「鉄旅日記」2015年春 初日その3(東京-宇治)-中書島、伏見桃山、桃山御陵前、桃山、JR藤森、木幡、黄檗、京阪黄檗、京阪宇治(京阪本線/奈良線/京阪宇治線) 【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】
鉄旅日記2015年3月21日その2・・・中書島駅、伏見桃山駅、桃山御陵前駅、桃山駅、JR藤森駅、木幡駅、黄檗駅、京阪黄檗駅、京阪宇治駅(京阪本線/奈良線/京阪宇治線)
20:15 中書島(ちゅうしょじま)駅(京阪本線/京阪宇治線 京都府)
特急停車駅だが、あたりは明るいとは言えない。
バスターミナルにへつながる出口には文字通り何もない。
線路の下をくぐり北口に出ると女性の客引きが立つ先にささやかな商店街が見えた。
ここは伏見。
ふと見ると坂本龍馬と寺田屋を紹介するパネルが立っている。
その展示を見たら、あのささやかな商店街が淀川の船着場に出る道だと思い込んだ。
実際はそんなところには着かないが、あの商店街を彩っていた僅かな灯が幕末伏見の匂いを嗅がしてくれた。

伏見桃山(ふしみももやま)駅(京阪本線 京都府)にて

桃山御陵前(ももやまごりょうまえ)駅(近鉄京都線 京都府)にて


20:30 桃山(ももやま)駅(奈良線 京都府)
伏見桃山駅で降りる。
地上に上がるといきなり現れた雑踏に驚き、目を転じると踏切の先に眩しいアーケード街がある。
すぐ脇の近鉄桃山御陵前駅のガード下はシブい横丁になっていて、ラーメン屋には行列ができている。
さらに行くと御香宮の角。
かつて戦国の頃に福島正則屋敷での母里太兵衛の酒豪伝説があり、ここがまさにその地であると、すなわち黒田節発祥の地であると告げる案内板が立っている。
京都奈良の街角では不意に歴史遺産に出くわす。
桃山駅に近づくにつれて宵闇が濃くなり、花開いた桜が駅灯に照らされていた。
ここから京都方面へひと駅。

20:43 JR藤森(じぇいあーるふじもり)駅(奈良線 京都府)
坂の上に降りた。
あたりには何もなかった。
でも訳もなく名残惜しさを感じさせる坂で、しばらくそこにいた。
遥かな夜景は鳥羽伏見の明かり。
京都を彩った様々な歴史に思いを巡らす。
とても穏やかな記憶が残った。
これから宇治へ向かう。


21:08 木幡(こはた)駅(奈良線 京都府)
跨線橋でカブトムシの匂いを嗅いだ。
夏にはまだ遠いはずだが。
すっかり春めいて寒さに怯える必要のない夜だ。
駅は閑静な通りに面していて、正面に豪邸が建っている。
商店の灯は坂を下りて平行する県道に出ないと見えない。
坂の途中にあった結婚式場らしきものは松北園という宇治茶の老舗とのこと。
そこらに歴史的なものが転がっているが、このあたりじゃライトアップなどはしないものらしい。

黄檗(おうばく)駅(奈良線 京都府)にて

21:20 京阪黄檗(けいはんおうばく)駅(京阪宇治線 京都府)
黄檗駅からここまでの僅かな道程には中華料理屋が一軒のみ。
コンビニの明かりもなく、流行りとは縁を持たず闇が濃い。
ここから京都は近いが、距離とともに存在としての京都という都は確実に遠のき草深くなってきた。
黄檗山が駅を見下ろす位置にあり、そこに萬福寺という名刹がある。
黄檗とは何事かがありそうな地名で、そこが黄檗宗という禅宗の総本山になる。
中書島から枝分かれする京阪電車へと再び戻った。

京阪宇治(けいはんうじ)駅(京阪宇治線 京都府)にて

翌朝の撮影
22:43 鮎宗1階
宇治を見直している。
案内されたのは宇治川に面した1階レジ横の部屋。
様々な街で様々な部屋をあてがわれ寝てきたが、環境的にはここが一番素晴らしいと言える。
でも部屋に鍵はついていない。
ご主人によるとそれでいいらしい。
なぜないのかと尋ねたら困った顔をされた。
古都とはこういう佇まいを言うのかもしれない。
コンビニの明かりは遠慮がちで街並は美しい。
京都とは一線を画す意志を感じる。
宇治といえば茶だが、木幡の松北園といい深い歴史を体現している店構えを前に唸らずにはいられない。
この街を出ていく時はまたあの道を往こう。
義経義仲の合戦の折も急流を謳われた宇治川の流れはは今も轟々と激しい。
上流の天ヶ瀬ダムも影響しているのだろうか。
いずれにしても往時を偲ばせる歴史的な流れを見ることができる。
京阪宇治に降りた時は、ああそうだったよなと感じたけど、駅前ロータリーの記憶は失せていて、階段を上がったら川端に出ると思い込んでいた。
あの日、平等院鳳凰堂を見に行って宇治川の流れに胸打たれて、それから先どうしたんだっけな?忘れちゃったな。
美しくも切ない京都を焦がれた時代は約2年続いた。
彼女はどうしてるだろう。
当時24歳と若かった彼女も、4月には確か39歳になる筈だ。
そしてこのオレは46歳にして人生がどんどん面白くなっていく。
これほどの幸福はない。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その3-宇土、松橋、八代、出水、牛ノ浜、草道、鹿児島中央(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】
鉄旅日記2015年8月13日その3・・・宇土駅、松橋駅、八代駅、出水駅、牛ノ浜駅、草道駅、鹿児島中央
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その2-屋代、坂城、小諸、三岡、中込、羽黒下、松原湖(しなの鉄道/小海線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
車旅日記2019年2月10日・・・屋代駅、坂城駅、小諸駅、三岡駅、中込駅、羽黒下駅、松原湖駅(しなの
-
-
「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その2-安曇沓掛、信濃常盤、細野、海ノ口、信濃大町、信濃松川、安曇追分、南松本(大糸線/篠ノ井線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】
鉄旅日記2018年4月8日・・・安曇沓掛駅、信濃常盤駅、細野駅、海ノ口駅、信濃大町駅、信濃松川駅、安
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その3 ‐相原、相模原、東神奈川、京急東神奈川、鶴見、京急鶴見(横浜線/京浜東北線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・相原駅、相模原駅、東神奈川駅、京急東神奈川駅、鶴見駅、京急鶴見駅(
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山陽本線) 14:31&n
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その2‐小牛田、瀬峰、田尻、新田(東北本線)/伊豆沼 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・小牛田駅、瀬峰駅、田尻駅、新田駅(東北本線)/伊豆沼 8:
-
-
「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その1 ‐常陸大子、磐城棚倉、東館(水郡線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】
鉄旅日記2022年2月6日・・・常陸大子駅、磐城棚倉駅、東館駅(水郡線) 2022・2・6&
-
-
「車旅日記」2000年夏Part.1 2日目(諏訪-飯田-飛騨古川-能登島)上諏訪、辰野駅、駒ヶ根駅、飯田駅、道の駅賤母、ドライブイン飛騨花工場、道の駅飛騨古川、能登島 【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】
車旅日記2000年7月21日 2000・7・21 7:55 上諏訪某リゾートクラブ 朝湯につかりさ
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母駅、常永駅(身延線) 1
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-松本)その2 ‐高尾、大月、塩山、甲府、日野春(中央本線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】
鉄旅日記2021年4月24日・・・高尾駅、大月駅、塩山駅、甲府駅、日野春駅(中央本線) 7:
