「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】最終日(広島-東京)-広島、向洋、東岡山、高島、守山(山陽本線、東海道本線)
鉄旅日記2015年8月15日その2・・・広島駅、向洋駅、東岡山駅、高島駅、守山駅(山陽本線、東海道本線)
2015・8・16 0:27 ホテル28広島7014号
広島の繁華街にいる。
平和大通りの脇だ。
この場所は想定外だが、望んではいた。
それにしても、この時間にも関わらず、この人の多さはどうだ。
街路は嬌声で溢れ、想像を絶した都会の夜に不意に放り込まれたような気分でいる。
今夜はカープの試合があったことも多少は影響しているのだろうが、広島という街をまったく理解していなかったことを深夜の光景を通して見せつけられた。
繁華街は妖しく危険な匂いに満ちて、広島ヤクザが闊歩し、呼び込み連中には浮わついたところはなく、近寄りがたいオーラを放っている。
思わず身の危険を感じたくなる街だった。
そんな街で迷い、未熟な若者のように事前準備の大切さを痛感した夜だった。
広島の街並
6:22 広島(ひろしま)駅(山陽新幹線/山陽本線/呉線/芸備線/可部線 広島県)
あれから数時間。
明け放たれた8月16日の朝にも数時間前の嬌声が残っていた。
こんなに朝早くにこれほどの往来がある街を他に知らない。
日曜日の街というのは、この時間じゃどこだってまだ眠ってるものだ。
通りで見かけた若い連中はたいてい朝まで騒いでいた輩で、危険なムードが体臭のように漂っている。
原爆ドーム周辺では連中の痴態が見られないことを願う。
そんな街で、本来の気質はどうか知らないが、大声を上げている手合を見れば、接近を避けて駅へ向かった。
8月の広島が喪に服しているという想像は馬鹿げたものだろうが、かつて同じ8月に原爆で焼かれた広島がこれなら、やはり今この国は平和なのだろう。
路面電車が走っていることもあって、道幅が広いことがよりこの街を大きく見せているが、それでなくても大きな街だった。
6:41 向洋(むかいなだ)駅(山陽本線/呉線 広島県)
どっしりとした古い駅舎だった。
駅の理想形を見た思いでいる。
人が集まる場所というのは、あのようにでっかくて、あたたかい構えじゃなきゃ。
オレはそう思うんだ。
駅前のこじんまりとした広場にはこれまた古い商店が並びレトロな景観を作っている。
駅と向かい合わせの雑貨屋はすでに店を開けていた。
車窓から(糸崎~尾道)
9:51 東岡山(ひがしおかやま)駅(山陽本線/赤穂線 岡山県)
住宅街が広がっている。
コンビニが一軒ある。
車窓から眺めたままの風景だ。
比較的大きな工場も見えた。
新装された町に残る昔ながらの日本家屋風駅舎に「岡山」という土地を感じている。
他に感慨めいたものが湧き上がってくることはなかった。
これまで眠っていることの多かった区間だが、ここで山陽本線と赤穂線は分岐する。
10:18 高島(たかしま)駅(山陽本線/赤穂線 岡山県)
ひと駅戻る。
団地と平屋家屋が並ぶ駅前。
ここに商店が適当な間隔で散らばっていれば昭和的な賑わいの風景にもなり得るが、何も見当たらず、たんに廃れて見える。
コンビニに寄って食糧を調達。
次にやってきた相生行の混雑ぶりに面食らっている。
ここから相生までは閑散区間で、乗降は多くない。
乗客の荷物の大きさから推し量ると、大半はこのまま阪神地区に雪崩れ込むことだろう。
並行する新幹線も相当な混雑が記録されているのだろう。
車窓から見る明石海峡大橋(舞子駅あたり)
13:54 守山(もりやま)駅(東海道本線 滋賀県)
関西地区上空に暗雲が垂れ込めている。
蝉の声に耳をとられていた。
空を眺め、オレはきっとこの同じ関西のどこか別の場所で、今と似たような感慨に耽ったことがある。
そう思いながらベンチに座っている。
オレの人生が京都を中心とする関西地区と馴染みになってからもう15年になる。
友達は作れなかったが、恋はした。
愛も交わしたんだ。
東京のどこかじゃなくて、こうして近江平野を眺めながら当時からのことを思い返せば、少なくともつまらない人生ではなかったと確信できる。
宿場町の風情を残す草津を挟んで、南草津、守山、野洲と同じような駅前風景が続く。
高層の集合住宅が天を衝き、住民の食を賄う総合雑貨屋が大きく場所を占める。
飲食店はほとんど見かけることはない。
関東では埼玉県の鴻巣、吹上、行田といったところが挙げられるベッドタウンの見本のような町並だ。
さて、これでどこに寄ることもなく東京に帰る。
広島を出てから8時間。
これからオレの家までもざっと8時間。
ちょうど中間点は米原あたりになる。
関連記事
-
「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その2‐鯉川、東能代、岩館、深浦(奥羽本線/五能線)
鉄旅日記2020年1月12日・・・鯉川駅、東能代駅、岩館駅、深浦駅(奥羽本線/五能線) 10:19
-
「鉄旅日記」2009年晩夏【近くまでぶらっと】金町、新松戸、西国分寺、立川、青梅、奥多摩、御岳、武蔵五日市、拝島、高麗川、川越、武蔵浦和、南浦和(常磐線、武蔵野線、青梅線、五日市線、八高線、川越線、埼京線)
鉄旅日記2009年9月5日・・・金町駅、新松戸駅、西国分寺駅、立川駅、青梅駅、奥多摩駅、御岳駅、武蔵
-
「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)
鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢
-
「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その2-伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅前ホテル
車旅日記2005年2月12日・・・伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅
-
「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】4日目(高知-宇和島)-高知、朝倉、伊野、斗賀野、須崎、窪川、中村、宿毛、宇和島(土讃本線、土佐くろしお鉄道中村線/宿毛線、予土線)
鉄旅日記2009年5月4日・・・高知駅、朝倉駅、伊野駅、斗賀野駅、須崎駅、窪川駅、中村駅、宿毛駅、宇
-
「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】2日目(天王寺-奈良)その1-南霞町、浜寺駅前、浜寺公園、羽衣、春木、和泉大宮、岸和田、和歌山市、和歌山港、堺(阪堺電気軌道/南海電鉄南海線)
鉄旅日記2007年2月11日・・・南霞町駅、浜寺駅前駅、浜寺公園駅、羽衣駅、春木駅、和泉大宮駅、岸和
-
「車旅日記」1998年春【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】2日目(岩手山SA-大間崎-青森駅)-岩手山SA、折爪PA、三沢市ドライブイン三陸、東通村レストラン潮騒、田名部駅、大間崎公営パーキング、大湊駅、陸奥横浜駅、青森駅
車旅日記1998年5月2日 1998・5・2 7:43 東北自動車道-岩手山SA 昨夜の強風が続
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 いよいよ金沢へ‐その2(R8→北陸道)敦賀、尼御前SA、金沢駅
車旅日記1996年5月5日 18:11 8号国道‐敦賀 琵琶湖ともお別れ。 8号国道を飛ばした
-
「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その4‐矢島、前郷、金浦、酒田(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線)
鉄旅日記2019年12月7日・・・矢島駅、前郷駅、金浦駅、酒田駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田