「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】初日(東京-徳山)穂積、姫路、英賀保、金光、福山、天神川、徳山(東海道本線、山陽本線)
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最終更新日:2020/08/29
旅話 2013年
鉄旅日記2013年8月10日
2013・8・10 11:55 穂積(ほづみ)駅(東海道本線 岐阜県)
東京駅5:20発沼津行きの始発列車に乗り、静岡、浜松、豊橋で乗り継ぐ。
沼津から立ちっ放しで4時間にわたる苦行。
夏休み初日、オレも含めて東京からの連中は東海道沿線に前代未聞の混雑を巻き起こしたようだ。
「なんでこんなに混んでいるのか!」。
地元民の怨嗟の声をいくつか聞いた。
市橋屋が聳える穂積駅前に喫煙所はなく、線路が敷かれた高架からは何度も見てきた駅前風景だが、賑やかとも鄙びているとも言えず、長良川と揖斐川に挟まれたごくありふれた田舎町だった。
暑いし、4時間の苦行で疲れてビールを買ってしまったし、いつものように歩き回ることを止める理由があふれいて日陰を探してホームに上がったら、ごくささやかな商店街が見えた。
あそこはどこか涼しげだったよ。
15:26 姫路(ひめじ)駅(山陽新幹線/山陽本線/播但線/姫新線 兵庫県)
大垣で乗り継ぎ、米原で姫路行き新快速にさらに乗り継ぐ。
大垣米原間がまた苦行。
何度か屈伸運動をしないとしんどかった。
米原からは席を確保して、それからは夢の中。
愛すべき近畿の街並の記憶はない。
姫路城へと延びる駅前通りとバスの発着所に懐かしさを覚えた。
ここにも何度かいたことがある。
始発の線路も複数存在する姫路は出発の街。
暑さは東京で最悪の時と同程度のもので、街中が熱気にまとわりつかれている。
15:34 英賀保(あがほ)駅(山陽本線 兵庫県)
姫路の街中へと続く通り沿いに古い駅舎がある。
交通量は多いけど、通りにはところどころに空きがある。
人の数も少なくないが、ここは播州。
阪神の繁華さとは性質の違う賑やかさがある。
それを国柄と昔は言ったもんだが、今もその言葉は生きているのだろうか。
ともあれ暑熱にあぶられ、時に視界の先がおぼろになる。
17:48 金光(こんこう)駅(山陽本線 岡山県)
夕暮れの山陽本線の景色に目を見張り、幾度か眠りに落ちる。
あれは山陽道の橋だったか。
やけに高い場所に架かっていて、視界から一度消えた時は幻を見たのかと思った。
鄙びた山村に場違いのように架かるそれは、まるで天国へとつながっているかのような錯覚を呼び起こし、やがて潜り、消えた。
岡山で乗り継ぎ、少し過ぎたあたりでも目を開かれる風景に出会った。
ごく何気ないものだが、オレはいつもあんな場所で夕暮れを迎えたいんだってことを知ったよ。
ここは金光教が本部を構える町。
駅名が金色に輝いている。
小さな駅前だが本屋や小洒落たパン屋があり、清潔かつ文化的な印象を受ける。
駅構内には教団専用ホームが設けられているが、線路は剥がされ、正面改札とは反対側に位置する教団専用改札に至る通路も閉鎖されていた。
教団の詳細は知らない。
凪の瀬戸内にいるが、外はだいぶ涼しくなってきた。
18:24 福山(ふくやま)駅(山陽新幹線/山陽本線/福塩線 広島県)
しばらくの停車。
福山城、友人K、芦田川花火大会・・・。
かつての記憶がいくつか浮かんで、今日の福山の人波にまみれた。
大切な記憶だ。
しかし再びの地は、感傷だけで何ら新しいことを伴わない再訪を常に拒む。
街は生きている。
ましてや福山は大都会だ。
いつきても気持ちは昂ぶり、足も街へと向かうが、今回はそんな時間はとっていない。
気持ちを抑えてケータイに記憶されていた写真を更新し、この夏限定販売のビールを手にして列車に戻る。
20:25 天神川(てんじんがわ)駅(山陽本線/呉線 広島県)
ここはマツダスタジアムの最寄駅で、今夜は大盛り上りの巨人戦。
外野では只見の観客も出ていた。
駅は上下線ホームの間に車両基地を挟む構造で、オレが降りた下りホーム側に駅舎はなく、インターホンが有人改札の代わりをしていた。
大都会広島はひとつ先だ。
ホームの端から見る市内の夜景には背の高い建物が目立つが、案外ささやかな明かりだった。
多くの広島市民と同じ列車に乗り合わせている。
きっと被爆者の末裔も大勢いるのだろう。
8月にはそんなことを想う。
車窓から見える広島の明かりは五日市を過ぎても明るく、目を楽しませてくれる。
徳山(とくやま)駅(山陽新幹線/山陽本線/岩徳線 山口県)にて
23:31 ホテルクラウンヒルズ徳山
岩国で乗り継ぐ。
駅に着いた頃、街はもう眠っていた。
駅の立ち飲み屋に心を残して街へ出る。
ネオンを落としたこのホテルをなかなか探し出せず、結果的に街の半分を歩く羽目になった。
4年前は明かりに誘われてもう半分の方を歩いている。
でももう記憶も曖昧だ。
朝になったらあっちに行ってみようか。
徳山の夏宵は意外にも涼しい風が吹いていた。
そしてこの日、春夏連覇を目指す浦和学院が大味な試合の末に甲子園を去った。
独りの暮らしから解放されて3度目の夏。
今年もこうしている。
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