*

「鉄旅日記」2018年卯月 その1-取手、竜ケ崎、佐貫、岩間、赤塚、大洗、鹿島神宮(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月25日・・・取手駅、竜ケ崎駅、佐貫駅、岩間駅、赤塚駅、大洗駅、鹿島神宮駅(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)

2018・4・25 6:25 取手(とりで)駅(常磐線/関東鉄道常総線 茨城県)
北松戸、北小金の古びた鉄骨の跨線橋に常磐線を感じ、我孫子の高層住宅群に目を見張った行きの車中。
今まで気づいていなかっただけで、きっと以前から我孫子はああいう一帯だったのだろう。

茨城県内を走るすべての鉄道に対して、一日限り木戸御免の「ときわ路パス」。
次の列車がくる6分の間では購入できず、取手を離れる時間が44分後ろに倒れた。
いきなりの計画の齟齬。

構わない。
利根川まで歩く。

そこは小堀の渡しというらしく、堤には海まで85kmの標注が立っている。

常磐線の長い鉄橋を写し、河川敷をぶらぶら歩きながら想うのは昨日の再会劇。
彼もオレといれば、いずれこんな景色も目にするだろう。

空は青く日差しは強い。
取手の商店街の先もまた高層住宅。

思いもかけぬ取手での時。
まさしく旅の朝だった。

7:16 竜ケ崎(りゅうがさき)駅(関東鉄道竜ヶ崎線 茨城県)
寂れた駅前から本町商店街大通りをNTTの角まで歩く。

宿屋があり、ホッピーを看板メニューに載せた大衆居酒屋があり、駅前では茨城訛りのタクシー運転手たちがボクシングの話をしている。

昭和の町並に平成の30年が残した物は見当たらず、愛しきものと再会した翌日の早朝、竜ヶ崎を歩いているオレという男を可笑しく思う。

古い家並を歩く中で、オレが失ったのは家でもあったのだと思う。

得たものは自由だと思いたい。
失ったままでいるのはたくさんだ。

例えば命を失う時、オレは安らぎを得る。

竜ヶ崎鉄道はコロッケを売りにしているようで、コロッケを突き抜いた吊革が一両丸々ぶら下がっている。

7:42 佐貫(さぬき)駅(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線 茨城県)
車内急病人の発生で遅れが発生。

車内での妊婦の出産などが報じられた昨今。
美談でもあり、はた迷惑ととらえることもできる。

表裏、陰陽。
その差は驚くほど近い。
北朝鮮の指導者の意志が平和に近いことを祈る。

人のことなど言えない。
破壊衝動ならオレにもある。

龍ヶ崎市の玄関口にあたる佐貫駅。
セントラルホテルの1階に竜ヶ崎線の改札口はある。

わずか3駅をつなぐ竜ヶ崎線。
トラブルさえなければ穏やかな鉄道風景が続く鉄路。

佐貫駅前には駅に付属する施設以外、商店飲食店の類は見当たらない。

土浦が近づいてくる。
美しい川辺を過ぎた。

土浦は街だった。

8:42 岩間(いわま)駅(常磐線 茨城県)
上り特急列車が異常な音を感知したとのことで16分の遅れ。

笠間市岩間。
牛飼いの小屋や山の気配に包まれて、関東平野が尽きる頃と知る。

昭和的な駅前風景の先に筑波山が鎮座している。
列車の遅れを心配する女子高生が所在無げに立ち尽くし、同じ高校に娘さんを通わせる仲のよい母娘が階段を上がっていく。

またしても喪失を思う。
別にそうしたくて列車に乗り込んでいるわけじゃないが、ボブ・ディランが歌うように、悲しみは果てしない。

9:01 赤塚(あかつか)駅(常磐線/水戸線 茨城県)
計画の破綻や列車の遅れがこの駅に降りることを許した。

山の気配は去り、都市の気配がして降りた駅前。
印象的な物は見られず、大宮、千葉、取手以遠の関東通勤圏ではもはや馴染みと言っていい居酒屋チェーンの出店が見られるのみ。

次の水戸で鹿島臨海鉄道に乗り換える。

9:51 大洗(おおあらい)駅(鹿島臨海鉄道 茨城県)
窓の外では水田に水が張られ、田植えが行れている。
遥かなる尊い営みが行れている。

元気がないわけじゃないが、オレにとっては「元気でいなきゃいけない」と思える光景だった。

当初の計画ではここで50分の時間をあてていた。
海岸に出て太平洋を撮って、心の支えともいえる彼女に送ることを考えていた。

でも海は遠かった。

車体にカラフルなアニメ柄が描かれた鹿島臨海鉄道。
聖地巡礼ルートがこの沿線にもあるようだ。

11:08 鹿島神宮(かしまじんぐう)駅(鹿島線/鹿島臨海鉄道 茨城県)
太平洋は見えなかったけど、北浦が見えた。

オレがこんなトラベラーじゃなければ、鹿島神宮にも寄り、水上鳥居を目指すだろう。
もうひとりのオレが名残惜しそうにしていたよ。

でもやはりオレはひとつでも多くの駅で降りて、そこにある風景を眺めたい。
この人生を止めるまではそれでいく。

もしも200も生きるのなら、晩年は神社仏閣を訪ねるよ。

まだ鉾田石岡間を走る鹿島鉄道が動いていた頃、クリスマスイブに降りた駅。
神色が施されていたと思い込んでいたけど、違った。

あれから多分オレは変わっていない。
そんなオレも来年50歳になる。

最大の別れを経験して、また恋をしている。

関連記事

「鉄旅日記」2017年冬 初日(東京-会津若松)その3-七日市、塩川、姥堂、会津若松(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城 【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】

鉄旅日記2017年12月2日・・・七日市駅、塩川駅、姥堂駅、会津若松駅(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月 4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】

鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その4‐雫石、田沢湖、神代、角館(田沢湖線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・雫石駅、田沢湖駅、神代駅、角館駅(田沢湖線) 14:50

記事を読む

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】初日(東京-長井)-保谷、宮内、柏崎、小島谷、内野、関屋、早通、豊栄、佐々木、坂町、小国、羽前小松、今泉、長井(西武池袋線/上越線/信越本線/越後線/白新線/米坂線/山形鉄道)

鉄旅日記2011年11月5日・・・保谷駅、宮内駅、柏崎駅、小島谷駅、内野駅、関屋駅、早通駅、豊栄駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、みちのくひとり旅】最終日(羽後本荘-東京)-羽後本荘、古口、袖崎、天童、漆山、かみのやま温泉、山形、左沢、寒河江、長町、太子堂、南仙台、名取、館腰、船岡(羽越本線、陸羽西線、奥羽本線、左沢線、東北本線)

鉄旅日記2012年8月15日・・・羽後本荘駅、古口駅、袖崎駅、天童駅、漆山駅、かみのやま温泉駅、山形

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その2‐倶利伽羅、森本、宇野気、高松(IRいしかわ鉄道/七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月22日・・・倶利伽羅駅、森本駅、宇野気駅、高松駅(IRいしかわ鉄道/七尾線

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その2-宇治山田、東青山、青山町、名張、大和八木、大和西大寺、新大宮(山田線/大阪線/橿原線/奈良線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・宇治山田駅、東青山駅、青山町駅、名張駅、大和八木駅、大和西大寺駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その2‐鯉川、東能代、岩館、深浦(奥羽本線/五能線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月12日・・・鯉川駅、東能代駅、岩館駅、深浦駅(奥羽本線/五能線) 10:19

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-鬼怒川温泉)-下今市、新藤原、川治湯元、川治温泉、湯西川温泉、龍王峡、鬼怒川公園、新高徳、鬼怒川温泉(東武鬼怒川線/野岩鉄道) 【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】

鉄旅日記2014年12月6日・・・下今市駅、新藤原駅、川治湯元駅、川治温泉駅、湯西川温泉駅、龍王峡駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

→もっと見る

    PAGE TOP ↑