「車旅日記」2000年春 4日目(鳴子温泉‐米沢‐猪苗代‐郡山)鳴子サンハイツ、道の駅むらやま、金渓ワイン、日布峠、こたかもりドライブイン、郡山スターホテル 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】
車旅日記2000年5月6日
2000・5・6 7:19 鳴子サンハイツ 1011㎞
低調な朝だ。
まるっきりひとりっていうのは少なからず忍耐がいる。
昨夜、鳴子駅からここに至るルートでは毎度のように心細さを感じていた。
何しろ辺鄙なところだ。
でも浴場は来るたびにグレードを上げている。
露天風呂ができたと思ったら、風呂場全体がきれいになっている。
ベースキャンプとして、より申し分ない。
夜は早く寝た。
その分朝は早い。
象潟でもそうだった。
ひとりでいるとはこういうことなんだろう。
これまでとは性格の異なる旅になっている。
今日は友人と楽しく過ごすつもりだ。
空は今日もどんよりしている。
9:31 13号国道‐むらやま(道の駅) 1070㎞
赤倉温泉から尾花沢に抜ける県道を開拓して、いつもよりペース的にはかなり早い。
知らない道を行くことで旅心は目覚め、日が昇るように調子も上がってきた。
鳴子は寒いところだった。
どうも気分が優れないと思っていたら気温9度。
たんに寒かったんだよ。
寒さに震えていることに気づいていなかっただけなんだろう。
今は13度まで上がり、友の暮らす街に着く頃にはもう少し上がっていることだろう。
さすがに4日間も海や山を見ながら走っていると、そうした環境の一部になっていることがとても自然になる。
おそらくそんなふうになりたかったんだろう。
快晴の黄金週間を望み、快晴下の東北の山河を望み走ってきたけど、あまり多くを望まない方がいいのかもしれない。
象潟の青空。
あれで十分だと思う。
そして今この自然の中にいること。
それで十分だ。
10:55 13号国道‐金渓ワイン 1128㎞
ここらあたりだと目星をつけていたあたりにあったんだ。
高畠ワインを売る店が。
これなら親父も喜ぶだろう。
約束を果たせてオレもうれしい。
気温はぐんぐん上がり18度にもなった。
道路状況も順調で楽しくやっている。
流しているドリカムには何度か込みあげるものがあった。
今は特に話すようなものは何もないけど、いろいろあったことを思い出している。
今日はいい日になる。
12:21 西吾妻スカイバレー日布峠 1172㎞
葡萄畑を抜け、信号の多い米沢市内を抜け、友の暮らす街へ通じているルートの中で、たったひとつだけ残されていた道を走っている。
コース変更した選択を喜ぼう。
周辺には雪が残り、雪玉をひとつ作って蹴り上げた。
とても気分がいい。
遠くにはこれから通る湖が見える。
素晴らしい景色に出会えたことに満足している。
今日は思ったより調子がいい。
朝の状態がウソのようだ。
風はなく、空はよく晴れている。
観光地に寄るのは今回の旅では初めてのことになる。
13:11 米沢猪苗代線-こたかもりドライブイン 1190㎞
旅として申し分ない。
またひとつクライマックスが訪れたことが素直にうれしい。
目の前には桧山湖。
これから先にはまだ水辺の風景が続く。
とても潤いのあるロードだ。
湖畔のワインディング・ロード。
友の暮らす街はもう遠くない。
15:43 郡山スターホテル510号室 1265㎞
友との再会はまだ。
彼が用意してくれたホテルに落ち着いてビールを飲んでいる。
いつもながら友の気配りには頭が下がる。
いい友人を持ったものだ。
彼との約束の場所に向かうにあたり、空いた時間を使って街中を走った。
最初にこの街に来たのはいつのことだっただろう。
その時にこのホテルの前も通ったことになる。
そう、友と二人で歩いて。
当時彼は開成山公園よりもずっと先で、ひとり暮らしていた。
あれから結婚して、この街に住み続け、オレは暮らす街を変えたが、今も独り者としてやっている。
でもそんなことはどうでもいい。
ここで友を待っている。
23:25 郡山スターホテル510号室
これほど名残惜しい夜が最近あっただろうか。
旅に出る前も旅の途中も、オレはずっとひとりだったんだ。
それがこの街に着いて、迎えてくれる友に再会して、ひとりの女性と出会った。
再会と出会いの席は焼鳥の美味い店からカラオケ屋に移り、約1時間前に散会した。
その女性は自転車で帰り、友と奥さんとはホテルの玄関で握手をして別れた。
なぜ彼等と別れなければならないのか。
その必然を知りながら、でもその別れに対して懐疑的でいた。
だけど別れは訪れ、多分もう2度と来ないここ510号室で、オレはまたひとりになった。
さっきから最後に歌ったメロディがリフレインしている。
「あれからボクたちは、何かを信じてこれたかな。夜空のムコウには。。」
出会った女性はこの楽曲を聴くと泣けると言っていた。
明日に対して肯定的でいるより、今夜は何だか切ないよ。
関連記事
-
-
「車旅日記」2004年春 3日目(釧路-旭川)走行距離533㎞-釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清水駅、樹海ロード日高、夕張駅、熊追橋付近、藤田観光ワシントンホテル旭川 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】
車旅日記2004年5月3日・・・釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その1‐門司港、小森江、折尾、若松(鹿児島本線/筑豊本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月16日・・・門司港駅、小森江駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本線/筑豊本線)
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その3‐米原、京都、梅小路京都西、丹波口、花園(東海道本線/山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月23日・・・米原駅、京都駅、梅小路京都西駅、丹波口駅、花園駅(東海道本線/山
-
-
「鉄旅日記」2000年晩秋【京都の女性に恋をしていた頃がございました。その京都時代のはじまりでございます。】-京都タワーホテル
鉄旅日記2000年11月23日~24日 2000・11・23 0:03 京都タワーホテル924号室
-
-
「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎線) 18:36 水上(みな
-
-
「鉄旅日記」2015年春 最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】
鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東
-
-
「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その2-山田上口、宮川、川添、伊勢柏崎、尾鷲、新鹿、熊野市、紀伊勝浦(参宮線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月8日その2・・・山田上口駅、宮川駅、川添駅、伊勢柏崎駅、尾鷲駅、新鹿駅、熊野市
-
-
「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】4日目(鹿角花輪-花巻)-鹿角花輪、荒屋新町、盛岡、北上、和賀仙人、横手、大曲、角館、田沢湖、雫石、小岩井、花巻空港、新花巻、花巻(花輪線/東北本線/北上線/田沢湖線/釜石線)
鉄旅日記2011年8月16日・・・鹿角花輪駅、荒屋新町駅、盛岡駅、北上駅、和賀仙人駅、横手駅、大曲駅
-
-
「車旅日記」2003年夏 最終日(札幌-函館)走行距離366㎞ -札幌東急イン、支笏湖、苫小牧駅、室蘭駅、地球岬、豊浦駅、5号国道パーキング、函館駅、函館山、函館空港 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】
車旅日記2003年8月17日・・・札幌東急イン、支笏湖、苫小牧駅、室蘭駅、地球岬、豊浦駅、5号国道パ
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その4‐藤枝、静岡、熱海、上野、北千住(東海道本線/常磐線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月22日・・・藤枝駅、静岡駅、熱海駅、上野駅、北千住駅(東海道本線/常磐線)
