「鉄旅日記」2021年夏 初日(東京-上田)その2 ‐湯檜曽、水上、越後湯沢、六日町(上越線/北越急行ほくほく線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】
鉄旅日記2021年7月10日・・・湯檜曽駅、水上駅、越後湯沢駅、六日町駅(上越線/北越急行ほくほく線)
8:47 湯檜曽(ゆびそ)駅(上越線 群馬県)
トンネル内の下りホームは冷気に包まれていた。寒い。まさに寒い。
水上側には深山が覗き、土合側には青信号が光る。


上りホーム、出口へとつながる長い通路もまた氷室のよう。

外に出て歩き始めれば蝉の第一声。梅雨に閉じ込められていたけど、上州でひと足早い夏を感じた。

下りホームに未練がある。水上側に向かって歩きだすと足元にひとつまみの黒い影。見るとそれはクワガタムシで、緩慢に手足を動かしている。やり過ごしてホームの端を見定めて戻ると、まだ同じ場所で緩慢な動きを繰り返していた。
下りホームを去る時、何かが鳴いた。注意を払わなかったが、2、3歩進むと気になって、また水上側に目を向けた。
あのクワガタムシが鳴いたのかと思ったんだ。
上りホームは地上にあり、階段を上がるとほどなくして列車の到着。

9:43 水上(みなかみ)駅(上越線 群馬県)
湯檜曽で1時間は過ごせず、8:47の上りで水上に戻る。長いトンネルを抜けてきた列車の窓は水滴で曇っていた。
2009年に歩いた道はすべてが廃れていた。駅前を除いて通りに面した店もホテルも閉まり、切ない風景にこの12年の中に過ぎた時代を想う。
川辺の遊歩道も歩く人はまれなのだろう。夏草に覆われた道は整備の対照から外れて荒廃に任せている。
恋人と初めて一夜を共にした思い出のホテルが対岸に見える。それを写す腕にトンボが休んだ。そんなトンボを愛でた。

ビールが飲みたくて駅前の土産物屋へ。でも置いてない。だけどご親切に酒屋の場所を教えていただいた。
そこへ行くとSL広場があり、向かいの酒屋では温厚篤実を人の姿で現したようなご主人が座っておられた。

昨夜までの雨は関東のどこでも上がったようで、互いの経験から「今日は暑くなりますね」と言葉を交わした。
つまみが欲しくて先の土産物屋に再度寄った。購入したのは下仁田ネギ味のポテチ。健康のために控えていたが、それしかなければ他に礼を伝える術を思いつけない。
10:28 越後湯沢(えちごゆざわ)駅(上越新幹線/上越線/北越急行ほくほく線 新潟県)
12分の停車。

ボックス席では酒が必要。補充のために改札を抜ける。
様々な思い出が残る越後湯沢。最初の恋人との最後の幸せな朝があり、共にスキーで訪れた人々はいちいち思い出せない。
ひとりではいなかった場所。
そしてそれからは普段過ごしている東京の様々な町のように、いつも越後湯沢を通りすぎる。
そんな遠くの町もまた、この駅の他にはすぐには思いつかない。
10:55 六日町(むいかまち)駅(上越線/北越急行ほくほく線 新潟県)
関東の晴れは上越トンネルの先へは伝わらず、予報通りの曇り空。雲は湧き、店頭の幟が風にはためいている。
北越急行の始発駅は六日町。車寅次郎もかつてはここで降りている。

北陸新幹線開通前は、福井までの直通特急を走らせていたこの線区も、今じゃ時代に埋もれそうに思うが、そんな余所者の感傷に動じることなく、ほくほく線は専用高架線を高速で移動している。
関連記事
-
-
「車旅日記」2006年皐月 最終日(安達-東京葛飾)-あだち、二本松駅、磐城石川駅、はなわ、常陸太田駅、大洗駅、潮来駅、十二橋駅、佐原駅、東京葛飾【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月7日・・・道の駅あだち、二本松駅、磐城石川駅、道の駅はなわ、常陸太田駅、大洗駅
-
-
「鉄旅日記」2016年夏 4日目(富良野-大館)その1-富良野、滝川、岩見沢、白石、新札幌、北広島、恵庭、千歳、新千歳空港(根室本線/函館本線/千歳線/石勝線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月13日・・・富良野駅、滝川駅、岩見沢駅、白石駅、新札幌駅、北広島駅、恵庭駅、千
-
-
「鉄旅日記」2018年卯月 その1-取手、竜ケ崎、佐貫、岩間、赤塚、大洗、鹿島神宮(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】
鉄旅日記2018年4月25日・・・取手駅、竜ケ崎駅、佐貫駅、岩間駅、赤塚駅、大洗駅、鹿島神宮駅(常磐
-
-
「車旅日記」1998年夏 初日(東京-伊那-木曽)-東京町田、相模湖駅、鳥沢駅、道の駅甲斐大和、勝沼、長坂、伊那市駅、道の駅日義 木曽駒高原 【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】
車旅日記1998年7月18日 1998・7・18 12:48 東京町田 久しぶりに空がよく晴れてい
-
-
「車旅日記」1997年梅雨明け【疲れきっていた若き日々。またしても向かうのは北でございました。】(東京-鳴子温泉-東京)2日目~最終日-いわき久ノ浜パーキング、亘理、名取、松山町、鳴子サンハイツ、町田
車旅日記1997年7月20日 7:03 6号国道‐いわき久ノ浜パーキング 太陽光線で目が覚める。
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その2-新開地、湊川、鈴蘭台、三木上の丸、三木城址、三木、粟生、神鉄三田、ウッディタウン中央、横山、有馬口、有馬温泉、鵯越(神戸電鉄有馬線/粟生線/三田線/公園都市線) 【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月13日・・・新開地駅、湊川駅、鈴蘭台駅、三木上の丸駅、三木駅、粟生駅、神鉄三田
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母駅、常永駅(身延線) 1
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その6‐三国港、田原町、福井駅(えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月22日・・・三国港駅、田原町駅、福井駅電停(えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その1 ‐金町、東京、黒部宇奈月温泉、新黒部(常磐線/北陸新幹線/富山地方鉄道本線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月21日・・・金町駅、東京駅、黒部宇奈月温泉駅、新黒部駅(常磐線/北陸新幹線
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その3-三河田原、新豊橋、豊橋、東静岡、沼津(豊橋鉄道渥美線/東海道本線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月24日・・・三河田原駅、新豊橋駅、豊橋駅、東静岡駅、沼津駅(豊橋鉄道渥美線/
