*

「鉄旅日記」2015年夏 初日(東京-新南陽)-はりま勝原、阿品、島田、新南陽(山陽本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/02 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年8月12日・・・はりま勝原駅、阿品駅、島田駅、新南陽駅(山陽本線)

2015・8・12 16:10 はりま勝原(はりまかつはら)駅(山陽本線 兵庫県)
夕暮れ近い山陽路。
今朝4:28に家を出てから約半日で姫路を過ぎた。

5:30の東京駅、土産売はすでに営業を始めていて、売り子の表情には高揚感が見える。
それから混雑した列車を乗り継いできた。
景色を楽しむのはとても困難で、大阪で窓際の席にありつくまでは座っていれば眠るしかなかった。
読みかけの本は140頁進んだ。

大阪的川辺の風景、六甲へと続く街並み。明石を過ぎると風景に隙間が現れ鄙びていく。
今は山陽人の青年が話す方言を楽しんでいる。

この駅を出ると潤いのない郊外風景を残念に思い、だだっ広い駅前ロータリーの一部に固まっている高校の部活動の一団を見るのみ。
オレにとっては望ましくない橋上駅舎を写して離れる。
滞在時間4分弱。
記憶しづらい駅だった。

相生から先も混雑している。
岡山まで立ちっ放しを覚悟すべきだ。

浜松豊橋間、大垣米原間と、ここと同じような国境の閑散区間ではいずれも立つことを余儀なくされてきた。

20:57 阿品(あじな)駅(山陽本線 広島県)
明かりは多かった。
瀬戸内海は見えなかったが、駅を離れるとすぐに左手に見え出した。

広電阿品駅とを結ぶ歩道橋には往来があったが、ビールを売る店は一見したところ見当たらない。
往来にまみれて歩道橋を往復することの他に時間を用いる術は見つからなかった。

夜は東京より涼しいと感じる。
次は宮島口。
広電はそこで終点を迎える。

古い駅舎を残す山里の駅が雨に濡れ夕闇に包まれる頃、駅灯に照らされた屋根のところどころが光っている。
列車が到着して人が降りていく。
もはや乗ってくる者はたいていの駅では見当たらない。
そして今日も日が暮れる。

そんなとてもひっそりとした営みを見てきた。
岡山までの山路ではそんな風景が沁みて、海路では尾道水道が見え出すと座席を立ち糸崎までずっと瀬戸内海を眺めていた。

じきに大竹に着くが、さっきまで海辺の工場地帯がとてもきれいに見えていた。

和木に着く。
ここにも宝石を鈍く光らせたような灯が連なる工場夜景があった。
都会じゃ最近注目される風景だが、ここではどうだろう。

広電阿品(ひろでんあじな)駅(広島電鉄 広島県)にて

22:18 島田(しまた)駅(山陽本線 山口県)
岩国で乗り継ぎ、さらに西へ。

踏切安全確認のために運転士が駆り出されしばらく停車。
つまり遅れが発生したわけだ。
徳山からの接続に影響がないか気にかかる。
5分ほどで運転再開。

思いがけずひと駅との出会いを得た。
待合室で二人のご婦人が和やかに話す脇を駆け抜けて駅を写して戻る。

柳井から沿線に明かりを提供していた通りは外れ、駅前を照らす灯は街灯の他にはない。
体臭のきつい男が脇を通り、オレと通路は挟んで座る男に異変を感じさせ、この沿線にしては賑やかに見えた光駅を今しがた出た。

僅かな明かりが外の気配を知らせるのみだが、岩国あたりでは闇の中でもそれと分かる水辺を感じることができて、窓からの景色はまんざらでもない。

これも大層なものじゃないが、大島大橋の明かりは橋そのものに迫力を与えていた。

たった今過ぎた下松には夜の街角があった。

この区間を通るのは柳井に泊まった時のことを除けばいつも夜だ。
それを今日とても残念に思っている。

次はいよいよ徳山。
山陽路に工場夜景が戻ってきた。

22:42 ビジネスホテル青柳510号
こんな旅行者も珍しいだろう。
我ながらそう思う。
泊まったことのない町を宿として選び、こんな時間に着いて一番列車で出ていく。

新南陽に降りる。
改札口に向かう際にワクワクした気持ちになり、新たな町に着いた感動が湧き上がったことに安心した。
この感動があるからオレは旅を続けることができる。

まったく単語を聞きとることのできない女たちの嬌声に男が怒声を張り上げた。
腹に据えかねたのだろうが、町の音としては女たちが吐き出したものの方が自然で、男が発した方は不穏を感じさせる迷惑なものだった。
あれはマトモな男だったのだろうか。
双方とも姿は見えず、声だけが眠りについた町を震わせていた。

いい加減な地図をあてがわれたおかげで迷い、結果的に繁華街を歩くことができた。
徳山の一部分として生きるつもりは新南陽にはないことが分かった。
光も下松もそうだった。
廃れはしたが長州の意地を見た気でいる。

壮大な旅行記初日はこんなものか。
立ち寄る先がこれしかなければ、こんなものか。
書き残したことがあるとすれば、マツダ球場では今夜はナイターが開催されていたことくらいか。
客入りはイマイチだった。

旅を前にした盛り上がりを欠いた今回。
いろいろあったんだ。
だけど今日もうまく言葉にできない。

新南陽(しんなんよう)駅(山陽本線 山口県)にて

関連記事

「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その2‐倶利伽羅、森本、宇野気、高松(IRいしかわ鉄道/七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月22日・・・倶利伽羅駅、森本駅、宇野気駅、高松駅(IRいしかわ鉄道/七尾線

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(花輪線)/和心の宿姫の湯

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その1-新子安、石川町、山手、磯子、根岸、大磯、二宮、鴨宮、早川、根府川、伊東、熱海、函南、東田子の浦(京浜東北線、根岸線、東海道本線、伊東線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】

鉄旅日記2012年3月20日その1・・・新子安駅、石川町駅、山手駅、磯子駅、根岸駅、大磯駅、二宮駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その1-指宿、枕崎、入野、開聞、山川、喜入、瀬々串、慈眼寺、南鹿児島、郡元(指宿枕崎線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月14日その1・・・指宿駅、枕崎駅、入野駅、開聞駅、山川駅、喜入駅、瀬々串駅、慈

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 3日目(仙台-大曲)その2-羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲グランドホテル 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月4日・・・羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その3-関駅、その後

車旅日記1996年5月3日 16:36 関駅 あれから2時間経ってようやくここに戻ってきた。

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 初日その2(東京-岩倉)-三河高浜、碧南、高浜港、亀崎、半田、知多半田、内海、富貴、河和(名鉄三河線/武豊線/名鉄河和線/名鉄知多新線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月7日その2・・・三河高浜駅、碧南駅、高浜港駅、亀崎駅、半田駅、知多半田駅、内海

記事を読む

「車旅日記」2004年春 4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その2-雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖、さるふつ公園、宗谷岬、稚内駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月4日・・・雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖

記事を読む

「鉄旅日記」2021年皐月 初日-浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の家 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】

鉄旅日記2021年5月22日・・・浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 4日目(富良野-大館)その2-南千歳、苫小牧、登別、東室蘭、北舟岡、伊達紋別、長万部、森、新函館北斗、大館(千歳線/室蘭本線/函館本線/北海道新幹線/奥羽本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月13日・・・南千歳駅、苫小牧駅、登別駅、東室蘭駅、北舟岡駅、伊達紋別駅、長万部

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その5 ‐青森、三沢(青い森鉄道)/ホテル天水 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・青森駅、三沢駅(青い森鉄道)/ホテル

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑