「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】3日目(琴平-高知)-琴平、讃岐財田、阿波池田、大歩危、土佐山田、後免、後免町、安芸、奈半利、高知、桟橋通五丁目(土讃本線、土佐くろしお鉄道阿佐線、土佐電気鉄道桟橋線)
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最終更新日:2020/08/23
旅話 2009年
鉄旅日記2009年5月3日
琴電琴平(ことでんことひら)駅(琴平電鉄琴平線 香川県)にて
2009・5・3 6:54 琴平(ことひら)駅(土讃本線 香川県)
6:58発、阿波池田行。
7時台は特急も含めて止まる便はない。
四国にはお遍路さんがいる。
それも風景のひとつだ。
賑わうってほどのことはないが、車で参拝にやってくる者の姿も珍しくない。
これからどんどん増えて、また今夜のニュースになるのだろう。
琴平は駅がいい。
こんぴら大芝居の芝居小屋は見ておきたかった。
やっぱり心残りのひとつくらいはあるもんだ。
7:18 讃岐財田(さぬきざいだ)駅(土讃本線 香川県)
6名を乗せて走り出したワンマンカーは2名を増やして9分停車。
讃岐の山を見てると肩の力が抜ける。
よくは知らないが、金比羅さんもどこかおかしみのある神様というイメージがオレにはある。
香川の県木でもある立派なタブノキとともに駅舎はあった。
きっと、ずっと一緒にいるんだろう。
8 :28 阿波池田(あわいけだ)駅(土讃本線/徳島本線 徳島県)
かわいらしい阿波娘の給仕で日本の朝食。
随分前の夏の日にこの町にきた。
テレビでは川之江×浦和学院。
劇的な試合を見ながらソーメンを食べた。
暑い日だった。
今日は少し肌寒い。
あの日も歩いたであろう商店街を歩く。
高台には全国制覇の池田高校が見える。
食べ物屋がたくさんあったよ。
泊まっていれば、琴平より満足できたかもしれない。
遠いあの日。
クルマを止めて改札口を覗いたオレはそっちにいきたいと思った。
きっと特急でもちょうど到着したのだろう。
町中よりも改札内の方が混みあっていた。
ここは高松にも徳島にも行けるターミナル駅。
今回オレはそっちにいる。
外にも出られるんだ。
しばらくこっちにいるよ。
8:42 大歩危(おおぼけ)駅(土讃本線 徳島県)
駅前のスーパー名が「ぼけマート 」。
素晴らしいユーモアだ。
ビールも飲めたけど、まだ朝早い。
天下に知られたこの駅に降りられてうれしい。
特急停車駅でもあるけど無人駅だった。
池田から線路はずっとこの吉野川沿いの難所に敷かれている。
鈍行列車の運行がほとんどない閑散区間でもある。
見上げれば随分高いところまで集落がある。
十津川もそうだったけど、先祖代々あそこにいるのだろう。
ここには平家の落人伝説が残る。
祖谷谷にもあるようだ。
吉野川に架かる橋を渡り、川に沿った国道を歩いていると伝説の里入口というのがあり、行ってみると僅かな時間でまさに伝説のように道が絶えた。
一体どこに続いていたのか。
全国を旅してきたオレからすれば、この景色は珍しいものじゃない。
ただ、どこまで続くのか知らないが、見事な景観だ。
とても狭い場所に鉄路と国道を切り開いていった先人に最大級の敬意を。
鈍行列車はしばらくなく、特急しまんと号で旅再開。
大杉着。
すでに高知県に入っているけど、池田からの風情に変化はない。
忘れていたが、大歩危駅前で老婦人に挨拶。
「おはようさん」と返してくれて、
「どこいくん?」
「高知へ」
「そりゃええな、きぃつけて」
10:35 土佐山田(とさやまだ)駅(土讃本線 高知県)
大杉を過ぎていくつかのトンネルを潜ると集落のない高所を走っていた。
讃岐、土佐国境は他に類を見ないほど険しい。
下った土地が山田。
改札を抜けると街中へ一本の道が伸びている。
右にテレビ塔。
しばらく行くとスナック街。
暮らせる街だ。
ホームに戻って鈍行列車を待っていたら、さっき大歩危で降りたやつが乗客を満員に増やしてやってきた。
あの国境閑散区間はとてつもなく長く険しい。
後免(ごめん)駅(土讃本線/土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)にて
11:35 後免町(ごめんまち)駅(土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)
ここは南国市。
市電の終点はコンビニの裏にあった。
なかなか気のいい少年がビールを買い求めたオレを応対してくれた。
後免駅からいくつか水路を越えて市電通りへ。
降りた時は途方に暮れたよ。
オレに言わせりゃ町には何もない。
ただやたらに車通りの多い一帯だった。
どうであれ土佐入りしてからしばらく経つ。
人がいいところだよ四国は。
後免駅の女性駅員がまずそうだった。
後免町駅の愛称はありがとう駅。
駅員はいない。
四国山脈は絶え、高知平野を高架鉄道が往く。
国鉄念願の室戸岬へ向けて。
13:24 安芸(あき)駅(土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)
ちりめん丼750円。
小鉢3皿つき。
食い物にこだわりのないオレだが、美味いし安い。
これが高知の実力。
だんだん食い物のレベルが上がってきてうれしい。
土佐くろしお鉄道は海沿いを走る。
そこにある海は太平洋と呼ぶのに相応しい雄大さだ。
駅から海岸までの500メートルくらいの間に街があった。
海辺まて行ってきたよ。
いつもオレはそこを目指してきた。
北陸鉄道の内灘では断念したけれど。
安芸を出て5分。
また街は消え、太平洋が間近に迫っている。
14:44 奈半利(なはり)駅(土佐くろしお鉄道 高知県)
ここが終着駅。
室戸までは通じていなかったのだな。
漁港と古い家並が残る町。
中岡慎太郎はこの近くで生まれたらしい。
しばらく歩いた。
漁港のあたりはコンクリートだらけで寂しいが、家並は見事だ。
夏に来ればさらに印象はよくなるだろう。
駅を出て右に行くとスナックが4、5軒固まっている。
漁師相手のものか。
場末を思わせるが、きらびやかな漁師町なんてそうはないだろう。
敬意を表する。
彼等が守っているものは決して小さくない。
両親に宛てて美味そうなカツオを一匹送った。
喜んでくれたらうれしい。
この車輌は阪神タイガースで埋められている。
あの球団は毎年安芸でキャンプを張っているんだった。
少し前に民放の旅番組でこの路線を紹介していた。
地元出身のやなせたかしさんが描いたキャラクターが各駅にいるんだ。
寅さんみたいなのがいたけど、アイツは誰だ?
17:05 桟橋通五丁目(さんばしどおりごちょうめ)駅(土佐電気鉄道桟橋線 高知県)
高知に着いてからしばらく経っている。
高架駅へと変貌を遂げた高知駅に驚き、思考がまとまらないまま桟橋行きの路面電車に乗り込んだ。
終着駅ははりまや通りのどんつき。
造船工場のようなところだった。
岸壁に沿って歩いて高知南高校の前で引き返した。
再び高知駅に向かっている。
今日は全路線100円均一だという。
かつて協力先のご担当に連れて行っていただいた繁華街は、はりまや橋のあたりか。
記憶が薄れてる。
高知(こうち)駅(土讃本線 高知県)にて
高知の繁華街
22:15 コンフォートホテル高知駅前637号室
高知駅に降りてしばらく経つ。
今日のように早々に目的地に着くことはあまりないけど、どうにか途方に暮れずに済んだ。
土産はここで済ませ、あとは懐かしい記憶を辿りたくて飲みに出かけた。
あの頃は街の見方を知らず、興味もなかった。
はりまや橋と壱番街。
協力先のk工場長に連れられてあのあたりで飲み、翌日はたぶん後免あたりの、きれいな水路のある町で美味しい寿司をご馳走になった。
その後の東京に帰る件は覚えていない。
翌年が盛大だった。得意先のTさん、Uさんと連れだって入り込んだ店もあのあたりだったのだろう。
それらしき街角があった。
そんなことを思い出しながら飲んでいた。
カツオ3種盛りを注文したけど刺身が美味かった。
素敵な女将がいる店で長くいようと思ったが、待ち客がいるだろうと思い、そこそこにして店を出た。
酒飲み天国高知。
かつてオレがいたのは平日だったけど盛大だった。
でも今日感じたのは、アレ?だ。
観光客は多く、事前情報を仕入れた連中が行くような店は早くから並んでいる。
でもあの日ほどじゃなかった。
これが思い込みだってことは分かっている。
あれからオレはいろんな街を知ったんだ。
そして高知が取り立てて大きな街じゃないことも知った。
駅は新しくなり、街に馴染めずにいる。
聞けば去年のことだという。
10年前のあの駅に降りたかったけど、高知も新しくなっているんだ。
次に来ることがあるとするなら、駅前の再開発もすべて終わっているだろう。
高知の発展を心から望む。
今日に限って言えば、高知県人と他県人の区別はすぐについた。
南国生まれだ。
半袖姿を見つけりゃいい。
この街で、出張でお得意と連れだって入った店で、美人じゃなかったけど、散々尽くしてくれた女性がいた。
顔は覚えていないし、名前も知らないが、情のある女性だった。
今もリスペクトしてる。
結局のところ高知は何も変わってないか。
初恋みたいなものだ。
まったく縁のない街で最初に知ったのが高知なんだよ。
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