*

「鉄旅日記」2014年夏 3日目(鳥取-米子)その2-電鉄出雲市、川跡、旧大社駅、出雲大社前、雲州平田、松江しんじ湖温泉、松江、乃木、東松江、玉造温泉、揖屋、荒島、米子(一畑電車北松江線/一畑電車大社線/山陰本線)【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/05 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年8月15日その2・・・電鉄出雲市駅、川跡駅、旧大社駅、出雲大社前駅、雲州平田駅、松江しんじ湖温泉駅、松江駅、乃木駅、東松江駅、玉造温泉駅、揖屋駅、荒島駅、米子駅(一畑電車北松江線/一畑電車大社線/山陰本線)

15:09 電鉄出雲市(でんてついずもし)駅(一畑電車北松江線 島根県)
宍道から山陰本線で出雲市駅へ。

一畑電車に乗る。
木次に着くまでは考えてもいなかった。
これこそ旅だ。

出雲市駅前は賑わっていた。
以前に比べていろんなものが駅前に出現したように感じたのは、人出が多くなる午後の時間帯だったからだろうか。

電鉄駅の装いは新しく、一畑電車の一日フリー切符はうちわだった。
粋な図らいだ。それに金もかかっている。

15:21 川跡(かわと)駅(一畑電車北松江線/一畑電車大社線 島根県)
大社線への乗り換え時間はごく僅か。
一畑電車の小さなターミナル駅を写真に収めて駅を離れる。
すでに出雲大社前行は発射準備を終えている。

車内案内を務めるYさんはとても親切だ。
たくさんの鳥居が連なるあそこがカメラスポットだと案内を聞きながら、出雲ドームを眺める。
出雲ドームは山陰本線からも見ることができる。

言ってみれば田舎の変哲のない風景をぼんやりと眺めている。

旧大社(たいしゃ)駅(旧大社線 島根県)にて

15:58 出雲大社前(いずもたいしゃまえ)駅(一畑電車大社線 島根県)
出雲大社には参詣せず、旧大社駅への往復で時間切れ。

旧大社駅も立派な文化財だ。
その価値は計り知れない。
神社の風貌の内に宮殿風の内装を施している。
何よりおそろしく大きい。
あの駅から始めて、あの駅に帰ってくる一日を想像すると、ただそれだけの行為が荘厳なものに感じられる。
ただし出雲大社へはかなりの距離を歩かなければならない。
バスでは7分とあった。

ここ一畑電車駅も素晴らしい。
カフェが併設され、ステンドグラスがはめ込まれたドーム型の駅舎はイスラムの宗教施設を連想させ、こんな曇り空の下だが、駅はあたたかな光に満ちていた。

17:01 雲州平田(うんしゅうひらた)駅(一畑電車北松江線 島根県)
待合室のテレビで長崎代表の海星高校の試合を映している。
同じ「かいせい」高校で、オレはまた島根代表の開星高校かと思い、観戦していた駅員に「惜しかったですね」と言葉を投げた。
彼は曖昧に笑う。
相手は東京代表の二松学舎付属で、2点差で負けていてチャンスを迎えていたところだった。
「かいせい」違いだった。

激しい雨はどうにか収まった。
ビールを欲しない涼しさで、雨を見ながらコンビニおにぎりをゆっくり食べた。

かつて駅前を車で通ったことがある平田は、一畑電車に乗ることを決めてから真っ先に思い浮かんだ場所だった。
今そこにいる。
少し歩いた。

宍道湖から流れ出る運河を挟んでこじんまりとした街があった。

松江しんじ湖温泉(まつえしんじこおんせん)駅(一畑電車北松江線 島根県)にて

松江しんじ湖温泉駅~松江駅(徒歩)

松江(まつえ)駅(山陰本線 島根県)にて

18:26 乃木(のぎ)駅(山陰本線 島根県)
一畑電車の終着駅、松江しんじ湖温泉駅に着いたのは今から約45分前。
前回の松江行でもJR駅から歩くことを試みたが、辿り着けなかった駅だった。

宍道湖畔に出ると、そこは覚えていた道だった。
松江は4度目になるが、夕暮れ時は初めてだったのでとても新鮮な気持ちで歩いた。

暮れゆく松江の灯はとても上品だった。
前回たまたまこの街にいる時に父からの電話を受け、発生した見合い話は結局うまくいかなかった。
あの時は残念だったよ。
でもあれからそれ以上の縁を得て現在を生きている。
結局はこれでよかったんだ。
浅からぬ縁を持った松江を離れた。

松江から下り列車でひと駅。
乃木希典大将の祖先はこの土地から出ている。
地図を見れば宍道湖に接している。
ここに降り立つことは今回の旅の中で重要な要素だった。

駅前にはJAと集合住宅があるばかりで、生活道路が線路に平行して走っている平凡な光景を目にしただけだった。
上り列車がやってきた。
今日を終わらせるにはまだ早い。
列車に乗って松江をぶらついてみる。

18:54 東松江(ひがしまつえ)駅(山陰本線 島根県)
乃木から上り列車で松江、さらにその先の東松江で降りる。

宍道湖は視界から消え、松江の灯もここまでは届かず、工場の明かりも消え、夜が訪れる。
何も記すことのない駅前を離れ、再び下り列車に飛び乗る。

どうやら雨は峠を越したようで、時折覗く松江水道の夕景が美しい。

19:36 玉造温泉(たまつくりおんせん)駅(山陰本線 島根県)
下り列車で乃木のひとつ先の駅に降りる。

ログハウス風の新しさを思わせる駅舎は温泉街に対する想像を掻き立てさせた。
足元には灯籠のようなものに灯が入り、料亭的な品をあたりに配っている。

坂を下って湖畔に出れば、列車から見えたホテル群に出る。
そこが温泉街かと思いきやどうやら別な場所にある。

玉造温泉は、坂の途中の薄暗い小路から約1.5キロと記す表示があった。

再び上り列車に乗って、今夜の宿泊先の米子に向かう。

20:24 揖屋(いや)駅(山陰本線 島根県)
車窓から眺めた松江は夜景も上品だった。
一畑ホテルをはじめとした温泉街の明かりが際立っていた。
今回の旅で山陰本線から見える宍道湖が鮮明な姿として記憶された。

送り火が香った。
駅前商店街にはローソンと「いやタクシー」。
そして生徒たちと、彼等を引率してきたと思われる教師または保護者がくぐった焼肉屋。
別にどちらの立場でも構わないが、迫力のある男だった。

線路の反対側には煌々と光を放つ大型スーパーがあり、二人の男がそちらに渡るべく跨線橋に向かった。
ここは明るい時間帯には食堂も営業している駅のようだ。

いよいよ米子へ。
ホームで大勢に見送られた男が乗ってきた。
懐かしい鉄道風景だ。

20:33 荒島(あらじま)駅(山陰本線 島根県)
特急通過待ちで数分の停車。

揖屋で購入したビールはまだ手の中にある。
列車と酒には切り離せない絆がある。

荒島駅には気の毒だが、不意の停車で駅を写真に収めたという事実しか残っていない。
ただひとつ言えば、東松江のように何も記録する物のない駅前だったと思うが、明日また通る。
朝の明かりの中で注意を凝らして見てみたい。

米子(山陰本線/伯備線/境線 鳥取県)駅にて

22:30 ビジネスインよなご211号
2度目の米子の夜。
京都を除けば、オレの歴史に2度登場する街はごく限られている。

札幌、函館、青森、鳴子温泉、郡山、草津温泉、富山、和歌山、梅田、松山、高知、宇部、下関・・・。
数え上げたらそこそこあったな。
そのリストに初めて日本海に面した街が加わったことになる。

コンビニが美味いものを提供していることを知ったのは4月の上州路。
米子に着いてセブンイレブンを探して歩いた。

前回は街歩きをしなかったからちょうどいい。
9号国道まで歩いて役場らしきものを確認して駅に引き返す。
それまでに目にしたものが、オレが知りたかった米子と断定してほぼ間違いはないだろう。
ちょうど今いるここが歓楽街に当たる。

「鉄道の街」として登録されている街の中心はやはり駅だ。
各地の国鉄遺産的駅が変貌を遂げていく中で、米子駅はかつてオレが見たままの巨大な姿を保持していた。

尾張一宮駅も似た立場でいたけど、今の姿は二日前のとおりだ。
寂しさと共に未来も感じた。
ただ、米子駅はこのままであってほしい。
別に未来が来ないことを願っているわけじゃない。
この姿ならどの時代にも必ず受け入れられて、敬意を払われることになると思うからそう言っている。

こんなことを考えていたら、我ながらオレという人間がどんな男なのかがよく分かってきた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その2‐中滑川、滑川、猪谷、宇奈月温泉、宇奈月、寺田(富山地方鉄道本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月21日・・・中滑川駅、滑川駅、宇奈月温泉駅、宇奈月駅、寺田駅(富山地方鉄道本線

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 最終日その1(岩倉-東京)-岩倉、御嵩、犬山、新鵜沼、鵜沼、名電各務原、各務ヶ原、新那加、那珂、名鉄岐阜(名鉄犬山線/名鉄広見線/名鉄各務原線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月8日その1・・・岩倉駅、御嵩駅、犬山駅、新鵜沼駅、鵜沼駅、名電各務原駅、各務ヶ

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎線) 18:36 水上(みな

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】

鉄旅日記2008年7月19日・・・畝傍駅、高田駅、大和高田駅、近鉄郡山駅、郡山駅、王寺駅、五条駅、和

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 その1-水海道、三妻、下妻、大田郷、下館、久下田、茂木、真岡、大和、新治、水戸(関東鉄道常総線/真岡鐵道/水戸線) 【ときわ路パスで、常陸ローカル旅】

鉄旅日記2014年4月27日その1・・・水海道駅、三妻駅、下妻駅、大田郷駅、下館駅、久下田駅、茂木駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線) 2020・3・22 7:

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 最終日(松本-東京)その1 ‐松本、一日市場、信濃大町、信濃木崎(大糸線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

鉄旅日記2021年4月25日・・・松本駅、一日市場駅、信濃大町駅、信濃木崎駅(大糸線) 20

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その3‐三滝、横川、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口、宮島口(可部線/山陽本線/JR西日本宮島フェリー) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・三滝駅、横川駅、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その4‐多治見、坂祝、美濃太田(太多線/高山本線)【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月20日・・・多治見駅、坂祝駅、美濃太田駅(太多線/高山本線) 14:19 多

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏 4日目(米子-呉)その2-浜原、粕淵、明塚、石見簗瀬、口羽、宇都井、伊賀和志、三次、矢賀、水尻、かるが浜、呉(三江線/芸備線/呉線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

鉄旅日記2014年8月16日その2・・・浜原駅、粕淵駅、明塚駅、石見簗瀬駅、口羽駅、宇都井駅、伊賀和

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑