「鉄旅日記」2009年秋 4日目(佐賀-松浦)その2-大村、竹松、早岐、佐世保、佐世保中央、中佐世保、左石、佐々、たびら平戸口、松浦(大村線/佐世保線/松浦鉄道) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月21日・・・大村駅、竹松駅、早岐駅、佐世保駅、佐世保中央駅、中佐世保駅、左石駅、佐々駅、たびら平戸口駅、松浦駅(大村線/佐世保線/松浦鉄道)
2009・9・21 13:23 大村(おおむら)駅(大村線 佐賀県)
歴史的な駅舎。
5年前に訪ねた際は、この駅をどう描いただろう。
昼食をとった。
駅前の古い店でビールとソーメン。
テレビじゃ、日光戦場ヶ原では氷点下を計測して、初氷が張ったと伝えている。
右翼の街宣車がやってきて、某先生、某先生となかなかに喧しい。
その某先生は、彼等が言うところの小娘に先の衆院選で負けている。
そう言えば彼の地盤は諫早だった。
期限の切れたポスターが町角に貼られたままだった。
保守的な地域なのだろうか。
いずれにしても、このあたりじゃ革命的な出来事だったのだろう。
「えきどおり」というアーケード街がある。
この昼下がり、大半のシャッターは下りて、そこにいた人は片手で数えられるほどで、駅前を通る車も極端に少なかった。
竹松行に乗る。


13:48 竹松(たけまつ)駅(大村線 長崎県)
階段を下りて町に出る。
すぐ脇にパチンコ屋を入れた大きなスーパーがある。
立派な旅館がある。
車の通る音が絶えれば、犬の鳴き声が聞こえる。
あぁ、鳥も虫もいるな。
3か月前に舞い降りた長崎空港はここから近い。

14:54 早岐(はいき)駅(大村線/佐世保線 長崎県)
雨の匂いがした。
駅に降りたら雨が去った後だった。
戦後、満州や大陸からの引き揚げ港が、ここや南風崎だったという。
その南風崎も今じゃ寂れたようなたたずまいだったが、すぐ脇にハウステンボスが見えた。
場違いな感じは受けなかった。
早岐瀬戸という水路があって、それを見に行く。
ファーストイン早岐という結婚式場を兼ねたホテルがある。
その周りにはスナックが連なっている。
場末とも言える港町によく似合う風景だった。
大村線は素晴らしい路線だ。
松原からはまた大村湾に沿う。
千綿駅が懐かしかった。
5年前の夏は、真夏日が30日以上続く記録的な日々だった。
その記録が途切れた日にあの駅に寄った。
ホームから大村湾を眺めて深い感銘を残して去ると、大雨になった。




16:21 佐世保(させぼ)駅(佐世保線/松浦鉄道 長崎県)
この国の大きな街にはすべからく行ったような気になっているが、佐世保は最後に残っていた街とも言える。
JR最西端の駅、佐世保。
ずいぶん遠くまできたものだ。
港を見て、四ヶ町から三ヶ町を歩いている最中そんな感慨が湧いた。
26年前、体育文化館でインター王者ジャンボ鶴田はブルーザー・ブロディの挑戦を受け、ジェリー・ローラーとの間でUN王座決定戦を行う予定だったテッド・デビアスは、ジェリー・ローラーの来日中止によって王者となり、天龍源一郎を挑戦者に迎えた2大王座戦が組まれている。
わくわくしながらテレビの前に陣取ったものだ。
人気絶頂だったザ・グレート・カブキは、同日キラー・ブルックスを得意のトラースキックから正拳突きで下している。
その体育文化館まで歩いて引き返す。
近くに中佐世保駅の表示を見たので行ってみるが、なかなか行き着きない。
急な階段を上がっては行き止まり。
一体どこなのだと路地を入ったところに、駅はひっそりとあった。
あまりの目立たなさにかえって感動した。
折よく佐世保行が来たので次の佐世保中央まで乗る。
乗車時間およそ1分。
駅に着いて狭い階段を下りていくと、これまた路地。
そこは酒場やスナックなどが集まる四ヶ町のど真ん中に位置していて、なるほど佐世保の中心だが、さっき歩いてきて駅の存在にまったく気づかなかった。
そんな街、佐世保。
また歩いて佐世保駅に戻る。
噂には聞いていたが、ハンバーガーショップが多く、坂の街だ。
いよいよ松浦線へ。
佐々行。
外人が乗ってきた。
ここは米軍の街でもある。



中佐世保(なかさせぼ)駅(松浦鉄道 長崎県)にて


佐世保中央(させぼちゅうおう)駅(松浦鉄道 長崎県)にて

16:49 左石(ひだりいし)駅(松浦鉄道 長崎県)
3分の停車。
古い駅舎で、開業以来を思わせる立派さだ。
眼鏡石という大奇岩が名所案内に記されている。
坂の街、佐世保はこのあたりまでまだ続いている。
佐世保炭田へと続く柚木線が、かつてここから分かれていたが、オレが生まれる前に水害による被害から廃線になったという。

17:26 佐々(さざ)駅(松浦鉄道 長崎県)
雨が空気を冷やしている。
微妙な空模様で、山の中腹からは盛んに雲が立ち上っている。
ここに着くまでにほとんどの者は降りてしまい、10名に満たない者が次の列車を待っている。
駅を出ると角にきれいな菓子屋がある。
一軒だけ見かけたスナックは営業しているのだろうか。
次の駅がセンバツを制した清峰高校前。
以前は上佐々駅という駅名だったようだ。
佐々からもかつて臼ノ浦線という炭鉱線が分かれていて、遠い昔に廃線になったという。

18:38 たびら平戸口(たびらひらどぐち)駅(松浦鉄道 長崎県)
途中に見えた赤い橋が平戸大橋だろう。
平戸島に渡れば歴史とロマンに触れられるだろう。
ここは日本最西端の駅。
鉄道博物館があるが閉まっている。
駅前に何があるわけでもないが、歩きだして強い雨に降られて廃屋の庇を借りて雨宿り。
ちょうど得意先から電話があった。
東京に戻れば新しい仕事が待ってる。
ありがたいことだが、、、タオルを落としてしまった。
もはや見つからない。。
近くに火刑に処せられた宣教師の慰霊碑があるという。

21:32 松浦シティホテル401号
松浦発電所前あたりから玄界灘が見え始めた。
闇と雨に浮かぶ灯は幻想的ですらあった。
やがて闇に戻り、松浦駅着。
駅舎の灯は落ちて、少女がひとり、ホームに向いたベンチに座って佐世保方面に向かう列車を待っていた。
雨は止まない。
九州の最北端松浦。
古くから海賊の根拠地として恐れられ、遠く中国沿岸にまで略奪の矛先を向けた海洋民族の末裔は、雨に降りこめられたのか、通りを行く者はなく、車で走る者もない。
最初にくぐった店ではすげなく断られ、向かいの鰻屋の看板を掲げている店に落ち着いた。
気のいいおかみさんだったけど、放ったらかしにされた。
もっともそれでよくて、しっかり食べて飲んだ。
支払いの際のおかみさんの言葉がいい。
「久し振りでいい雨でしたね」。
初めて聞く言葉だ。
「そうだ、その通りだな」と頷いて店を出て、暫くしてから傘を開いた。
人に会うと教えられることがある。
海賊松浦党の末裔は、まるで神のように憂鬱を恵に変えた。
雨の神もきっといるのだろう。
松浦鉄道は長い。
学生を除けば乗客は僅かだ。
さすがに佐世保近辺は多かったが、あとは車内は閑散としていた。
国鉄時代には松浦線から4本の枝線が延びていたという。
佐々でも触れたが、清峰高校の甲子園出場は快挙だった。
全国制覇は尚更だ。
そこに行けば分かる。
佐世保ですら遠いのに、その先の国鉄から見放された地域から全国に乗り出す学校が現れるとは。
いま市政が敷かれている町にいるが、かつて泊まった中では一番小さな町にいる。
イカで食べているらしい。
今夜の鰻屋さんで知ったよ。
水軍祭があるという。
観光客は集まるのだろうか。
近代日本は海洋民族から船を奪い、佐世保炭田ではシャベルを持たせ、やがて見捨てた。
ここは遠いよ。
佐世保からもうんざりするほど遠かった。
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