「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その1‐三次、上下、府中(福塩線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月26日・・・三次駅、上下駅、府中駅(福塩線)
2020・7・26 6:12 三次(みよし)駅(芸備線/福塩線 広島県)
江の川をはじめとする3つの川が巴状に交差する三次。霧の町はそうして生まれ、鵜飼は観光資源のひとつになっている。
2年前に廃線になった三江線に乗って三次に降りたのは5年前。夜に着いて、芸備線への接続時間が少なく、急いで駅前を写したが、当時とは駅舎も駅前も変わっている。



今月の豪雨で芸備線も福塩線も寸断され、これから代行バスで府中に向かう。
発車まで駅長さんと話す機会を持った。地元の三次で国鉄に就職後、転勤で厚狭へ。運転士として広島に戻り、可部線を担当されて、当時の終着駅だった三段峡まで行っておられたという。
中国山地の鉄道事情は厳しく、毎年のように雨で止まり、木次線の出雲横田~備後落合、芸備線の備後西城~備後東城は利用者もなく、廃線が危ぶまれているとのこと。
貴重なお話をお聞きした。そして憂慮すべき事態がさらに悪化していることを知った。
ねっとりとした湿気に蝉の声が絡みついている。川辺に沿って代行バスは上下へと向かっている。
川霧を確認した。
7:24 上下(じょうげ)駅(福塩線 広島県)
吉舎(きさ)、甲奴(こうぬ)ときて、「またのお越しを、三次市」の看板を見送る。
吉舎駅を車窓から写す。この難読な地名は、元弘の変で隠岐の島へ流される後醍醐天皇がこの地に一泊した際に「吉(よ)き、舎(やど)り」と残した一語に由来する。

甲奴は、奴の字が不穏な響きを与えるが、奴は湿地帯という意味も持つという。
列車の走らない線路と絡み合うようにしてしばらく進んでいく。車で旅をしていた頃が懐かしい。
上下という地名の由来は、太平洋へと向かう芦田川水系と、日本海へ注ぐ江の川水系の分水嶺にあたるためとのこと。白壁の町並を売りにしていて、三次駅に飾られた写真にはそこを歩く多くの人出があった。
バスはここで乗り換える。三次からの客はオレただひとりだった。
通りも駅前も町の格を有している。古い駅舎の前で話し込む人がいて、どいてくれとも言えず、写した写真には彼等がいる。


8:41 府中(ふちゅう)駅(福塩線 広島県)
備後三川駅で少年が乗客に加わり、府中に向かうのは4名。

八田原ダム、河佐峡を過ぎて外は雨。かつて友と待ち合わせた芦田川の懐かしい名を目にする。
2008年に福塩線に乗った際は多くの時間を眠り、沿線中に記憶に残るものはなかった。今回は車だが、川辺に沿った美しい沿線風景だった。オレの家からは遠いが、また乗りにくる。
福山行の鉄道との接続時間はわずかに1分だった。待ってくれるものと思っていたが、なんと乗り遅れる羽目になるとは。無情に過ぎる。しかしこれも旅だ。



さて、どうするか。ここで楽しめなければ旅人を名乗る資格はないだろうな。
関連記事
-
-
「車旅日記」1997年夏 初日(東京-三国峠-新潟)-町田、東福生駅、山田うどん、前橋市田口町、月夜野道路情報ターミナル、奥平温泉遊神館、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄 【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】
車旅日記1997年8月13日 1997・8・13 10:30 東京町田 出発が遅れている。 急ぐべ
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その1‐萩、玉江、東萩(山陰本線)/萩散策 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月25日・・・萩駅、玉江駅、東萩駅(山陰本線)/萩散策 2020・7・2
-
-
「鉄旅日記」2014年春 最終日(紀伊勝浦-東京)その2-神志山、賀田、九鬼、相賀、紀伊長島、多気、名古屋、豊田町、六合、由比(紀勢本線/東海道本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月9日その2・・・神志山駅、賀田駅、九鬼駅、相賀駅、紀伊長島駅、多気駅、名古屋駅
-
-
2018年初秋 最終日(桑名-東京)その1-桑名、養老、大垣、揖斐、垂井、美江寺、本巣、樽見(養老鉄道/東海道本線/樽見鉄道) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月16日・・・桑名駅、養老駅、大垣駅、揖斐駅、垂井駅、美江寺駅、本巣駅、樽見駅(
-
-
「車旅日記」2005年冬 最終日(人吉-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】
車旅日記2005年2月13日・・・上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、芝川駅(東海道本線/身延線)/
-
-
「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線) 15:35 押切(おしきり)
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その2-結城、下館、川島、岩瀬、笠間、十王、小木津、磯原、湯本、内原、羽鳥、土浦、ひたち野うしく(水戸線、常磐線)
鉄旅日記2013年3月31日その2・・・結城駅、下館駅、川島駅、岩瀬駅、笠間駅、十王駅、小木津駅、磯
-
-
「車旅日記」2006年皐月 4日目(大曲-青森)その1-大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、碇ヶ関駅、大鰐温泉駅、黒石駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月5日・・・大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、
