*

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線)

公開日: : 旅話 * 結婚後2016年

冒険家志望のあなたへ【1話】

 

鉄旅日記2016年8月11日
2016・8・11 5:13 弘前(ひろさき)駅(奥羽本線/弘南鉄道江南線 青森県)
涼しい朝だ。

こうじゃなきゃいけないよ。
オレが子供の頃の夏は、記憶している限りこうだった。

記憶などいい加減なものだと自覚しているし、誤解かもしれないけど、意見を変えるつもりはない。

弘前に泊まって、やっぱりお城まで歩きたいと切実に思う。
中央弘前駅にも行きたい。
リンゴケーキも買って帰りたいよ。

健全な空の下で、去りがたい思いにとらわれている。
でも残念だけど、今回はその時じゃない。

ただ津軽は遠い。
これが最後になってもおかしくない。

いい空の写真が撮れた。
あれは岩木山だろう。

駅で始発列車を待っている。
発車を告げる津軽三味線が聞こえてきた。

弘前を離れる。

夏、弘前の朝

7:05 蟹田(かにた)駅(津軽線 青森県)
青森駅で津軽線に乗り換える。

ホームに置かれた太宰治の「風のまち」モニュメントにケータイを向ける。

小説「津軽」は読んだ。
まだ家の書棚にある筈だ。

内容よりも最後の挨拶文が強烈で、太宰とはこんな男だったかと印象を強くした。

「さらば読者よ、命あらばまた他日。
元気でいこう。
絶望するな。
では、失敬。」

津軽平野を眺めれば、この景色が好きだったことを思い出す。

青森駅では駅の変遷を跨線橋の写真で辿り、今では遠くなった昭和に思いを馳せた。

青函連絡船の頃は、「津軽海峡冬景色」と共に郷愁の対象からやがて昔話になる。
筑豊と「炭坑節」の関係のように。
あるいはすでにそうなっているのかもしれない。

平成もじきに終わるようだ。
現天皇のそんなご自身の希望を述べたお言葉を断片的にラジオで聞いた。
立法府では揉めているらしい。

青森市内を抜けると眠ってしまい目覚めたら海辺に出ていた。

愛おしい顔がそこにあるような、ステキな目覚めだった。

津軽二股(つがるふたまた)駅(津軽線 青森県)にて

8:00 奥津軽いまべつ(おくつがるいまべつ)駅(北海道新幹線/青森県)
密林を進むとやがて津軽二股駅に着く。

観光館の他には何もなく駅舎もない。
旧津軽今別駅へと続いていた階段の入口には錠が下ろされていた。

津軽海峡の下に線路を敷く都合上、新設された駅が旧津軽今別駅。
現在の奥津軽いまべつ駅。

津軽二股駅は、その連絡駅としての役割を負っているが、開業当初はどんな景色があったのか。
周辺に見える民家の数はごく僅かしかない。

今ではある意味新しい土地だ。
この駅から初めて新幹線に乗る人もいるだろう。
今後の発展を願っている。

新幹線駅の改札口までは地上から115段の階段を上らなければならない。
もちろんエレベーターはある。

今日は日本晴れ。

木古内(きこない)駅(北海道新幹線/道南いさりび鉄道 北海道)

木古内~札苅間(徒歩)

9:55 札苅(さつかり)駅(道南いさりび鉄道 北海道)
木古内駅は新幹線駅へと変わり、駅舎も駅前通りも記憶しているものとは違っていた。

線路沿いに渋い飲み屋路地があった筈だけど、一掃され、均されていた。
だからと言って人が増えたわけじゃない。

新幹線開業に湧いたのも過ぎし日かと思わせる夏休みの木古内駅。

みそぎ浜で波と戯れ、5年前にあの鳥居の下にしゃがんでいた2名の外人を思い出す。
もちろん顔は忘れている。

津軽海峡の眺めに満足して松前国道を函館方面へ。

宿泊施設が数軒みられ、玄関先にちっちゃい赤ん坊を抱いて現れた父親と笑みを交わした。

そんなオレの夏休み。

ここに着いてしばらくしたら案に相違して大家族がやってきた。
どうやらこの駅から列車に乗るらしい。

でっかい虻が入ってきて食事もできず、外に出て木陰の下で待っている。

車がいなくなるとさざ波が聞こえる松前国道。

昆布の香りを嗅ぐと北海道にいることを感じる。
畑の先に松前半島がよく見える。

12:01 桔梗(ききょう)駅(函館本線 北海道)
いさりび線の窓は開け放たれ、海峡の風が爽やかでよく眠った。

ずっと見ていても飽きない海辺の景色が続くのだが、寝てしまった。

五稜郭から桔梗までの徒歩行は可能かどうか直前まで危ぶんでいたけど、五稜郭に着いたら思い悩むことはなく歩くことに踏み切った。

5号国道をまっしぐら。
右手の裾長の山々が次第に後方へと位置をずらしていく。

他に北海道らしさを思わせるものはこのあたりになく、交通量も多い。
函館とはそういう街だ。

やがて徒歩のみでは次の桔梗発の列車に間に合わないことを悟り、走りを重ねて計画完遂。

駅への入口を示す道路標示の先にかわいらしい駅舎が待っていた。

湿気のない北の大地でのとても爽やかな前進行動だった。

12:28 新函館北斗(しんはこだてほくと)駅(北海道新幹線/函館本線)
新しく始まるものとは、こうも素晴らしい。
ここに来てそう思ったよ。

保守的で古いものに愛着を覚えるオレがそんなふうに思うことはあまりない。

新幹線はオレにはどうでもいい。
新しく駅ができたことがうれしいのだ。

今は駅の他には建設中のホテルがあるのみで何もない。
「おもてなし市」ができていた程度だ。
あれも常設ではないだろう。

左手に見えるのは、さっきまで歩きながら見ていた山々だろう。
あの山もオレにとっては函館を象徴するものだ。

初めて北海道に上陸した在りし日、5日にわたる旅を終えようと5号国道を函館空港に戻るオレの目に、あの山々は見えていた。
思い出したよ。

この駅では発泡酒も第3のビールも売っていなくて、サッポロ「北海道」を久しぶりに手にした。

12:50 大中山(おおなかやま)駅(函館本線 北海道)
2駅戻る。

ここ最近数々の不祥事を引き起こしたJR北海道の問題点を見た。
運転席では先輩が後輩を指導する姿が見えるが、定時運行に気を配っていない。
明らかな緩みだ。

そんな鉄道会社に明後日まで身を委ねるわけで、身に危険を覚えているわけじゃないが、どうか計画している駅でオレを降ろしてほしい。

一旦降りて、4分後にやってくる下り列車に乗る。
そんな計画を立てるヤツもそうはいないだろうが、オレはそれをしにわざわざ東京からやってきた。

ここには4分いられるはずだったが、1分に変わり、ゆとりは焦燥へと変わった。

でもさ、
「あたたたた」と喃語を口にする男の子をあやす母親。
そんな光景を目にするたびに幸せな気持ちになる。

車窓風景

関連記事

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】最終日(水沢-東京)その2-気仙沼、一ノ関、小牛田、大河原、福島、安積永盛、久喜(大船渡線、東北本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年3月6日その2 12:0

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】初日(東京-下北)その2-村崎野、六原、盛岡、八戸、野辺地、下北(東北本線、いわて銀河鉄道線、大湊線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年3月19日その2 16:

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その2-久田野、新白河、豊原、白坂、黒磯、西那須野、那須塩原、矢板(東北本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年3月21日その2 12:

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】初日(東京-水沢)その1-郡山、杉田、五百川、高城町、矢本、野蒜、陸前赤井、石巻、女川(東北本線、仙石線、石巻線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年3月5日その1 2016

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】4日目(富良野-大館)その1-富良野、滝川、岩見沢、白石、新札幌、北広島、恵庭、千歳、新千歳空港(根室本線/函館本線/千歳線/石勝線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年8月13日 2016・8

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】3日目(小樽-富良野)その1-小樽、発寒中央、琴似、石狩当別、石狩月形、新十津川、滝川、茶志内、美唄(函館本線/学園都市線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年8月12日 2016・8

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年3月21日その1 201

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その1-大湊、野辺地、浅虫温泉、小湊、東青森、上北町、小川原湖、下田、八戸(大湊線、青い森鉄道)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年3月20日その1 下北~

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】4日目(富良野-大館)その2-南千歳、苫小牧、登別、東室蘭、北舟岡、伊達紋別、長万部、森、新函館北斗、大館(千歳線/室蘭本線/函館本線/北海道新幹線/奥羽本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年8月13日 11:45 

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】初日(東京-弘前)-福島、仙台、北山形、新庄、秋田、井川さくら、大館、弘前(東北本線/仙山線/奥羽本線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記2016年8月10日 2016・8

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その2-宇治山田、東青山、青山町、名張、大和八木、大和西大寺、新大宮(山田線/大阪線/橿原線/奈良線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記201

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その1-近鉄富田、富田、近鉄四日市、湯の山温泉、伊勢若松、平田町、鈴鹿市、鳥羽、賢島(名古屋線/湯の山線/鈴鹿線/山田線/鳥羽線/志摩線)

冒険家志望のあなたへ【1話】   鉄旅日記201

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その2-天塩中川駅、音威子府駅、美深駅、名寄駅、風連駅、和寒駅、比布駅、神居古潭、旭川空港

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その1-稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河畔、パンケ沼、下沼駅、幌延駅、雄信内駅

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その2-雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖、さるふつ公園、宗谷岬、稚内駅

冒険家志望のあなたへ【1話】   車旅日記200

→もっと見る

    PAGE TOP ↑