「鉄旅日記」2014年冬【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】初日(東京-桐生)-小菅、五反野、梅島、田島、渡瀬、県、東武和泉、福居、野州山辺、韮川、東小泉、藪塚、阿左美、岩宿、新桐生、下新田(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線)
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最終更新日:2020/09/03
旅話 2014年
鉄旅日記2014年12月28日
小菅(こすげ)駅(東武スカイツリーライン 東京都)にて
五反野(ごたんの)駅(東武スカイツリーライン 東京都)にて
2014・12・28 9:12 梅島(うめじま)駅(東武スカイツリーライン 東京都)
荒川を渡ると旅が始まった。
最初の駅小菅は東京拘置所がある町。
高層マンションのような東京拘置所の異様は5年前までの通勤ではお馴染みのもので、収監されているオウム真理教の面々が頭に浮かぶ。
ホームからの急な階段を下りて改札を出ると、駅前通りはとても狭く、駅の入口があるとは思えない小路で、寿司屋が一軒あるのみ。
あまりの何もなさはある意味では想像を絶し、感動すらもたらした。
これだからこそ駅には降りてみる価値がある。
小路を抜けると東京拘置所に向かう道で、運動公園のところで左折すると遊水の道が五反野まで通じている。
五反野駅周辺はかつて車で何度か通ったことがある。
それなりに賑やかだが印象には残りにくい街だった。
そこから梅島までは約15分。
ビートたけしさんが描く戦後の下町風情は一片として残るものはなく、昭和らしきものも見当たらない。
ただひとつ、ガード下の駅前風景になぜか大阪の鶴橋あたりを思い出し、あれが現代の下町的なるものなのだろう思う。
寒い朝に足立区は震えている。
霜柱を見かけた3駅を結ぶ道中だった。
昨日の納会の酒はあまり悪くなかったのだろう。
随分飲んだと思うけど、酔いはもうどこにも残っていない。
11:31 田島(たじま)駅(東武佐野線 栃木県)
館林から2駅。
紳士服のキングタイガーの看板に錆びが浮かんで見える。
猛スピードの車が佐野と館林の間を行き交う。
通りには色彩が欠けている。
葛生の先の山々が白い。
駅から秋山川までの間に広がる冬枯れの田園からその風景を眺めていた。
さらに堤に上がって眺めた。
見事な景色とは言えない。
利根川を越えると都心と比較して気温が2度下がると聞かされていて、その地域に該当するここは冬の日差しに満ちてあたたかく、風もない。
渡瀬(わたらせ)駅(東武佐野線 群馬県)にて
田島駅から1駅戻る。
12:45 県(あがた)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
館林から伊勢崎線に乗る。
関東平野の吹きっさらしの土地にぽつんとある駅。
駅舎はない。
降りた者には迎えの車が必要な村だ。
どこにも行けなくて茫々と冬枯れの田畑を眺めている。
富士山のような姿ではっきりと見えるのが日光男体山。
日光にはいくつかの峠を越えなきゃ行けないが、さして遠くはない。
渡瀬駅から館林までは徒歩約20分。
4月に来たばかりだから駅前はよく覚えている。
コンビニでビールと昼メシを調達。
幸せな時間が訪れる。
本当に今日はあたたかく、今も眠気を誘う陽溜まりの中で心地よさを味わっている。
13:18 東武和泉(とうぶいずみ)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
日の当たるベンチを見つける。
冬のあたたかさに気持ちを緩めて次の列車を待っている。
あたりは住宅街で、写真館の隣で建築物件を手がける大工さんを3名と、仕事納めはまだ早いとばかりに働く笠原工業さんの姿があった。
13:42 福居(ふくい)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
1駅戻る。
トチセンという煉瓦造りの工場が線路脇で歴史を誇り、駅舎もまた古い。
駅前通りのパン屋は営業を諦め、空地と団地の組み合わせに寂しさを感じて、この冬にサンタさんは現れただろうかとしみじみとした気持ちになる。
次の列車がやってくる。
僅かな滞在で離れる。
13:57 野州山辺(やしゅうやまべ)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
渡良瀬川は足利の街中を過ぎると視界から消えてしまった。
空地の目立つ駅前にダイナムの巨大店舗が夥しい数の車を集結させている。
地方都市ではお馴染みの光景で、そこに町を特徴づけるものは見当たらない。
そして人気のない高架駅は、より人工的であることがかえって冷たさや寂しさを感じさせている。
乗り継いだ東武列車はどれも空き、冬の日差しにも翳りが見え始め、冷たい風にふと寒さを想う。
韮川(にらがわ)駅(東武伊勢崎線 群馬県)にて
15:18 東小泉(ひがしこいずみ)駅(東武桐生線/東武小泉線 群馬県)
韮川からは群馬県。
昔ながらの長椅子のある待合室が郷愁を誘い、傾きだした日に照らされた駅前は、栃木県内の何もなかった状態から若干の逸脱を見せた。
407号国道を太田へ向かってひたすら歩く。
富士重工群馬製作所の長い塀が尽きた先が太田駅。
だだっ広いロータリーを囲む商店街は小さく、幟は元気なく垂れ下がり、そんな周囲の様子と太田駅との間に美しい調和は見られなかった。
今は太田から少し戻る形で東小泉駅にいる。
駅前は何もない状態に戻り、寂しいターミナル駅にブラジル人の大きな話し声が響いている。
16:01 薮塚(やぶづか)駅(東武桐生線 群馬県)
新田義貞の隠し湯と云われる温泉と古墳が見られる一帯。
線路を渡った先のこんもりとした小山がおそらく古墳のひとつ。
駅前の案内板を見ると宿泊施設もいくつかあるし、スネークセンターなんていうのもある。
今日過ぎてきた駅と比較するとタクシーが待つこの駅は何かがあると思わせる。
特急列車もここには停車する。
でもさっき指した小山の先に観光名所のようなものがあるとはなかなか思えない。
さっきオレに列車の行き先を尋ね、治良門橋で降りた女性は韓国人だろうか。
今年の旅で上州に縁を持つ外国人女性に太田、小山、そして今日また太田で尋ねられた。
人としても男としても誇らしくはある。
言葉が分からないから、さっきの女性には笑顔で質問に答えた。
きちんと理解してくれたよ。
阿左美(あざみ)駅(東武桐生線 群馬県)にて
岩宿(いわじゅく)駅(両毛線 群馬県)にて
岩宿~新桐生間(徒歩)
新桐生(しんきりゅう)駅(東武桐生線 群馬県)にて
下新田(しもしんでん)駅(わたらせ渓谷鐵道 群馬県)にて
20:45 桐生パークホテル432号
阿左美駅には縄文式住居が展示されている。
そこでは詳細な由緒書きを確か見かけなかった筈だが、ふんふんふんと眺め、改札を出る。
大型集客店や病院が間隔を置いて並ぶ50号国道を歩き、上州の暮れゆく様を眺め、岩宿駅に到着。
そこまでが確か約30分。
車通りの多い国道だった。
夕暮れに浮かび上がる岩宿駅の灯はあたたかく、二名の駅員が談笑していた。
阿左美沼を通り、対岸で夜空に光を放つ桐生競艇場に目を向ける。
その後、あの光を街の至るところで発見することになる。
高い位置から市内を眺めると渡良瀬川の対岸に街明かりが見える。
あそこまで歩いていくんだよ。
新桐生駅は渡良瀬川を挟んでこっち側。
つまり街外れにある。
魔宮のような駅が夕暮れに隠れていく。
立派な待合室に売店まで備え、流石と思わせる特急停車駅だった。
大間々へと向かう国道の交通量は多く、店舗が立ち並びなかなかの賑わいを見せている。
やがてその国道の先を鉄道が何度か視界を横切る。
あるいは幻かとも思える。
やがて下新田駅に近ずいてきたことに気づき、角の大型集客店を過ぎる。
駅のあたりに明かりはない。
いや、あった。
線路が何本も敷かれた鉄道用地の中に見事なイルミネーションが光っている。
そこが駅のホームで、駅舎はない。
下新田駅は、国鉄だった足尾線が第三セクターに移行して、わたらせ渓谷鐵道と名称が変わってからできた駅だという。
いよいよ渡良瀬川を渡る。
静かな時が過ぎていく。
高台に見えた明かりを憶えている。
桐生の街中へと足を踏み入れ、アーケードが架かる坂道を上がっていく。
途中に雷電神社を見かける。
伝説の横綱は桐生生まれかと驚いたが、まったく関係はなく雷除けの神が祀られているらしい。
商店街には新年の調べが流れている。
両毛線の高架をくぐると駅前通りになる。
しめ飾り売のおじさんが歩道に店を出している。
かつてはそこここで見かけたものだけど、すっかり懐しい風景になった。
阿左美から約100分の徒歩旅。
駅前通りの人通りは絶えていた。
明日の東京には雪の予報が出ている。
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