「鉄旅日記」2019年長月 初日(東京-盛岡)その1-金町、水戸、上菅谷、常陸大子(常磐線/水郡線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月21日・・・金町駅、水戸駅、上菅谷駅、常陸大子駅(常磐線/水郡線)
2019・9・21 5:24 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
東へ向かう列車がやってくるのは秋を迎えた5時過ぎ。
朝は開けて、空は曇り。
空気には若干の湿り気がある。
家の近くで大声を上げていた若者たちの姿はすでになかった。


金町から江戸川を越えてひと駅。
松戸で5:30発勝田行快速列車に乗り換える。
車内は外気のように湿り、蒸し暑さを感じる。
景色は徐々に鄙びていき、2週間前の台風被害から未だに立ち直れていない千葉という土地を想う。
久留里線はあの日から止まったまま、まだ運転を再開していない。
列車は柏に停車してさらに乗客を増やしている。
天王台を過ぎれば県を跨ぐ。
3連休初日、人々はどこへ向かうのか。
オレの興味はいつもそこをめぐる。
じきに利根川を越える。
オレはこのまま水戸まで。
買い置きのウイスキーハイボールを空けた。
自然に眠りに落ちるまで、この愛すべき空間で愛すべき時を生きる。
恋人にメールを送る内に列車は利根川を渡り、左側に腰かける目に筑波山が映る。
常磐線からあの山が見えるのか。
確かにたいした距離じゃない。
でも新鮮な感動を覚えた。
これが旅だ。
7:13 水戸(みと)駅(常磐線/水郡線/水戸線/鹿島臨海鉄道 茨城県)
肌寒さを感じた水戸の朝。
東京よりも季節は進んでいる。

これからみちのくへ向かう荷物には長袖は含まれていない。
たいした不安じゃないが、東から西へと駅を行き来する脳裏をよぎる。
水戸駅にはこれまでに何度も降りているが、助さん格さんを従えた黄門様の銅像があることに初めて気づいた。

この先も馴染みの街で様々な気づきを得るだろう。
とても楽しみだ。
水戸までの車中、計画していた眠りは訪れず、むしろその自然を楽しみつつ鱗雲が浮かぶ青空を眺めていた。
車寅次郎は晩年を幼稚園の用務員として過ごし、園児たちに慕われ、ある晴れた過ごしやすい日にかくれんぼをする。
子供たちの可愛らしい声が聞こえる中、見つからないようにこっそりと隠れて同じように空を見る。
恋をした女性や柴又の情景も浮かぶだろう。
うっすらと笑みを浮かべながらやがて目を閉じる。
それから先、その目が開くことはなかった。
山田洋次監督が構想した偉大なる自由人の往生の様は、そういうものであったらしい。
なぜかそんなことが頭に浮かび、いつの間にか少し目を閉じていた。
そしてオレもそんな最期であればいいと思っていた。
車中から眺める偕楽園も素晴らしく、夏の栗林公園を思い出していた。
7:28に水戸を出た水郡線郡山行は中菅谷に到着している。
雨の予感のなかった常陸の路だが、ところどころで濡れた町を目にしている。
7:51 上菅谷(かみすがや)駅(水郡線/常陸太田支線 茨城県)
常陸太田線との分岐駅で行き違い5分の停車。
水戸から乗っていた日経新聞に目を通す女性や、目付きの鋭い水商売風の女性も降りる町。
彼女たちの後ろ姿を追いながら改札を抜けて駅を写す。
この駅でそうするのも5度にはなるだろう。
これも縁というのだろう。
恋人から返信が届いた。
目にしたなら、しばらく眠ってもいい。
9:04 常陸大子(ひたちだいご)駅(水郡線 茨城県)
行き違いと列車切り離しで14分停車。

この駅は暮れかけの景色しか知らなかったことに今気づいた。
広場に置かれたD51に気づいたのも今日が最初になる。
D51はオレにとって過去の記憶を呼び起こすようなものではないが、目にすれば常に何事かを感じる偉大なる構造物だ。
駅正面に駅そばがあり、出汁の香りが漂っている。
心引かれるが、時間はない。
ヤマザキの店に酒はなく、駅前の酒屋へ。
「山ですか?」と聞かれる。
「郡山へいきます」。
会話は途切れる。
でもこれもまた縁。
常陸大子に降りる度に真っ先にあの酒屋を目指すだろう。
いつまでも続いていることを願う。
列車は福島県に入っている。
久慈川ラインを謳う水郡線の最大の見どころは常陸大子から2駅先の矢祭山。
いつか降りると誓う。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その2-畝傍、高田、大和高田、近鉄郡山、郡山、王寺、五条、和歌山(桜井線/近鉄大阪線/近鉄橿原線/和歌山線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月19日・・・畝傍駅、高田駅、大和高田駅、近鉄郡山駅、郡山駅、王寺駅、五条駅、和
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その4‐南風崎、ハウステンボス、早岐(大村線)/小佐々弾正・甚五郎塚 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月15日・・・南風崎駅、ハウステンボス駅、早岐駅(大村線)/小佐々弾正・甚五郎
-
-
「車旅日記」2006年皐月 最終日(安達-東京葛飾)-あだち、二本松駅、磐城石川駅、はなわ、常陸太田駅、大洗駅、潮来駅、十二橋駅、佐原駅、東京葛飾【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月7日・・・道の駅あだち、二本松駅、磐城石川駅、道の駅はなわ、常陸太田駅、大洗駅
-
-
「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その4-飯岡、東金、大網、蘇我、海浜幕張、船橋法典、市川大野、東松戸(総武本線/東金線/内房線/京葉線/武蔵野線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月22日・・・飯岡駅、東金駅、大網駅、蘇我駅、海浜幕張駅、船橋法典駅、市川大野駅
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その2-屋代、坂城、小諸、三岡、中込、羽黒下、松原湖(しなの鉄道/小海線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
車旅日記2019年2月10日・・・屋代駅、坂城駅、小諸駅、三岡駅、中込駅、羽黒下駅、松原湖駅(しなの
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その3‐羽咋、能登部、徳田、七尾、和倉温泉(七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月22日・・・羽咋駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅、和倉温泉駅(七尾線)
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 初日(東京-名古屋)-根府川、島田、豊橋、岡崎、名古屋(東海道本線) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月5日・・・根府川駅、島田駅、豊橋駅、岡崎駅、名古屋駅(東海道本線) 200
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その4‐富山大学前、丸ノ内、南富山駅前、南富山、電鉄富山駅前、富山(富山地方鉄道市内線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月21日・・・富山大学前電停、丸ノ内電停、南富山駅前電停、南富山駅、電鉄富山駅前
-
-
「鉄旅日記」2022年如月 初日(東京-常陸大子)その4 ‐鹿島神宮その2、大洗、水戸(鹿島臨海鉄道)/塚原卜伝生誕地 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】
鉄旅日記2022年2月5日・・・鹿島神宮駅、大洗駅、水戸駅(鹿島臨海鉄道)/塚原卜伝生誕地
-
-
「鉄旅日記」2022年盛夏 3日目-友と過ごす一日をFacebookへの投稿より振り返ります ‐東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片原町駅、三津浜駅、梅津寺駅、高浜駅、龍神社、三津駅【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2022年8月13日・・・東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片原町駅、三津浜駅、梅津寺駅、高
