「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)
鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所温泉駅、西上田駅、田中駅(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)
2012・12・9 6:10 長野(ながの)駅(長野新幹線/信越本線/飯山線/篠ノ井線/長野電鉄 長野県)
雪がちらついている。
信濃の冬はかくも厳しい。
長野電鉄改札前のがらんとした待合所に何事かを感じ、これから志賀高原へ何事かを感じに往く。
長野じゃ街歩きはできなかったな。
7:15 信州中野(しんしゅうなかの)駅(長野電鉄 長野県)
雪の降る清潔な街に降りた。
道行く人はなく、まだ早い日曜日の朝。
凍えた駅のコンクリートは寂しい気持ちにもさせるが、なぜか懐かしい気持ちももたらす。
長野電鉄長野駅で感じたのもそれだった。
どこからやってきた感情なのかおおよその答えは出ているような気がするが、うまく言葉にできない。


7:44 湯田中(ゆだなか)駅(長野電鉄 長野県)
10年以上前に一度きたよ。
暑い夏の日だった。
雪景色の湯田中に下りると正月の気持ちを思い出した。
何か新しいことが始まる。
そしてそれはこんな朝から始まる。
そんな気分だ。
湯煙が湧き、狭い温泉街に人気はない。
あの風情。
大好きな風情だ。
終着駅を後にして、もう中野へと下りてきた。



三度、長野(ながの)駅にて(長野新幹線/信越本線/飯山線/篠ノ井線/長野電鉄) 長野県)

9:16 安茂里(あもり)駅(篠ノ井線 長野県)
長野を後にして新幹線高架脇の小駅に降りる。
長野電鉄内で聞こえてきた今日は大雪との情報。
実際その通りだ。
ここには駅舎はなく、吹きっさらしの中にいる。
スキー場での記録を除けばこんな雪降りの日に行動したことはない。
オレを生んだ信州信濃の冬はかくも厳しくまた美しい。
たまたまやってきた旧特急車両からの雪見と洒落込んでいる。

10:07 戸倉(とぐら)駅(しなの鉄道 長野県)
便所にこもっているうちに天気は持ち直してきたようだ。
薄日が差しながらも小雪ちらつく駅前通りを交差する県道まで歩く。
大きな藁葺き屋根の旧家が角にある。
かつて自然気胸による胸の痛みを抱え、飯山の日赤病院に自ら運転する車で向かい、そのまま入院という運びに陥ったことがある。
横には彼女が乗っていた。
そして退院の日に両親と兄貴が迎えにきて戸倉上山田温泉に泊まった。
そういう場所に必ず戻ってくることになる。
オレの旅は聖地巡礼のように、濃厚な記憶を残した場所に様々な月日をおいて必ず戻ってくる。
でもその時の記憶を今更持ち出すことになるとは思っていなかった。
この駅に降りることができてよかったよ。
静かな朝を歩いた記憶。
忘れたくはない。



10:31 上田(うえだ)駅(長野新幹線/しなの鉄道/上田交通 長野県)
気温3度の街に雪はなく、アニメ声のアナウンスが流れる上田交通に乗っている。
日差しが戻り体を暖めてくれる。
街は真田幸村一色だ。
最近はアニメやらで人気らしい。
ジャニーズみたいな顔をした赤備えの大将がいたよ。
上田では客が随分降りた。
そういう街だし、その上田駅前で民主党が演説準備をしていた。
そうか。
選挙まであと一週間だな。
上田には従兄弟の結婚式できたこともあった。
姪の二人もまだ小さくて、長い長い大宴会だった。



11:10 別所温泉(べっしょおんせん)駅(上田交通 長野県)
冬枯れの山里に終着駅がある。
行きには民謡クラブの面々が乗り込んできて、ハーモニカを吹く上田駅長の音に合わせて歌会が始まった。
とても稀なケースに居合わせたものだ。
華やかな時代とまでは言えないが、社員旅行でも訪れて、あの駅に言ってみれば不法侵入をした。
そんな場所にもまた戻ってきたんだな。
この旅はまだ続く。
もちろん楽しみだ。
でも早く家に帰りたい気持ちもある。
冬枯れの中にいる意味があるとするなら、人をそんな気にさせることかもしれない。
それに昨日のYちゃんのパーティーが素晴らしかった。
理由を特定できない寂しさや切なさに度々見舞われるのが人生で、漠然とした不安から自死を選んだ者の気持ちも理解できるようになるのもまた人生だが、やはり生きていくという行為は素晴らしいと思える日々を生きている。


12:06 西上田(にしうえだ)駅(しなの鉄道 長野県)
上田から長野方面にひと駅戻る。
繭の里。
駅からまっすぐの道を往くと追憶の18号国道。
そして断崖。
その中腹にお堂らしき構造物が見える。
この静けさは好きだ。
風が冷たく手が凍える。
小さな駅に、上田西高生が集まってくる。

12:58 田中(たなか)駅(しなの鉄道 長野県)
伝説の横綱雷電の故郷とは知らなかった。
そしてオレの血もこの土地から生まれた。
あの道を上田の方に上がっていけば見覚えのある風景に出くわす。
このあたりは子供の頃より垢抜けたようだ。
決して廃れてはいない。
東御市役所への道には飲み屋スナックが並び、駅横には温泉施設。
そして乗降客も少なくない。
かつて五輪が開かれ、世界が押し寄せたオレの田舎は発展したんだ。
新鮮な驚きでどっちかといえば嬉しい。
変わっていないのは駅舎だけだったのかもしれない。
降りてよかった。




関連記事
-
-
2020年如月【水上温泉につかりにいったある週末の記憶をSNSへの投稿より振り返ります。】-土合、水上、後閑、沼田(上越線)
鉄旅日記2020年2月8日~9日・・・土合駅、水上駅、後閑駅、沼田駅(上越線) 水上に投宿する前に
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その3‐小牛田、一ノ関、北上、柳原、江釣子(東北本線/北上線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月11日・・・小牛田駅、一ノ関駅、北上駅、柳原駅、江釣子駅(東北本線/北上線)
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その3‐三滝、横川、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口、宮島口(可部線/山陽本線/JR西日本宮島フェリー) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月13日・・・三滝駅、横川駅、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口
-
-
「鉄旅日記」2016年春 最終日(石巻-東京)その2-久田野、新白河、豊原、白坂、黒磯、西那須野、那須塩原、矢板(東北本線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】
鉄旅日記2016年3月21日その2・・・久田野駅、新白河駅、豊原駅、白坂駅、黒磯駅、西那須野駅、那須
-
-
「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】
鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、北山形駅(奥羽本線) 9
-
-
「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その1-道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船引駅、磐城常葉駅、川前駅、小川郷駅、四ツ倉駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月3日・・・道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その1‐金町、東京、広島(常磐線/京浜東北線/東海道・山陽新幹線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月13日・・・金町駅、東京駅、広島駅(常磐線/京浜東北線/東海道・山陽新幹線)
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その1-金町、名古屋、多気、川添、三瀬谷(常磐線/東海道本線/関西本線/伊勢鉄道/紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月2日・・・金町駅、名古屋駅、多気駅、川添駅、三瀬谷駅(常磐線/東海道本線/関西
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 初日(東京-新山口)その1-金町、北千住、東京、岡山、笠岡、尾道、糸崎、入野(常磐線/山手線/東海道・山陽新幹線/山陽本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月18日・・・金町駅、北千住駅、東京駅、岡山駅、笠岡駅、尾道駅、糸崎駅、入野駅(
-
-
「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その2-湖北、下総松崎、成田、香取、延方、北浦、佐原、大戸(我孫子支線/成田線/鹿島線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月22日・・・湖北駅、下総松崎駅、成田駅、香取駅、延方駅、佐原駅、大戸駅(我孫子
