*

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】3日目(琴平-高知)-琴平、讃岐財田、阿波池田、大歩危、土佐山田、後免、後免町、安芸、奈半利、高知、桟橋通五丁目(土讃本線、土佐くろしお鉄道阿佐線、土佐電気鉄道桟橋線)

公開日: : 最終更新日:2025/06/19 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年5月3日・・・琴平駅、讃岐財田駅、阿波池田駅、大歩危駅、土佐山田駅、後免駅、後免町駅、安芸駅、奈半利駅、高知駅、桟橋通五丁目電停(土讃本線、土佐くろしお鉄道阿佐線、土佐電気鉄道桟橋線)

琴電琴平(ことでんことひら)駅(琴平電鉄琴平線 香川県)にて

2009・5・3 6:54 琴平(ことひら)駅(土讃本線 香川県)
6:58発、阿波池田行。
7時台は特急も含めて止まる便はない。

四国にはお遍路さんがいる。
それも風景のひとつだ。

賑わうってほどのことはないが、車で参拝にやってくる者の姿も珍しくない。
これからどんどん増えて、また今夜のニュースになるのだろう。

琴平は駅がいい。

こんぴら大芝居の芝居小屋は見ておきたかった。

やっぱり心残りのひとつくらいはあるもんだ。


7:18 讃岐財田(さぬきざいだ)駅(土讃本線 香川県)
6名を乗せて走り出したワンマンカーは2名を増やして9分停車。

讃岐の山を見てると肩の力が抜ける。
よくは知らないが、金比羅さんもどこかおかしみのある神様というイメージがオレにはある。

香川の県木でもある立派なタブノキとともに駅舎はあった。
きっと、ずっと一緒にいるんだろう。

8 :28 阿波池田(あわいけだ)駅(土讃本線/徳島本線 徳島県)
かわいらしい阿波娘の給仕で日本の朝食。
随分前の夏の日にこの町にきた。

テレビでは川之江×浦和学院。
劇的な試合を見ながらソーメンを食べた。
暑い日だった。

今日は少し肌寒い。
あの日も歩いたであろう商店街を歩く。
高台には全国制覇の池田高校が見える。
食べ物屋がたくさんあったよ。
泊まっていれば、琴平より満足できたかもしれない。

遠いあの日。
クルマを止めて改札口を覗いたオレはそっちにいきたいと思った。
きっと特急でもちょうど到着したのだろう。
町中よりも改札内の方が混みあっていた。

ここは高松にも徳島にも行けるターミナル駅。
今回オレはそっちにいる。
外にも出られるんだ。

しばらくこっちにいるよ。

8:42 大歩危(おおぼけ)駅(土讃本線 徳島県)
駅前のスーパー名が「ぼけマート 」。
素晴らしいユーモアだ。

ビールも飲めたけど、まだ朝早い。

天下に知られたこの駅に降りられてうれしい。
特急停車駅でもあるけど無人駅だった。

池田から線路はずっとこの吉野川沿いの難所に敷かれている。
鈍行列車の運行がほとんどない閑散区間でもある。

見上げれば随分高いところまで集落がある。
十津川もそうだったけど、先祖代々あそこにいるのだろう。

ここには平家の落人伝説が残る。
祖谷渓にもあるようだ。

吉野川に架かる橋を渡り、川に沿った国道を歩いていると伝説の里入口というのがあり、行ってみると僅かな時間でまさに伝説のように道が絶えた。
一体どこに続いていたのか。

全国を旅してきたオレからすれば、この景色は珍しいものじゃない。
ただ、どこまで続くのか知らないが、見事な景観だ。
とても狭い場所に鉄路と国道を切り開いていった先人に最大級の敬意を。

鈍行列車はしばらくなく、特急しまんと号で旅再開。
大杉着。

すでに高知県に入っているけど、池田からの風情に変化はない。

忘れていたが、大歩危駅前で老婦人に挨拶。
「おはようさん」と返してくれて、
「どこいくん?」
「高知へ」
「そりゃええな、きぃつけて」


10:35 土佐山田(とさやまだ)駅(土讃本線 高知県)
大杉を過ぎていくつかのトンネルを潜ると集落のない高所を走っていた。

讃岐、土佐国境は他に類を見ないほど険しい。
下った土地が山田。

改札を抜けると街中へ一本の道が伸びている。
右にテレビ塔。
しばらく行くとスナック街。
暮らせる街だ。

ホームに戻って鈍行列車を待っていたら、さっき大歩危で降りたやつが乗客を満員に増やしてやってきた。

あの国境閑散区間はとてつもなく長く険しい。

後免(ごめん)駅(土讃本線/土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)にて

11:35 後免町(ごめんまち)駅(土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)
ここは南国市。

市電の終点はコンビニの裏にあった。
なかなか気のいい少年がビールを買い求めたオレを応対してくれた。

後免駅からいくつか水路を越えて市電通りへ。
降りた時は途方に暮れたよ。
オレに言わせりゃ町には何もない。

ただやたらに車通りの多い一帯だった。
どうであれ土佐入りしてからしばらく経つ。
人がいいところだよ四国は。
後免駅の女性駅員がまずそうだった。

後免町駅の愛称はありがとう駅。
駅員はいない。

四国山脈は絶え、高知平野を高架鉄道が往く。

国鉄念願の室戸岬へ向けて。

13:24 安芸(あき)駅(土佐くろしお鉄道阿佐線 高知県)
ちりめん丼750円。
小鉢3皿つき。

食い物にこだわりのないオレだが、美味いし安い。
これが高知の実力。
だんだん食い物のレベルが上がってきてうれしい。

土佐くろしお鉄道は海沿いを走る。
そこにある海は太平洋と呼ぶのに相応しい雄大さだ。

駅から海岸までの500メートルくらいの間に街があった。
海辺まて行ってきたよ。

いつもオレはそこを目指してきた。
北陸鉄道の内灘では断念したけれど。

安芸を出て5分。
また街は消え、太平洋が間近に迫っている。

14:44 奈半利(なはり)駅(土佐くろしお鉄道 高知県)
ここが終着駅。
室戸までは通じていなかったのだな。

漁港と古い家並が残る町。
中岡慎太郎はこの近くで生まれたらしい。

しばらく歩いた。
漁港のあたりはコンクリートだらけで寂しいが、家並は見事だ。
夏に来ればさらに印象はよくなるだろう。

駅を出て右に行くとスナックが4、5軒固まっている。
漁師相手のものか。
場末を思わせるが、きらびやかな漁師町なんてそうはないだろう。
敬意を表する。
彼等が守っているものは決して小さくない。

両親に宛てて美味そうなカツオを一匹送った。
喜んでくれたらうれしい。

この車輌は阪神タイガースで埋められている。
あの球団は毎年安芸でキャンプを張っているんだった。

少し前に民放の旅番組でこの路線を紹介していた。
地元出身のやなせたかしさんが描いたキャラクターが各駅にいるんだ。

寅さんみたいなのがいたけど、アイツは誰だ?

17:05 桟橋通五丁目(さんばしどおりごちょうめ)電停(土佐電気鉄道桟橋線 高知県)
高知に着いてからしばらく経っている。

高架駅へと変貌を遂げた高知駅に驚き、思考がまとまらないまま桟橋行きの路面電車に乗り込んだ。

終着駅ははりまや通りのどんつき。
造船工場のようなところだった。

岸壁に沿って歩いて高知南高校の前で引き返した。
再び高知駅に向かっている。

今日は全路線100円均一だという。
かつて協力先のご担当に連れて行っていただいた繁華街は、はりまや橋のあたりか。

記憶が薄れてる。

高知(こうち)駅(土讃本線 高知県)にて

高知の繁華街

22:15 コンフォートホテル高知駅前637号室
高知駅に降りてしばらく経つ。

今日のように早々に目的地に着くことはあまりないけど、どうにか途方に暮れずに済んだ。

土産はここで済ませ、あとは懐かしい記憶を辿りたくて飲みに出かけた。

あの頃は街の見方を知らず、興味もなかった。

はりまや橋と壱番街。
協力先のk工場長に連れられてあのあたりで飲み、翌日はたぶん後免あたりの、きれいな水路のある町で美味しい寿司をご馳走になった。

その後の東京に帰る件は覚えていない。
翌年が盛大だった。得意先のTさん、Uさんと連れだって入り込んだ店もあのあたりだったのだろう。
それらしき街角があった。

そんなことを思い出しながら飲んでいた。
カツオ3種盛りを注文したけど刺身が美味かった。
素敵な女将がいる店で長くいようと思ったが、待ち客がいるだろうと思い、そこそこにして店を出た。

酒飲み天国高知。
かつてオレがいたのは平日だったけど盛大だった。

でも今日感じたのは、アレ?だ。
観光客は多く、事前情報を仕入れた連中が行くような店は早くから並んでいる。
でもあの日ほどじゃなかった。
これが思い込みだってことは分かっている。

あれからオレはいろんな街を知ったんだ。
そして高知が取り立てて大きな街じゃないことも知った。

駅は新しくなり、街に馴染めずにいる。
聞けば去年のことだという。

10年前のあの駅に降りたかったけど、高知も新しくなっているんだ。
次に来ることがあるとするなら、駅前の再開発もすべて終わっているだろう。
高知の発展を心から望む。

今日に限って言えば、高知県人と他県人の区別はすぐについた。
南国生まれだ。
半袖姿を見つけりゃいい。

この街で、出張でお得意と連れだって入った店で、美人じゃなかったけど、散々尽くしてくれた女性がいた。
顔は覚えていないし、名前も知らないが、情のある女性だった。
今もリスペクトしてる。

結局のところ高知は何も変わってないか。
初恋みたいなものだ。

まったく縁のない街で最初に知ったのが高知なんだよ。

関連記事

「鉄旅日記」2008年初秋 初日(東京-羽咋)その2-新西金沢、野町、加賀一の宮、西金沢、羽咋(北陸本線/北陸鉄道石川線/七尾線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】

鉄旅日記2008年9月13日・・・新西金沢駅、野町駅、加賀一の宮駅、西金沢駅、羽咋駅(北陸本線/北陸

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅、常陸多賀駅(常磐線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その5‐福井、新福井、勝山、福井口(えちぜん鉄道勝山永平寺線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月22日・・・福井駅、新福井駅、勝山駅、福井口駅(えちぜん鉄道勝山永平寺線)

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春 初日(東京-和歌山)その2-和泉府中、東岸和田、日根野、熊取、りんくうタウン、関西空港、紀三井寺、黒江、紀伊中ノ島、和歌山(阪和線、関西空港支線、紀勢本線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】

鉄旅日記2013年4月7日その2・・・和泉府中駅、東岸和田駅、日根野駅、熊取駅、りんくうタウン駅、関

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その3-関駅、その後

車旅日記1996年5月3日 16:36 関駅 あれから2時間経ってようやくここに戻ってきた。

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その3‐黒石、弘前、津軽新城、青森(弘南鉄道弘南線/奥羽本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月3日・・・黒石駅、弘前駅、津軽新城駅、青森駅(弘南鉄道弘南線/奥羽本線)

記事を読む

「車旅日記」2005年春 初日(松本-富山)走行距離317㎞ その1-新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島駅、飯山駅 【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

車旅日記2005年4月29日・・・新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋 2日目(羽咋-福井)その1-羽咋、七尾、穴水、和倉温泉、北鉄金沢、内灘、粟ヶ崎、金沢(七尾線/のと鉄道/北陸鉄道浅野川線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】

鉄旅日記2008年9月14日・・・羽咋駅、七尾駅、穴水駅、和倉温泉駅、北鉄金沢駅、内灘駅、粟ヶ崎駅、

記事を読む

「車旅日記」2004年秋 最終日(城崎-京都)走行距離256㎞-レイセニット城崎、城崎駅、豊岡駅、久美浜駅、宮津駅、西舞鶴駅、東舞鶴駅、福知山駅、京都駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】

車旅日記2004年11月21日・・・レイセニット城崎、城崎駅、豊岡駅、久美浜駅、宮津駅、西舞鶴駅、東

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月11日・・・弘前駅、蟹田駅、津軽二股駅、奥津軽いまべつ駅、木古内駅、札苅駅、桔

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(I

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小

→もっと見る

    PAGE TOP ↑