*

「鉄旅日記」2009年秋-越生、坂戸、小川町、寄居、羽生、久喜、新越谷、南越谷(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)【関東ぶらぶら旅その3-武蔵国で遊ぶ日。7つの交差点へ。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/16 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年11月3日・・・越生駅、坂戸駅、小川町駅、寄居駅、羽生駅、久喜駅、新越谷駅、南越谷駅(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)

2009・11・3 11:27 越生(おごせ)駅(八高線/東武越生線 埼玉県)
花の町には生越梅林、山吹の里といった名所がある。

世界無名戦士廟には誰が葬られているのか。
ここから1㎞のところにある。

東武鉄道はなぜここまで線路を延ばしたのか。
未だ電化されていない八高線と交わった。

駅前に止まる車の数はタクシーをはじめ様々あったが、あたりは寂しく、歩ける範囲は狭かったが、駅前通り正面に構える古寺が町の由緒を証明するように建っていた。

坂戸に戻る列車に乗っている。
武州長瀬に着いて商店街が見えて、乗客が増えた。
そう言えば、行きは越生に着く前に乗客のあらかたは降りていた。

ここは武州、武蔵の国。
埼玉県の顔とは、大宮あたりじゃなく、本当はこのような顔なのだろう。

リュックを背負った初老のご夫婦や、単独行の男性を見かける。
風景には町も交じるが、田舎風景であることに変わりはない。

12:05 坂戸(さかど)駅(東武東上線/東武越生線 埼玉県)
まったく縁を持たず、これまでに通りもしなかった街に降りた。

冷たい風がやむと日差しを強く感じる。
冬の装いはオレにはまだ早い。

「よさこい花のまち」坂戸は、車窓からは大きく見えたけど、東武線の中核都市以上の物は持たず、繁華さもない。

次の北坂戸で大きな集合住宅が建つ様を見て、田舎度は想像以上ではないことを知った。

高坂駅に着く。
車窓の先にある風景は、これまでに何度も通ってきた関越自動車道からは見えたのだろうか。
先週八高線に乗った時にも思ったことだ。

武州の低い山並はまさに青い山脈だ。

12:53 小川町(おがわまち)駅(八高線/東武東上線 埼玉県)
駅に着く前、車窓から何かの催しで大勢の町民が集まっている光景に出くわし、下りた町はまるで観光地のようで、花水木通りは商店を従えて国道まで延び、沿道に立派な旅館や鰻屋が軒を連ねている。

関東の果てにこうした素敵な町があったことに正直驚いている。
川越街道の宿場町だったのだろう。
古くから変わらず繁栄が続いているように見える。

終着駅を思わせるが、線路はまだ続いている。
先週は気づかなったが、好きな町がひとつ増えた。

13:56 寄居(よりい)駅(八高線/東武東上線/秩父鉄道 埼玉県)
4つ目のターミナル駅で降りる。

鉢形城址をはじめ、戦国時代の読み物で慣れ親しんだ地名に接した。
関東の首都が小田原だった頃、この一帯は一大交差点だった。

当時の雰囲気を残しているように感じるが、町を歩けば衰退を思う。
商店街があったと思われる一角を通り過ぎた。
スーパーのLIFEの進出が何かを奪ったようには見えない。

雰囲気のいい山小屋風の蕎麦屋で昼食。
今朝の関東は今年一番の冷え込みで、草津では初雪を観測したとテレビじゃ言ってる。
さらに美しい月が上がった昨夜を一変させて、あのクソ天気を運んだ強風が「木枯らし1号」だったことも知った。

旧国電の青い列車がJR八高線のホームに入った。
ゴミ箱や自販機を漁る男が徘徊している。

羽生に向かう列車は空いている。
乗客にローカル色は見られない。
3人の大学生が教材を広げている。
どこの学生だろう。

この沿線での恋人との思い出は寄居に着くまでに終わっている。
この区間には夜が降りてきていて、二人は眠ってしまったから。

同じように車内のひだまりは暖かく、眠気を誘う。
不要と思っていたビールを飲んだらとても美味かった。
寄居駅の秩父鉄道ホームの売店には何だって売っていたよ。

いま新幹線高架と寄り添っている。
14:23石原駅着。

15:03 羽生(はにゅう)駅(東武伊勢崎線/秩父鉄道 埼玉県)
熊谷で大幅な入れ替えがあって、行田市を過ぎると乗客も残りわずか。
5つ目のターミナル駅に降りる。

駅前通り左手にテレビ塔。
すぐ脇に火の見櫓がある。
錆びた白い雑居ビルには日本海庄屋をはじめとした居酒屋チェーンが入り、道を挟んだ角には書店が入るビル。

どこかで見たことがあるような、ありふれた街角があった。
住み慣れた町田を出るまでに見ていた街角は、思えばどこもあんなだった。

喫茶店の幟が風に音を立てていた。

シスターが行儀よく腰かける陽だまりの列車で久喜に向かっている。

15:45 久喜(くき)駅(東北本線/東武伊勢崎線 埼玉県)
6つ目のターミナル駅には、駅の中に街がある。
スタバ、マツキヨ、ケンタッキー。

顔ぶれを見れば、新幹線停車駅かと錯覚しそうだが、近接する東北新幹線はここには止まらず、高架は駅前風景を切り裂くように横切り、高速列車が通過していく。

表に出ると市役所方面と、商店街方面へと道が放射状に延びている。
その2本の道が交わる地点にマクドナルドが店を構えている。
あのハンバーガー・ショップの位置取りはどこの街でも秀逸だ。

東武鉄道側の出口に回ると居酒屋チェーンの他に目につくものはなかった。

東武列車での旅は続いている。
埼玉、東京、神奈川と3県を跨いで、はるばる中央林間まで向かう長距離列車に乗っている。
終点に着くまでに何度客層を変えていくのだろう。

東武動物公園を過ぎると、どうやら東京圏内に入ったようだ。
はす向かい座る原色少女は、荒川を越えると見かけなくなる。

新越谷(しんこしがや)駅(東武伊勢崎線 埼玉県)にて

16:36 南越谷(みなみこしがや)駅(武蔵野線 埼玉県)
7つ目のターミナル駅、新越谷で降りて十字に交わる南越谷駅へ。

一帯は都会と言っていい。
サンシティまでは徒歩5分ほどだが、そこまで街は埋まっている。

サンシティ広場では多くの市民が憩いの時間を過ごしている。

新越谷駅は駅ビルを持ち、高所から街を見下ろしている。
スタバを持つことが都会を意味するわけじゃないが、しっかり入居している。

越谷でも正直驚いた。
かつてオレが降りた駅は北越谷だったのだろう。
その駅前には何もなく、その日の印象が越谷のすべてだった。
あれは物悲しい午後だった。

今日、越谷という街をきちんと知ることができたことには喜びを感じている。
当初の計画にはなかったことだ。

あれから越谷レイクタウン、吉川と、荒野のような一帯を過ぎたが、この東京行はとても混んでいる。
16:52新松戸着。

23:28 東京葛飾金町
関東を巡るこの秋4度目の旅だった。
その内ここ2度はそのまま新橋に向かった。

今夜は代わりに巨人×日本ハムの日本シリーズ第3戦をテレビ観戦。
6本の本塁打が飛び交う一戦だったが、決して大味ではなく、好ゲームだった。

昨夜の木枯らしに怯え、今朝の冷え込みにもまた怯えたけど、表は日差しに満ちていて寒さは感じなかった。

様々な人々を懐かしく思い出し、愛する気持ちになる旅を続けている。

知らずにいた関東があることは知っていたが、奥は深い。
オレの行動範疇に何千万人もが暮らし、過去に軍隊が行き交った交差点があり、その道が鎌倉、小田原に続いていたことを今さらながらに知る。

当時の交差点は中山道が通る高崎線沿線と思っていたが、八高線沿線がその舞台だった。

関連記事

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 金沢を後にして‐その3(R8→北陸道)小矢部、富山駅、有磯海SA

車旅日記1996年5月5日 22:15 8号国道‐小矢部 恋する女よ。 あれからオレはまだ走ってい

記事を読む

「鉄旅日記」2007年皐月 初日(東京-米子)-静岡、豊橋、本竜野、播磨新宮、佐用、東津山、米子(東海道本線/姫新線/因美線/山陰本線)【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】

鉄旅日記2007年5月3日・・・静岡駅、豊橋駅、本竜野駅、播磨新宮駅、佐用駅、東津山駅、米子駅(東海

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 最終日(魚津-東京)その2-有間川、谷浜、名立、直江津、犀潟、二本木、今井、川中島、姨捨、信濃境、すずらんの里、富士見(北陸本線/信越本線/篠ノ井線/中央本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

鉄旅日記2014年3月23日その2・・・有間川駅、谷浜駅、名立駅、直江津駅、犀潟駅、二本木駅、今井駅

記事を読む

「鉄旅日記」2003年冬 初日(宇部-博多)その2-博多の夜 【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】

鉄旅日記2003年2月15日 2003・2・15 サンシティ博多フレックス21 507号 とうとう

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その2 ‐電鉄魚津、西魚津、新魚津、魚津、高岡(富山地方鉄道本線/あいの風とやま鉄道)/魚津城跡 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月21日・・・電鉄魚津駅、西魚津駅、新魚津駅、魚津駅、高岡駅(富山地方鉄道本

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 その1-取手、土浦、勝田、阿字ヶ浦、那珂湊、日立、大津港(常磐線/茨城交通) 【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】

鉄旅日記2006年2月11日・・・取手駅、土浦駅、勝田駅、阿字ヶ浦駅、那珂湊駅、日立駅、大津港駅(常

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】その1-保谷、稲毛、都賀、四街道、久住、下総神崎、松岸、銚子(総武本線、成田線)

鉄旅日記2012年3月12日その1・・・保谷駅、稲毛駅、都賀駅、四街道駅、久住駅、下総神崎駅、松岸駅

記事を読む

「車旅日記」2000年春 最終日(郡山‐茂木‐下館‐東京)郡山スターホテル、新白河駅、黒羽くらしの館、茂木駅、下館駅、みつかいどうロードパーク、葛飾金町 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月7日 2000・5・7 8:35 郡山スターホテル510号室 最後の朝がやっ

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太多線/中央本線/東海道本線)

記事を読む

「車旅日記」1997年夏 2日目(新潟-象潟-田沢湖付近)-道の駅豊栄、道の駅加治川、道の駅朝日、道の駅鳥海、蚶満寺、道の駅西目、八津駅【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】

車旅日記1997年8月14日 1997・8・14 4:35 7号国道‐豊栄(道の駅) 出発。 友と

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわ

2021年神無月~2022年如月【SNSへの投稿より】写真をお楽しみいただけますと幸いでございます。ー下高井戸商店街、辻清人先生、紅葉の頃、金町夕景、今年も暮れゆく東京、金町睦月如月、柴又

2021年10月30日 母校を訪ねるのは卒業以来30年振りでご

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その4 ‐立小路、赤倉温泉、村山、さくらんぼ東根(陸羽東線/奥羽本線/山形新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・立小路駅、赤倉温泉駅、村山駅、さく

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その2 ‐川渡温泉、鳴子御殿湯、鳴子温泉(陸羽東線)/東鳴子温泉神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・川渡温泉駅、鳴子御殿湯駅、鳴子温泉

→もっと見る

    PAGE TOP ↑