*

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】3日目(琴平-高知)-琴平、讃岐財田、阿波池田、大歩危、土佐山田、後免、後免町、安芸、奈半利、高知、桟橋通五丁目(土讃本線、土佐くろしお鉄道阿佐線、土佐電気鉄道桟橋線)

公開日: : 最終更新日:2024/06/06 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年5月3日・・・琴平駅、讃岐財田駅、阿波池田駅、大歩危駅、土佐山田駅、後免駅、後免町駅、安芸駅、奈半利駅、高知駅、桟橋通五丁目電停(土讃本線、土佐くろしお鉄道阿佐線、土佐電気鉄道桟橋線)

琴電琴平(ことでんことひら)駅(琴平電鉄琴平線 香川県)にて

2009・5・3 6:54 琴平(ことひら)駅(土讃本線 香川県)
6:58発、阿波池田行。
7時台は特急も含めて止まる便はない。

四国にはお遍路さんがいる。
それも風景のひとつだ。

賑わうってほどのことはないが、車で参拝にやってくる者の姿も珍しくない。
これからどんどん増えて、また今夜のニュースになるのだろう。

琴平は駅がいい。

こんぴら大芝居の芝居小屋は見ておきたかった。

やっぱり心残りのひとつくらいはあるもんだ。


7:18 讃岐財田(さぬきざいだ)駅(土讃本線 香川県)
6名を乗せて走り出したワンマンカーは2名を増やして9分停車。

讃岐の山を見てると肩の力が抜ける。
よくは知らないが、金比羅さんもどこかおかしみのある神様というイメージがオレにはある。

香川の県木でもある立派なタブノキとともに駅舎はあった。
きっと、ずっと一緒にいるんだろう。

8 :28 阿波池田(あわいけだ)駅(土讃本線/徳島本線 徳島県)
かわいらしい阿波娘の給仕で日本の朝食。
随分前の夏の日にこの町にきた。

テレビでは川之江×浦和学院。
劇的な試合を見ながらソーメンを食べた。
暑い日だった。

今日は少し肌寒い。
あの日も歩いたであろう商店街を歩く。
高台には全国制覇の池田高校が見える。
食べ物屋がたくさんあったよ。
泊まっていれば、琴平より満足できたかもしれない。

遠いあの日。
クルマを止めて改札口を覗いたオレはそっちにいきたいと思った。
きっと特急でもちょうど到着したのだろう。
町中よりも改札内の方が混みあっていた。

ここは高松にも徳島にも行けるターミナル駅。
今回オレはそっちにいる。
外にも出られるんだ。

しばらくこっちにいるよ。

8:42 大歩危(おおぼけ)駅(土讃本線 徳島県)
駅前のスーパー名が「ぼけマート 」。
素晴らしいユーモアだ。

ビールも飲めたけど、まだ朝早い。

天下に知られたこの駅に降りられてうれしい。
特急停車駅でもあるけど無人駅だった。

池田から線路はずっとこの吉野川沿いの難所に敷かれている。
鈍行列車の運行がほとんどない閑散区間でもある。

見上げれば随分高いところまで集落がある。
十津川もそうだったけど、先祖代々あそこにいるのだろう。

ここには平家の落人伝説が残る。
祖谷谷にもあるようだ。

吉野川に架かる橋を渡り、川に沿った国道を歩いていると伝説の里入口というのがあり、行ってみると僅かな時間でまさに伝説のように道が絶えた。
一体どこに続いていたのか。

全国を旅してきたオレからすれば、この景色は珍しいものじゃない。
ただ、どこまで続くのか知らないが、見事な景観だ。
とても狭い場所に鉄路と国道を切り開いていった先人に最大級の敬意を。

鈍行列車はしばらくなく、特急しまんと号で旅再開。
大杉着。

すでに高知県に入っているけど、池田からの風情に変化はない。

忘れていたが、大歩危駅前で老婦人に挨拶。
「おはようさん」と返してくれて、
「どこいくん?」
「高知へ」
「そりゃええな、きぃつけて」


10:35 土佐山田(とさやまだ)駅(土讃本線 高知県)
大杉を過ぎていくつかのトンネルを潜ると集落のない高所を走っていた。

讃岐、土佐国境は他に類を見ないほど険しい。
下った土地が山田。

改札を抜けると街中へ一本の道が伸びている。
右にテレビ塔。
しばらく行くとスナック街。
暮らせる街だ。

ホームに戻って鈍行列車を待っていたら、さっき大歩危で降りたやつが乗客を満員に増やしてやってきた。

あの国境閑散区間はとてつもなく長く険しい。

後免(ごめん)駅(土讃本線/土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)にて

11:35 後免町(ごめんまち)駅(土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)
ここは南国市。

市電の終点はコンビニの裏にあった。
なかなか気のいい少年がビールを買い求めたオレを応対してくれた。

後免駅からいくつか水路を越えて市電通りへ。
降りた時は途方に暮れたよ。
オレに言わせりゃ町には何もない。

ただやたらに車通りの多い一帯だった。
どうであれ土佐入りしてからしばらく経つ。
人がいいところだよ四国は。
後免駅の女性駅員がまずそうだった。

後免町駅の愛称はありがとう駅。
駅員はいない。

四国山脈は絶え、高知平野を高架鉄道が往く。

国鉄念願の室戸岬へ向けて。

13:24 安芸(あき)駅(土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)
ちりめん丼750円。
小鉢3皿つき。

食い物にこだわりのないオレだが、美味いし安い。
これが高知の実力。
だんだん食い物のレベルが上がってきてうれしい。

土佐くろしお鉄道は海沿いを走る。
そこにある海は太平洋と呼ぶのに相応しい雄大さだ。

駅から海岸までの500メートルくらいの間に街があった。
海辺まて行ってきたよ。

いつもオレはそこを目指してきた。
北陸鉄道の内灘では断念したけれど。

安芸を出て5分。
また街は消え、太平洋が間近に迫っている。

14:44 奈半利(なはり)駅(土佐くろしお鉄道 高知県)
ここが終着駅。
室戸までは通じていなかったのだな。

漁港と古い家並が残る町。
中岡慎太郎はこの近くで生まれたらしい。

しばらく歩いた。
漁港のあたりはコンクリートだらけで寂しいが、家並は見事だ。
夏に来ればさらに印象はよくなるだろう。

駅を出て右に行くとスナックが4、5軒固まっている。
漁師相手のものか。
場末を思わせるが、きらびやかな漁師町なんてそうはないだろう。
敬意を表する。
彼等が守っているものは決して小さくない。

両親に宛てて美味そうなカツオを一匹送った。
喜んでくれたらうれしい。

この車輌は阪神タイガースで埋められている。
あの球団は毎年安芸でキャンプを張っているんだった。

少し前に民放の旅番組でこの路線を紹介していた。
地元出身のやなせたかしさんが描いたキャラクターが各駅にいるんだ。

寅さんみたいなのがいたけど、アイツは誰だ?

17:05 桟橋通五丁目(さんばしどおりごちょうめ)電停(土佐電気鉄道桟橋線 高知県)
高知に着いてからしばらく経っている。

高架駅へと変貌を遂げた高知駅に驚き、思考がまとまらないまま桟橋行きの路面電車に乗り込んだ。

終着駅ははりまや通りのどんつき。
造船工場のようなところだった。

岸壁に沿って歩いて高知南高校の前で引き返した。
再び高知駅に向かっている。

今日は全路線100円均一だという。
かつて協力先のご担当に連れて行っていただいた繁華街は、はりまや橋のあたりか。

記憶が薄れてる。

高知(こうち)駅(土讃本線 高知県)にて

高知の繁華街

22:15 コンフォートホテル高知駅前637号室
高知駅に降りてしばらく経つ。

今日のように早々に目的地に着くことはあまりないけど、どうにか途方に暮れずに済んだ。

土産はここで済ませ、あとは懐かしい記憶を辿りたくて飲みに出かけた。

あの頃は街の見方を知らず、興味もなかった。

はりまや橋と壱番街。
協力先のk工場長に連れられてあのあたりで飲み、翌日はたぶん後免あたりの、きれいな水路のある町で美味しい寿司をご馳走になった。

その後の東京に帰る件は覚えていない。
翌年が盛大だった。得意先のTさん、Uさんと連れだって入り込んだ店もあのあたりだったのだろう。
それらしき街角があった。

そんなことを思い出しながら飲んでいた。
カツオ3種盛りを注文したけど刺身が美味かった。
素敵な女将がいる店で長くいようと思ったが、待ち客がいるだろうと思い、そこそこにして店を出た。

酒飲み天国高知。
かつてオレがいたのは平日だったけど盛大だった。

でも今日感じたのは、アレ?だ。
観光客は多く、事前情報を仕入れた連中が行くような店は早くから並んでいる。
でもあの日ほどじゃなかった。
これが思い込みだってことは分かっている。

あれからオレはいろんな街を知ったんだ。
そして高知が取り立てて大きな街じゃないことも知った。

駅は新しくなり、街に馴染めずにいる。
聞けば去年のことだという。

10年前のあの駅に降りたかったけど、高知も新しくなっているんだ。
次に来ることがあるとするなら、駅前の再開発もすべて終わっているだろう。
高知の発展を心から望む。

今日に限って言えば、高知県人と他県人の区別はすぐについた。
南国生まれだ。
半袖姿を見つけりゃいい。

この街で、出張でお得意と連れだって入った店で、美人じゃなかったけど、散々尽くしてくれた女性がいた。
顔は覚えていないし、名前も知らないが、情のある女性だった。
今もリスペクトしてる。

結局のところ高知は何も変わってないか。
初恋みたいなものだ。

まったく縁のない街で最初に知ったのが高知なんだよ。

関連記事

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)

鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田

車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その3‐諫早、松原、千綿(大村線)

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、松原駅、千綿駅(大村線) 11:37 

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】最終日(人吉-天草-熊本空港)走行距離240㎞ その1-人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の駅不知火

車旅日記2005年2月13日・・・人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その3-笹川、外川、犬吠、犬吠埼、銚子、椎柴、松岸(成田線/銚子電鉄)

鉄旅日記2018年9月22日・・・笹川駅、外川駅、犬吠駅、銚子駅、椎柴駅、松岸駅(成田線/銚子電鉄)

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】2日目(倉敷-和田山)その2-郡家、若桜、智頭、京口、福崎、寺前、和田山(因美線/智頭急行/播但線)

鉄旅日記2009年11月22日・・・郡家駅、若桜駅、智頭駅、京口駅、福崎駅、寺前駅、和田山駅(因美線

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その3‐仙台、北山、葛岡、山形(仙山線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・仙台駅、北山駅、葛岡駅、山形駅(仙山線) 12:25 仙台(せんだい

記事を読む

「鉄旅日記」2006年晩夏【ふと誘われるように、上州へ向かう列車に乗ったのでございます。】-伊勢崎、桐生、西桐生、下仁田、上州富岡、高崎(高崎線/両毛線/上信電鉄)

鉄旅日記2006年9月2日・・・伊勢崎駅、桐生駅、西桐生駅、下仁田駅、上州富岡駅、高崎駅(高崎線/両

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線)

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その2-美濃太田、可児、姫、下切、南木曽、田立、勝沼ぶどう郷(太多線、中央本線)

鉄旅日記2012年8月26日その2・・・美濃太田駅、可児駅、姫駅、下切駅、南木曽駅、田立駅、勝沼ぶど

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その5‐肥前山口、久保田、西唐津、博多、門司港(佐世保線/唐津線/筑肥線/福岡市地下鉄空港線/鹿児島本線)

鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前山口駅、久保田駅、西唐津駅、博

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その4‐南風崎、ハウステンボス、早岐(大村線)/小佐々弾正・甚五郎塚

鉄旅日記2020年8月15日・・・南風崎駅、ハウステンボス駅、早岐駅

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その3‐諫早、松原、千綿(大村線)

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、松原駅、千綿駅(大村線)

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その2‐諫早、古部、島原港、島原船津、島原(島原鉄道)

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、古部駅、島原港駅、島原船津

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その1‐肥前鹿島、肥前大浦、長里、湯江(長崎本線)/鹿島城跡

鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前鹿島駅、肥前大浦駅、長里駅、湯

→もっと見る

    PAGE TOP ↑