「鉄旅日記」2009年秋 2日目(新山口-大分)その2-香春、田川伊田、田川後藤寺、日田、豊後森、豊後中村、野矢、由布院、大分(日田彦山線/久大本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月19日・・・香春駅、田川伊田駅、田川後藤寺駅、日田駅、豊後森駅、豊後中村駅、野矢駅、由布院駅、大分駅(日田彦山線/久大本線)
2009・9・19 12:49 香春(かわら)駅(日田彦山線 福岡県)
広い駅構内にはかつての遺構と栄光が残る。
地肌を剥き出しにした香春岳一の岳。
二の岳、三の岳はこんもりとした姿をそのまま残している。
まだ蝉の声が残る静かな村。
炭鉱全盛当時を想像することはできない。
炭坑節に歌われ、万葉集にも詠われ、神がいる山としておとぎ話にも登場する香春岳。
古の人々が信仰した聖なる山は、近代文明の発展に身を削って貢献し、そして時代は過ぎた。
もう元には戻れない。
神もそして人も。
哲学するにはいい場所だ。
香春岳は鬼ヶ城という城跡でもあり、豊臣秀吉の九州征伐の件にも登場する。
当時の薩軍は、ほぼ九州一円をその勢力下に置いていたことが分かる。
そして今も日本セメントが巨大な腕で掴みかかっている。
鎮西八郎為朝の屋敷跡も残っているらしい。
あの豪傑はまず手始めに、このあたりの荒っぽい連中を制圧したのだろう。




13:48 田川伊田(たがわいた)駅(日田彦山線/平成筑豊鉄道伊田線/平成筑豊鉄道田川線 福岡県)
九州らしい、ごつごつとした景色になってきた。
筑豊炭田の中心地、田川。
ここも構内は広く、かつて線路が敷かれていた一帯に雑草がはびこっている。
平成筑豊鉄道とは、ここを経由して直方と行橋をつないでいる。
伊田商店街を歩く。
飲食店やスナックは路地に集まっていた。
盛は過ぎても祭がある。
風治八幡宮の川渡り祭。
田川で信仰を集め、大切にされていることを食堂で知った。
もはやボタ山も炭住跡もない筑豊。
数年前の旅でその事実は知っていたけれど。
このホームからの眺めがいい。
今日も暑くて、でも強い風に冷まされて、四国の山並に似た筑豊の山々を眺めている。


14:40 田川後藤寺(たがわごとうじ)駅(日田彦山線/後藤寺線/平成筑豊鉄道糸田線 福岡県)
5年前の夏だったよ。
便所を借りにこの駅に寄ったのは。
あの日に見た観光案内板は色褪せて真っ青になっていた。
伊田で触れた現在の筑豊の情報は、あの案内板に書かれていた内容が下地になっている。
銀天街を歩く。
伊田商店街によく似ていた。
スナックや酒場は発見できなかったが、子供が元気だ。
かつて筑豊には迷路のように多くの線路が敷かれていたが、その多くが剥がされた現在も、後藤寺は今も交通の要衝の地位を失っていない。

17:01 日田(ひた)駅(久大本線/日田彦山線 大分県)
彦山から眠ってしまった。
分岐駅の夜明は眠りの中で過ぎて、いつの間にか日田に着いていた。
5年前と同じように日田駅は西日を浴びて輝いていた。
日の当たる待合所で、みんな真っ黒な顔をして列車を待っている。
駅周辺を散策。
案外商圏は狭いものだと思いながら駅に戻り案内板を見ると、三隈川の畔に温泉街がある。
本物の日田がそこにあり、日田天領水の出所もそのあたりなのだろう。
車寅次郎も日田を訪れている。
祭の最中だった。
きれいな町だよ。
これから5年前と同じように大分に向かう。
強い風はまだ心地いいと言える。

18:21 豊後森(ぶんごもり)駅(久大本線 大分県)
断崖があり、豪快な滝が落ち、三隈川を縫うように進んでいる。
絶景の連続だった。
玖珠郡森町。
「童話の里」を謳う駅前に桃太郎がいる。
豊後牛の産地。
印象的な峰々。
伐株山の山頂が削れているのはグライダーの発着場だという。
行儀の悪い高校生連中をはじめ、大勢が降りたこの駅で32分の停車。
駅前通りを左に折れて、下り坂を信号がある交差点まで歩く。
そこまで商店街が続いている。
廃屋も見られたが、品のいい飲食店もある。
街灯の色もいい。
駅のイルミネーションもきれいだったな。
民話の里で迎える日暮れ。
このあたりには本物の闇が訪れる。
転車台跡が駅の片隅で壮絶な姿で残っていた。



18:55 豊後中村(ぶんごなかむら)駅(久大本線 大分県)
九重町中村。
ここで6分の停車。
九重連山の登山口で、日本一の大吊橋がここから11㎞の場所にあるらしい。
駅前ではスナックが一軒明かりを灯していた。
5年前にもここに寄っている。
確かオレはここで、子供が遊ぶ光景を眺めていた。

19:06 野矢(のや)駅(久大本線 大分県)
闇の中で4分の停車。
海抜534米の標柱がホームにある。
停車時間が明けて、走り出す。
そして闇。

19:39 由布院(ゆふいん)駅(久大本線 大分県)
右手に夜景が見えた。
灯の数は多くない。
だからこそきれいに見えたんだ。
到着した駅が由布院だった。
何ら仕切りのない、大きな窓を開け放ったような開放的な改札口で、かわいらしい声をした女性駅員がオレを待っていた。
最後に残った楽園のような町。
あたたかい灯が続く坂道に土産物屋、飲食店が並び、人々が穏やかな表情で歩いている。
温泉街がどこにあるのか知らないが、歓楽街は駅周辺にあった。
駅の灯も素敵だった。
猫と遊んでいた二人の少女はどこからきたのだろう。
大分まであと1時間。

23:21 東横イン大分駅前1207号
九州は美人が多い。
大分駅は改良工事中だった。
市内の混雑を考えて高架化を進めているとのこと。
構わない。
ただオレが知っている駅舎のままでいてほしかった。
でもどうにか間に合った。
懐かしい姿をこうして目にできている。
大分駅は3度目になる。
そうか、あれから5年も経つのか。
府内と呼ぶ中心街。
この街は大友宗麟が九州制圧に動いた頃が全盛だったのだろう。
当時は府中といっていた。
その名残りだろう。
城跡が街の中心とは言えないが、繁華街「府内五番街」はその近くにある。
えらく長いアーケード街があった。
店の多くは閉じていたが、駅まで続いている。

県庁も市庁も立派だが、大分は駅がシンボルの役目を果たしている。
オレはそう感じたよ。
昨日の新山口でもそうだったが、物価が安くて量が多い。
覗いたメニューに団子汁があったから入った店だが、団子汁まで行き着くことなく腹は膨れた。
関サバをはじめ、本物を食べて、美味い酒を飲んだ。
こうして酒を飲んでいる場所が、大分なのだと実感できる瞬間というのがある。
そこに感動が訪れる。
大分(おおいた)駅(日豊本線/久大本線/豊肥本線 大分県)にて

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2016年春 最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】
鉄旅日記2016年3月21日その1・・・石巻駅、西塩釜駅、下馬駅、塩釜駅、岩切駅、利府駅、伊達駅、郡
-
-
「鉄旅日記」2006年新春-馬橋、流山、幸谷、新松戸、佐貫、竜ケ崎(常磐線/総武流山電鉄/関東鉄道竜ヶ崎線)【雪の降った翌日。近くのローカル線に乗りに出かけました。】
鉄旅日記2006年1月22日・・・馬橋駅、流山駅、幸谷駅、新松戸駅、佐貫駅、竜ケ崎駅(常磐線/総武流
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その1 ‐金町、東京、三島(常磐線/東海道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月19日・・・金町駅/東京駅/三島駅(常磐線/東海道本線) 2022・3
-
-
「車旅日記」1998年夏 2日目(木曽-野麦峠-信州新町-志賀高原湯田中)-道の駅日義 木曾駒高原、木曽福島駅、木曽福島タイムリー、開田村、野麦峠扇屋、奈川渡ダム、道の駅信州新町 【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】
車旅日記1998年7月19日 1998・7・19 6:28 19号国道‐日義 木曽駒高原(道の駅)
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 初日(東京-盛岡)その3-盛岡、上米内、区界(東北本線/山田線)/大正館 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月21日・・・盛岡駅、上米内駅、区界駅(東北本線/山田線)/大正館 17:39
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その2 ‐茅ヶ崎、南橋本、上溝、橋本(相模線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・茅ヶ崎駅、南橋本駅、上溝駅、橋本駅(相模線) 11:03&n
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その2‐中滑川、滑川、猪谷、宇奈月温泉、宇奈月、寺田(富山地方鉄道本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月21日・・・中滑川駅、滑川駅、宇奈月温泉駅、宇奈月駅、寺田駅(富山地方鉄道本線
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その1 ‐三沢、八戸、滝沢、巣子、盛岡(青い森鉄道/IGRいわて銀河鉄道)/薬師神社/岩手山 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月10日・・・三沢駅、八戸駅、滝沢駅、巣子駅、盛岡駅(青い森鉄道/IGRいわて
-
-
「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その1 ‐金町、上野、籠原、高崎(常磐線/高崎線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2022年8月11日・・・金町駅、上野駅、籠原駅、高崎駅(常磐線/高崎線) 2022
-
-
「鉄旅日記」2008年初秋 2日目(羽咋-福井)その1-羽咋、七尾、穴水、和倉温泉、北鉄金沢、内灘、粟ヶ崎、金沢(七尾線/のと鉄道/北陸鉄道浅野川線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】
鉄旅日記2008年9月14日・・・羽咋駅、七尾駅、穴水駅、和倉温泉駅、北鉄金沢駅、内灘駅、粟ヶ崎駅、
