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「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】4日目(鳴子温泉‐米沢‐猪苗代‐郡山)鳴子サンハイツ、道の駅むらやま、金渓ワイン、日布峠、こたかもりドライブイン、郡山スターホテル

公開日: : 最終更新日:2023/04/29 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年5月6日
2000・5・6 7:19 鳴子サンハイツ 1011㎞
低調な朝だ。
まるっきりひとりっていうのは少なからず忍耐がいる。

昨夜、鳴子駅からここに至るルートでは毎度のように心細さを感じていた。
何しろ辺鄙なところだ。

でも浴場は来るたびにグレードを上げている。
露天風呂ができたと思ったら、風呂場全体がきれいになっている。
ベースキャンプとして、より申し分ない。

夜は早く寝た。
その分朝は早い。

象潟でもそうだった。
ひとりでいるとはこういうことなんだろう。
これまでとは性格の異なる旅になっている。

今日は友人と楽しく過ごすつもりだ。

空は今日もどんよりしている。

9:31 13号国道‐むらやま(道の駅) 1070㎞
赤倉温泉から尾花沢に抜ける県道を開拓して、いつもよりペース的にはかなり早い。

知らない道を行くことで旅心は目覚め、日が昇るように調子も上がってきた。

鳴子は寒いところだった。
どうも気分が優れないと思っていたら気温9度。

たんに寒かったんだよ。
寒さに震えていることに気づいていなかっただけなんだろう。

今は13度まで上がり、友の暮らす街に着く頃にはもう少し上がっていることだろう。

さすがに4日間も海や山を見ながら走っていると、そうした環境の一部になっていることがとても自然になる。
おそらくそんなふうになりたかったんだろう。

快晴の黄金週間を望み、快晴下の東北の山河を望み走ってきたけど、あまり多くを望まない方がいいのかもしれない。

象潟の青空。
あれで十分だと思う。

そして今この自然の中にいること。
それで十分だ。

10:55 13号国道‐金渓ワイン 1128㎞
ここらあたりだと目星をつけていたあたりにあったんだ。
高畠ワインを売る店が。

これなら親父も喜ぶだろう。
約束を果たせてオレもうれしい。

気温はぐんぐん上がり18度にもなった。
道路状況も順調で楽しくやっている。

流しているドリカムには何度か込みあげるものがあった。

今は特に話すようなものは何もないけど、いろいろあったことを思い出している。

今日はいい日になる。

12:21 西吾妻スカイバレー日布峠 1172㎞
葡萄畑を抜け、信号の多い米沢市内を抜け、友の暮らす街へ通じているルートの中で、たったひとつだけ残されていた道を走っている。
コース変更した選択を喜ぼう。

周辺には雪が残り、雪玉をひとつ作って蹴り上げた。
とても気分がいい。

遠くにはこれから通る湖が見える。
素晴らしい景色に出会えたことに満足している。

今日は思ったより調子がいい。
朝の状態がウソのようだ。

風はなく、空はよく晴れている。

観光地に寄るのは今回の旅では初めてのことになる。

13:11 米沢猪苗代線-こたかもりドライブイン 1190㎞
旅として申し分ない。
またひとつクライマックスが訪れたことが素直にうれしい。

目の前には桧山湖。
これから先にはまだ水辺の風景が続く。
とても潤いのあるロードだ。

湖畔のワインディング・ロード。

友の暮らす街はもう遠くない。

15:43 郡山スターホテル510号室 1265㎞
友との再会はまだ。

彼が用意してくれたホテルに落ち着いてビールを飲んでいる。

いつもながら友の気配りには頭が下がる。
いい友人を持ったものだ。

彼との約束の場所に向かうにあたり、空いた時間を使って街中を走った。

最初にこの街に来たのはいつのことだっただろう。
その時にこのホテルの前も通ったことになる。
そう、友と二人で歩いて。

当時彼は開成山公園よりもずっと先で、ひとり暮らしていた。
あれから結婚して、この街に住み続け、オレは暮らす街を変えたが、今も独り者としてやっている。

でもそんなことはどうでもいい。

ここで友を待っている。

23:25 郡山スターホテル510号室
これほど名残惜しい夜が最近あっただろうか。

旅に出る前も旅の途中も、オレはずっとひとりだったんだ。

それがこの街に着いて、迎えてくれる友に再会して、ひとりの女性と出会った。

再会と出会いの席は焼鳥の美味い店からカラオケ屋に移り、約1時間前に散会した。

その女性は自転車で帰り、友と奥さんとはホテルの玄関で握手をして別れた。

なぜ彼等と別れなければならないのか。
その必然を知りながら、でもその別れに対して懐疑的でいた。

だけど別れは訪れ、多分もう2度と来ないここ510号室で、オレはまたひとりになった。

さっきから最後に歌ったメロディがリフレインしている。

「あれからボクたちは、何かを信じてこれたかな。夜空のムコウには。。」

出会った女性はこの楽曲を聴くと泣けると言っていた。

明日に対して肯定的でいるより、今夜は何だか切ないよ。

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