「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)
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最終更新日:2020/08/29
旅話 2012年
鉄旅日記2012年12月9日その1
2012・12・9 6:10 長野(ながの)駅(長野新幹線/信越本線/飯山線/篠ノ井線/長野電鉄 長野県)
雪がちらついている。
信濃の冬はかくも厳しい。
長野電鉄改札前のがらんとした待合所に何事かを感じ、これから志賀高原へ何事かを感じに往く。
長野じゃ街歩きはできなかったな。
7:15 信州中野(しんしゅうなかの)駅(長野電鉄 長野県)
雪の降る清潔な街に降りた。
道行く人はなく、まだ早い日曜日の朝。
凍えた駅のコンクリートは寂しい気持ちにもさせるが、なぜか懐かしい気持ちももたらす。
長野電鉄長野駅で感じたのもそれだった。
どこからやってきた感情なのかおおよその答えは出ているような気がするが、うまく言葉にできない。
7:44 湯田中(ゆだなか)駅(長野電鉄 長野県)
10年以上前に一度きたよ。
暑い夏の日だった。
雪景色の湯田中に下りると正月の気持ちを思い出した。
何か新しいことが始まる。
そしてそれはこんな朝から始まる。
そんな気分だ。
湯煙が湧き、狭い温泉街に人気はない。
あの風情。
大好きな風情だ。
終着駅を後にして、もう中野へと下りてきた。
三度、長野(ながの)駅にて(長野新幹線/信越本線/飯山線/篠ノ井線/長野電鉄) 長野県)
9:16 安茂里(あもり)駅(篠ノ井線 長野県)
長野を後にして新幹線高架脇の小駅に降りる。
長野電鉄内で聞こえてきた今日は大雪との情報。
実際その通りだ。
ここには駅舎はなく、吹きっさらしの中にいる。
スキー場での記録を除けばこんな雪降りの日に行動したことはない。
オレを生んだ信州信濃の冬はかくも厳しくまた美しい。
たまたまやってきた旧特急車両からの雪見と洒落込んでいる。
10:07 戸倉(とぐら)駅(しなの鉄道 長野県)
便所にこもっているうちに天気は持ち直してきたようだ。
薄日が差しながらも小雪ちらつく駅前通りを交差する県道まで歩く。
大きな藁葺き屋根の旧家が角にある。
かつて自然気胸による胸の痛みを抱え、飯山の日赤病院に自ら運転する車で向かい、そのまま入院という運びに陥ったことがある。
横には彼女が乗っていた。
そして退院の日に両親と兄貴が迎えにきて戸倉上山田温泉に泊まった。
そういう場所に必ず戻ってくることになる。
オレの旅は聖地巡礼のように、濃厚な記憶を残した場所に様々な月日をおいて必ず戻ってくる。
でもその時の記憶を今更持ち出すことになるとは思っていなかった。
この駅に降りることができてよかったよ。
静かな朝を歩いた記憶。
忘れたくはない。
10:31 上田(うえだ)駅(長野新幹線/しなの鉄道/上田交通 長野県)
気温3度の街に雪はなく、アニメ声のアナウンスが流れる上田交通に乗っている。
日差しが戻り体を暖めてくれる。
街は真田幸村一色だ。
最近はアニメやらで人気らしい。
ジャニーズみたいな顔をした赤備えの大将がいたよ。
上田では客が随分降りた。
そういう街だし、その上田駅前で民主党が演説準備をしていた。
そうか。
選挙まであと一週間だな。
上田には従兄弟の結婚式できたこともあった。
姪の二人もまだ小さくて、長い長い大宴会だった。
11:10 別所温泉(べっしょおんせん)駅(上田交通 長野県)
冬枯れの山里に終着駅がある。
行きには民謡クラブの面々が乗り込んできて、ハーモニカを吹く上田駅長の音に合わせて歌会が始まった。
とても稀なケースに居合わせたものだ。
華やかな時代とまでは言えないが、社員旅行でも訪れて、あの駅に言ってみれば不法侵入をした。
そんな場所にもまた戻ってきたんだな。
この旅はまだ続く。
もちろん楽しみだ。
でも早く家に帰りたい気持ちもある。
冬枯れの中にいる意味があるとするなら、人をそんな気にさせることかもしれない。
それに昨日のYちゃんのパーティーが素晴らしかった。
理由を特定できない寂しさや切なさに度々見舞われるのが人生で、漠然とした不安から自死を選んだ者の気持ちも理解できるようになるのもまた人生だが、やはり生きていくという行為は素晴らしいと思える日々を生きている。
12:06 西上田(にしうえだ)駅(しなの鉄道 長野県)
上田から長野方面にひと駅戻る。
繭の里。
駅からまっすぐの道を往くと追憶の18号国道。
そして断崖。
その中腹にお堂らしき構造物が見える。
この静けさは好きだ。
風が冷たく手が凍える。
小さな駅に、上田西高生が集まってくる。
12:58 田中(たなか)駅(しなの鉄道 長野県)
伝説の横綱雷電の故郷とは知らなかった。
そしてオレの血もこの土地から生まれた。
あの道を上田の方に上がっていけば見覚えのある風景に出くわす。
このあたりは子供の頃より垢抜けたようだ。
決して廃れてはいない。
東御市役所への道には飲み屋スナックが並び、駅横には温泉施設。
そして乗降客も少なくない。
かつて五輪が開かれ、世界が押し寄せたオレの田舎は発展したんだ。
新鮮な驚きでどっちかといえば嬉しい。
変わっていないのは駅舎だけだったのかもしれない。
降りてよかった。
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