「鉄旅日記」2008年皐月 3日目(柳井-徳島)-柳井、大畠、西条、岡山、高松、高松築港、オレンジタウン、引田、池谷、鳴門、徳島(山陽本線/本四備讃線/高徳本線/鳴門線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】
鉄旅日記2008年5月4日・・・柳井駅、大畠駅、西条駅、岡山駅、高松駅、高松築港駅、オレンジタウン駅、引田駅、池谷駅、鳴門駅、徳島駅(山陽本線/本四備讃線/高徳本線/鳴門線)
2008・5・4 8:55 柳井(やない)駅(山陽本線 山口県)
麗都路通りから柳井川を渡ると白壁の街並。
元禄時代を偲ばせると案内にはある。
甘露醤油の蔵があり、食い物屋は見かけない。
街並を守るとは、つまりそういうことなのだろう。
鉄道唱歌にも醤油の街、柳井津の風情が歌われているという。
小路に記された松本清張の柳井評に目を通し、こじんまりとした歓楽街へ。
昨日の出雲に比べればその規模はとても小さい。
かつての商都の賑わいは去ったのか、あるいはまだ残しているのか。
広い駅構内で糸崎行を待った。
背後で鳩が唸っていた。
長州娘が美しい。
そしてこの街にもうすぐ全日本プロレスがやってくる。
街に貼られたポスターに、強そうな外人レスラーの顔はなかった。
9:36 大畠(おおばたけ)駅(山陽本線 山口県)
柳井市大畠。
周防大島へと渡す巨大な大島大橋を車窓から眺めて、衝動的に降りた。
瀬戸内にはこうした風景があふれているのかもしれない。
在りし日の瀬戸内での記憶も蘇る。
そう言えば、瀬戸内はいつも晴れていた。
大島大橋を渡ることはないが、数時間後に日本最大の橋を渡って四国へ行く。
釣りの町、大畠。
港町にはいつも惹かれる。
車通りも多く、列車を待つ人も多い。
駅前には観光地で感じるような活気がある。
11:54 西条(さいじょう)駅(山陽本線 広島県)
大畠ですでに満席の白市行は徐々に乗客を増やし、岩国へ。
瀬戸内の海が見渡せる最上級の区間だった。
宮島口で座れたが、広島が近づくにつれて車内は東京のようになった。
そして広島で捌け、外国人観光客が乗ってくる。
彼女たちは今オレの目の前に座っている。
かつて寄った瀬野駅周辺も変わっていなかった。
あのモノレールも営業を続けている。
この駅で乗り換え。
時間は少ない。
駅弁でもと思ったが、販売はない。
歩いてみたい街ではあったが、すぐに戻る。
広々とした駅前で、広島以来に見る街だった。
三原に着けば瀬戸内海と再会する。
14:12 岡山(おかやま)駅(山陽新幹線/山陽本線/赤穂線/津山線/吉備線/伯備線/宇野線/本四備讃線 岡山県)
さっきの外国人の女性二人組は尾道で降りた。
安芸路は長く、福山で快速列車に乗り換える。
通り過ぎた笠岡はよさそうな街だった。
これからうどんの国へ。
高松とは、岡山から案外近い。
15:34 高松(たかまつ)駅(予讃本線/高徳本線/本四備讃線 香川県)
瀬戸大橋は素晴らしい。
おそらくあれほど雄大な眺めは世界を見渡してもそうはないのだろう。
高松駅は終着駅の構造で、ここを通る列車はすべてここが終点となる。
連休中ということもあって街は混んでいる。
結構な人の数だ。
連絡船は絶えたとはいえ、高松は本州との連絡路の役割を失っていない。
駅ではひっきりなしに「瀬戸の花嫁」のメロディが聞こえてくる。
15:12 高松築港(たかまつちっこう)駅(琴平電鉄琴平線 香川県)にて
16:23 オレンジタウン駅(高徳本線 香川県)
高松を出た高徳本線は鈍い陽射しの中を屋島、志度を過ぎて、カタカナの駅名に似つかわしくない田舎駅で特急の通過待ちをしている。
高松から乗ってきた客は大方がすでに降りているようだ。
かつて街道から眺めた単線の上を徳島に向かっている。
香川県の主要な街は過ぎた。
この後、徳島まで街はない。
17:28 引田(ひけた)駅(高徳本線 香川県)
古い街並通りというのがある。
旧引田郵便局は喫茶店として生まれ変わっていたが、残念なことに客の姿はなく、オレも客になる時間は持たなかった。
奥では旧家を開放して地元の工芸品なんかを売っている。
あたりには醤油の甘い香りが立ち込めていた。
四国上陸とともに疲れを覚えたが、復活はしたよ。
岡山で大慌てで大盛うどんを詰め込んだせいかもしれない。
讃岐の海が見えた。
18:17 池谷(いけのたに)駅(高徳本線/鳴門線 徳島県)
かつて屋島に向かう義経も越えたであろう大坂峠を、高徳本線もディーゼル音を響かせながら越えていく。
そして徳島県に入った。
四国霊場への巡礼者の姿がある。
ここは鳴門線との分岐駅。
ホームは高徳本線とは別の場所にあり、その中央に駅舎があり、ホームへ上がる階段の手前に何事か刻まれた石碑が立っている。
心地いい風が吹き、空が広い。
18:49 鳴門(なると)駅(鳴門線 徳島県)
南の街に着いた。
時間がなかった。
すぐに引き返した。
それを逃すと、徳島に向かう列車は21時台までない。
22:10 東横イン徳島眉山口1016号
さしたる感慨もなく徳島に降りた。
改札口のムコウは知っている。
駅構内は古ぼけていた。
吉野川を渡って、市内。
ずっと旅を続けてきたのだ。
そう思ったよ。
かつて阿波踊りの最中に訪ねた在りし日の喧騒は、今日の徳島にはない。
眉山口まで歩く途中にすれ違った者はいなかった。
店を探した。
繁華街は眉山から少し離れたところにあった。
あの山は聖山なのだろう。
俗なものは自ずから遠ざかったのだろう。
人通りは多くなかった。
やけに焼鳥屋が多い。
そうした赤提灯をくぐり、東京ヤクルト×巨人を見ながら過ごした。
阪神ファンの老夫婦が営んでいる店で、地元客が3人。
居心地はよく、人情もいい。
今夜も愛すべき街に着いた。
この国はきっと素晴らしい。
ホテルの阿波娘は南国風で、笑顔が素敵だった。
明日は徳島と高知を結ぶ遠大な計画が、室戸岬の手前で頓挫した地点までいく。
そこで何を感じるのか知らないが、計画がいつの日か実現するといい。
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