「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その1-新南陽、新山口、阿知須、宇部新川、小野田港、下関、八幡、陣原(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月13日その1・・・新南陽駅、新山口駅、阿知須駅、宇部新川駅、小野田港駅、下関駅、八幡駅、陣原駅(山陽本線/宇部線/小野田線/鹿児島本線)
2015・8・13 5:37 新南陽(しんなんよう)駅(山陽本線 山口県)
冷房を消した部屋に蜩の第一声が入ってきた。
外に風はなく盛大なる雨。
こんな降りに出くわすのは久し振りだ。
沿岸部に工場地帯が見える。
昨夜は操業を控えていたようで工場夜景を見た記憶はない。
朝の早いタバコ屋は早々に店を開け、駅そばのおばちゃんも仕込みに勤しんでいる。
新南陽は駅の街だった。



6:33 新山口(しんやまぐち)駅(山陽新幹線/山陽本線/山口線/宇部線 山口県)
山陽本線は戸田富海間では海辺を往く。
そんなことは忘れていたからその風景に接すれば旅心が疼く。
そうだった。
2年前にあらためて通った際に徳山新山口間の風景に惚れたことを思い出した。
瞼を閉じたら愛しい人の満面の笑みが見えた。
新装中の新山口駅。
6年振りに降りた。
24時間営業の飲み屋が朝の丼メニューを掲げている。
磨きあげたようなきれいな通路を通って宇部線完乗へと8番線へ下りていく。


6:56 阿知須(あじす)駅(宇部線 山口県)
街に着くまではまるで南洋の原野のようだった。
5分間停車した駅は整った町中にあった。
洒落た美容室が駅前を飾り跨線橋からは白いドームが見える。
あそこはかつて友人に連れられてきた場所だろう。
国体が行われた跡地だと聞いた。
その友人夫婦との想い出が浮かぶ。
宇部では恋もした。
宇部興産中央病院で看護婦をしていた彼女はどうしているだろう。
顔はもうよく思い出せない。
幸せな暮らしを営んでいてほしいと心から思う。

7:30 宇部新川(うべしんかわ)駅(宇部線/小野田線 山口県)
訪れるたびに印象が変わる宇部の街。
今日は情緒を感じた。
宇部興産は今日も盛大に煙を吹き上げている。
ここはもはや親戚みたいな街だ。
こんなことを言える街はここの他には京都しかない。
道々もう宇部を通ることもないだろうと思っていたけど、駅に着いて、構内の池が健在で、さらにかつてと同じようにおもちゃのアヒルが浮かんでいるのを見るにつけ、湧き立つように未来の再訪を予感した。
なにせ親戚だ。
山口宇部空港に厚東川。
爽やかに懐かしんでいる。
そうするのに夏はいい季節だ。



7:52 小野田港(おのだこう)駅(小野田線 山口県)
遠い昔といっていい過去に宇部は炭鉱町だった。
さっき見えたのはボタ山だったのだろうか。
ここで数分の停車。
小野田の空にも煙がモクモク。
ここじゃあれが小野田名物として、街の繁栄の象徴として思われているだろうか。
そんな小野田の空は青く澄んでいた。
ペンキの剥がれた駅はコンクリートの円柱に支えられている。
小学校をはじめ、子供の頃によく出入りしていた場所で見かけたものだった。
昭和の構造物を懐かしく思った。
子供の頃にここにいたら、オレは何度かあの円柱に飛びついていただろう。
東京の耐え難い暑さはここにはない。


8:56 下関(しものせき)駅(山陽本線/山陰本線 山口県)
海峡の街に涼しい風が吹いている。
廃れたところが見えない下関駅前に安心した。
放火で失われた駅舎は現代的な駅ビルとなって街に埋もれていた。
かつての夏、関門海峡を挟んで下関と門司の両側から盛大に打ち上げる海峡花火大会の当日にたまたま居合わせたことがある。
懐かしさは感じなかったが、20年振りの出場という下関商業が甲子園に懐かしさを運んでいる。
テレビで見た地元紹介で、下関市民が「下商ガンバレ」と言う姿に目頭が熱くなった夏。
あの若者たちが甲子園で勝ち続けて、まだこの街に戻っていないことを願っている。



9:36 八幡(やはた)駅(鹿児島本線 福岡県)
九州上陸。
皿倉山が聳える駅前。
麓には山上へと導くケーブル駅があるようだ。
雲が湧く雄大な風景に九州を感じる。
世界遺産に登録された街だが、駅前に地元の喜びを伝えるものはなく、甲子園への出場を決めた九州国際大学付属高校の快挙のみを祝っている。
かつて市電が走っていた八幡市内。
駅に残されている白黒写真には現在では見られない活気と多くの空き地が写っていた。


9:48 陣原(じんのはる)駅(鹿児島本線 福岡県)
涼しい風が吹き、上空に雨雲がかかる頃に着いた町。
人通りは少なく、東京では聞くことのない蝉の種族が耳障りな声で盛大に鳴いている。
黒崎始発の筑豊本線直通列車に乗り換える。
次の停車駅の折尾では直通列車専用ホームに止まる。
かつて深い感動とともに降りた折尾駅は、もはやかつての姿を残していない。

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