「鉄旅日記」2016年夏 初日(東京-弘前)-福島、仙台、北山形、新庄、秋田、井川さくら、大館、弘前(東北本線/仙山線/奥羽本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月10日・・・福島駅、仙台駅、北山形駅、新庄駅、秋田駅、井川さくら駅、大館駅、弘前駅(東北本線/仙山線/奥羽本線)
2016・8・10 10:35 福島(ふくしま)駅(東北・秋田山形新幹線/東北本線/奥羽本線/阿武隈鉄道/福島交通飯坂線 福島県)
暑く寝苦しい夜だった。眠りは浅く目は冴えていた。
今回ほど気持ちの乗らない旅もない。
でもオレには男としての道がある。
計画は立派なのができている。
チケットも宿の予約も済んでいる。
やっぱり出かけなきゃな。
明けかける練馬の朝はどんよりと重かった。
北池袋駅、赤羽八幡神社、「私本太平記」。。
やがて3月の風景の中で眠りに落ちた。
那須あたりから乗ってきた若い母親と小さな男の子が、郡山からはひとつ手前の席にいることに気付いた。
その郡山でビールを補充して、ここ福島では十分な時間を得ている。
あの5月の日にEさん夫妻と歩いたのはこの通りで間違いない。
あの日の人の多さや泊まったホテルやら、還らぬ記憶に折り合いをつけて、駅前通りの先を塞ぐ信夫山を一枚撮った。
そうこうして福島を離れてすでに10分以上が経過して仙台行に乗っている。

12:06 仙台(せんだい)駅(東北・秋田山形新幹線/東北本線/常磐線/仙山線/仙石線/仙台市営地下鉄/仙台空港アクセス線 宮城県)
眠りこけていてロングシートにタオルを置き忘れたことに気付いて、上りかけていた階段を戻ると人波に揉まれた。
「うわっ、人多すぎっ」
「東京みたいっ」。
そんな声を耳が拾う。
再び階段を上って通路に出ると人波は東京のそれと比べるまでもない。
それが仙台という街。
今度こそ「萩の月」を買って帰るべく、売場を物色して仙山線ホームへ。
駅の外観はオレが知っているままだったよ。

13:36 北山形(きたやまがた)駅(奥羽本線/仙山線/左沢線 山形県)
山形人の坩堝に巻かれている。
多くは学生だ。
終点新庄までこのままはないだろうが、この事態は予想外。
ただ次の列車が到着するのは約2時間後。
そういうものか。
おかげで少女たちの山形訛りが聞ける。
奥羽本線と左沢線とで駅舎もホームも別になっていて移動には時を要する。
表に出たのは左沢線駅舎で街中の外れの風景を見たが、急いでいてあまり覚えていない。
奥羽本線駅舎は改装中だった。

15:21 新庄(しんじょう)駅(山形新幹線/奥羽本線/陸羽東線/陸羽西線 山形県)
最近のオレは若者が好きになった。
先輩、同僚と酔った挙句に入ったキャバクラで横についたキャバ嬢にそんなことを言った。
あの店で覚えているのはそれくらいのものだ。
その思いを、爽やかな若者が多く乗りこんでいた山形線の車中で感じていた。
追憶の13号国道に沿った山形道中には馴染みがある。
あれから知識が積もり、馴染みの風景にも違った側面が存在することを知り、感じていた。
神町、東根には古い駅舎が残り、乗客の多くは学生だから小さな駅にも降車時の人だかりが発生していた。
その光景を微笑ましく眺めた。
もうこれ以上どこにも廃れてほしくないんだ。
かつての一宿新庄。
ふらふらと足に任せて歩いてみた。
向かったのは城跡公園じゃない。
そっちには行ったことがない。
酒場の入場門をもう一度見たくて足に尋ねた。
門は今も残っていたけど、広告板は外され外枠のみの姿で脇に追いやられ役目を終えていた。
駅に戻りビール。
発車を控えて秋田行の乗車率が上がりやがて満席になった。

18:26 秋田(あきた)駅(秋田新幹線/奥羽本線/羽越本線/男鹿線 秋田県)
5年ぶり。
お得意との電話で費やしてしまった再会の時。
一見賑やかそうだが、駅前はホテルメトロポリタンと僅かな商業施設しか存在しないという街の事情に変化はなかった。
奥羽本線車中、目の前で隣り合わせに並んだ二人のメガネ美人に目を奪われていた。
まるで挑発するかのように惜しげもなくさらした美脚はとてつもなく艶かしく、眩しく、ずっと魅了され続けていた。
ひとりは大曲、もうひとりは刈和野で降りていってしまい、残されたオレは彼女たちが去った風景をぼんやりと眺める。
そこにあった空は青く美しかった。
通り過ぎて行く駅はどれも古く、周辺風景に溶け込んでいる様は名優を眺める心情に似ている。

19:20 井川さくら(いかわさくら)駅(奥羽本線 秋田県)
追憶の7号国道を渡ったところにローソンが見えて微笑む。
ビールを飲まなきゃな。
とにかく桜の名所らしい。
駅名の由来を記したものは見当たらないが、元は単なる井川駅だったのだろうな。
夕日に輝く稲穂を写した。
一緒に写った背後の山は男鹿半島だろうか。
見えないけれど手前には八郎潟がある。
子供と夕涼みに出ていた母親の声は慈愛に満ちている。


21:12 大館(おおだて)駅(奥羽本線/花輪線 秋田県)
車中の路線図を見るまで大館が秋田犬の本場であることを忘れていた。
経緯には及んでいないが忠犬ハチ公は大館駅から渋谷駅に贈られたのだという。
ホームに置かれたハチ公神社は二代目を数えている。
きりたんぽも大館が本場らしい。
5年前には鹿角花輪で鍋セットを友人のEさんのと合わせて買って帰って、夏の鍋を囲んだ。
ところで大館駅周辺の夜の様子に不安を覚えていた。
というのは3日後の23時過ぎにここに泊まるために戻ってくるわけだが、その時間の食料調達が可能かどうか疑わしい。
そこで4年振りの街歩きに出た。
相変わらず暗い駅前だ。
3日後に泊まるホテルの存在はすでに掴んでいて、雑草が茂る空地に囲まれた姿が駅からも見える。
脇に24時間営業のコンビニがあって、あっさりと不安は解消した。
ビールを買ってホテルの前を通り、大館での記憶と現実との間で一悶着があって、街に毒づきながら駅に戻る。
相変わらず薄暗くて人気のない駅前だ。
そんな駅に何度も降りる人生や、でもコンビニを見つけた安心感もあってか、実はこの風情が嫌いじゃないことを感じて笑った。
3日後にあのコンビニに寄って、忘れていなかったら土産用きりたんぽセットがあるか探してみるよ。

22:51 弘前プリンスホテル417号
津軽訛りが聞こえた駅前。
人通りはほぼ絶え、田舎の街中へと向かう道が放射状に見える。
地図を見る限りでは迷いそうな街だ。
ホテルへの途中「ねぷた」が光っていた。
駅から3分と歩かない地点はかび臭い一画だ。
桜とお城の弘前だけど、明日の出発は早く、この3分地点の往復で街を離れることになる。
駅から城にかけては一度車で往復したことがある。
もう10年も前の肌寒い黄金週間だった。
県庁所在地クラスの街並を思い描いていたオレに肩透かしを食わせた当時の弘前。
あの印象を凌駕するものはおそらく望めないだろう。
弘前には済まないと思う。
きちんと歩けば違ったものがオレの中に残る筈だが、あの5月に宿がどこもいっぱいで弘前にフラれて青森に泊まる羽目になり、微妙になったオレと弘前の関係。
さらに皮肉なものになってしまって、今夜はもうまとめることはできない。
フロントに置いてあったマッサージ機が効いた。
この時間には多過ぎるか思いながら買ってきた酒も全部飲めた。
カーテンを開けたら駅が見えた。
この部屋をオレは気に入っている。
やがてオレと弘前の拗れも解消するだろう。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2014年秋 その1-日進、宮原、加茂宮、北大宮、大宮公園、土呂、東鷲宮、鷲宮、栗橋、古河、新古河、野木、間々田、岩舟(川越線/東北本線/両毛線) 【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】
鉄旅日記2014年11月3日その1・・・日進駅、宮原駅、加茂宮駅、北大宮駅、大宮公園駅、土呂駅、東鷲
-
-
「鉄旅日記」2019年年始 初日(東京-一ノ関)その2-新津、新発田、坂町、小国、今泉、西米沢~上杉家御廟~上杉神社~南米沢(信越本線/羽越本線/米坂線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】
鉄旅日記2019年1月5日・・・新津駅、新発田駅、坂町駅、小国駅、今泉駅、西米沢駅、南米沢駅(信越本
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その5 ‐川崎新町、八丁畷、矢向、平間(浜川崎支線/南武線)/ガス橋 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・川崎新町駅、八丁畷駅、矢向駅、平間駅(浜川崎支線/南武線)/ガス橋
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その2-釜石、津軽石、宮古、田野畑、堀内(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月22日・・・釜石駅、津軽石駅、宮古駅、田野畑駅、堀内駅(三陸鉄道リアス線)
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 2日目(新山口-大分)その2-香春、田川伊田、田川後藤寺、日田、豊後森、豊後中村、野矢、由布院、大分(日田彦山線/久大本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月19日・・・香春駅、田川伊田駅、田川後藤寺駅、日田駅、豊後森駅、豊後中村駅、野
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その1-近鉄富田、富田、近鉄四日市、湯の山温泉、伊勢若松、平田町、鈴鹿市、鳥羽、賢島(名古屋線/湯の山線/鈴鹿線/山田線/鳥羽線/志摩線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・近鉄富田駅、富田駅、近鉄四日市駅、湯の山温泉駅、伊勢若松駅、平田町
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その2-猿田、旭、八日市場、八街、成東、本納、茂原、千倉、佐貫町、姉ヶ崎、市川(総武本線、東金線、内房線、外房線) 【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】
鉄旅日記2012年3月12日その2・・・猿田駅、旭駅、八日市場駅、八街駅、成東駅、本納駅、茂原駅、千
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その2 ‐静岡、金谷、新金谷、代官町、日切、合格、門出(東海道本線/大井川鐡道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月19日・・・静岡駅、金谷駅、新金谷駅、代官町駅、日切駅、合格駅、門出駅(東海
-
-
「鉄旅日記」2021年皐月 最終日-勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野駅、養老渓谷駅、五井駅(外房線/いすみ鉄道/小湊鉄道)/養老渓谷2階建てトンネル 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】
鉄旅日記2021年5月23日・・・勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野駅、養老渓谷駅、五井駅(外房線
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)/慶 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)/慶
