*

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線)

公開日: : 最終更新日:2020/09/11 旅話 2016年

鉄旅日記2016年8月11日
2016・8・11 5:13 弘前(ひろさき)駅(奥羽本線/弘南鉄道江南線 青森県)
涼しい朝だ。

こうじゃなきゃいけないよ。
オレが子供の頃の夏は、記憶している限りこうだった。

記憶などいい加減なものだと自覚しているし、誤解かもしれないけど、意見を変えるつもりはない。

弘前に泊まって、やっぱりお城まで歩きたいと切実に思う。
中央弘前駅にも行きたい。
リンゴケーキも買って帰りたいよ。

健全な空の下で、去りがたい思いにとらわれている。
でも残念だけど、今回はその時じゃない。

ただ津軽は遠い。
これが最後になってもおかしくない。

いい空の写真が撮れた。
あれは岩木山だろう。

駅で始発列車を待っている。
発車を告げる津軽三味線が聞こえてきた。

弘前を離れる。

夏、弘前の朝


7:05 蟹田(かにた)駅(津軽線 青森県)
青森駅で津軽線に乗り換える。

ホームに置かれた太宰治の「風のまち」モニュメントにケータイを向ける。

小説「津軽」は読んだ。
まだ家の書棚にある筈だ。

内容よりも最後の挨拶文が強烈で、太宰とはこんな男だったかと印象を強くした。

「さらば読者よ、命あらばまた他日。
元気でいこう。
絶望するな。
では、失敬。」

津軽平野を眺めれば、この景色が好きだったことを思い出す。

青森駅では駅の変遷を跨線橋の写真で辿り、今では遠くなった昭和に思いを馳せた。

青函連絡船の頃は、「津軽海峡冬景色」と共に郷愁の対象からやがて昔話になる。
筑豊と「炭坑節」の関係のように。
あるいはすでにそうなっているのかもしれない。

平成もじきに終わるようだ。
現天皇のそんなご自身の希望を述べたお言葉を断片的にラジオで聞いた。
立法府では揉めているらしい。

青森市内を抜けると眠ってしまい目覚めたら海辺に出ていた。

愛おしい顔がそこにあるような、ステキな目覚めだった。

津軽二股(つがるふたまた)駅(津軽線 青森県)にて

8:00 奥津軽いまべつ(おくつがるいまべつ)駅(北海道新幹線/青森県)
密林を進むとやがて津軽二股駅に着く。

観光館の他には何もなく駅舎もない。
旧津軽今別駅へと続いていた階段の入口には錠が下ろされていた。

津軽海峡の下に線路を敷く都合上、新設された駅が旧津軽今別駅。
現在の奥津軽いまべつ駅。

津軽二股駅は、その連絡駅としての役割を負っているが、開業当初はどんな景色があったのか。
周辺に見える民家の数はごく僅かしかない。

今ではある意味新しい土地だ。
この駅から初めて新幹線に乗る人もいるだろう。
今後の発展を願っている。

新幹線駅の改札口までは地上から115段の階段を上らなければならない。
もちろんエレベーターはある。

今日は日本晴れ。

木古内(きこない)駅(北海道新幹線/道南いさりび鉄道 北海道)

木古内~札苅間(徒歩)



9:55 札苅(さつかり)駅(道南いさりび鉄道 北海道)
木古内駅は新幹線駅へと変わり、駅舎も駅前通りも記憶しているものとは違っていた。

線路沿いに渋い飲み屋路地があった筈だけど、一掃され、均されていた。
だからと言って人が増えたわけじゃない。

新幹線開業に湧いたのも過ぎし日かと思わせる夏休みの木古内駅。

みそぎ浜で波と戯れ、5年前にあの鳥居の下にしゃがんでいた2名の外人を思い出す。
もちろん顔は忘れている。

津軽海峡の眺めに満足して松前国道を函館方面へ。

宿泊施設が数軒みられ、玄関先にちっちゃい赤ん坊を抱いて現れた父親と笑みを交わした。

そんなオレの夏休み。

ここに着いてしばらくしたら案に相違して大家族がやってきた。
どうやらこの駅から列車に乗るらしい。

でっかい虻が入ってきて食事もできず、外に出て木陰の下で待っている。

車がいなくなるとさざ波が聞こえる松前国道。

昆布の香りを嗅ぐと北海道にいることを感じる。
畑の先に松前半島がよく見える。

12:01 桔梗(ききょう)駅(函館本線 北海道)
いさりび線の窓は開け放たれ、海峡の風が爽やかでよく眠った。

ずっと見ていても飽きない海辺の景色が続くのだが、寝てしまった。

五稜郭から桔梗までの徒歩行は可能かどうか直前まで危ぶんでいたけど、五稜郭に着いたら思い悩むことはなく歩くことに踏み切った。

5号国道をまっしぐら。
右手の裾長の山々が次第に後方へと位置をずらしていく。

他に北海道らしさを思わせるものはこのあたりになく、交通量も多い。
函館とはそういう街だ。

やがて徒歩のみでは次の桔梗発の列車に間に合わないことを悟り、走りを重ねて計画完遂。

駅への入口を示す道路標示の先にかわいらしい駅舎が待っていた。

湿気のない北の大地でのとても爽やかな前進行動だった。

12:28 新函館北斗(しんはこだてほくと)駅(北海道新幹線/函館本線)
新しく始まるものとは、こうも素晴らしい。
ここに来てそう思ったよ。

保守的で古いものに愛着を覚えるオレがそんなふうに思うことはあまりない。

新幹線はオレにはどうでもいい。
新しく駅ができたことがうれしいのだ。

今は駅の他には建設中のホテルがあるのみで何もない。
「おもてなし市」ができていた程度だ。
あれも常設ではないだろう。

左手に見えるのは、さっきまで歩きながら見ていた山々だろう。
あの山もオレにとっては函館を象徴するものだ。

初めて北海道に上陸した在りし日、5日にわたる旅を終えようと5号国道を函館空港に戻るオレの目に、あの山々は見えていた。
思い出したよ。

この駅では発泡酒も第3のビールも売っていなくて、サッポロ「北海道」を久しぶりに手にした。

12:50 大中山(おおなかやま)駅(函館本線 北海道)
2駅戻る。

ここ最近数々の不祥事を引き起こしたJR北海道の問題点を見た。
運転席では先輩が後輩を指導する姿が見えるが、定時運行に気を配っていない。
明らかな緩みだ。

そんな鉄道会社に明後日まで身を委ねるわけで、身に危険を覚えているわけじゃないが、どうか計画している駅でオレを降ろしてほしい。

一旦降りて、4分後にやってくる下り列車に乗る。
そんな計画を立てるヤツもそうはいないだろうが、オレはそれをしにわざわざ東京からやってきた。

ここには4分いられるはずだったが、1分に変わり、ゆとりは焦燥へと変わった。

でもさ、
「あたたたた」と喃語を口にする男の子をあやす母親。
そんな光景を目にするたびに幸せな気持ちになる。

車窓風景

関連記事

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その1-大湊、野辺地、浅虫温泉、小湊、東青森、上北町、小川原湖、下田、八戸(大湊線、青い森鉄道)

鉄旅日記2016年3月20日その1 下北~大湊間(徒歩) 2016・3・20

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】最終日(水沢-東京)その1-水沢、花巻、遠野、陸中大橋、小佐野、釜石、恋し浜、盛(東北本線、釜石線、三陸鉄道南リアス線)

鉄旅日記2016年3月6日その1 2016・3・6 6:03 水沢(みずさわ)駅(東北本線

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】3日目(小樽-富良野)その1-小樽、発寒中央、琴似、石狩当別、石狩月形、新十津川、滝川、茶志内、美唄(函館本線/学園都市線)

鉄旅日記2016年8月12日 2016・8・12 5:32 小樽(おたる)駅(函館本線 

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】初日(東京-弘前)-福島、仙台、北山形、新庄、秋田、井川さくら、大館、弘前(東北本線/仙山線/奥羽本線)

鉄旅日記2016年8月10日 2016・8・10 10:35 福島(ふくしま)駅(東北・秋

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線)

鉄旅日記2016年3月21日その1 2016・3・21 5:21 石巻(いしのまき)駅(石

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】初日(東京-下北)その2-村崎野、六原、盛岡、八戸、野辺地、下北(東北本線、いわて銀河鉄道線、大湊線)

鉄旅日記2016年3月19日その2 16:41 村崎野(むらさきの)駅(東北本線/岩手県)

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】4日目(富良野-大館)その2-南千歳、苫小牧、登別、東室蘭、北舟岡、伊達紋別、長万部、森、新函館北斗、大館(千歳線/室蘭本線/函館本線/北海道新幹線/奥羽本線)

鉄旅日記2016年8月13日 11:45 南千歳(みなみちとせ)駅(千歳線/石勝線 北海道

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線)

鉄旅日記2016年8月13日 2016・8・14 6:27 大館(おおだて)駅(奥羽本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】2日目(弘前-小樽)その2-赤井川、姫川、東森、渡島砂原、森、野田生、山越、八雲、長万部、ニセコ、小樽(函館本線/渡島砂原支線)

鉄旅日記2016年8月11日 13:21 赤井川(あかいがわ)駅(函館本線 北海道) 思

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線)

鉄旅日記2016年3月20日その2 13:13 金田一温泉(きんだいちおんせん)駅(IGR

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2007年新春【本格的に鉄旅が始まりまして、まずは冬の北陸を目指したのでございます。】初日(東京-岐阜-富山-高岡)-東京、岐阜、美濃太田、下呂、高山、角川、猪谷、富山、高岡(東海道新幹線/高山本線/北陸本線)

鉄旅日記2007年1月6日 2007・1・6 22:45 ス

「鉄旅日記」2006年晩秋【浜名湖へ。そして飯田線に乗って、友に会いにいったのでございます。】初日-掛川、尾奈、リステル浜名湖(東海道本線/天竜浜名湖鉄道)

鉄旅日記2006年11月3日 2006・11・3 リステル浜

「鉄旅日記」2006年晩秋【浜名湖へ。そして飯田線に乗って、友に会いにいったのでございます。】2日目・最終日-尾奈、新所原、豊橋、本長篠、鳥居、三河槇原、中部天竜、佐久間、大嵐、伊那小沢、天竜峡、松本(天竜浜名湖鉄道/東海道本線/飯田線/中央本線)

鉄旅日記2006年11月4日/11月5日 2006・11・5

「鉄旅日記」2006年晩夏【ふと誘われるように、上州へ向かう列車に乗ったのでございます。】-伊勢崎、桐生、西桐生、下仁田、上州富岡、高崎(高崎線/両毛線/上信電鉄)

鉄旅日記2006年9月2日 空の色はよかったよ。 煙草

「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】最終日(近江八幡-長浜-揖斐-岐阜)-ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤坂駅、揖斐駅、木知原駅

鉄旅日記2006年7月17日 2006・7・17 8:26 

→もっと見る

    PAGE TOP ↑