*

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/25 旅話, 旅話 2016年

鉄旅日記2016年8月11日・・・弘前駅、蟹田駅、津軽二股駅、奥津軽いまべつ駅、木古内駅、札苅駅、桔梗駅、新函館北斗駅、大中山駅(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線)

2016・8・11 5:13 弘前(ひろさき)駅(奥羽本線/弘南鉄道江南線 青森県)
涼しい朝だ。

こうじゃなきゃいけないよ。
オレが子供の頃の夏は、記憶している限りこうだった。

記憶などいい加減なものだと自覚しているし、誤解かもしれないけど、意見を変えるつもりはない。

弘前に泊まって、やっぱりお城まで歩きたいと切実に思う。
中央弘前駅にも行きたい。
リンゴケーキも買って帰りたいよ。

健全な空の下で、去りがたい思いにとらわれている。
でも残念だけど、今回はその時じゃない。

ただ津軽は遠い。
これが最後になってもおかしくない。

いい空の写真が撮れた。
あれは岩木山だろう。

駅で始発列車を待っている。
発車を告げる津軽三味線が聞こえてきた。

弘前を離れる。

夏、弘前の朝


7:05 蟹田(かにた)駅(津軽線 青森県)
青森駅で津軽線に乗り換える。

ホームに置かれた太宰治の「風のまち」モニュメントにケータイを向ける。

小説「津軽」は読んだ。
まだ家の書棚にある筈だ。

内容よりも最後の挨拶文が強烈で、太宰とはこんな男だったかと印象を強くした。

「さらば読者よ、命あらばまた他日。
元気でいこう。
絶望するな。
では、失敬。」

津軽平野を眺めれば、この景色が好きだったことを思い出す。

青森駅では駅の変遷を跨線橋の写真で辿り、今では遠くなった昭和に思いを馳せた。

青函連絡船の頃は、「津軽海峡冬景色」と共に郷愁の対象からやがて昔話になる。
筑豊と「炭坑節」の関係のように。
あるいはすでにそうなっているのかもしれない。

平成もじきに終わるようだ。
現天皇のそんなご自身の希望を述べたお言葉を断片的にラジオで聞いた。
立法府では揉めているらしい。

青森市内を抜けると眠ってしまい目覚めたら海辺に出ていた。

愛おしい顔がそこにあるような、ステキな目覚めだった。

津軽二股(つがるふたまた)駅(津軽線 青森県)にて

8:00 奥津軽いまべつ(おくつがるいまべつ)駅(北海道新幹線/青森県)
密林を進むとやがて津軽二股駅に着く。

観光館の他には何もなく駅舎もない。
旧津軽今別駅へと続いていた階段の入口には錠が下ろされていた。

津軽海峡の下に線路を敷く都合上、新設された駅が旧津軽今別駅。
現在の奥津軽いまべつ駅。

津軽二股駅は、その連絡駅としての役割を負っているが、開業当初はどんな景色があったのか。
周辺に見える民家の数はごく僅かしかない。

今ではある意味新しい土地だ。
この駅から初めて新幹線に乗る人もいるだろう。
今後の発展を願っている。

新幹線駅の改札口までは地上から115段の階段を上らなければならない。
もちろんエレベーターはある。

今日は日本晴れ。

木古内(きこない)駅(北海道新幹線/道南いさりび鉄道 北海道)

木古内~札苅間(徒歩)



9:55 札苅(さつかり)駅(道南いさりび鉄道 北海道)
木古内駅は新幹線駅へと変わり、駅舎も駅前通りも記憶しているものとは違っていた。

線路沿いに渋い飲み屋路地があった筈だけど、一掃され、均されていた。
だからと言って人が増えたわけじゃない。

新幹線開業に湧いたのも過ぎし日かと思わせる夏休みの木古内駅。

みそぎ浜で波と戯れ、5年前にあの鳥居の下にしゃがんでいた2名の外人を思い出す。
もちろん顔は忘れている。

津軽海峡の眺めに満足して松前国道を函館方面へ。

宿泊施設が数軒みられ、玄関先にちっちゃい赤ん坊を抱いて現れた父親と笑みを交わした。

そんなオレの夏休み。

ここに着いてしばらくしたら案に相違して大家族がやってきた。
どうやらこの駅から列車に乗るらしい。

でっかい虻が入ってきて食事もできず、外に出て木陰の下で待っている。

車がいなくなるとさざ波が聞こえる松前国道。

昆布の香りを嗅ぐと北海道にいることを感じる。
畑の先に松前半島がよく見える。

12:01 桔梗(ききょう)駅(函館本線 北海道)
いさりび線の窓は開け放たれ、海峡の風が爽やかでよく眠った。

ずっと見ていても飽きない海辺の景色が続くのだが、寝てしまった。

五稜郭から桔梗までの徒歩行は可能かどうか直前まで危ぶんでいたけど、五稜郭に着いたら思い悩むことはなく歩くことに踏み切った。

5号国道をまっしぐら。
右手の裾長の山々が次第に後方へと位置をずらしていく。

他に北海道らしさを思わせるものはこのあたりになく、交通量も多い。
函館とはそういう街だ。

やがて徒歩のみでは次の桔梗発の列車に間に合わないことを悟り、走りを重ねて計画完遂。

駅への入口を示す道路標示の先にかわいらしい駅舎が待っていた。

湿気のない北の大地でのとても爽やかな前進行動だった。

12:28 新函館北斗(しんはこだてほくと)駅(北海道新幹線/函館本線)
新しく始まるものとは、こうも素晴らしい。
ここに来てそう思ったよ。

保守的で古いものに愛着を覚えるオレがそんなふうに思うことはあまりない。

新幹線はオレにはどうでもいい。
新しく駅ができたことがうれしいのだ。

今は駅の他には建設中のホテルがあるのみで何もない。
「おもてなし市」ができていた程度だ。
あれも常設ではないだろう。

左手に見えるのは、さっきまで歩きながら見ていた山々だろう。
あの山もオレにとっては函館を象徴するものだ。

初めて北海道に上陸した在りし日、5日にわたる旅を終えようと5号国道を函館空港に戻るオレの目に、あの山々は見えていた。
思い出したよ。

この駅では発泡酒も第3のビールも売っていなくて、サッポロ「北海道」を久しぶりに手にした。

12:50 大中山(おおなかやま)駅(函館本線 北海道)
2駅戻る。

ここ最近数々の不祥事を引き起こしたJR北海道の問題点を見た。
運転席では先輩が後輩を指導する姿が見えるが、定時運行に気を配っていない。
明らかな緩みだ。

そんな鉄道会社に明後日まで身を委ねるわけで、身に危険を覚えているわけじゃないが、どうか計画している駅でオレを降ろしてほしい。

一旦降りて、4分後にやってくる下り列車に乗る。
そんな計画を立てるヤツもそうはいないだろうが、オレはそれをしにわざわざ東京からやってきた。

ここには4分いられるはずだったが、1分に変わり、ゆとりは焦燥へと変わった。

でもさ、
「あたたたた」と喃語を口にする男の子をあやす母親。
そんな光景を目にするたびに幸せな気持ちになる。

車窓風景

関連記事

「車旅日記」1998年春【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】最終日(鳴子温泉-郡山-東京)-鳴子サンハイツ、川渡温泉駅、槻木駅、道の駅安達、郡山文化センター前、那須公営パーキング、黒磯PA、佐野SA、大井PA、東京町田

車旅日記1998年5月4日 1998・5・4 8:47 鳴子サンハイツ 連休中初めての日差しだ。

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)その1‐湯沢、四ツ小屋、秋田、森岳(奥羽本線)

駅旅日記2020年1月12日・・・湯沢駅、四ツ小屋駅、秋田駅、森岳駅(奥羽本線) 2020・1・12

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】初日その1(東京-岩倉)-蒲郡、三河鳥羽、吉良吉田、西尾、桜町前、新安城、知立、猿投、赤池、豊田市、新豊田(名鉄蒲郡線/名鉄西尾線/名鉄本線/名鉄三河線/名鉄豊田線)

鉄旅日記2015年3月7日その1・・・蒲郡駅、三河鳥羽駅、吉良吉田駅、西尾駅、桜町前駅、新安城駅、知

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】初日(東京-羽咋)その1-東京、大垣、米原、長浜、敦賀、鯖江、西鯖江、大聖寺、加賀温泉(東海道本線/北陸本線)

鉄旅日記2008年9月13日・・・東京駅、大垣駅、米原駅、長浜駅、敦賀駅、鯖江駅、西鯖江駅、大聖寺駅

記事を読む

「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】2日目(新潟豊栄‐象潟)道の駅豊栄、道の駅神林、瀬波温泉龍泉、道の駅温海、立岩海底温泉、酒田南郊、象潟駅、象潟松籟館

車旅日記2000年5月4日 2000・5・4 8:09 7号国道-豊栄(道の駅) 路上で夜を明か

記事を読む

「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】最終日(郡山‐茂木‐下館‐東京)郡山スターホテル、新白河駅、黒羽くらしの館、茂木駅、下館駅、みつかいどうロードパーク、葛飾金町

車旅日記2000年5月7日 2000・5・7 8:35 郡山スターホテル510号室 最後の朝がやって

記事を読む

「鉄旅日記」2018年エイプリルフール【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】その1-金町、上野、鹿沼、日光、東武日光、宇都宮、野崎(常磐線/東北本線/日光線)

鉄旅日記2018年4月1日・・・金町駅、上野駅、鹿沼駅、日光駅、東武日光駅、宇都宮駅、野崎駅(常磐線

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】最終日(長岡-東京)-長岡、東三条、吉田、新潟、新津、会津若松、郡山、磐城石川、磐城塙、玉川村、常陸大宮、金町(信越本線/弥彦線/越後線/磐越西線/水郡線/常磐線)

鉄旅日記2009年7月20日・・・長岡駅、東三条駅、吉田駅、新潟駅、新津駅、会津若松駅、郡山駅、磐城

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】最終日(新庄-東京)その1-新庄、最上、鳴子温泉、岩出山、北浦、小牛田、鹿又、石巻(陸羽東線/石巻線)

鉄旅日記2009年10月11日・・・新庄駅、最上駅、鳴子温泉駅、岩出山駅、北浦駅、小牛田駅、鹿又駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.2【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】その2-湯本、内郷、水戸、偕楽園、下菅谷、中菅谷(常磐線/水郡線)

鉄旅日記2019年3月10日・・・湯本駅、内郷駅、水戸駅、偕楽園駅、下菅谷駅、中菅谷駅(常磐線/水郡

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池

車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その2 ‐祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒田屋高松西インター店

車旅日記2020年9月20日・・・祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その1 ‐瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋神社参道、津島ノ宮駅、詫間海軍航空隊跡、箱浦(浦嶋伝説の地)、父母ヶ浜

車旅日記2020年9月20日・・・瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話

鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線)

鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山

→もっと見る

    PAGE TOP ↑