「鉄旅日記」2017年秋【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】その2-和田塚、由比ヶ浜、長谷、鎌倉大仏殿高徳院、極楽寺、稲村ケ崎、七里ヶ浜、鎌倉高校前(江ノ島電鉄)
鉄旅日記2017年11月12日・・・和田塚駅、由比ヶ浜駅、長谷駅、極楽寺駅、稲村ケ崎駅、七里ヶ浜駅、鎌倉高校前駅(江ノ島電鉄)
13:32 和田塚(わだづか)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
列車を降りれば静寂の中へ。
鎌倉幕府軍に滅ぼされた和田義盛をはじめとする一族を偲ぶために降りたが、和田塚を示すものは駅地図には見当たらず、鉄砲の時代にはまだ遠い和田合戦を想う。
義経に従って平家を西海に滅ぼした有力御家人。
和田一族に続き、比企、畠山、梶原、やがて三浦と、次々と北条一族に滅ぼされる。
1000年前に、生き死にと鎌倉の天下を賭けた鎌倉市街戦を想う。
13:47 由比ヶ浜(ゆひがはま)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
馴染みの地名だ。
湘南海岸との関係が近かった頃は友人との会話にもよく登場したものだ。
実際に浜に下りたことはない。
そして134号国道はいつも渋滞中だった。
人を集めるような何事かを周囲に見つけることはできず、和田塚についでここにも商店コンビニの類いはないが、列車が近づくとどこからともなく人がやってきてホームが埋まる。
なかなか不思議な路線だ。
14:19 長谷(はせ)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
大仏参拝の列に加わる。
車道も歩道も狭く、混雑した一画の国際色はとても豊かだ。
しかし鎌倉とはいつからこんな街になったのか。
別に構わないが、しばらく足が遠のきそうだ。
おそらく40年ほど前に大仏を拝んでいるはずだが、これも記憶にはなく、遥かに見上げ、見つめ拝んだ大仏様は慈愛に満ちた優しい顔をしていた。
大切な人の無事と世界の平和。
それ以外にも複雑なものを抱えているが、その二つが一番大事だったのだろう。
こんなところにでも来なければ、自分の本心すら見失いそうな日常を生きていることを知る。
鎌倉大仏殿高徳院(かまくらだいぶつでんこうとくいん)にて
14:36 極楽寺(ごくらくじ)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
弘法大師様の額の前で手を合わせる。
拝むことは大仏様を前にした時と同じ。
日常様々なことを考えざるをえないが、その中にはとても悲しいものも含まれる。
それでも人は逃れられない定めに抗いきれず流される。
そんな経験をいくつかしてきた。
宿命の前に祈りは効力を発揮するのか。
この静かな里でそんなことを考えることとなった48年目の人生。
是非を今は問わないが、宿命と祈りをこれから往き来する。
鎌倉行の列車が去り、駅周辺がようやく望むような静かな場所になったけど束の間だ。
少し前に小泉今日子さん、中井貴一さん主演ドラマの舞台にもなった駅。
あの駅も実際のこの駅も浮世離れしていて、暮らしたいとは思わないが、また来たいとは思う。
極楽寺(ごくらくじ)にて
15:14 稲村ヶ崎(いなむらがさき)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
太陽は神々しく、湘南海岸は美しい。
あの場所には、かつていたことがある。
砂浜が狭くなっていたように感じたのは気のせいか。
波は岸壁近くまで打ち寄せ、ビーチは湿っていた。
自撮りをしたのはSNSに上げるため。
今年オレはそんな男にもなった。
ワルくない変化だと受け止めている。
新田義貞伝説の地には確か足を踏み入れたことがある。
緑の小高い場所に人の姿が彩りを添えていた。
彼は英雄で、滅びた北条一族への思慕を伝えるものはどうやらない。
鎌倉は滅びることもなく、その後戦場になる不運もなく、前述のとおり国際的観光都市の栄誉を得ている。
稲村ケ崎(いなむらがさき)にて
15:41 七里ヶ浜(しちりがはま)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
思い出の場所はこっちだった。
あの日、稲村ヶ崎から二人で歩いてここまできた。
冬に向かう海を前にして集まった人々は一様に幸福そうな表情を浮かべ、江の島を背景にスマホを向けている。
オレが見ている江の島はだんだん大きくなってきたけど、スマホが見つめる江の島は相変わらず小さいままだ。
七里ヶ浜(しちりがはま)にて
15:50 鎌倉高校前(かまくらこうこうまえ)駅(江ノ島電鉄 神奈川県)
江の島が近くなってきた。
134号国道に面した海辺の駅。
多くのドラマにこの駅は登場する。
オレもここにいたことがあるし、車寅次郎も甥の光男といたことがある。
寅次郎は年若い甥に人生においてとても大切なことを伝え、若者は泣いた。
二人はここで分かれ、美しい海辺の風景と余韻が残った。
ここでは必ずそういうものが残る。
遥々ここまでやってきた外国勢にも感じてほしいと思う。
関連記事
-
「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】3日目(小樽-富良野)その1-小樽、発寒中央、琴似、石狩当別、石狩月形、新十津川、滝川、茶志内、美唄(函館本線/学園都市線)
鉄旅日記2016年8月12日・・・小樽駅、発寒中央駅、琴似駅、石狩当別駅、石狩月形駅、新十津川駅、滝
-
「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】2日目(倉敷-和田山)その2-郡家、若桜、智頭、京口、福崎、寺前、和田山(因美線/智頭急行/播但線)
鉄旅日記2009年11月22日・・・郡家駅、若桜駅、智頭駅、京口駅、福崎駅、寺前駅(因美線/智頭急行
-
「車旅日記」1998年夏【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】最終日(志賀高原湯田中-中込-東京)-湯田中、菅平湖、中込ローソン、竜王駅、道の駅甲斐大和、藤野駅、東京町田
車旅日記1998年7月20日 1998・7・20 7:25 湯田中‐某クラブ志賀高原 486㎞
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線)
鉄旅日記2016年3月20日その2・・・金田一温泉駅、斗米駅、二戸駅、好摩駅、いわて沼宮内駅、厨川駅
-
「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線)
鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】初日(東京-多治見)その4-古虎渓、釜戸、美乃坂本、多治見(中央本線)
鉄旅日記2019年3月23日・・・古虎渓駅、釜戸駅、美乃坂本駅、多治見駅(中央本線) 18:23 古
-
「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】最終日(和田山-東京)その1-和田山、福知山、丹波竹田、石生、篠山口、三田、神鉄三田、宝塚、阪急宝塚、川西池田、川西能勢口、伊丹、阪急伊丹(山陰本線/福知山線)
鉄旅日記2009年11月23日・・・和田山駅、福知山駅、丹波竹田駅、石生駅、篠山口駅、三田駅、神鉄三
-
「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その1-松戸、北松戸、馬橋、萬満寺、流山、近藤勇陣屋跡、小金城趾、幸谷、新松戸、北小金、南柏、北柏、我孫子(常磐線/流鉄流山線)
鉄旅日記2018年9月22日・・・松戸駅、北松戸駅、馬橋駅、流山駅、小金城趾駅、幸谷駅、新松戸駅、北
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】最終日(宮古-東京)その2‐陸前赤崎、大船渡、気仙沼、一ノ関(三陸鉄道リアス線/大船渡線)
鉄旅日記2019年9月23日・・・陸前赤崎駅、大船渡駅、気仙沼駅、一ノ関駅(三陸鉄道リアス線/大船渡
-
「鉄旅日記」2015年春【浜名湖周辺で遊ぶ一日】その1-掛川、掛川市役所前、西掛川、天竜二俣、西気賀、寸座、浜名湖佐久米、三ケ日、新所原(天竜浜名湖鉄道)
鉄旅日記2015年3月28日その1・・・掛川駅、掛川市役所前駅、西掛川駅、天竜二俣駅、西気賀駅、寸座