「鉄旅日記」2018年弥生 初日(東京-会津若松)その2-土合、越後湯沢、大沢、上越国際スキー場前、越後堀之内、小出(上越線) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】
鉄旅日記2018年3月3日・・・土合駅、越後湯沢駅、大沢駅、上越国際スキー場前駅、越後堀之内駅、小出駅(上越線)
9:09 土合(どあい)駅(上越線 群馬県)
「日本一のモグラ駅」。
この駅の構造は想像を絶した。
構内の面積では、あらゆる都市駅を凌駕するかもしれない。

462段の階段を2段ずつ上がりながら、ちょろいと思っていたら中腹で腰が重くなり、息は上がり、6分後にくる上り列車でひとつ手前の湯檜曽駅に戻る目論見を放棄した。
階段は左右に広く、脇を滝のように水が流れる。
自然現象だろうが、まるでオブジェだ。
黙々と上がっていく人の群れに、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話を思い出していた。
想像性が豊かになる空間だった。

青年となった子と父親が旅姿で並んで座っている。
よく似た面立ちをしている。
未来を想う。
離れていても、誇りある父親でいる。
旅館がある。
谷川岳ドライブインがある。
幅広の「ひもかわうどん」と「わさびチーズ」を土産に買う。

有名な秘境駅だが、一生に一度は訪れたい駅の1位らしい。
来てみるといいさ。
きっと期待を裏切らない。
日差しの下の土合駅はとてもあたたかい。

上りホームは地上にある。
そこは一面まっしろ。


国道脇を流れる小川を写した。
そこに下り地下ホームから駅舎へと渡る通路が架かる。


山岳部隊は三々五々に散り、この待合室にはオレともう一人の鉄道オタクのみとなった。
オレのように酒でも飲んでりゃ旅はもっと楽しくなるぜ。
そう言いたいが、発するオーラが会話を拒否している。
いいさ。
オレも進んで話がしたいわけじゃない。
これからあの蜘蛛の糸を下りていく。
その行為がワクワクさせる。
異空間にいるのは、実は楽しいことなのかもしれない。



10:28 越後湯沢(えちごゆざわ)駅(上越新幹線/上越線 新潟県)
上越国際スキー場へと誘うアナウンスが響く構内。
改札を抜けるとそこはまるで市場で、おびただしい人の流れができている。
まさしく有数のリゾート地だ。

長岡に向かう車内もにわかに人で埋まり、映像でしか再現できることのない、人であふれていたかつての鉄道風景を見る思いだ。
このあたりの雪の量は3週間前と変わらない。
ただ今日はとてもあたたかい。


10:45 大沢(おおさわ)駅(上越線 新潟県)
満員列車から開放され冷気にあたる。



吐く息はさすがに白い。
でも日差しに満ちた魚沼一帯はとてもあたたかく、足取りも軽い。
商店などのない生活の道を線路を見失わないように歩いていく。
10分も歩けばスキー場が見えてきた。

かつて雪山のてっぺんから眺めていた景色は麓から眺めても素晴らしい。
思い出すことはこれからの人生でもそうはないだろうが、このあたりでもずいぶんと生を謳歌してきた。
こんな形でひとり訪ねるのがおかしくもある。
でも望んでいた素晴らしい一日だ。
11:21 上越国際スキー場前(じょうえつこくさいすきーじょうまえ)駅(上越線 新潟県)
スキー場に流れているのはビートルズ・メドレー。
平昌のフィギュアでもこれをバックに舞っていたスケーターがいたっけ。
悪くないが、オレはストーンズが聴きたいよ。
心から。
そういう気分だし、彼等の楽曲はオレの中でそういう存在だ。
様々なスキー場に下りたが、ここには縁を持たなかった。
麓のリフト乗場が見える位置に駅のホームがある。


ベンチはなく、30分前から買い置きの酒を立ち飲みしている。
とてもあたたかい。
音楽がカントリー・ロードに変わっている。
ジョン・デンバーに思い入れはないが、結構じんとくる。
いろいろあったな。
これからもあるだろう。
それでいいさ。
それが人生ってもんだ。
悲しい事態から多少なりともオレを救ったのは、誰に教わったわけでもないそんな人生観だった。
12:11 越後堀之内(えちごほりのうち)駅(上越線 新潟県)
魚沼の町に列車が着く。
目覚めたら小出を過ぎていた。
いつしかスキー客の姿は消えて、車内は地元色が豊かになっている。
連れだった小学生の少女たちのきゃっきゃとした声が、幸せの場所を教えてくれるようで、時に切ない。
降りた駅に駅長さんの姿はあったけど、なぜか改札口に一瞥もくれず直立不動の姿を往来に晒していた。

12:53 小出(こいで)駅(上越線/只見線 新潟県)
あれから20分も歩けば魚沼のターミナル駅に着く。
道中特に目を引くものはなく、雪景色の中を黙々と歩く。
長渕剛さんの「夢破れて」、ストーンズの悲しい曲、ブルース・スプリングスティーンのロマンティックな曲。
カップ酒2本分の酔いに任せて、そんな楽曲を口ずさみながら白い山々を目指して歩いた。

小出駅前はこじんまりとしていた。
かつての記憶とは違った。
おそらく記憶の方に誤りがあるだろう。
旅館とビジネスホテル、日本酒を扱う店が2軒。


只見線のホームは改札口からは見えず、雪の壁のムコウにあった。


ここではビールが飲めると思っていたけど叶わず、3本目のワンカップ。
日差しとはこんなにもあたたかいのか。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ
-
-
「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。最終日(銚子犬吠埼-東京)その2 ‐津宮鳥居河岸から香取神宮へ。/香取駅/水郷駅【Facbookへの投稿より振り返ります。】
鉄旅日記2022年10月9日【香取神宮にて】・・・香取駅、水郷駅(成田線) JR成田線香取駅
-
-
「車旅日記」1996年秋 初日 (東京‐新潟) 橋本、拝島、東松山、籠原駅、高崎、月夜野情報サービスセンター、猿ヶ京湖城閣、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄 【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】
車旅日記1996年11月1日 1996・11・1 12:13 東京町田 昨夜の決意は固かったけど、
-
-
「車旅日記」1998年夏 2日目(青森-竜飛崎-秋田)-あおもり健康ランド、青森駅、青い海公園、蟹田、高野崎、竜飛崎、十三湖、五所川原駅、深浦、不老不死温泉、能代駅、秋田駅、道の駅西目 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月13日 1998・8・13 7:31 あおもり健康ランド 777㎞ 昨日のこ
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その3‐清音、倉敷、岡山、熊山、姫路(伯備線/山陽本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月26日・・・清音駅、倉敷駅、岡山駅、熊山駅、姫路駅(伯備線/山陽本線)
-
-
「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】
2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温泉駅、中山平温泉駅(陸羽東線)
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その3‐阿川、小串、下関、小倉(山陰本線/鹿児島本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月14日・・・阿川駅、小串駅、下関駅、小倉駅(山陰本線/鹿児島本線) 1
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅、京王八王子駅(身延線/中央本
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その1-神島山海荘あじさい、神島漁港、菅島漁港、鳥羽城址(城山公園)、旧鳥羽小学校(鳥羽市営定期船) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月24日・・・神島山海荘あじさい、神島漁港、菅島漁港、鳥羽城址(城山公園)、旧
-
-
「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その1-飯田、伊那大島、伊那松島、辰野、松本、柏矢町、豊科(飯田線/中央本線辰野支線/篠ノ井線/大糸線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】
鉄旅日記2018年4月8日・・・飯田駅、伊那大島駅、伊那松島駅、辰野駅、松本駅、柏矢町駅、豊科駅(飯
