*

「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その1-新南陽、新山口、阿知須、宇部新川、小野田港、下関、八幡、陣原(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/02 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年8月13日その1・・・新南陽駅、新山口駅、阿知須駅、宇部新川駅、小野田港駅、下関駅、八幡駅、陣原駅(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線)

2015・8・13 5:37 新南陽(しんなんよう)駅(山陽本線 山口県)
冷房を消した部屋に蜩の第一声が入ってきた。
外に風はなく盛大なる雨。
こんな降りに出くわすのは久し振りだ。

沿岸部に工場地帯が見える。
昨夜は操業を控えていたようで工場夜景を見た記憶はない。

朝の早いタバコ屋は早々に店を開け、駅そばのおばちゃんも仕込みに勤しんでいる。
新南陽は駅の街だった。


6:33 新山口(しんやまぐち)駅(山陽新幹線/山陽本線/山口線/宇部線 山口県)
山陽本線は戸田富海間では海辺を往く。
そんなことは忘れていたからその風景に接すれば旅心が疼く。

そうだった。
2年前にあらためて通った際に徳山新山口間の風景に惚れたことを思い出した。
瞼を閉じたら愛しい人の満面の笑みが見えた。

新装中の新山口駅。
6年振りに降りた。
24時間営業の飲み屋が朝の丼メニューを掲げている。

磨きあげたようなきれいな通路を通って宇部線完乗へと8番線へ下りていく。

6:56 阿知須(あじす)駅(宇部線 山口県)
街に着くまではまるで南洋の原野のようだった。
5分間停車した駅は整った町中にあった。

洒落た美容室が駅前を飾り跨線橋からは白いドームが見える。
あそこはかつて友人に連れられてきた場所だろう。
国体が行われた跡地だと聞いた。
その友人夫婦との想い出が浮かぶ。

宇部では恋もした。

宇部興産中央病院で看護婦をしていた彼女はどうしているだろう。
顔はもうよく思い出せない。
幸せな暮らしを営んでいてほしいと心から思う。

7:30 宇部新川(うべしんかわ)駅(宇部線/小野田線 山口県)
訪れるたびに印象が変わる宇部の街。
今日は情緒を感じた。

宇部興産は今日も盛大に煙を吹き上げている。
ここはもはや親戚みたいな街だ。
こんなことを言える街はここの他には京都しかない。

道々もう宇部を通ることもないだろうと思っていたけど、駅に着いて、構内の池が健在で、さらにかつてと同じようにおもちゃのアヒルが浮かんでいるのを見るにつけ、湧き立つように未来の再訪を予感した。
なにせ親戚だ。

山口宇部空港に厚東川。
爽やかに懐かしんでいる。

そうするのに夏はいい季節だ。


7:52 小野田港(おのだこう)駅(小野田線 山口県)
遠い昔といっていい過去に宇部は炭鉱町だった。
さっき見えたのはボタ山だったのだろうか。

ここで数分の停車。

小野田の空にも煙がモクモク。
ここじゃあれが小野田名物として、街の繁栄の象徴として思われているだろうか。

そんな小野田の空は青く澄んでいた。

ペンキの剥がれた駅はコンクリートの円柱に支えられている。
小学校をはじめ、子供の頃によく出入りしていた場所で見かけたものだった。
昭和の構造物を懐かしく思った。
子供の頃にここにいたら、オレは何度かあの円柱に飛びついていただろう。

東京の耐え難い暑さはここにはない。

8:56 下関(しものせき)駅(山陽本線/山陰本線 山口県)
海峡の街に涼しい風が吹いている。
廃れたところが見えない下関駅前に安心した。
放火で失われた駅舎は現代的な駅ビルとなって街に埋もれていた。

かつての夏、関門海峡を挟んで下関と門司の両側から盛大に打ち上げる海峡花火大会の当日にたまたま居合わせたことがある。

懐かしさは感じなかったが、20年振りの出場という下関商業が甲子園に懐かしさを運んでいる。
テレビで見た地元紹介で、下関市民が「下商ガンバレ」と言う姿に目頭が熱くなった夏。

あの若者たちが甲子園で勝ち続けて、まだこの街に戻っていないことを願っている。


9:36 八幡(やはた)駅(鹿児島本線 福岡県)
九州上陸。

皿倉山が聳える駅前。
麓には山上へと導くケーブル駅があるようだ。
雲が湧く雄大な風景に九州を感じる。

世界遺産に登録された街だが、駅前に地元の喜びを伝えるものはなく、甲子園への出場を決めた九州国際大学付属高校の快挙のみを祝っている。

かつて市電が走っていた八幡市内。
駅に残されている白黒写真には現在では見られない活気と多くの空き地が写っていた。

9:48 陣原(じんのはる)駅(鹿児島本線 福岡県)
涼しい風が吹き、上空に雨雲がかかる頃に着いた町。
人通りは少なく、東京では聞くことのない蝉の種族が耳障りな声で盛大に鳴いている。

黒崎始発の筑豊本線直通列車に乗り換える。

次の停車駅の折尾では直通列車専用ホームに止まる。
かつて深い感動とともに降りた折尾駅は、もはやかつての姿を残していない。

関連記事

「鉄旅日記」2017年夏 初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その2 ‐奥大井湖上、接岨峡温泉(大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・奥大井湖上駅、接岨峡温泉駅(大井川鐡道井川線) 13:18 奥大

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月 初日(東京-直江津)その3-梓橋、姨捨、北長野、三才、直江津(大糸線/篠ノ井線/しなの鉄道/えちごトキめき鉄道)【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

鉄旅日記2018年2月10日・・・梓橋駅、姨捨駅、北長野駅、三才駅、直江津駅(大糸線/篠ノ井線/しな

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その2 ‐八景島、金沢八景、杉田、新杉田(金沢シーサイドライン/京浜急行本線) 【根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・八景島駅、金沢八景駅、杉田駅、新杉田駅(金沢シーサイドライン/京浜

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 4日目(大曲-青森)その2-弘前駅、道の駅つるた、毘沙門駅、津軽中里駅、三厩駅、中小国駅、駅前ホテルニュー青森館 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月5日・・・弘前駅、道の駅つるた、毘沙門駅、津軽中里駅、三厩駅、中小国駅、駅前ホ

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その3-宇土、松橋、八代、出水、牛ノ浜、草道、鹿児島中央(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月13日その3・・・宇土駅、松橋駅、八代駅、出水駅、牛ノ浜駅、草道駅、鹿児島中央

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 初日(東京-安中)その3-高麗川、丹荘、児玉、高崎、安中(八高線/信越本線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月9日・・・高麗川駅、丹荘駅、児玉駅、高崎駅、安中駅(八高線/信越本線) 18

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわき駅(常磐線) 2022

記事を読む

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線) 【武田信玄公隠し湯にて】

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑