「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その2-伊那大島、駒ヶ根、伊那北、岡谷、下諏訪、茅野、山梨市(飯田線/中央本線)
鉄旅日記2018年10月8日
11:52 伊那大島(いなおおしま)駅(飯田線 長野県)
7分の停車。
坂を少し上がったところにある横断歩道から、行きにも4月にも美しいと感じた家並を写す。
埋まっていた車内は飯田と大島でずいぶんと空いた。
真夏のような信州伊那谷。
心の恋人からの便りじゃ東京は肌寒く、今にも降りだしそうとのこと。
12:40 駒ヶ根(こまがね)駅(飯田線 長野県)
10分の停車。
山岳部隊をあわせてにわかに混み始めた車内。
長い長い伊那路での生活圏は細分化しているのだろう。
車で2度立ち寄ったことがある駒ヶ根駅前。
当時は「駅そば」があったと思うが、今はもうない。
家族4人で旅行をした最後の機会で泊まったのはこの町だったと、後で母親から聞いた。
駒ヶ岳へと延びる坂道が美しい。
13:11 伊那北(いなきた)駅(飯田線 長野県)
行き違い3分の停車。
若者で埋まる車内。
彼等に休日はない。
オレもそうだった。
伊那節と勘太郎の町、伊那。
勘太郎とは北風小僧のことではなく、江戸時代末期に存在した侠客とのこと。
東宝映画の主人公で、彼の人生には国定忠治や水戸天狗党が登場する。
だが、まったく架空の人物らしい。
駅前道路を車は流れ、賑やかそうに見える商店街が日差しに照らされている。
駅の背後には大きなホテルが建っている。
この町で少しのんびりしたり、伊那市駅までの道を歩いてみたい。
14:27 岡谷(おかや)駅(中央本線/飯田線 長野県)
町で唯一の繁華街、童画館通りを歩く。
真夏のような日差しと暑さは高原的な信州の空気を追い払い、駅は若者たちで埋まっている。
列車が3分ほど遅れているようだ。
二人で作った家族が、他の親族も乗せて唯一遠出をしたことがある。
この町の美しいホールに「世界のコバケン」「炎のマエストロ」こと小林研一郎さん率いる楽団がやってきて、親戚となった女性がピアノを弾いた。
その夜は松本に出て、友の店で昨日のように日付が変わっても飲んだ。
この記憶が薄れる頃は、きっとオレは幸せな人生を歩み、考えうる限りですべてがうまくいっている。
14:58 下諏訪(しもすわ)駅(中央本線 長野県)
茅野行に乗って、ここで次の塩山行を待つ。
オルゴール通りを甲州街道まで歩く。
諏訪にいると様々な記憶が蘇る。
あんなこと、こんなこと。
いろいろ出てくる。
諏訪は有賀氏が根づいた土地。
遥かな昔ここにいた遠いご先祖が、おそらくオレを見ている。
役目を終えて駅に払い下げられた御柱にも思いや願いが湧く。
最近は特に神の存在を信じている。
酒ばかり飲んでいるが、気楽な旅を楽しんでいる。
15:20 茅野(ちの)駅(中央本線 長野県)
特急との待ち合わせで11分の停車。
かつて山登りで降りた駅に、再び降り立つ。
「駅そば」が営業している売店前に信州そばが香る。
ウイスキーハイボールとチーズを購入して戻る。
列車はどうも遅れがちのようだ。
発車する。
オレが下りた反対側の出口にも町があった。
あっちにも行っておくべきだったな。
16:57 山梨市(やまなしし)駅(中央本線 山梨県)
塩山行だったので、ここでホリデー快速を待つ。
駅は改装中。
ここでは酒はいい。
駅に着く手前で釜無川を渡る。
そこまで歩く。
街灯が点る街道で、「今日もじきに暮れる」。
ただそれだけを想い、離れる。
居酒屋の灯と、母親に連れられて電車を見にきた小さな子供に心を潤して、次の町へ。
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