「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その6 ‐向河原、津田山、久地、宿河原、中野島、稲城長沼、府中本町(南武線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・向河原駅、津田山駅、久地駅、宿河原駅、中野島駅、稲城長沼駅、府中本町駅(南武線)
17:15 向河原(むかいがわら)駅(南武線 神奈川県)
場違いのようなNECの巨大ビル。社員用の専用改札口が下りホームには設けられている。武蔵小杉の肥大化の一環とも言えるのだろうか。
駅前は狭く、商店街も小振りになってきた。


いや、事情は違った。前身の南武鉄道時代の1940年から国有化されて南武線になるまでの4年間、日本電気前駅という名称だったとのこと。つまり80年以上前から、姿は変われどNECはここにある。
次の武蔵小杉で降りる人々が多いかと思いきや、乗る方が圧倒的に多い。
そして南武線は地面を離れた。
17:32 津田山(つだやま)駅(南武線 神奈川県)
じきに日が暮れる。次の久地に着く頃が日没にあたるだろう。南武線はすでに地面に戻っている。
特に何があるわけでもない駅前。駅舎は建て変わり、人の気配が希薄になってきた。

1941年の開業時には日本ヒューム管前停留所という名称だったとのこと。現在の日本ヒューム㈱川崎工場が当時あったが、閉鎖されたその跡地は広大なもので、様々に利用されている。
17:41 久地(くじ)駅(南武線 神奈川県)
夕暮れの駅に人の姿がまれになってきた。
しばらく同じ姿を保っているであろう小さな駅。駅を出るとすぐに踏切がある。矢向、平間もそうだった。


駅にまつわる空間とはそうしたもの。夕暮れの灯があたたかい。
1927年の開業時には久地梅林停留所。
徳川吉宗の時代を発端とする梅林があり観光名所にもなったが、戦後の諸事情により現在は同じ敷地内にわずかに残るのみとのこと。
多摩川の川原で採取した砂利を運搬するのを目的として敷かれた前身の南武鉄道。次の宿河原駅との間に宿河原不動駅があったが、1944年の戦時買収により廃駅になっている。
17:46 宿河原(しゅくがわら)駅(南武線 神奈川県)
戦前には多摩川の河原まで砂利運搬線が伸びており、同時期に小田急線の向ヶ丘遊園駅まで連絡線がつながっていた。
南武線に限った話じゃないが、沿線には埋もれた歴史がまさに無尽蔵のようにあるのだろう。
向ヶ丘遊園開園は1927年。それほどの歴史を持つものだとは知らなかった。閉園は2002年。向ヶ丘遊園駅から伸びていたモノレールも撤去されて、そもそも希薄になっている記憶を掘り起こすことは簡単じゃない。でも楽しい思い出がある。若かりし頃の再現しようもない思い出。
古い友人が今もこの近くに暮らしているはずだ。彼は30数年そうしている。ずいぶんと腹の座った男で、今じゃ変わり者とも言える。しばらく会っていない。
あの部屋には何度か泊めてもらったよ。そのたびに駅を利用したが、駅も駅前も覚えていなかった。小さな駅。それだけは覚えていた。

駅前には飲み屋が数軒ある。

オレもまたひとりになったから、また飲む機会もあるだろう。若かった二人も今じゃ五十路。まるで冗談だ。
18:01 中野島(なかのしま)駅(南武線 神奈川県)
古い友人なら何人もいる。もっともほとんど会っていないし、もう会うこともないだろう。
その中にここから通っていた1年先輩の女性がいる。新宿で朝まで飲んで、彼女は登戸で降りた。その際におそらく互いに甘い思いが交差した。名前も覚えているよ。
中野島で降りた理由。つまりなんだろう。

駅前に踏切がある、昔からある小さな駅に降りた。


18:13 稲城長沼(いなぎながぬま)駅(南武線 東京都)
中野島を出ると再びの高架。乗った列車が稲城長沼行きだったことから降りる。滞在6分。
高架下には何やらあたたかな灯り。屋台でもあれば寄りたいが、そうした類いじゃない。

駅前は空地で、駅が闇に浮かぶかのよう。

ここにも縁はあった。大事な縁だった。でもなくしてしまった。
あれからもう4年になる。
18:25 府中本町(ふちゅうほんまち)駅(南武線/武蔵野線 東京都)
大切な縁はここにもあった。それは30年前になる。
恋人が住んでいた。部屋の鍵はオレのキーホルダーにもつながれ、直接町田に帰る時は府中本町を使った。
府中駅を通り、大国魂神社を抜けて坂を上がる。何度か歩いたよ。
駅前には当時から何もない。駅舎内には「駅そば」にNewDays。

改札を出ると三日月。そして大国魂神社の大鳥居が白く浮かんでいた。

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