*

「鉄旅日記」2018年師走 2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その1-津、阿漕、松阪、家城、伊勢奥津(紀勢本線/名松線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年12月23日・・・津駅、阿漕駅、松阪駅、家城駅、伊勢奥津駅(紀勢本線/名松線)

2018・12・23 6:17 津(つ)駅(紀勢本線/伊勢鉄道/近鉄名古屋本線 三重県)
かつて伊勢うどん屋だった改札横のスペースには吉野家が収まっている。
伊勢うどん独特の濃いつゆで服を汚してしまったことから、よく覚えている。

伊勢うどんが好きな彼女にこの話を聞かせたら、おそらく陽気な文体で失意を伝えてくるだろう。

駅にL字形に隣接する高層ビルの背後。
あるいは繁華街が隠れてはいないかと覗いてみれば、駐車場が見えただけだった。

この街の繁華街はどうやら昨夜歩いたあのあたりだけらしい。

西国の朝の訪れは遅い。
この時間帯、東京じゃ明るくなりだしている空はまだ夜のままだ。

近鉄はホームのコンビニが煌々と光を放ち、早くも特急列車も走り出しているけど、JRはようやく一番列車がやってくる。

6:41 阿漕(あこぎ)駅(紀勢本線 三重県)
津からひと駅。
途中、近鉄の津新町駅を通過する。
駅周辺にはわずかな明かりだけがあった。

阿漕は、悪い言葉として使われる「あこぎ」の語源だという。

阿漕ヶ浦は伊勢神宮に供える魚を獲る漁場として一般的には禁漁区だったのを、「阿漕の平次」なる者が繰り返し密漁に及び捕らわれたことによるとのこと。

「あこぎ」なヤツとの評価は沽券にかかわる。

明るくなりだした空。
このままじゃたぶん今日は曇り。

昨日はあんなにきれいな月夜だったのに。
神島で満月が見られることを願っている。

国道を走る車の音が聞こえてくる。
かつてオレも車を走らせたあの道まで出て、さして感じるものもなく駅へ戻る。

ふと脇を見ると指名手配犯の顔が並んでいる。
彼等には守護存在はいたのだろうか。
スピリチュアルな世界に触れた昨今。
そんなことを考えるようになった。

駅にくれば、子供たちもこんな光景を見ながら大きくなっていく。
わがことながら、表情が曇るのが分かった。

7:24 松阪(まつさか)駅(紀勢本線/名松線/近鉄山田線 三重県)
近鉄の立派な電架設備が見えだすと松阪が近い。

その高架下ぎりぎりをくぐるJR。
私鉄王国の中では肩身が狭い。

3度目の松阪。
この街にも泊まったことがある。
駅前から続くアーケード街の記憶はなかったけど、オレの歴史が見える。

松阪は城下町だった。
本居宣長記念館なるものが城址公園側にある。
松阪牛だけの街じゃない。

前回も弁当屋で触れあったことを思い出した。
人情味のある街だ。

8:21 家城(いえき)駅(名松線 三重県)
簡素な駅が続く名松線。

松坂から名張へと延びるはずの鉄路ゆえ名松線。
しかし計画通りには進まず伊勢奥津で止まったが、廃線の憂き目を見ることなく生き残ってきた。

そこへ最近、台風災害でここ家城から先の運行ができなくなり、廃線の話も持ち上がったとのこと。
ともあれこうして復旧を果たし、まずはひと安心。

早く名松線に乗りにいかなければ。
今回の旅にはそのような思いも含まれている。

野球少年をはじめ高校生たちが降りていく。
この夏、山間の県立高校が甲子園に現れると話題になった白山高校の生徒たち。
凛々しくもあり、子供でもある。

この夏には借りがあるだろう。
また檜舞台で彼等の活躍を見たい。


9:32 伊勢奥津(いせおきつ)駅(名松線 三重県)
かつてこの駅に寄る際に通りすぎた美杉町。

様々なプールが楽しめる施設が賑わっていたことを記憶している。

「ここだここだ」と懐かしく感じたその施設は季節を終えて、向かいにある美杉リゾートもその巨大な姿に黒ずみを浮かべ、朽ちるに委せていた。

それでもこの山間の地域に人々の暮らしが続いていることをいじましく感じ、そんな風景を目にしているオレは、今年あった別れを思っていた。

阿下喜、西藤原、湯の山温泉と車で終着駅をたどったかつての旅。
この駅は4番目の終着駅だった。




雲出川左岸に位置する伊勢本街道奥津宿。

北畠氏が築いたのであろう城跡もあり、名松線開業後は若宮八幡宮への参拝客で賑わったそうだ。

今じゃ参道の両脇を廃屋が固める一帯となったが、神気を感じ、かつての宿場の屋号をつけた旧家が並ぶ古街道を下っていった。









関連記事

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)

鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門

記事を読む

「鉄旅日記」2003年冬 初日(宇部-博多)その1-山口宇部空港、宇部新川、宇部、下関、小倉、折尾、飯塚、博多(宇部線/山陽本線/鹿児島本線/筑豊本線/篠栗線) 【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】

鉄旅日記2003年2月15日・・・山口宇部空港、宇部新川駅、宇部駅、下関駅、小倉駅、折尾駅、飯塚駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2012年晩秋【休日おでかけパスで、相模線途中下車旅】保土ヶ谷、大船、香川、北茅ヶ崎、厚木、社家、相武台下、原当麻、下溝、片倉、八王子、猿橋、西八王子、武蔵小金井、東小金井(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)

鉄旅日記2012年11月17日・・・保土ヶ谷駅、大船駅、香川駅、北茅ヶ崎駅、厚木駅、社家駅、相武台下

記事を読む

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線) 【武田信玄公隠し湯にて】

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏 最終日(新潟-長岡)走行距離246㎞ その2-青海川駅、安田駅、北条駅、長鳥駅、来迎寺駅、長岡駅、東京葛飾金町 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

車旅日記2005年7月18日・・・青海川駅、安田駅、北条駅、長鳥駅、来迎寺駅、長岡駅、東京葛飾金町

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月 初日(東京-米原-福井-越前大野)その2-越前花堂、花堂、越前大野(越美北線)/越前大野城【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】

鉄旅日記2018年10月6日・・・越前花堂駅、花堂駅、越前大野駅(越美北線)/越前大野城 16:3

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生【秩父へ。西武線とのお別れでございます。】-練馬区役所、芦ヶ久保、西武秩父、御花畑、秩父、入間市(西武秩父線/秩父鉄道/西武池袋線)

鉄旅日記2018年3月24日・・・芦ヶ久保駅、西武秩父駅、御花畑駅、秩父駅、入間市駅(西武秩父線/秩

記事を読む

「鉄旅日記」2000年晩秋【京都の女性に恋をしていた頃がございました。その京都時代のはじまりでございます。】-京都タワーホテル

鉄旅日記2000年11月23日~24日 2000・11・23 0:03 京都タワーホテル924号室

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その1-小諸、軽井沢、横川(しなの鉄道) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

鉄旅日記2005年11月7日・・・小諸駅、軽井沢駅、横川駅(しなの鉄道) 2005・11・7 東京

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記2000年8月14日 3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 200

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

→もっと見る

    PAGE TOP ↑