*

「車旅日記」2004年夏 2日目(別府-宮崎)走行距離337㎞その1-別府日名子、大分駅、菅尾駅、三重町駅、豊後竹田駅、阿蘇駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2004年

車旅日記2004年8月12日・・・別府日名子、大分駅、菅尾駅、三重町駅、豊後竹田駅、阿蘇駅

2004・8・12 8:27 別府日名子
別府は素敵な街だった。

窓を開けると低く雲が連なり、昨日の鶴見岳が背中を見せている。

海側に目を向けると別府湾。
別府タワーを中心に据えた繁華な街が見える。

別府は海辺の街。

5月の北海道。
やっぱり海辺の町でオレの居場所を探した。

そこにはそんなものはなかったけど、ここ別府にはそれがあった。

潮っぽい夜風にあたった時の清々しい気持ちは忘れたくない。

まずは大分まで。
少しばかり2年前に戻ろうと思う。

9:08 大分駅(8月11日の佐賀空港より266㎞)
10号国道別府大分間。
いい気分でいられる九州の道に戻ってきた。

それにいい朝だ。
最高だよ。
胸の内で、連中に散々自慢してやったよ。

ランク付けをするのは好まないが、胸のすくような海辺の道ということじゃ、オレの中で別府海岸は、5月の網走知床間の244斜里国道と王座を争うことになるだろう。

所々に植わっている椰子の木が南国情緒を盛り上げる。
交通量も多い。

大分駅は2年前から変化はない。
美味い団子汁を食わせてくれる店もそのままだった。

大分駅は日豊本線、久大本線、豊肥本線が合流する大鉄道基地で、駅は賑わい、大きな時刻表を見上げ、急ぎ足で改札口に消える人々をちょくちょく見送る。

九州も美人が多い。
その多くは博多をはじめ都会に行ってしまったものと勝手に思い込んでいたが、そんなことはない。

昨日も今日もよく見かける。

2009年9月20日撮影

10:41 菅尾駅(8月11日の佐賀空港より305㎞)
大分は大都会のたたずまい。

大分港まで車を走らせ、その街の象徴的な高層建造物を探す。
あれは全日空ホテルか。

そして10号国道を下り、阿蘇へと続く道。

鉄道線路と並走し、中判田行のワンマンカーに抜かされ、追いかける。

やがて大野川沿いの断崖道路。

鉄道は川向うに消え、また追いかけるように橋を渡る。

小さな村の狭い道を縫うように走り、犬飼へ。
2、3度行きつ戻りつしたけど満足に駐車できるスペースはなく、やがて離れた。

犬飼は川沿いの味のある村だった。
牛と鮎の料理が自慢で、大きな橋の袂には立派な割烹があった。

風景は鄙び、瓦屋根の駅舎では待ち人がひとり。
上品な中年女性だ。

九州は日本の原風景を想うにはいい地域だ。

そしてその九州ももはやオレの手の内。
こうした名の知られていない村に着いて、ぶらぶらしているとそんな気になる。

駅前には食料品店が2軒。
煙草の品揃えはよかったよ。

11:05 三重町駅(8月11日の佐賀空港より311㎞)
道が混み始めた。

気が付けば、沿道に町が迫っている。

小ぎれいな商店、ホテル。
ホテルの屋上ではビヤガーデンも営業している。

町の中心地に近づくにつれてさらに賑わい、そこに確かな町の存在を見た。

阿蘇への道と日向街道が交差する町。
豊肥本線は特急も含め、すべての列車がここに停車する。

市政が敷かれていない割には大きく活気がある。

駅には提灯が下がり、その下に置かれたベンチに、若くて綺麗な女性が行儀よく腰かけている。

待合室には待ち人が5、6人。
夜にはあのビヤガーデンに明かりが灯る。

きっとネオンも素敵だろう。

11:57 豊後竹田駅(8月11日の佐賀空港より336㎞)
岩窟に大穴を開けたトンネルを抜けると、時代を超えた鉄橋が架かる。

豊肥本線の車窓からは見ることのできない、線路のある風景を眺めていた。

途中、原尻の滝に寄る。
水量は多くなく、規模も壮大なものではないが、涼しげな場所だった。

そして子守唄の町、竹田へ。

近くの岡城址が「荒城の月」に詠われた場所だという。

険しく狭い道が城跡に通じていて、何台かの車がそこを上がっていった。
いつか月の出ている時分に、あの坂を上がってみたい。

駅は川べりに位置していて、駅舎はまるでお城のようで、威厳に満ちている。

残念ながら「駅そば」はない。
車を止めた場所から駅に向けて歩いていくと、見知らぬ少年が「こんにちは」と頭を下げる。
ここはそういう町か。

歴史的な品のある町はいい。

竹田の子守唄が聞きたくなる。
確かオフコースが昔歌っていた。

2009年9月20日撮影

12:59 阿蘇駅(8月11日の佐賀空港より374㎞)
竹田を離れる際、町に「荒城の月」が流れた。
あれは正午を伝える時報だったのだろう。

57号国道に入ると道幅が広くなり、随分と飛ばした。

阿蘇との再会は坂の上から。
広大な外輪山を従えてその姿を現した。

今は線路のムコウに広がる北外輪山を眺めている。

阿蘇には19年前に修学旅行で訪ねたことがある。
町田の実家を探せば、その時に撮った集合写真が出てくるだろう。
購入した火山岩なら、今の借家に置いてある。

でも記憶はない。
そんな時代だ。
ガキの頃のオレは、風景にまるで興味を示さなかった。

そして時は流れ、阿蘇へと続く道を延々と走り、平らな北外輪山の独特な姿を目にして何事かを感じている。

うまくは言えないけれど、見事な風景に接していることだけは確かだ。

阿蘇とはしばらく一緒だ。

大正の頃から建っている風格のある駅舎。
以前は「坊中駅」と言ったと、宮脇俊三さんの本に教えられた。

ここを訪ねる旅行者は少なくないだろうが、駅前旅館も食堂も土産物屋も営業を停止し、駅の食堂は賑わっている。

その食堂で、会社で毎日顔を合わす女性に似た人を見かけ、待合室の話し声に肥後弁が聞けるかと近づくと、中国語が聞こえた。

関連記事

「車旅日記」1997年夏 3日目(田沢湖近辺-男鹿半島-鳴子)-和田駅、入道崎、八望台、男鹿駅、道川駅、矢島駅、鳴子サンハイツ【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】

車旅日記1997年8月15日 1997・8・15 9:04 和田駅 855㎞ 友と19時間をともに

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その1-近鉄奈良、新田辺、三山木、JR三山木、狛田、下狛、新祝園、祝園、学園前、学研奈良登美ヶ丘(奈良線/京都線/けいはんな線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・近鉄奈良駅、新田辺駅、三山木駅、JR三山木駅、狛田駅、下狛駅、新祝

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 3日目(宮崎-鹿児島)走行距離382㎞その1-アーバンキット宮崎、青島駅、油津駅、串間駅、志布志駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月13日・・・アーバンキット宮崎、青島駅、油津駅、串間駅、志布志駅 2004・

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 4日目(宇部-東京町田)佐波川SA、宮島SA、久地PA、帝釈峡PA、美作追分PA、社PA、桂川PA、多賀SA、東郷PA、三方原PA、牧之原SA、駒門PA 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記2000年8月15日~16日・・・佐波川SA、宮島SA、久地PA、帝釈峡PA、美作追分PA、

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その2 ‐茅ヶ崎、南橋本、上溝、橋本(相模線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・茅ヶ崎駅、南橋本駅、上溝駅、橋本駅(相模線) 11:03&n

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その2‐新白鳥、古市橋、梅林、可部、あき亀山(可部線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・新白島駅、古市橋駅、梅林駅、可部駅、あき亀山駅(可部線)

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-桐生)-小菅、五反野、梅島、田島、渡瀬、県、東武和泉、福居、野州山辺、韮川、東小泉、藪塚、阿左美、岩宿、新桐生、下新田(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線) 【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】

鉄旅日記2014年12月28日・・・小菅駅、五反野駅、梅島駅、田島駅、渡瀬駅、県駅、東武和泉駅、福居

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線) 【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その2-屋代、坂城、小諸、三岡、中込、羽黒下、松原湖(しなの鉄道/小海線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

車旅日記2019年2月10日・・・屋代駅、坂城駅、小諸駅、三岡駅、中込駅、羽黒下駅、松原湖駅(しなの

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その3-笠寺、熱田、熱田神宮、神宮前、大江、名古屋東港、金山(東海道本線/名鉄常滑線/名鉄築港線/名鉄名古屋本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月23日・・・ 笠寺駅、熱田駅、神宮前駅、大江駅、名古屋東港駅、金山駅(東海道本

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その3 ‐新金谷、千頭、アプトいちしろ、長島ダム(大井川鐡道本線/大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・新金谷駅、千頭駅、アプトいちしろ駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その2 ‐静岡、金谷、新金谷、代官町、日切、合格、門出(東海道本線/大井川鐡道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・静岡駅、金谷駅、新金谷駅、代官町駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その1 ‐金町、東京、三島(常磐線/東海道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・金町駅/東京駅/三島駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その6 ‐向河原、津田山、久地、宿河原、中野島、稲城長沼、府中本町(南武線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・向河原駅、津田山駅、久地駅、宿河原駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その5 ‐川崎新町、八丁畷、矢向、平間(浜川崎支線/南武線)/ガス橋 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・川崎新町駅、八丁畷駅、矢向駅、平間駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑