「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その3-武蔵国で遊ぶ日。7つの交差点へ。】-越生、坂戸、小川町、寄居、羽生、久喜、新越谷、南越谷(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)
鉄旅日記2009年11月3日・・・越生駅、坂戸駅、小川町駅、寄居駅、羽生駅、久喜駅、新越谷駅、南越谷駅(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)
2009・11・3 11:27 越生(おごせ)駅(八高線/東武越生線 埼玉県)
花の町には生越梅林、山吹の里といった名所がある。
世界無名戦士廟には誰が葬られているのか。
ここから1㎞のところにある。
東武鉄道はなぜここまで線路を延ばしたのか。
未だ電化されていない八高線と交わった。
駅前に止まる車の数はタクシーをはじめ様々あったが、あたりは寂しく、歩ける範囲は狭かったが、駅前通り正面に構える古寺が町の由緒を証明するように建っていた。
坂戸に戻る列車に乗っている。
武州長瀬に着いて商店街が見えて、乗客が増えた。
そう言えば、行きは越生に着く前に乗客のあらかたは降りていた。
ここは武州、武蔵の国。
埼玉県の顔とは、大宮あたりじゃなく、本当はこのような顔なのだろう。
リュックを背負った初老のご夫婦や、単独行の男性を見かける。
風景には町も交じるが、田舎風景であることに変わりはない。
12:05 坂戸(さかど)駅(東武東上線/東武越生線 埼玉県)
まったく縁を持たず、これまでに通りもしなかった街に降りた。
冷たい風がやむと日差しを強く感じる。
冬の装いはオレにはまだ早い。
「よさこい花のまち」坂戸は、車窓からは大きく見えたけど、東武線の中核都市以上の物は持たず、繁華さもない。
次の北坂戸で大きな集合住宅が建つ様を見て、田舎度は想像以上ではないことを知った。
高坂駅に着く。
車窓の先にある風景は、これまでに何度も通ってきた関越自動車道からは見えたのだろうか。
先週八高線に乗った時にも思ったことだ。
武州の低い山並はまさに青い山脈だ。
12:53 小川町(おがわまち)駅(八高線/東武東上線 埼玉県)
駅に着く前、車窓から何かの催しで大勢の町民が集まっている光景に出くわし、下りた町はまるで観光地のようで、花水木通りは商店を従えて国道まで延び、沿道に立派な旅館や鰻屋が軒を連ねている。
関東の果てにこうした素敵な町があったことに正直驚いている。
川越街道の宿場町だったのだろう。
古くから変わらず繁栄が続いているように見える。
終着駅を思わせるが、線路はまだ続いている。
先週は気づかなったが、好きな町がひとつ増えた。
13:56 寄居(よりい)駅(八高線/東武東上線/秩父鉄道 埼玉県)
4つ目のターミナル駅で降りる。
鉢形城址をはじめ、戦国時代の読み物で慣れ親しんだ地名に接した。
関東の首都が小田原だった頃、この一帯は一大交差点だった。
当時の雰囲気を残しているように感じるが、町を歩けば衰退を思う。
商店街があったと思われる一角を通り過ぎた。
スーパーのLIFEの進出が何かを奪ったようには見えない。
雰囲気のいい山小屋風の蕎麦屋で昼食。
今朝の関東は今年一番の冷え込みで、草津では初雪を観測したとテレビじゃ言ってる。
さらに美しい月が上がった昨夜を一変させて、あのクソ天気を運んだ強風が「木枯らし1号」だったことも知った。
旧国電の青い列車がJR八高線のホームに入った。
ゴミ箱や自販機を漁る男が徘徊している。
羽生に向かう列車は空いている。
乗客にローカル色は見られない。
3人の大学生が教材を広げている。
どこの学生だろう。
この沿線での恋人との思い出は寄居に着くまでに終わっている。
この区間には夜が降りてきていて、二人は眠ってしまったから。
同じように車内のひだまりは暖かく、眠気を誘う。
不要と思っていたビールを飲んだらとても美味かった。
寄居駅の秩父鉄道ホームの売店には何だって売っていたよ。
いま新幹線高架と寄り添っている。
14:23石原駅着。
15:03 羽生(はにゅう)駅(東武伊勢崎線/秩父鉄道 埼玉県)
熊谷で大幅な入れ替えがあって、行田市を過ぎると乗客も残りわずか。
5つ目のターミナル駅に降りる。
駅前通り左手にテレビ塔。
すぐ脇に火の見櫓がある。
錆びた白い雑居ビルには日本海庄屋をはじめとした居酒屋チェーンが入り、道を挟んだ角には書店が入るビル。
どこかで見たことがあるような、ありふれた街角があった。
住み慣れた町田を出るまでに見ていた街角は、思えばどこもあんなだった。
喫茶店の幟が風に音を立てていた。
シスターが行儀よく腰かける陽だまりの列車で久喜に向かっている。
15:45 久喜(くき)駅(東北本線/東武伊勢崎線 埼玉県)
6つ目のターミナル駅には、駅の中に街がある。
スタバ、マツキヨ、ケンタッキー。
顔ぶれを見れば、新幹線停車駅かと錯覚しそうだが、近接する東北新幹線はここには止まらず、高架は駅前風景を切り裂くように横切り、高速列車が通過していく。
表に出ると市役所方面と、商店街方面へと道が放射状に延びている。
その2本の道が交わる地点にマクドナルドが店を構えている。
あのハンバーガー・ショップの位置取りはどこの街でも秀逸だ。
東武鉄道側の出口に回ると居酒屋チェーンの他に目につくものはなかった。
東武列車での旅は続いている。
埼玉、東京、神奈川と3県を跨いで、はるばる中央林間まで向かう長距離列車に乗っている。
終点に着くまでに何度客層を変えていくのだろう。
東武動物公園を過ぎると、どうやら東京圏内に入ったようだ。
はす向かい座る原色少女は、荒川を越えると見かけなくなる。
新越谷(しんこしがや)駅(東武伊勢崎線 埼玉県)にて
16:36 南越谷(みなみこしがや)駅(武蔵野線 埼玉県)
7つ目のターミナル駅、新越谷で降りて十字に交わる南越谷駅へ。
一帯は都会と言っていい。
サンシティまでは徒歩5分ほどだが、そこまで街は埋まっている。
サンシティ広場では多くの市民が憩いの時間を過ごしている。
新越谷駅は駅ビルを持ち、高所から街を見下ろしている。
スタバを持つことが都会を意味するわけじゃないが、しっかり入居している。
越谷でも正直驚いた。
かつてオレが降りた駅は北越谷だったのだろう。
その駅前には何もなく、その日の印象が越谷のすべてだった。
あれは物悲しい午後だった。
今日、越谷という街をきちんと知ることができたことには喜びを感じている。
当初の計画にはなかったことだ。
あれから越谷レイクタウン、吉川と、荒野のような一帯を過ぎたが、この東京行はとても混んでいる。
16:52新松戸着。
23:28 東京葛飾金町
関東を巡るこの秋4度目の旅だった。
その内ここ2度はそのまま新橋に向かった。
今夜は代わりに巨人×日本ハムの日本シリーズ第3戦をテレビ観戦。
6本の本塁打が飛び交う一戦だったが、決して大味ではなく、好ゲームだった。
昨夜の木枯らしに怯え、今朝の冷え込みにもまた怯えたけど、表は日差しに満ちていて寒さは感じなかった。
様々な人々を懐かしく思い出し、愛する気持ちになる旅を続けている。
知らずにいた関東があることは知っていたが、奥は深い。
オレの行動範疇に何千万人もが暮らし、過去に軍隊が行き交った交差点があり、その道が鎌倉、小田原に続いていたことを今さらながらに知る。
当時の交差点は中山道が通る高崎線沿線と思っていたが、八高線沿線がその舞台だった。
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