*

「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/04 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城端駅(万葉線/城端線)/高岡大仏

15:18  越ノ潟(こしのかた)駅(万葉線)
県営渡船は行ってしまって、行く手はロープに遮られてしまった。

54年前まではこの先に鉄路が伸びていて、富山市内までつながっていた。

富山市内から越ノ潟~新湊駅、現在の六渡寺駅までをつないでいた富山地方鉄道射水線。

1966年に富山新港の建設により堀岡~越ノ潟間が分断され、越ノ潟~新湊間は万葉線の前身にあたる加越能鉄道に譲渡されて現在に至り、堀岡~新富山間は1980年に廃止された。

この駅とは再会になる。当時は先に述べた事実など知らずにいた。そしてあたりはだいぶ記憶と違っていた。

前回来た時にはなかった新湊大橋を見に行く。次の駅名にもなっている海王丸が停泊している。新湊大橋には展望台があり、エレベーターが通じている。

三密だな。下から眺めるのにとどめた。

富山新港に新湊漁港。海と生きてきた街から何度か新湊高校が甲子園に現れ旋風を起こしている。

その新湊高校は庄川口の手前左側に見える。越ノ潟~高岡間の所要時間は約49分。

16:06 末広町(すえひろちょう)電停(万葉線 富山県)にて

16:12 高岡大仏にて

16:43  高岡(たかおか)駅(氷見線/城端線/あいの風とやま鉄道/万葉線 富山県
変貌した高岡駅はオレには好ましい。

かつて駅前に停留所を構え、高岡駅前と称していた万葉線乗場は高岡駅舎に組み込まれ、名称も高岡に変更されていた。この変化を喜びたい。

万葉線を末広町で降りる。末広町は幼い頃の立川志の輔さんが行くのを楽しみにしていた繁華街とのこと。車内を流れる彼の軽妙な沿線案内に教えられた

御旅屋通りにも繁華街にも人影はなく、なすこともなく夜の訪れを待つように見えた。現在はただでさえコロナ禍。

高岡大仏はそこから遠くない。日本三大仏と聞いた。あとは奈良と鎌倉か。

大仏様は新しく見えた。ありがたいお顔だ。参拝に入場料はいらない。先客の若い男は2円しかないと賽銭箱の前でぼやいていた。

高岡駅までの道を歩く。繁華街を歩く。

駅前風景には見覚えがある。荒天だったあの日、オレは街歩きを諦めていた。その割に高岡への未練が薄かったのは、万葉線の車窓から街並を眺めたからなのだろう。

ビールを飲み干し城端線に乗る。

新高岡駅も前回の旅では存在しない。その駅で新幹線を降りた人々がひと駅を移動してきて列をなしている。

北陸本線の断絶は今も許容しがたいが、高岡の変化には暖かみを感じている。おそらく街は未来を知った。

17:45  城端(じょうはな)駅(城端線 富山県)
高岡を出ると線路はすぐに左にそれた。

冬枯れの田野を見下ろす空が朱色を増して、水溜まりは神聖な鏡を思わす。

日暮れは早く、車窓からはわずかな明かりがぽつぽつと。

今夜の宿泊先の砺波で8割方の乗客が降りた。沿線は砺波で成り立っている。

城端駅も懐かしい。駅舎はおそらく変わっていないのだろう。五箇山観光の入口と自負している。

五箇山は神秘的な一帯。流刑地であり、火薬の原料になる塩哨の生産地だった。

その技術は貴重ゆえに門外不出となり、固い掟によって共同体は守られていた。

新田次郎さんの小説「武田勝頼」にかの地での悲話が登場する。武田方の間者が忍び込み、村の娘の手引きで秘術を盗み出し、発覚の危険が迫り娘は男を逃がす。数年後、間者の身分を捨てて村を訪ねた男は娘が処刑されたことを知り深く胸を痛めた。観光案内には「血染めの~」などの文言がある。

滞在時間11分。前回はよく歩いたが、駅前に立ってもどちらに向けて歩いたのか記憶が定かじゃない。

砺波へと7駅戻る。

関連記事

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その3 ‐坂本比叡山口、びわ湖浜大津、大津(京阪石山坂本線/東海道本線)/大津港 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・坂本比叡山口駅、びわ湖浜大津駅、大津駅(京阪石山坂本線/東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その1‐三次、上下、府中(福塩線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月26日・・・三次駅、上下駅、府中駅(福塩線) 2020・7・26&nb

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その3‐小野新町、要田、いわき(磐越東線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月5日・・・小野新町駅、要田駅、いわき駅(磐越東線) 12:33 小野新町(お

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】最終日(東京町田-東京葛飾)

車旅日記2000年8月16日 2000・8・16 23:09 東京葛飾金町 旅が終わってほっとして

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋 初日(東京-羽咋)その1-東京、大垣、米原、長浜、敦賀、鯖江、西鯖江、大聖寺、加賀温泉(東海道本線/北陸本線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】

鉄旅日記2008年9月13日・・・東京駅、大垣駅、米原駅、長浜駅、敦賀駅、鯖江駅、西鯖江駅、大聖寺駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その4‐五所川原、川部、弘前、大館、鷹ノ巣(五能線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)

鉄旅日記2020年1月12日・・・五所川原駅、川部駅、弘前駅、大館駅、鷹ノ巣駅(五能線/奥羽本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小牛田駅、一ノ関駅(常磐線/東北

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 初日(東京-一ノ関)その1-金町、上野、高崎、六日町、長岡、見附(常磐線/高崎線/上越線/信越本線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月5日・・・金町駅、上野駅、高崎駅、六日町駅、長岡駅、見附駅(常磐線/高崎線/上

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-松本)その4 ‐妙高高原、黒姫、篠ノ井、姨捨(しなの鉄道北しなの線/篠ノ井線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

鉄旅日記2021年4月24日・・・妙高高原駅、黒姫駅、篠ノ井駅、姨捨駅(しなの鉄道北しなの線/篠ノ

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その2‐新白鳥、古市橋、梅林、可部、あき亀山(可部線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・新白島駅、古市橋駅、梅林駅、可部駅、あき亀山駅(可部線)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(I

→もっと見る

    PAGE TOP ↑