*

「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2005年

鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢駅、中込駅、小諸駅、中軽井沢駅(中央本線/小海線/しなの鉄道)

2005・11・6 小諸グランドキャッスルホテル402号
名古屋栄のお寺の鐘が鳴ったんだ。
7:00だったよ。
ご住職の平和の祈りが街に響く。
もう一度だけ名古屋のシンボルでもあるテレビ塔を眺めようと振り返った時だった。

街はまだ眠っていた。
名古屋駅までは徒歩約30分。
長距離の切符を求める列は長かった。

クリスマスの用意は整っていた。
でもツリーへの点火はまだ見送られている。
昨夜はそうだった。

京都駅を越える巨大な駅を造った名古屋。
並んでいたあのツリーたちも、おそらくあの京都駅の巨大ツリーを意識してのことだろう。
とにかく大きな街だ。
盛大なる聖夜が訪れることを余所者ながら祈る。

高蔵寺、多治見、中津川、南木曽、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢。
素晴らしい道程だった。

千種、春日井を抜けて、名古屋の北の果てを知り、高蔵寺駅の地下道で何事かを想う。

高蔵寺を出るとトンネルに入り、抜けると見事な渓谷に沿って秘境駅が2つ。
その渓谷を過ぎて現れた陶都、多治見。

2019年3月24日撮影

中津川でもよく歩いた。

2017年8月14日撮影

煙り立つ木曽路では浮かれた。
秋の紅はひたすらに美しかった。
南木曽と木曽平沢で一時停車。
駅から見下ろす木曽谷の裾に展開する村は、曇り空の下がやけに似合っていた。

塩尻駅前は閑散としていた。
ここで美味い蕎麦にありつく。
駅のホームで煙草の火をなかなかつけられずにいると、ジッポの火を差し出してくれた紳士と出会う。
何を売り歩いているのかは聞かなかったが、信濃中を回っているらしい。

2018年2月10日撮影

上諏訪でも若干の停車があった。
思い出の街だ。
いくつもの記憶が去来する。

そして若干の甲斐路。
小淵沢に到着する直前に黒い鉄道橋を見た。
あれは廃線なのか。
それとも乗り換えた先で渡る橋なのか。
10数分後に小諸に向けて走る列車に乗ったが、あの橋は渡らなかった。

2018年4月8日撮影

13:22に出るその列車に乗らなければ、軽井沢での式には間に合わなかった。
鉄道で旅するには、計画性を持つことが必要であることをその時初めて知った。

霧雨に煙った小淵沢。
昼下がりだが、まるで夕暮れの情景だ。
しっかりとした冬が毎年決まって訪れる土地の秋の寒い一日は、一足早く冬をまとう。

2008年8月14日撮影

大鉄道駅としての構内を持つ小淵沢駅の寂しい駅前風景と賑わう土産物屋を記憶に刻み込んで、少しだけ身を屈めながら小海線に乗った。
風景が素晴らしい。
はじめは団体客が多くて閉口したが、彼等は清里で降りていった。

JR最高地点の標識が立つ野辺山までディーゼルカーは喘ぐように登っていく。
その標識はオレも目にすることができた。
軽井沢に着いて、こっちの人々に小海線で来たと言ったら驚いていたものだ。

2012年12月9日撮影

中込はなかなか素敵な町だった。
駅周辺には、「ここらにはいい高原があるよ」と示すような清潔な静けさと町並がある。
雨はすでに落ちている。

2012年12月9日撮影

佐久平で未来と遭遇し、やがて信越本線と並走する。

小諸駅で嗅いだ匂いはかつてのオレが知っている懐かしい故郷の匂いだった。
美しい女性鉄道員とすれ違って、しなの鉄道へ。
第三セクターになっても信越本線がまとう旅情に変わりがあるわけじゃない。

中軽井沢駅に着くと雨は本降りになっている。
親切な駅員に懇切な道順を聞いたけど、結局はタクシーを使うことにした。
あの雨はオレの鞄に収まっている傘じゃ心許ない。
式が終わって、帰りに小諸行の列車を待つのに適した店はあるだろうかとあたりを見渡す。

会場に着くと兄を見つけて二言三言。
受付を済まして水割を飲んでいると従兄弟が加わり、場に色がついた。
やがて今夜の主役の従兄弟が登場する。
親族との再会の場を提供してくれた彼に感謝して、男ぶりを誉めて、気持ちよく酔った。

雨が降っている。
なかなかの降りだ。
小諸の街並の白く見える部分に雪を感じる。
ほどなくして寒くなる街だ。

小諸は懐かしく、さっきまで浸かっていた湯はあたたかく、幸せな気持ちでいる。
地元の放送局が流すラジオ番組は退屈じゃない。
もうビールを飲むのはよそう。

明日は小諸を歩く。
遠い日の記憶に残っている夏祭り。
あれはきっと、小諸での出来事だったのだろうと思いながら歩くだろう。

信濃人の末裔であることに誇りを感じている自身に気づいている。

関連記事

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・比立内駅、阿仁合駅、阿仁前田温泉駅、合川駅、米内沢駅(秋田内陸縦

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その2‐新白鳥、古市橋、梅林、可部、あき亀山(可部線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・新白島駅、古市橋駅、梅林駅、可部駅、あき亀山駅(可部線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その5 ‐逗子、北鎌倉、平塚、国府津(横須賀線/東海道本線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・逗子駅、北鎌倉駅、平塚駅、国府津駅(横須賀線/東海道本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温泉駅、中山平温泉駅(陸羽東線)

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 最終日(多治見-東京)その2-中津川、坂下、落合川、南木曽、十二兼、洗馬、塩尻(中央本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月24日・・・中津川駅、坂下駅、落合川駅、南木曽駅、十二兼駅、洗馬駅、塩尻駅(中

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その3-神島にて・・・八代神社、神島灯台、監的哨、ニワの浜、神島山海荘あじさい 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月23日・・・八代神社、神島灯台、監的哨、ニワの浜、神島山海荘あじさい 14

記事を読む

「車旅日記」1998年春 3日目(津軽SA-十和田湖-酒田駅-鳴子温泉)-津軽SA、温川、十和田湖休屋、長木渓谷、道の駅鷹巣、道の駅琴丘、道の駅西目、象潟駅、酒田駅、道の駅戸沢、鳴子サンハイツ 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】

車旅日記1998年5月3日 1998・5・3 5:45 東北自動車道-津軽SA 1087km 聞き

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その5‐肥前山口、久保田、西唐津、博多、門司港(佐世保線/唐津線/筑肥線/福岡市地下鉄空港線/鹿児島本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前山口駅、久保田駅、西唐津駅、博多駅、門司港駅(佐世保線/唐津

記事を読む

「車旅日記」2004年春 最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その2-天塩中川駅、音威子府駅、美深駅、名寄駅、風連駅、和寒駅、比布駅、神居古潭、旭川空港 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月5日・・・天塩中川駅、音威子府駅、美深駅、名寄駅、風連駅、和寒駅、比布駅、神居

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その3 ‐小牛田、古川、上野目、池月、鳴子温泉、中山平温泉(陸羽東線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

2022年6月11日・・・小牛田駅、古川駅、上野目駅、池月駅、鳴子温

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑