*

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】初日(東京-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/13 旅話, 旅話 2007年

鉄旅日記2007年2月10日・・・東京駅、名古屋駅、大垣駅、米原駅、草津駅、柘植駅、京都駅、木津駅、京橋駅、天王寺駅(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)
2007・2・10 23:54 スーパーホテル天王寺303号室
東京は混んでいた。
まだ朝早いのに。

始発ののぞみもそうだった。
東京駅を発車する時点で立ち客がいるような状態で、買っておいたビールは早々に飲み干した。

名古屋で降りるのも一苦労だった。
そうして始まった旅。

大垣行に乗る。
尾張一宮、金華山。
長良川を渡ると大垣。
去年の7月に跨線橋から眺めたホームに立った。

次は米原行。
天下の豪雪地帯関ヶ原に雪はなく、唯一伊吹山頂だけが雪化粧をしていた。

醒ヶ井を過ぎると、もう米原。
すぐに姫路行がやってきて、米原での感慨はなし。

そして草津宿。
外人のカップルが所在無げに駅前を塞ぎ、街へ下りる。
近鉄百貨店があり、商店街では懐かしい田舎の匂いを嗅いだ。

草津線沿線に見所を探せない。
近江の小さな田園風景が続く様は寂しい気持ちも連れてくる。
乗客はそこそこいたが、信楽鐡道、近江鉄道とのターミナル駅、貴生川で大半が降りた。

柘植駅へ。
車内アナウンスは聞いていたが、何のことやら分からずにホームに降りると、こうした事実が待っていた。
関西本線は毎月第2土曜日に保線作業のため、日中の運転を休止するという。

それなら駅周辺でも歩こうかと、駅員にどこか見所はあるかと尋ねると、困ったような顔になり、「一応、松尾芭蕉の生誕地ということになっとるんですが」と歯切れが悪い。

改札を出て、小さな忍者屋敷のような駅舎を眺める。
駅前には食堂はおろか、人家すらまばらだった。

仕方がない。
関西本線で木津へ出て、学研都市線に乗り継ぐ計画でいたけど、草津線で引き返す。

草津で再度姫路行に。
琵琶湖線も混んでいる。
瀬田、やがて琵琶湖、石山、膳所、大津。

いつかこの風景の中で素敵な夜を過ごしたいと思ったことがある。
もう10年以上前の初めての関西行でのこと。

乗換の京都ではかつての恋人を。
生きていれば様々を思い出すが、その対象がかつて愛した女性の場合は切なくていいものだ。
オレにとって京都は永遠にそうした存在としてあり続ける。

「駅そば」で大盛きざみうどんを食べる。
二玉入っていたよ。
「駅そば」に大盛があるとは、注文のうるさそうな関西ならではか。

跨線橋から眺めた東山の風景には目も心も奪われた。
今年のセンバツに京都代表が出場しないことが残念だ。

奈良線では眠ってしまった。
そして降りた木津駅周辺に、かつて感じた郷愁はなかった。

駅は工事中で、外では大きな道路を作っている。
降りた先もただ広いだけの味気ない風景だった。

缶コーヒーと煙草と太宰治。
気づくと吹く風は強く冷たく、学研都市線が来るまで凍えた。

学研都市線は単線だった。
そして脇では近鉄京都線が誇らしげに私鉄王国を謳う。

都会は遠く、四条畷あたりから大阪の始まりを感じた。
東京にはないが、大阪の景色には山がある。
小楠公、楠木正行の墓は駅から400メートルほどだという。
河内は山深く、駅からは見事な山塊が見える。

京橋駅は周辺に高層建築物を並べているが、都会の匂いはしない。
愛すべき大阪に着いた。

大阪城公園、森ノ宮、玉造、鶴橋、桃谷、寺田町そして天王寺。

大阪環状線の乗車マナーは素晴らしい。
7人掛けのシートにきちんと7人が収まっている。
東京を恥ずかしく思う。

天王寺は繁栄していた。
駅構内に並んだ公衆電話の数が印象に残っている。

大阪といえばキタとミナミ。
最近じゃそこにアベノが加わったという。

天王寺駅は天王寺区。
通りを挟んだところに立つ近鉄百貨店、大阪阿部野橋駅は阿倍野区。
大阪のややこしさは、同じ場所にありながらJRと私鉄で駅名が違うこと。
それは大阪駅と梅田駅だけの話じゃない。

アベノの繁栄はHOOPができたことから始まったらしい。
音楽会をやっていて、難波娘の関西弁が聞こえてくる。

天王寺動物園脇の坂を下り、阪神高速の高架をくぐると新世界。
演歌が聞こえる通天閣。

新世界に10年前のヤバさはなく、大阪名物ともいえるオッチャン達は駆逐され、通りはきれいになっていた。
そのことを後で入った天王寺商店街の寿司屋の板前に聞いたら、まったくその通りだという。
でもジャンジャン横丁だけは変わっていないという。

その狭いジャンジャン横丁は賑わい、串カツ屋には行列ができて、将棋センターでは自転車で乗りつけたオッチャンが窓越しに対局を眺めている。

南海電車に阪堺電軌。
天王寺周辺を路面電車が走る。

天王寺とはこういう街か。
交通の大要衝地なのだと知って、道理も何もなくうれしかった。

ビール、熱燗、串カツ、どて焼。
それが新世界。
その串カツ屋では大阪の人情を歌った曲が流れ、居合わせた天王寺青年は気持ちよく、死ぬ前の太宰を想った。

天王寺に戻って熱燗と湯豆腐。
ホテルに着くとすぐに眠ってしまった。
天王寺が心地よかった。

大坂夏の陣で決戦が行われた天王寺。
天王寺動物園内には徳川家康が本陣を構えた茶臼山がある。
その歴史的事実を知った12歳の頃から、天王寺はいつか行くべき街だった。

真田幸村が討たれた安居天神にはかつて寄ったことがある。
地図で確かめたらここからすぐのところにある。

関連記事

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】4日目(大曲-阿仁合-弘前-三厩-青森)その1-大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、碇ヶ関駅、大鰐温泉駅、黒石駅

車旅日記2006年5月5日・・・大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その3‐清音、倉敷、岡山、熊山、姫路(伯備線/山陽本線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・清音駅、倉敷駅、岡山駅、熊山駅、姫路駅(伯備線/山陽本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】最終日(喜多方-会津若松-会津高原尾瀬口-下今市-東京)その3-鬼怒川温泉、東武ワールドスクウェア、上今市、今市、下今市、南栗橋(野岩鉄道/東武鬼怒川線/東武日光線)

鉄旅日記2017年12月3日・・・鬼怒川温泉駅、東武ワールドスクウェア駅、上今市駅、今市駅、下今市駅

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】初日(東京-名古屋)-根府川、島田、豊橋、岡崎、名古屋(東海道本線)

鉄旅日記2005年11月5日・・・根府川駅、島田駅、豊橋駅、岡崎駅、名古屋駅(東海道本線) 200

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その5‐筑豊直方、直方、筑前大分、城戸南蔵院前、柚須(筑豊電気鉄道/筑豊本線/篠栗線)

鉄旅日記2020年8月14日・・・筑豊直方駅、直方駅、筑前大分駅、城戸南蔵院前駅、柚須駅(筑豊電気

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.2【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】その2-湯本、内郷、水戸、偕楽園、下菅谷、中菅谷(常磐線/水郡線)

鉄旅日記2019年3月10日・・・湯本駅、内郷駅、水戸駅、偕楽園駅、下菅谷駅、中菅谷駅(常磐線/水郡

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】5日目(宇和島-観音寺)-宇和島、卯之町、八幡浜、千丈、伊予大洲、伊予市、松山、伊予北条、今治、伊予小松、伊予西条、新居浜、関川、伊予土居、箕浦、観音寺(予讃本線)

鉄旅日記2009年5月5日・・・宇和島駅、卯之町駅、八幡浜駅、千丈駅、伊予大洲駅、伊予市駅、松山駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2017年秋【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】その3-腰越、龍ノ口寺、江ノ島、湘南江の島、片瀬江ノ島、新宿(江ノ島電鉄/小田急電鉄江ノ島線)

鉄旅日記2017年11月12日・・・腰越駅、江ノ島駅、湘南江の島駅、片瀬江ノ島駅、新宿駅(江ノ島電鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】最終日(会津若松-新潟-吉田-三条-東京)その2-新潟、白山、内野、巻、吉田、燕(越後線/弥彦線)

鉄旅日記2018年3月4日・・・新潟駅、白山駅、内野駅、巻駅、吉田駅、燕駅(越後線/弥彦線) 11:

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】2日目(山形-左沢-新庄-鶴岡-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅

車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池

車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その2 ‐祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒田屋高松西インター店

車旅日記2020年9月20日・・・祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その1 ‐瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋神社参道、津島ノ宮駅、詫間海軍航空隊跡、箱浦(浦嶋伝説の地)、父母ヶ浜

車旅日記2020年9月20日・・・瀬戸大橋遠景、丸亀城、少林寺、津嶋

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話

鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線)

鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山

→もっと見る

    PAGE TOP ↑