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「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】2日目(西舞鶴-魚津)その1-西舞鶴、東舞鶴、若狭高浜、小浜、上中、十村、木ノ本、余呉、高月、永原、敦賀(舞鶴線/小浜線/北陸本線/湖西線)

公開日: : 最終更新日:2020/08/29 旅話 * 結婚後2014年

鉄旅日記2014年3月22日その1
2014・3・22 6:08 西舞鶴(にしまいづる)駅(舞鶴線/北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)
舞鶴線、宮津線が乗り入れる日本海の要衝駅は、4番ホームと車両基地を備えた重厚な佇まい。
まるで有名絵画のように周囲の山岳風景交わっている。
これが愛すべき日本の鉄道風景。

昨夜この駅で降りる際に、シートに置き忘れられていた財布を拾い、届け出た時にここの駅長に会ったが、気の弱そうな京都弁を話す善良を絵に書いたような方だった。
今朝のオレに気づいてくれて、「昨日はどうも」と丁寧に挨拶をしてくれたよ。

朝の一番列車は次の東舞鶴行き。

6:33 東舞鶴(ひがしまいづる)駅(舞鶴線/小浜線 京都府)
関ヶ原合戦の際に戦場になった田辺城跡は、西舞鶴駅を出ると左手に見える。

軍港ロマンロードはこの東舞鶴駅の先にある。
その手前の黒いアーケード街まで歩き、引き返す。
瓦屋根が目立つ重厚な家並みにこの街が持つ歴史の深さを想う。

港には赤レンガ博物館があり、街の宣伝ポスターの顔になっていた。
昨日からやけに「ケーズデンキ」を見かける。

7:01 若狭高浜(わかさたかはま)駅(小浜線 福井県)
数分の停車。
喫煙に対してうるさくない地域に入ったようだ。

若狭入りは2度目になる。
ここは海岸からは少し離れ、27号国道を前に見るのみ。

東へ向かう人の数は少ない。
多目的に使用される駅は立派で、寒さにケータイを持つ手が震えるが、この清涼な空気は愛すべきものに違いない。

北朝鮮による拉致事件や原発銀座など、最近になってネガティブな話題を提供する線区だが、その地域の土地勘を得たくてここまでやってきたわけじゃない。

ともあれオレが暮らす東京からはとても遠いところだ。

7:42 小浜(おばま)駅(小浜線 福井県)
数分の停車。
米国のオバマ大統領就任に沸いた小浜駅前の街角には空きビルが目立つ。

長いアーケード街はグレーに沈んで雪の残る沿線に差す陽は疎らだ。
多くの学生が降り、また乗った。

次の東小浜でも2分の停車。
一か八か改札を抜けて駅を写そうかと思ったが、発車に間に合うか心もとなく諦めた。
悔いが残った。
お城のような駅の背後に、雪の薄化粧を落とせずにいる若狭の山並みが見えていた。

8:05 上中(かみなか)駅(小浜線 福井県)
数分の停車。
春先の若狭路に冬の名残は消えず、車窓から日本海はしばらく見ていない。

若狭町の上中駅には何もないと降り立ったが、ロータリーの前面に広がる自然は美しく、ケータイを向けてシャッターを押したら、そこに見えたのはとても平凡な山村の景色だった。

反対側の出口には町があり、角の菓子屋の前を車が行き交っていた。

8:21 十村(とむら)駅(小浜線 福井県)
数分の停車。
里山に日が差した。

ワンマンカーに慣れたところが、ここでは勝手が狂い、下り口は右手に変わり、一番先頭まで走ったところで構内踏切に阻まれる。
駅を写して列車に戻るが、危うく乗り遅れるところだった。

東京じゃすっかり見かけなくなった威厳に満ちた爺さんに方向を尋ねられた。
ああいう風貌と人格は、気候や風土、人情によって形成されるものだろう。

10:24 木ノ本(きのもと)駅(北陸本線 滋賀県)
敦賀で北陸本線に乗り換えて米原方面へ。
積雪の国境を越えて近江へ。

賤ヶ岳の麓、古戦場でもある宿場町、木ノ本。
ぶらぶらと歩いていると、ヤマト運輸の到着を家族総出で迎える光景に行き当たる。
何が届いたのだろう。
湖北の冷気が古い家並みの連なる景色を引き締める中、その一家族の笑顔はオレの気持ちもあたためる。

駅の地産品販売所で食料を購入。
ああいった場所の客あしらいは、たいていの場合気持ちいいものだ。

踏切の先に商店街が見える。

10:56 余呉(よご)駅(北陸本線 滋賀県)
ひと駅戻る。

ここは観光地ではないらしい。
湖畔にはオレの他に若いカップルが一組のみ。
余呉湖を挟んで眺めていたのがどうやら賤ヶ岳らしい。
駅のホームからも湖畔で眺めた風景が見渡せる。

柴田勝家との賤ヶ岳での合戦は、豊臣秀吉にとっての天下分け目の戦だった。
司馬遼太郎さんの「新史・太閤記」中、怒鳴るように配下の者たちを叱咤激励して戦死した中川瀬兵衛の話を思い出しながら静かな村を歩いた。
彼の墓までは歩けない距離じゃない。

ここで酒でも売ってないいかと思っていたが、あったかい缶コーヒーを手にしている。
近畿の冬景色の中に身を置くのは確か初めての筈だ。


11:21 高月(たかつき)駅(北陸本線 滋賀県)
再度、米原方面へ木ノ本のひとつ先の駅へ。

木ノ本と同じような駅前風景だった。
降りた4分後に下り列車が来る。
それに乗って引き返さなきゃならない。
慌ただしすぎる訪問だった。

乗り込んだ下り列車の暖かさに救われたような気持ちになる。
右手奥に見えている一際白い山並みは伊吹山脈か。
とても深い連なりだ。

11:54 永原(ながはら)駅(湖西線 滋賀県)
余呉のひとつ先の近江塩津で湖西線に乗り換えてひと駅。
西浅井の何もないところにいる。
人の気配も希薄だけど、この風情はいい。

高架駅の階段はどこかの神社の石段のように長く、また薄暗い。
人工的構造物の代表格であることは紛れもないが、長い歳月はあの階段から人臭さを消して、まるで自然の中を歩いているような気にさせる。
実際、人や鳥以外の気配を感じたような気もする。

駅前のさらさら流れる小川の先に琵琶湖がある。
ここから再び敦賀へ。


12:32 敦賀(つるが)駅(北陸本線/小浜線/湖西線 福井県)
ここの肉うどんは美味いんだ。
2年前と変わらぬ待合室では「センバツ」を流している。

賑わい、変貌を遂げつつある敦賀駅はまだ仮駅舎のままで脇に美術館のような建物ができていた。
北陸新幹線延伸のタイミングに合わせて最終形を披露するつもりなのだろう。

敦賀は、自分の意志で最初に訪れた、当時のオレにとって一番遠くの街だった。

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