「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その2-多気、伊勢神宮外宮、伊勢市、鳥羽、鳥羽マリンターミナル(参宮線/鳥羽市営定期船)
鉄旅日記2018年12月23日
11:27 多気(たき)駅(紀勢本線/参宮線 三重県)
名松線の暖かな車内では長いこと眠ってしまった。
一志駅に近づき、あの近鉄の電化設備が見える頃には、ずいぶん開けた場所に下りてきたと思う。
行きには鄙びた印象しか持てなかった土地も、見方が変わればそう見える。
松阪での乗り継ぎは3分。
参宮線へと乗り入れる鳥羽行が待っている。
その鳥羽行は紀勢本線との分岐駅、多気で19分の停車。
駅前でビールが買えるヤマザキのお店。
おかみさんにお変わりはなく、ご商売を続けておられた。
ありがたいことだ。
多気に降りるのは3度目だが、いつもお世話になっている。
12:17 伊勢神宮外宮にて
12:47 伊勢市(いせし)駅(参宮線/近鉄山田線 三重県)
駅前はとてもきれいになっていた。
以前からそうだったのかもしれない。
古くて狭い商店街の記憶は宇治山田でのことだったのかもしれない。
当時その場所で笑い転げていた少女たちも30歳を越しているだろう。
街も人も変わっていく。
良き方向にいきたいと思う。
手を浄め、口を浄め、伊勢神宮外宮に参拝。
3度目の参拝になるが、天照大神とは浅からぬ縁を結んでいる。
余計な祈りはいらない。
今年の無事を感謝して、来年の幸福を祈った。
京都とはすべてにおいて比較できないが、伊勢にもこの国が誇る国際的観光都市があった。
伊勢うどんは、やがて必ずや二人で食べにくる。
何という種族だか知らないが、オレの側を離れないかわいい顔をした鳥がいる。
米粒を与えたら全部腹に収めた。
この聖なる地での不思議な縁。
そんなことをしたのは結婚式を挙げたハワイについで人生でたった2度のことだ。
ワイキキビーチを見下ろすホテルのテラスでビールを飲んでいたら、鳩が舞い上がってきてオレの膝に止まったんだ。
手にしていたつまみを与えると、何をどうかぎつけたのか次から次に舞い上がってくる。
東京で見る汚い鳩などではなく、毛並みは美しく、中には幸福を予感させる白鳩もいる。
そのうち鳩に取り巻かれてテラスは糞だらけ。
あれは8年前。
そんなことを思い返す。
この小鳥とは前世のどこかで出会っているのだろう。
そう考えると現世は貴重。
そんなことを考える必然の一年だった。
そろそろ立つ。
あれから少し離れた場所まで移動していた小鳥は戻ってきて、なかなか気づかずにいたポテトチップスに近寄りついばむ。
おわかれだよ。
13:34 鳥羽(とば)駅(参宮線/近鉄鳥羽線/近鉄志摩線 三重県)
13:46 鳥羽マリンターミナル(鳥羽市営定期船/鳥羽湾めぐり 三重県)
JR参宮線終点の鳥羽まで。
鳥羽には去年の近鉄旅でも降りている。
降りるとすぐに伊勢の海が広がっていて、気持ちが弾む。
でも列車で下りた過去は突堤で海を写して、時間に追われるように引き返していた。
埠頭まで歩いてきたのは初めてだ。
そしてオレの旅に船が登場するのも初めてになる。
海辺のホテルは社会の変化に動じることなく、地位を保っている。
ただどんな名門ホテルがこの地にあるのか、不幸にして知らない。
神島行の定期船。
船客は多くない。
にぎやかな団体客がいる。
その脇に幼子を連れた島の若い奥さん。
島のことを尋ねた一団が奥さんに冗談を言う。
「奥さんも火を飛び越していったのですか?」
三島由紀夫「潮騒」に描かれた最も有名な一場面。
神島は歌島として登場する。
オレの席からは見えないが、奥さんは「はい」と口調に笑みをにじませて答えた。
一団からは歓声。
神島へは約30分の船旅。
【Facebookへの投稿より】
台風被害で一部区間がしばらく不通になっておりましたJR名松線に乗りました。
この沿線から、山間の県立高校が甲子園初出場!と話題になり、今年の夏に現れた白山高校がございます。
終着駅は伊勢本街道奥津宿、伊勢奥津駅でございます。
現代的な視点から見れば何もない場所ですが、小生には名残惜しゅうございました。
その後、お伊勢さんに詣りました。
3度目の参拝になりますが、毎回神域に足を踏み入れたとたんに身が引き締まるのを感じるのでございます。
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