*

「車旅日記」2000年春 3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年5月5日

8:54 象潟海岸 636㎞
朝、人気のない海もいい。

車を降りるつもりはなかったけど、降りることにして波打ち際へ。

遠くに島が見える。
そして遠くの空は青かった。

幸せだったよ。
とても。

こんな時、想う女性がいれば切なくて、美しくて、とても貴重な時と言えるだろうけど、まるっきりの独りもいい。

ブルース・スプリングスティーンの言葉に戻ろう。
旅はひとりがいい。
ただし二人もいい。

渚にて。

そう言えば今朝までいた部屋の名は「渚」だったと思い至った。

また来たいよ。
でもその時にはやっぱりひとりより二人の方がいい。

10:59 秋田駅 705㎞
日本海夕日ルートに日が差した時、顔が笑み崩れた。

何度目なんだろう。
正確には覚えていないが、北に来ると好んで通る馴染みのルート。

渋滞を経験することもなく車は秋田に到着し、土産物を買い込む。

ここは大都会だな。
東京へも新幹線で一本でつながっている。

駅では上品なご婦人をよく見かける。

駅はとてもきれいだが、今また増築工事が施されている。
次に来る時にはさらなる変貌を遂げていることだろう。

2年前は雨だった。
その夜の弁当を求めて立ち寄ったんだ。

その思いは果たせず、また7号国道に戻ったわけだが、あの日に降った土砂降りを覚えている。
市内は渋滞したまま雨に洗われていた。

そして今ようやくあの日からの雨が上がった。

雨雲に覆われていた秋田市内も、オレの中で長く記憶されることになるだろう。

12:21 46号国道‐角館花葉館 749㎞
旅の途中こういうこともある。

つまり何かに我慢するような心地で車を走らすこと。

まず渋滞があった。
13号国道でのことだ。

それと便所に行きたかった。

空に晴れる気配はない。
エルビスのR&Rもいまひとつ。

おそらくそんなところが原因だろうが、いいものも目にした。
桜の花びらが舞ったと思ったら、ここでは満開。
その下で弁当を広げている一団もいる。

ここは山奥に造られたオアシスのような施設。
レストランは上品なたたずまいで、オレのような男の入店には難色を示しそうだった。

盛岡までは案外近い。
途中で昼飯場を見つけよう。

この先、田沢湖へのルートは以前来た時には混雑していた。

暑い夏の日。
友と待ち合わせた時のこと。

とても懐かしい。

13:51 田沢湖駅 780㎞
角館には四方から車が集まり活況を呈していた。

目玉は桜祭りだけど、武家屋敷をはじめとして観光資源に事欠かない。

川沿いに展開する桜並木はそれはそれは見事で、さすがにあれだけの人々を集めるだけのことはある。

そしてこの駅で。

地ビールを買いに寄ったが、思いがけず置物も購入することになった。
またコレクションが増えたな。

とても清潔感のある駅だ。
湖の名を冠するのに相応しい。

すぐ近くから見下ろす雪をかぶった山々の名を知りたい。
とても美しい。

心なしか空気も澄んでいるような気がしてくる。

16:13 東北自動車道-紫波SA 854㎞
46号国道から4号国道へ。

計画の変更について思いを巡らせていたんだろうか。
少し疲れてしまった。

盛岡周辺の渋滞も影響してるだろう。
どうも日本海側のようにはいかないようだ。

関東に近いこともあってか、人の数が違う。
ここでようやく一息つけたのはよかったけど、人の多さにはうんざりした。

JHが渋滞情報を流している。
これから東京近辺に帰ろうと思っている人も多いだろう。
ご苦労なことだ。

ハイウェイに変更したのは、この先の道路状況を考えたことがひとつ。
おそらく4号国道ではその後も断続的な渋滞に悩まされたことだろう。

もうひとつは変わり映えのしない風景だ。
この先のことは分からないが、ハイウェイでは高所を走る分、眺めはよかった。

いつの間にか空は晴れている。
気温も上がり18度と出ている。

一昨日の下今市以来また半袖に戻した。
まあ適当にいこう。

ハイウェイは古川で下りるだろうけど、それさえ明確じゃない。

そう考えると何だか楽しくなる。

17:14 東北自動車道-前沢SA 907㎞
今日は少し疲労が激しい。
それとなぜか消化不良気味なのが気になる。

象潟が旅のクライマックスではあったけど、まだ3日目じゃないか。
まだ2日残されている。
気分の高揚をひたすらに望んでいる。

ここも何度も寄ったことのある場所。
見覚えがあることに懐かしさを感じるより、今日の場合は興ざめする気持ちが大きい。

できる限り、新しい場所にいたいのさ。

子供の笑顔がまぶしくて、またかわいい。

いろんな事件が起こっているが、彼等には素晴らしい人生を歩んでほしい。

18:47 古川駅 972㎞
巨大な駅ビルの出現に驚いた。

北の国にはまだオレの知らない世界が存在する。

怪訝そうな視線を感じる。
彼等の目には明らかにオレが異邦人として映っているのだろう。

求める弁当はここにはない。
かなりの期待を抱かせた駅だったけど、駅弁はない。

今夜はビールと粗食だな。

残りは47号国道を少しばかり。
鳴子までゆっくりいくよ。

19:20 47号国道‐サンクス 984㎞
夕食と朝食の調達。

まぶしく照らしてくれていた西日も沈んで、すっかり夜。

あの太陽が日本海に沈んだのだと思うと、妙な感慨を覚える。

さて、あと30㎞。

関連記事

「鉄旅日記」2016年夏 3日目(小樽-富良野)その2-深川、増毛、留萌、北一已、深川、旭川、美瑛、千代ヶ丘、富良野(留萌本線/函館本線/富良野線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月12日・・・深川駅、増毛駅、留萌駅、北一已駅、深川駅、旭川駅、美瑛駅、千代ヶ丘

記事を読む

「鉄旅日記」2007年皐月 最終日(岡山-東京)-岡山、長船、明石、米原、大垣、沼津、平塚、北千住、東京葛飾(山陽本線/赤穂線/東海道本線)【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】

鉄旅日記2007年5月6日・・・岡山駅、長船駅、明石駅、米原駅、大垣駅、沼津駅、平塚駅、北千住駅(山

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅、常陸多賀駅(常磐線)

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その2-東雲、宮津、天橋立、豊岡、国府、和田山、梁瀬、福知山、西舞鶴(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

鉄旅日記2014年3月21日その2・・・東雲駅、宮津駅、天橋立駅、豊岡駅、国府駅、和田山駅、梁瀬駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その1-浜松、豊橋、大垣、京都、六地蔵、城陽、京終、帯解、天理、桜井(東海道本線/奈良線/桜井線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】

鉄旅日記2008年7月19日・・・浜松駅、豊橋駅、大垣駅、京都駅、六地蔵駅、城陽駅、京終駅、帯解駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その3 ‐十日町、越後川口、渋川、敷島(飯山線/上越線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

鉄旅日記2021年7月11日・・・十日町駅、越後川口駅、渋川駅、敷島駅(飯山線/上越線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏 4日目(米子-呉)その1-米子、安来、来待、西出雲、弘南、温泉津、波子、浜田、石見川本(山陰本線/三江線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

鉄旅日記2014年8月16日その1・・・米子駅、安来駅、来待駅、西出雲駅、弘南駅、温泉津駅、波子駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その1‐新津、馬下、津川、喜多方(磐越西線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月5日・・・新津駅、馬下駅、津川駅、喜多方駅(磐越西線) 2020・4・5 5

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山陽本線) 14:31&n

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その1-金町、三島、修善寺、蒲原、島田(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月23日・・・金町駅、三島駅、修善寺駅、蒲原駅、島田駅(常磐線/東海道本線/伊豆

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

→もっと見る

    PAGE TOP ↑