*

「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その1-小諸、軽井沢、横川(しなの鉄道) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2005年

鉄旅日記2005年11月7日・・・小諸駅、軽井沢駅、横川駅(しなの鉄道)

2005・11・7 東京葛飾金町
昨夜の雨は上がり、霧に煙った小諸から見える遥かなる信濃の山並。
ホテルを出る頃には晴れてきた。

品揃えのいい古城の土産物屋で彼女とその他へ。
そして駅近くで友人に酒を。

小諸は懐かしい。
でも懐古園に寄るのは初めてだ。
もちろん街を歩いたこともなかった。

島崎藤村の古井戸があり、粋な食べ物屋がある。
出来立ての町にはありっこないものが歩いていると見つかる。
離れがたい。

従兄弟が言うには、昔の駅前とは違うらしい。
もちろんそうだろう。
世は無常。

でもオレは覚えているよ。
改札を出て最初に見えるあの駅前風景を。

2012年12月9日撮影

駅舎は信越本線の第三セクター移行にあたって上部を付け替えたのだろう。
昔からやっていそうな軽食堂が2階にある。
そこに上がれば、たぶんいい時代が見られただろう。

2012年12月9日撮影

車寅次郎は小諸でも恋をしている。
人情味あふれるいい話だった。
駅舎にはその時の記憶が写真として飾られていた。

ホームにはすでに軽井沢行が待っている。
昔の駅は改札口のあたりが何とも言えずいい。
寒い町ほどいい。
まるで家に着いた時のような気持にさせてくれる。
到着した人々も、あたたかそうな顔をして改札口から町へと出ていく。

2012年12月9日撮影

オレも昔両親に連れられて、暗くなった時分に何度かあの改札口を出た。
そこで見た小諸の駅前風景が初めてみる外界の風景だった。
そしてたいていの場合、その街がその者にとっての故郷を意味するのだろう。
今年になってから信濃人の末裔であることに誇りを感じている。

中学生の頃に夢中になって読んだ「すくらっぷぶっく」という少年チャンピオンに連載されていた漫画がある。
舞台は小諸。
当時はなぜよりによって小諸なのかと思っていたが、今は違う。

登場人物のイチノくんと理美ちゃんが別れ際に唇を重ねたのが小諸駅。
20年前の話だ。
あの漫画の背景には人々が多くいたけど、今朝認められた人影は多くない。
時代だとか、新幹線のコースから外されてしまった街だとか。

どうでもいい。
たんに離れがたかった。
列車が動きだした時は爽やかな寂しさが訪れた。
人生の素晴らしいところは、こうした寂しさを味わうことにもあるのだと感じている。

暦の上では冬を迎えた初日。
そんな日にしては強い日差しが車窓から入ってきていた。
だから小諸はオレの中ではあたたかい。

東小諸、乙女、平原、御代田、信濃追分、中軽井沢。
中軽井沢駅では昨日の駅長さんが丁寧な仕事をしている姿を見かけた。
そして晴天の軽井沢へ。

仕事の電話が入る。
かつて社員旅行で降り立った駅で、空と軽井沢プリンスホテルの人口ゲレンデを眺めながら必要なことを喋り出口へ。
さっぱりとした軽井沢駅前に行楽地の香りはなく、高原の清々しい空気が漂う駅だった。
列車を待つのにワルクない店もある。

2019年2月10日撮影

かつては碓氷峠へと延びていた線路はどうなったのだろうと視線を向けると、線路は続いていた。
見渡す限り続いていた。

峠下の横川駅に向かうバスに乗る。
乗客は10名ばかり。
彼等の行先への興味が湧く。

碓氷峠は何度も上り下りしている。
でも今日見た風景に見覚えはなかった。
雄大で険しい峠の風景。
一際目立つ山が妙義山。
飽きることのない風景に紅が加わっている。

2019年2月10日撮影

横川に着く。
まるで博物館のように、使われなくなったホームに古錆びた特急列車が時代を封じ込めたまま止まっている。
あるいは上野発で一番最後にこの駅に到着した特急列車が、そのまま留め置かれているのかもしれない。

駅舎はとても小さかった。
かつて栄えていた頃からこうだったのだろうか。
周辺の人家は少ない。

2019年2月10日撮影

横川に到着するたびに、大きな駅に着いたと感じていた過去。
列車が峠越えの準備をする間に人々は「峠の釜めし」を買いに走り、オレは「駅そば」に走った。
持ち帰ると伝えたにもかかわらず、陶器によそわれたそばを受け取ったこともあった。

「駅そば」はまだあった。
客足はどうだろう。
時代には置いていかれたが、ここで働く人々に余所者の感慨などはどうでもよく、朝夕に峠を眺めて暮らす。

軽井沢で一緒のバスに乗り合わせた人々が、皆同じ列車を待つ。
缶コーヒーを購入して煙草を吸っていると、まだ少女のような面影を残した女性が火を借りにきた。
可愛らしい女性だったことと、ふと見上げた駅と峠に挟まれた狭い空が美しかったことを覚えている。

鉄道が走らなくなった碓氷峠は明治以前の秘境に戻り、支配権も妙義の神に戻された。

関連記事

「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その4‐宮古、陸中山田、釜石(三陸鉄道リアス線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月23日・・・宮古駅、陸中山田駅、釜石駅(三陸鉄道リアス線) 16:22 宮古

記事を読む

「鉄旅日記」2022年盛夏 3日目-友と過ごす一日をFacebookへの投稿より振り返ります ‐東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片原町駅、三津浜駅、梅津寺駅、高浜駅、龍神社、三津駅【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月13日・・・東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片原町駅、三津浜駅、梅津寺駅、高

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その1-飯田、伊那大島、伊那松島、辰野、松本、柏矢町、豊科(飯田線/中央本線辰野支線/篠ノ井線/大糸線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・飯田駅、伊那大島駅、伊那松島駅、辰野駅、松本駅、柏矢町駅、豊科駅(飯

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 最終日(一ノ関-東京)その1-一ノ関、陸中門崎、千厩、猊鼻渓、気仙沼(大船渡線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月6日・・・一ノ関駅、陸中門崎駅、千厩駅、猊鼻渓駅、気仙沼駅(大船渡線) 20

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その5‐府中鵜坂、西富山、速星(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月21日・・・府中鵜坂駅、西富山駅、速星駅(高山本線) 17:53 婦中鵜坂(

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山陽本線) 14:31&n

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その4‐青森、新青森、津軽新城、鶴ヶ坂、浪岡(奥羽本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・青森駅、新青森駅、津軽新城駅、鶴ヶ坂駅、浪岡駅(奥羽本線) 19

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その1-金町、三島、修善寺、蒲原、島田(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月23日・・・金町駅、三島駅、修善寺駅、蒲原駅、島田駅(常磐線/東海道本線/伊豆

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その4-陸奥湊、白銀、鮫、久慈、宮古(八戸線/三陸鉄道リアス線) /蛇の目寿司【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・陸奥湊駅、白銀駅、鮫駅、久慈駅、宮古駅(八戸線/三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏 2日目(山形-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その4(東京-京都)-四条烏丸~祇園~桂川PAラブストーリー。【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・四条烏丸~祇園~桂川PA 26

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その3(東京-京都)-桂川PAから四条烏丸へ。恋焦がれた女性に会いにいく男の話でございます。【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・桂川PA 24:58 名神自動

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その2(東京-京都)-初狩PA、諏訪湖SA、恵那峡SA、養老SA、多賀SA【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・初狩PA、諏訪湖SA、恵那峡SA、養

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その1(東京-京都)-金町、高円寺駅、調布駅、日野駅、弁天島温泉天下茶屋 【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・金町、高円寺駅、調布駅、日野駅、弁天

「鉄旅日記」2001年初桜【京都の女性に恋をしていた頃がございました。そんなある3月の記憶でございます。】

鉄旅日記2001年3月31日 2001・3・31の記憶(京都編

→もっと見る

    PAGE TOP ↑