*

「鉄旅日記」2008年初夏 最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/06/11 旅話, 旅話 2008年

鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜松駅、熱海駅(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)

2008・7・21 8:11 松阪(まつさか)駅(紀勢本線/参宮線/近鉄山田線 三重県)
鳥羽へは近鉄で行く。

賢島行がやってくる。

部活の子供たちが乗降する。
若者の心配などいらない。
こうして自分と闘う子供が育っている。
列車内での風景として好むものだ。

伊勢方面に向かう者はごくわずかで、駅に用を持つ者はたいていが名古屋方面のホームにいる。
あるいは大阪か。

この線は名張、桜井、大和八木を通って上本町までいく大阪線へとつながるようだ。
JRで行くよりもはるかに大阪が近い。
本数も多い。
車内にもローカル線が持つ独特な雰囲気はない。

2年前の紀伊半島を思い出す。
あの頃から彼女に惚れていて、今よりもまだうまくやっていた。
雨の多い旅だった。

彼女の気持ちは当時も分からず、今も分からない。

伊勢で酒を購入して彼女に会いに行こう。

あれからもうひと月になる。

9:31 鳥羽(とば)駅(参宮線/近鉄鳥羽線/近鉄志摩線 三重県)
今日は鈍い青空。
ケータイのカメラは青を感じていない。

ミキモトの総本山、真珠の街。
風景には見覚えがある。

あの時はJRや近鉄は、オレの中で意味を持っていなかった。

鳥羽湾を眺める。
この駅が海に面していたという記憶は削がれていた分、新鮮な気持ちでいられた。

どれくらいそうしていたのか。
満ち足りた時間だった。

あんな気分になりたくて、生きて、またここまできた。

土産物屋のお姉さんと親しく話した。
気分よくあれこれ買い込んだ。

「気ぃつけて。お元気で。」と見送ってくれる。
人情のいい終着駅だった。

近鉄はまだこの先も延びている。
そっちにも行きたいが、いずれまた。

長く生きられるのなら、そのうちまた。

幸せな気持ちでいる。

彼女に会いたくて。

11:11 伊勢市(いせし)駅(参宮線/近鉄山田線 三重県)
お伊勢さんのお守りを買いに降りた。


恋人と彼女に。
想いに甲乙をつけたくない。

好きな色のを二つ買ったよ。
きっとオレの想いに神が宿るだろう。

オレの想いが成就することは頼んでいない。

2人が健康で、幸せであればそれでいい。
「最強の神様が君の味方についたよ」と言って、二人に渡すさ。

伊勢神宮外宮へ。

かつて散々迷ったあたりをよく覚えていたよ。
駅から参道を歩く道すがら、ロッド・スチュワートの「胸につのる想い」を口ずさんでいた。


宇治山田駅に寄った。

威厳のある立派な駅舎は健在で、便所では心許なげな外人を見かけた。
彼はティッシュの自販機に興味を示していた。

明倫商店街へ。

よかった。
あの頃のままだ。

伊勢に行くことを決めると、真っ先に浮かんだのがそこだった。

当時は時代に取り残された一角のように見受けたけど、今の感じ方は違う。
これこそが伊勢なのだろう。

あの日にこの片隅で笑い転げていた少女たちも大人になっている。
そして今も友達でいられるのなら、とても素敵なことだ。

宮川を渡る。

2年前の旅で車から眺めた風景が蘇る。
あの川辺に人々は出ていた。

いろいろなものがつながった。

田園地帯を往く参宮線に旅情を感じたあの日。
オレは今その列車に乗っている。

多気に着くと大勢乗り込んできた。
運動をやっている少年少女にどうしても目がいく。

去年の宇治山田商業の甲子園での健闘。
優勝校の佐賀北との延長再試合は忘れていない。

11:46徳和駅着。
たくましい足をした二人の少女と、イケメン少年が二人降りていった。

12:39 亀山(かめやま)駅(紀勢本線/関西本線 三重県)
紀勢本線最終路線では、松阪と津で多くの乗降があった。

亀山まで乗ってきた者は多くない。

これから名古屋まで約70分。
関西本線とのターミナル駅の亀山のかつての姿を知る由もないが、駅弁も「駅そば」もない。

駅を出ると大鳥居が迎えてくれるが、商店はごくわずか。
食堂も見えるが、営業しているかどうか判別がつかない。

時代は、ここをはじめ多くの町を一度見捨てたが、細々とでも生き残っている町も多くある。

人間世界などいい加減なもので、昨今は原油高で、いずれ枯渇する。

また時代が振り向くこともあるかもしれないよ。

14:24 名古屋(なごや)駅(東海道新幹線/東海道本線/中央本線/関西本線/名古屋臨海高速鉄道/名古屋市営地下鉄桜通線/名古屋市営地下鉄東山線 愛知県)
関西本線に乗ったのは去年の2月。
亀山からの車窓風景をよく覚えていたよ。

鉄でできた風景の先に揖斐川、長良川、木曽川を渡る。

大名古屋温泉という名古屋らしいセンスに微笑む。

15:25 豊橋(とよはし)駅(東海道新幹線/東海道本線/飯田線/名鉄本線 愛知県)
目が覚めたのは蒲郡の手前。
三河湾は目に収めた。

この先の道中も長いけど、ずいぶんと帰ってきたような気分にさせてくれる。

豊橋はオレにとってそういう距離感を持つ街になった。

16:10 浜松(はままつ)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
横に座っていた女性の優しい香りに気をよくしながら浜松へ。

次に乗るのは熱海行。

亀山からは5度の乗り継ぎで東京に着く。

18:50 熱海(あたみ)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊東線 静岡県)
戻ってきた。
明らかにそんな気分でいる。

靴擦れによる痛みがひどい。

「駅そば」は売り切れとのこと。
仕方がない。
飯は家で。

伊豆方面をはじめ、この連休の人出は多かったようで、たくさんの乗客に囲まれている。

これじゃビールは飲めない。

24:43 東京葛飾金町
足の痛みは明日になれば忘れるだろう。
心配ない。

それにしても東京は暑い。
関西じゃ暑い中でも涼しさを運んでくれた風が吹かない。

仕方がない。
これが東京。

恋人に帰京挨拶の長いメールを送る。

元気を出せ。
オレは元気だ。
これからはお伊勢さんがついてる。

この3日間で腕が細くなったように感じている。
明日から元に戻していこう。

そして彼女に会いにいこう。

関連記事

「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その1-鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月14日・・・鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その2-宇美、西戸崎、香椎、福間、赤間、折尾、若松(鹿児島本線/香椎線/筑豊本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

鉄旅日記2009年9月22日・・・宇美駅、西戸崎駅、香椎駅、福間駅、赤間駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その3‐諫早、松原、千綿(大村線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、松原駅、千綿駅(大村線) 11:37 

記事を読む

「車旅日記」2000年春 2日目(新潟豊栄‐象潟)道の駅豊栄、道の駅神林、瀬波温泉龍泉、道の駅温海、立岩海底温泉、酒田南郊、象潟駅、象潟松籟館 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月4日 2000・5・4 8:09 7号国道-豊栄(道の駅) 路上で夜を明かす

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 3日目(大分-佐賀)その1-大分、中判田、豊後竹田、宮地、肥後大津、水前寺、辛島町、熊電上熊本、上熊本(豊肥本線/熊本市電) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

鉄旅日記2009年9月20日・・・大分駅、中判田駅、豊後竹田駅、宮地駅、肥後大津駅、水前寺駅、辛島町

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その1‐肥前鹿島、肥前大浦、長里、湯江(長崎本線)/鹿島城跡 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前鹿島駅、肥前大浦駅、長里駅、湯江駅(長崎本線)/鹿島城跡

記事を読む

「鉄旅日記」2018年卯月 その1-取手、竜ケ崎、佐貫、岩間、赤塚、大洗、鹿島神宮(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月25日・・・取手駅、竜ケ崎駅、佐貫駅、岩間駅、赤塚駅、大洗駅、鹿島神宮駅(常磐

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 2日目(琵琶湖志賀-福山)桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記2000年8月13日・・・桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 2000・8・

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その3 ‐坂本比叡山口、びわ湖浜大津、大津(京阪石山坂本線/東海道本線)/大津港 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・坂本比叡山口駅、びわ湖浜大津駅、大津駅(京阪石山坂本線/東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その2‐水戸、いわき、原ノ町、鹿島(常磐線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月4日・・・水戸駅、いわき駅、原ノ町駅、鹿島駅(常磐線) 7:40 水戸(みと

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑