「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】初日(東京-京都-奈良-高田-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線)
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旅話 2008年
鉄旅日記2008年7月19日
15:03 畝傍(うねび)駅(桜井線 奈良県)
歴史的な駅舎がある。
町が見える。
街道に面しているのか車通りが多い。
畝傍山、香具山。
富士山型のが畝傍山。
麓までと思ったが、小川が流れる涼しい場所で引き返した。
想像以上に町は大きく、近鉄沿線にある橿原神宮にJR駅から行くなら、ここで降りるようだ。
畝傍山も香具山も神性をまとい、太古の人々は礼拝の対象にしていたが、現在にその思いは引き継がれているのだろうか。
大きな構内には集積所が設けられている。
運ばれるのは木材か。
畝傍山が遠ざかる。
15:25 高田(たかだ)駅(桜井線/和歌山線 奈良県)にて
15:40 大和高田(やまとたかだ)駅(近鉄大阪線 奈良県)
JRから近鉄へ。
目指すは郡山。
交通の要衝高田は、郊外都市やベッドタウンといった表現が当てはまるような典型的な姿をしている。
古都にまつわる神的な要素は隠され、中層マンションや高圧電線塔が目立つ。
近鉄沿線の風景はJRとはずいぶん違い、郊外の風情。
大和八木に着く。
JRを外れると、どこの町でも不案内になる。
しかしこの大和八木は巨大なターミナル駅だ。
16:26 近鉄郡山(きんてつこおりやま)駅(近鉄橿原線 奈良県)にて
16:48 郡山(こおりやま)駅(関西本線 奈良県)
わっしょいの掛け声と太鼓の音が止んだ。
子供を中心にした祭の一団のパフォーマンス。
大和大納言豊臣秀長の100万石の城下町を近鉄からJRへと歩く。
JR周辺は集合住宅ばかりが目立つ。
江戸時代は天領だったか。
歴史の表舞台から消えて、目の前を豊かな田園が行き過ぎる。
駐輪場のおじさんも好人物。
17:26 王寺(おうじ)駅(関西本線/和歌山線 奈良県)
王寺機関区を擁する大鉄道駅に着いた。
ここを最初に通ったのは何年前のことになるのか。
当時はこのあたりを知る由もない。
王寺に一歩を記した。
そうした感慨がある。
賑わいを見せているのは駅周辺だけのようだ。
遠くに生駒山を望む。
関西私鉄の雄、近鉄は王寺から2本の線を敷いているが、地理をうまくつかめない。
不思議だが、一日中こうして関西地区をうろついていると、オレが東京から来た男などではなく、元々こっちの人間に思えてくる。
人々が人懐こいのだろう。
18:48 五条(ごじょう)駅(和歌山線 奈良県)
素朴な夕焼け空を眺めている。
ホームには吉野川祭の提灯が揺れている。
学生たちは高田方面に向かう列車に乗り込み、和歌山行を待つ姿は少ない。
すでに過ぎ去った吉野口では多くの乗降があった。
あの旅情あふれる駅も懐かしい。
高田を過ぎると「ICOCA」は使えず、この駅は自動改札への移行も遅れている。
素朴な街だ。
天誅組に襲われた代官所跡や吉野川を見たかったが、足を痛めた。
今日もいい旅だった。
23:05 和歌山東急イン436号
闇の中の和歌山線沿線を描写することはできない。
かつて寄った橋本駅で長く停車している間に眠ってしまい、目覚めてから見た風景は、闇の中のわずかな灯であり続けた。
和歌山駅の改札を抜けた風景には見覚えがあった。
あのスナック街の明かりに覚えがあった。
美味い和歌山ラーメンを食わせる駅前の店に入る。
ご主人もおかみさんも好人物で、先客としてきていた少年たちに、「和歌山商業のにーさんたちかい」と笑顔で話しかけ、会話は続いている。
少年たちも煙たがったりしない。
何より彼等は学校名が入ったジャージやTシャツを堂々と来ている。
そこが違う。
オレは20年以上前の高校生だが、着ていたジャージに学校名や剣道部などとは入っていなかった。
彼等はきっと立派な大人へと育つだろう。
ホテルはお堀端にある。
確かめて、歩き始める。
和歌山城のライトアップは22時に終了した。
夕暮れの音楽が流れていた。
「今日も陽は落ちて」。
音楽が鳴りやんだら灯が落ちた。
徳川吉宗と徳川家茂。
かつて天下人を二人輩出した街の象徴が、今もお城であることが素晴らしい。
それが歴史を持つ街というものだろう。
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