*

「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅

公開日: : 最終更新日:2024/04/13 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年5月5日
8:54 象潟海岸 636㎞
朝、人気のない海もいい。

車を降りるつもりはなかったけど、降りることにして波打ち際へ。

遠くに島が見える。
そして遠くの空は青かった。

幸せだったよ。
とても。

こんな時、想う女性がいれば切なくて、美しくて、とても貴重な時と言えるだろうけど、まるっきりの独りもいい。

ブルース・スプリングスティーンの言葉に戻ろう。
旅はひとりがいい。
ただし二人もいい。

渚にて。

そう言えば今朝までいた部屋の名は「渚」だったと思い至った。

また来たいよ。
でもその時にはやっぱりひとりより二人の方がいい。

10:59 秋田駅 705㎞
日本海夕日ルートに日が差した時、顔が笑み崩れた。

何度目なんだろう。
正確には覚えていないが、北に来ると好んで通る馴染みのルート。

渋滞を経験することもなく車は秋田に到着し、土産物を買い込む。

ここは大都会だな。
東京へも新幹線で一本でつながっている。

駅では上品なご婦人をよく見かける。

駅はとてもきれいだが、今また増築工事が施されている。
次に来る時にはさらなる変貌を遂げていることだろう。

2年前は雨だった。
その夜の弁当を求めて立ち寄ったんだ。

その思いは果たせず、また7号国道に戻ったわけだが、あの日に降った土砂降りを覚えている。
市内は渋滞したまま雨に洗われていた。

そして今ようやくあの日からの雨が上がった。

雨雲に覆われていた秋田市内も、オレの中で長く記憶されることになるだろう。

12:21 46号国道‐角館花葉館 749㎞
旅の途中こういうこともある。

つまり何かに我慢するような心地で車を走らすこと。

まず渋滞があった。
13号国道でのことだ。

それと便所に行きたかった。

空に晴れる気配はない。
エルビスのR&Rもいまひとつ。

おそらくそんなところが原因だろうが、いいものも目にした。
桜の花びらが舞ったと思ったら、ここでは満開。
その下で弁当を広げている一団もいる。

ここは山奥に造られたオアシスのような施設。
レストランは上品なたたずまいで、オレのような男の入店には難色を示しそうだった。

盛岡までは案外近い。
途中で昼飯場を見つけよう。

この先、田沢湖へのルートは以前来た時には混雑していた。

暑い夏の日。
友と待ち合わせた時のこと。

とても懐かしい。

13:51 田沢湖駅 780㎞
角館には四方から車が集まり活況を呈していた。

目玉は桜祭りだけど、武家屋敷をはじめとして観光資源に事欠かない。

川沿いに展開する桜並木はそれはそれは見事で、さすがにあれだけの人々を集めるだけのことはある。

そしてこの駅で。

地ビールを買いに寄ったが、思いがけず置物も購入することになった。
またコレクションが増えたな。

とても清潔感のある駅だ。
湖の名を冠するのに相応しい。

すぐ近くから見下ろす雪をかぶった山々の名を知りたい。
とても美しい。

心なしか空気も澄んでいるような気がしてくる。

16:13 東北自動車道-紫波SA 854㎞
46号国道から4号国道へ。

計画の変更について思いを巡らせていたんだろうか。
少し疲れてしまった。

盛岡周辺の渋滞も影響してるだろう。
どうも日本海側のようにはいかないようだ。

関東に近いこともあってか、人の数が違う。
ここでようやく一息つけたのはよかったけど、人の多さにはうんざりした。

JHが渋滞情報を流している。
これから東京近辺に帰ろうと思っている人も多いだろう。
ご苦労なことだ。

ハイウェイに変更したのは、この先の道路状況を考えたことがひとつ。
おそらく4号国道ではその後も断続的な渋滞に悩まされたことだろう。

もうひとつは変わり映えのしない風景だ。
この先のことは分からないが、ハイウェイでは高所を走る分、眺めはよかった。

いつの間にか空は晴れている。
気温も上がり18度と出ている。

一昨日の下今市以来また半袖に戻した。
まあ適当にいこう。

ハイウェイは古川で下りるだろうけど、それさえ明確じゃない。

そう考えると何だか楽しくなる。

17:14 東北自動車道-前沢SA 907㎞
今日は少し疲労が激しい。
それとなぜか消化不良気味なのが気になる。

象潟が旅のクライマックスではあったけど、まだ3日目じゃないか。
まだ2日残されている。
気分の高揚をひたすらに望んでいる。

ここも何度も寄ったことのある場所。
見覚えがあることに懐かしさを感じるより、今日の場合は興ざめする気持ちが大きい。

できる限り、新しい場所にいたいのさ。

子供の笑顔がまぶしくて、またかわいい。

いろんな事件が起こっているが、彼等には素晴らしい人生を歩んでほしい。

18:47 古川駅 972㎞
巨大な駅ビルの出現に驚いた。

北の国にはまだオレの知らない世界が存在する。

怪訝そうな視線を感じる。
彼等の目には明らかにオレが異邦人として映っているのだろう。

求める弁当はここにはない。
かなりの期待を抱かせた駅だったけど、駅弁はない。

今夜はビールと粗食だな。

残りは47号国道を少しばかり。
鳴子までゆっくりいくよ。

19:20 47号国道‐サンクス 984㎞
夕食と朝食の調達。

まぶしく照らしてくれていた西日も沈んで、すっかり夜。

あの太陽が日本海に沈んだのだと思うと、妙な感慨を覚える。

さて、あと30㎞。

関連記事

「車旅日記」1996年1月【旅を友として生きていくことにした27歳。年頭の誓いでございます。】-町田、伊勢原駅、山北駅、沼津駅、富士駅、道の駅富士川、吉原駅、田子の浦

車旅日記1996年1月1日 1996・1・1 20:43 東京町田 始動だ。 久し振りに動かし

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その2-中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢湾フェリー)

鉄旅日記2018年12月24日・・・中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太多線/中央本線/東海道本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】2日目(香住-東萩)その2‐浜坂、東浜、福部、鳥取(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月24日・・・浜坂駅、東浜駅、福部駅、鳥取駅(山陰本線) 8:55&nb

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】2日目(津山-鳥取)その1-津山、坪井、久世、中国勝山、刑部、新見、総社、備中高松、高松城址、吉備津(姫新線、伯備線、吉備線)

鉄旅日記8月14日その1・・・津山駅、坪井駅、久世駅、中国勝山駅、刑部駅、新見駅、総社駅、備中高松駅

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】初日(東京-新山口)その2-廿日市、広電廿日市、宮島口、広電宮島口、大竹、岩国、徳山、新山口(山陽本線/岩徳線)

鉄旅日記2009年9月18日・・・廿日市駅、広電廿日市駅、宮島口駅、広電宮島口駅、大竹駅、岩国駅、徳

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏 【青春18きっぷで、北海道途中下車旅】4日目(岩見沢-羽後本荘)-岩見沢、札幌、銭函、小樽、倶知安、蘭越、長万部、中ノ沢、五稜郭、上磯、釜谷(函館本線、江差線)

鉄旅日記2012年8月14日・・・岩見沢駅、札幌駅、銭函駅、小樽駅、倶知安駅、蘭越駅、長万部駅、中ノ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋【「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】初日(東京-岳南江尾-豊橋-三河田原-岡崎-尾張瀬戸-勝川-枇杷島-桑名)その2-吉原、岳南江尾、本吉原、吉原本町、吉原、富士川、新蒲原、西焼津、新豊橋、三河田原(岳南電車岳南線/東海道本線/豊橋鉄道渥美線)

鉄旅日記2018年9月15日・・・吉原駅、岳南江尾駅、本吉原駅、吉原本町駅、富士川駅、新蒲原駅、西焼

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】初日(東京-名古屋)-根府川、島田、豊橋、岡崎、名古屋(東海道本線)

鉄旅日記2005年11月5日・・・根府川駅、島田駅、豊橋駅、岡崎駅、名古屋駅(東海道本線) 200

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】初日(東京-十日町)-上野、高崎、大前、渋川、沼田、水上、越後湯沢、六日町、越後川口、十日町(高崎線/吾妻線/上越線/飯山線)

鉄旅日記2009年7月18日・・・上野駅、高崎駅、大前駅、渋川駅、沼田駅、水上駅、越後湯沢駅、六日町

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その1‐三次、上下、府中(福塩線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・三次駅、上下駅、府中駅(福塩線)

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その5‐備後落合、備後庄原、三次(芸備線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・備後落合駅、備後庄原駅、三次駅(芸

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その3‐黒松、仁万、出雲市、荘原(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・黒松駅、仁万駅、出雲市駅、荘原駅(

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その2‐益田、三保三隅、浜田、波子(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・益田駅、三保三隅駅、浜田駅、波子駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑