「鉄旅日記」2018年卯月 その1-取手、竜ケ崎、佐貫、岩間、赤塚、大洗、鹿島神宮(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】
鉄旅日記2018年4月25日・・・取手駅、竜ケ崎駅、佐貫駅、岩間駅、赤塚駅、大洗駅、鹿島神宮駅(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)
2018・4・25 6:25 取手(とりで)駅(常磐線/関東鉄道常総線 茨城県)
北松戸、北小金の古びた鉄骨の跨線橋に常磐線を感じ、我孫子の高層住宅群に目を見張った行きの車中。
今まで気づいていなかっただけで、きっと以前から我孫子はああいう一帯だったのだろう。
茨城県内を走るすべての鉄道に対して、一日限り木戸御免の「ときわ路パス」。
次の列車がくる6分の間では購入できず、取手を離れる時間が44分後ろに倒れた。
いきなりの計画の齟齬。
構わない。
利根川まで歩く。
そこは小堀の渡しというらしく、堤には海まで85kmの標注が立っている。
常磐線の長い鉄橋を写し、河川敷をぶらぶら歩きながら想うのは昨日の再会劇。
彼もオレといれば、いずれこんな景色も目にするだろう。


空は青く日差しは強い。
取手の商店街の先もまた高層住宅。

思いもかけぬ取手での時。
まさしく旅の朝だった。

7:16 竜ケ崎(りゅうがさき)駅(関東鉄道竜ヶ崎線 茨城県)
寂れた駅前から本町商店街大通りをNTTの角まで歩く。


宿屋があり、ホッピーを看板メニューに載せた大衆居酒屋があり、駅前では茨城訛りのタクシー運転手たちがボクシングの話をしている。
昭和の町並に平成の30年が残した物は見当たらず、愛しきものと再会した翌日の早朝、竜ヶ崎を歩いているオレという男を可笑しく思う。


古い家並を歩く中で、オレが失ったのは家でもあったのだと思う。
得たものは自由だと思いたい。
失ったままでいるのはたくさんだ。
例えば命を失う時、オレは安らぎを得る。
竜ヶ崎鉄道はコロッケを売りにしているようで、コロッケを突き抜いた吊革が一両丸々ぶら下がっている。
7:42 佐貫(さぬき)駅(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線 茨城県)
車内急病人の発生で遅れが発生。
車内での妊婦の出産などが報じられた昨今。
美談でもあり、はた迷惑ととらえることもできる。
表裏、陰陽。
その差は驚くほど近い。
北朝鮮の指導者の意志が平和に近いことを祈る。
人のことなど言えない。
破壊衝動ならオレにもある。
龍ヶ崎市の玄関口にあたる佐貫駅。
セントラルホテルの1階に竜ヶ崎線の改札口はある。

わずか3駅をつなぐ竜ヶ崎線。
トラブルさえなければ穏やかな鉄道風景が続く鉄路。

佐貫駅前には駅に付属する施設以外、商店飲食店の類は見当たらない。

土浦が近づいてくる。
美しい川辺を過ぎた。
土浦は街だった。
8:42 岩間(いわま)駅(常磐線 茨城県)
上り特急列車が異常な音を感知したとのことで16分の遅れ。
笠間市岩間。
牛飼いの小屋や山の気配に包まれて、関東平野が尽きる頃と知る。

昭和的な駅前風景の先に筑波山が鎮座している。
列車の遅れを心配する女子高生が所在無げに立ち尽くし、同じ高校に娘さんを通わせる仲のよい母娘が階段を上がっていく。

またしても喪失を思う。
別にそうしたくて列車に乗り込んでいるわけじゃないが、ボブ・ディランが歌うように、悲しみは果てしない。
9:01 赤塚(あかつか)駅(常磐線/水戸線 茨城県)
計画の破綻や列車の遅れがこの駅に降りることを許した。

山の気配は去り、都市の気配がして降りた駅前。
印象的な物は見られず、大宮、千葉、取手以遠の関東通勤圏ではもはや馴染みと言っていい居酒屋チェーンの出店が見られるのみ。
次の水戸で鹿島臨海鉄道に乗り換える。
9:51 大洗(おおあらい)駅(鹿島臨海鉄道 茨城県)
窓の外では水田に水が張られ、田植えが行れている。
遥かなる尊い営みが行れている。
元気がないわけじゃないが、オレにとっては「元気でいなきゃいけない」と思える光景だった。
当初の計画ではここで50分の時間をあてていた。
海岸に出て太平洋を撮って、心の支えともいえる彼女に送ることを考えていた。
でも海は遠かった。
車体にカラフルなアニメ柄が描かれた鹿島臨海鉄道。
聖地巡礼ルートがこの沿線にもあるようだ。

11:08 鹿島神宮(かしまじんぐう)駅(鹿島線/鹿島臨海鉄道 茨城県)
太平洋は見えなかったけど、北浦が見えた。
オレがこんなトラベラーじゃなければ、鹿島神宮にも寄り、水上鳥居を目指すだろう。
もうひとりのオレが名残惜しそうにしていたよ。
でもやはりオレはひとつでも多くの駅で降りて、そこにある風景を眺めたい。
この人生を止めるまではそれでいく。
もしも200も生きるのなら、晩年は神社仏閣を訪ねるよ。
まだ鉾田石岡間を走る鹿島鉄道が動いていた頃、クリスマスイブに降りた駅。
神色が施されていたと思い込んでいたけど、違った。


あれから多分オレは変わっていない。
そんなオレも来年50歳になる。
最大の別れを経験して、また恋をしている。
関連記事
-
-
「車旅日記」2004年秋 最終日(城崎-京都)走行距離256㎞-レイセニット城崎、城崎駅、豊岡駅、久美浜駅、宮津駅、西舞鶴駅、東舞鶴駅、福知山駅、京都駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】
車旅日記2004年11月21日・・・レイセニット城崎、城崎駅、豊岡駅、久美浜駅、宮津駅、西舞鶴駅、東
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線) 16:34 浪江
-
-
「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高
-
-
「鉄旅日記」2014年春 2日目(西舞鶴-魚津)その1-西舞鶴、東舞鶴、若狭高浜、小浜、上中、十村、木ノ本、余呉、高月、永原、敦賀(舞鶴線/小浜線/北陸本線/湖西線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】
鉄旅日記2014年3月22日その1・・・西舞鶴駅、東舞鶴駅、若狭高浜駅、小浜駅、上中駅、十村駅、木ノ
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その1-扇町、浅野、海芝浦、国道、大川、保土ヶ谷、東戸塚、網代、伊豆多賀、宇佐美、熱海(鶴見線、海芝浦支線、大川支線、東海道本線、伊東線) 【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】
鉄旅日記2012年4月8日その1・・・扇町駅、浅野駅、海芝浦駅、国道駅、大川駅、保土ヶ谷駅、東戸塚駅
-
-
「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎線) 18:36 水上(みな
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その4‐宮古、陸中山田、釜石(三陸鉄道リアス線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月23日・・・宮古駅、陸中山田駅、釜石駅(三陸鉄道リアス線) 16:22 宮古
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 最終日(桐生-東京)-間藤、足尾、通洞、神戸、水沼、大間々、相老、桐生、西桐生、新里、膳、大胡、江木、中央前橋、治良門橋、三枚橋、太田(わたらせ渓谷鐵道/上毛電鉄/東武伊勢崎線) 【フリー切符で行く、両毛ローカル旅】
鉄旅日記2014年12月29日・・・間藤駅、足尾駅、通洞駅、神戸駅、水沼駅、大間々駅、相老駅、桐生駅
-
-
「鉄旅日記」2014年夏 4日目(米子-呉)その1-米子、安来、来待、西出雲、弘南、温泉津、波子、浜田、石見川本(山陰本線/三江線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】
鉄旅日記2014年8月16日その1・・・米子駅、安来駅、来待駅、西出雲駅、弘南駅、温泉津駅、波子駅、
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-鬼怒川温泉)-下今市、新藤原、川治湯元、川治温泉、湯西川温泉、龍王峡、鬼怒川公園、新高徳、鬼怒川温泉(東武鬼怒川線/野岩鉄道) 【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】
鉄旅日記2014年12月6日・・・下今市駅、新藤原駅、川治湯元駅、川治温泉駅、湯西川温泉駅、龍王峡駅
