。
滞在時間4分弱。
記憶しづらい駅だった。
相生から先も混雑している。
岡山まで立ちっ放しを覚悟すべきだ。
浜松豊橋間、大垣米原間と、ここと同じような国境の閑散区間ではいずれも立つことを余儀なくされてきた。

20:57 阿品(あじな)駅(山陽本線 広島県)
明かりは多かった。
瀬戸内海は見えなかったが、駅を離れるとすぐに左手に見え出した。
広電阿品駅とを結ぶ歩道橋には往来があったが、ビールを売る店は一見したところ見当たらない。
往来にまみれて歩道橋を往復することの他に時間を用いる術は見つからなかった。
夜は東京より涼しいと感じる。
次は宮島口。
広電はそこで終点を迎える。
古い駅舎を残す山里の駅が雨に濡れ夕闇に包まれる頃、駅灯に照らされた屋根のところどころが光っている。
列車が到着して人が降りていく。
もはや乗ってくる者はたいていの駅では見当たらない。
そして今日も日が暮れる。
そんなとてもひっそりとした営みを見てきた。
岡山までの山路ではそんな風景が沁みて、海路では尾道水道が見え出すと座席を立ち糸崎までずっと瀬戸内海を眺めていた。
じきに大竹に着くが、さっきまで海辺の工場地帯がとてもきれいに見えていた。
和木に着く。
ここにも宝石を鈍く光らせたような灯が連なる工場夜景があった。
都会じゃ最近注目される風景だが、ここではどうだろう。

広電阿品(ひろでんあじな)駅(広島電鉄 広島県)にて


22:18 島田(しまた)駅(山陽本線 山口県)
岩国で乗り継ぎ、さらに西へ。
踏切安全確認のために運転士が駆り出されしばらく停車。
つまり遅れが発生したわけだ。
徳山からの接続に影響がないか気にかかる。
5分ほどで運転再開。
思いがけずひと駅との出会いを得た。
待合室で二人のご婦人が和やかに話す脇を駆け抜けて駅を写して戻る。
柳井から沿線に明かりを提供していた通りは外れ、駅前を照らす灯は街灯の他にはない。
体臭のきつい男が脇を通り、オレと通路は挟んで座る男に異変を感じさせ、この沿線にしては賑やかに見えた光駅を今しがた出た。
僅かな明かりが外の気配を知らせるのみだが、岩国あたりでは闇の中でもそれと分かる水辺を感じることができて、窓からの景色はまんざらでもない。
これも大層なものじゃないが、大島大橋の明かりは橋そのものに迫力を与えていた。
たった今過ぎた下松には夜の街角があった。
この区間を通るのは柳井に泊まった時のことを除けばいつも夜だ。
それを今日とても残念に思っている。
次はいよいよ徳山。
山陽路に工場夜景が戻ってきた。

22:42 ビジネスホテル青柳510号
こんな旅行者も珍しいだろう。
我ながらそう思う。
泊まったことのない町を宿として選び、こんな時間に着いて一番列車で出ていく。
新南陽に降りる。
改札口に向かう際にワクワクした気持ちになり、新たな町に着いた感動が湧き上がったことに安心した。
この感動があるからオレは旅を続けることができる。
まったく単語を聞きとることのできない女たちの嬌声に男が怒声を張り上げた。
腹に据えかねたのだろうが、町の音としては女たちが吐き出したものの方が自然で、男が発した方は不穏を感じさせる迷惑なものだった。
あれはマトモな男だったのだろうか。
双方とも姿は見えず、声だけが眠りについた町を震わせていた。
いい加減な地図をあてがわれたおかげで迷い、結果的に繁華街を歩くことができた。
徳山の一部分として生きるつもりは新南陽にはないことが分かった。
光も下松もそうだった。
廃れはしたが長州の意地を見た気でいる。
壮大な旅行記初日はこんなものか。
立ち寄る先がこれしかなければ、こんなものか。
書き残したことがあるとすれば、マツダ球場では今夜はナイターが開催されていたことくらいか。
客入りはイマイチだった。
旅を前にした盛り上がりを欠いた今回。
いろいろあったんだ。
だけど今日もうまく言葉にできない。
新南陽(しんなんよう)駅(山陽本線 山口県)にて

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その3‐白石、郡山、黒磯、宇都宮(東北本線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月23日・・・白石駅、郡山駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線) 15:49 白石(
-
-
「鉄旅日記」2006年如月 初日-佐倉、成東、大網、上総一ノ宮、上総興津、安房鴨川、館山、安房勝山(常磐線/成田線/総武本線/東金線/外房線/内房線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】
鉄旅日記2006年2月4日・・・佐倉駅、成東駅、大網駅、上総一ノ宮駅、上総興津駅、安房鴨川駅、館山駅
-
-
「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、新潟・みちのくひとり旅】初日(東京-横手)-郡山、津川、亀田、さつき野、水原、坂町、村上、あつみ温泉、鶴岡、余目、刈和野(東北本線、磐越西線、信越本線、羽越本線、陸羽西線、奥羽本線)
鉄旅日記2012年8月11日・・・郡山駅、津川駅、亀田駅、さつき野駅、水原駅、坂町駅、村上駅、あつみ
-
-
「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線) 2019・12・8 5:34
-
-
「車旅日記」2004年夏 初日(佐賀空港-別府)走行距離254㎞その2-田川後藤寺駅、豊前川崎駅、宝珠山駅、日田駅、豊前中村駅、鳥栖駅、別府・ホテル清風屋上ビヤガーデン【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】
車旅日記2004年8月11日・・・田川後藤寺駅、豊前川崎駅、宝珠山駅、日田駅、豊前中村駅、鳥栖駅、別
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その5‐備後落合、備後庄原、三次(芸備線)【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月25日・・・備後落合駅、備後庄原駅、三次駅(芸備線) 17:10 備
-
-
「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】
鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐大島駅、内船駅、西富士宮駅、富
-
-
「鉄旅日記」2022年師走 最終日(会津宮下-東京)その3 ‐高崎、籠原、北本、北上尾(高崎線)【11年ぶりに全線運転再開を果たした只見線に乗りにいきました。】
鉄旅日記2022年12月11日・・・高崎駅、籠原駅、北本駅、北上尾駅(高崎線) 15:36
-
-
「鉄旅日記」2022年師走 初日(東京-会津宮下)その3 ‐会津水沼、会津宮下(只見線)/宮下温泉ふるさと荘【11年ぶりに全線運転再開を果たした只見線に乗りにいきました。】
鉄旅日記2022年12月10日・・・会津水沼駅、会津宮下駅(只見線)/宮下温泉ふるさと荘 1
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月 最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その3-勝沼ぶどう郷、大月(中央本線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】
鉄旅日記2018年10月8日・・・勝沼ぶどう郷駅、大月駅(中央本線) 17:25 勝沼ぶどう郷(か
