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「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅

公開日: : 最終更新日:2023/04/29 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年5月5日
8:54 象潟海岸 636㎞
朝、人気のない海もいい。

車を降りるつもりはなかったけど、降りることにして波打ち際へ。

遠くに島が見える。
そして遠くの空は青かった。

幸せだったよ。
とても。

こんな時、想う女性がいれば切なくて、美しくて、とても貴重な時と言えるだろうけど、まるっきりの独りもいい。

ブルース・スプリングスティーンの言葉に戻ろう。
旅はひとりがいい。
ただし二人もいい。

渚にて。

そう言えば今朝までいた部屋の名は「渚」だったと思い至った。

また来たいよ。
でもその時にはやっぱりひとりより二人の方がいい。

10:59 秋田駅 705㎞
日本海夕日ルートに日が差した時、顔が笑み崩れた。

何度目なんだろう。
正確には覚えていないが、北に来ると好んで通る馴染みのルート。

渋滞を経験することもなく車は秋田に到着し、土産物を買い込む。

ここは大都会だな。
東京へも新幹線で一本でつながっている。

駅では上品なご婦人をよく見かける。

駅はとてもきれいだが、今また増築工事が施されている。
次に来る時にはさらなる変貌を遂げていることだろう。

2年前は雨だった。
その夜の弁当を求めて立ち寄ったんだ。

その思いは果たせず、また7号国道に戻ったわけだが、あの日に降った土砂降りを覚えている。
市内は渋滞したまま雨に洗われていた。

そして今ようやくあの日からの雨が上がった。

雨雲に覆われていた秋田市内も、オレの中で長く記憶されることになるだろう。

12:21 46号国道‐角館花葉館 749㎞
旅の途中こういうこともある。

つまり何かに我慢するような心地で車を走らすこと。

まず渋滞があった。
13号国道でのことだ。

それと便所に行きたかった。

空に晴れる気配はない。
エルビスのR&Rもいまひとつ。

おそらくそんなところが原因だろうが、いいものも目にした。
桜の花びらが舞ったと思ったら、ここでは満開。
その下で弁当を広げている一団もいる。

ここは山奥に造られたオアシスのような施設。
レストランは上品なたたずまいで、オレのような男の入店には難色を示しそうだった。

盛岡までは案外近い。
途中で昼飯場を見つけよう。

この先、田沢湖へのルートは以前来た時には混雑していた。

暑い夏の日。
友と待ち合わせた時のこと。

とても懐かしい。

13:51 田沢湖駅 780㎞
角館には四方から車が集まり活況を呈していた。

目玉は桜祭りだけど、武家屋敷をはじめとして観光資源に事欠かない。

川沿いに展開する桜並木はそれはそれは見事で、さすがにあれだけの人々を集めるだけのことはある。

そしてこの駅で。

地ビールを買いに寄ったが、思いがけず置物も購入することになった。
またコレクションが増えたな。

とても清潔感のある駅だ。
湖の名を冠するのに相応しい。

すぐ近くから見下ろす雪をかぶった山々の名を知りたい。
とても美しい。

心なしか空気も澄んでいるような気がしてくる。

16:13 東北自動車道-紫波SA 854㎞
46号国道から4号国道へ。

計画の変更について思いを巡らせていたんだろうか。
少し疲れてしまった。

盛岡周辺の渋滞も影響してるだろう。
どうも日本海側のようにはいかないようだ。

関東に近いこともあってか、人の数が違う。
ここでようやく一息つけたのはよかったけど、人の多さにはうんざりした。

JHが渋滞情報を流している。
これから東京近辺に帰ろうと思っている人も多いだろう。
ご苦労なことだ。

ハイウェイに変更したのは、この先の道路状況を考えたことがひとつ。
おそらく4号国道ではその後も断続的な渋滞に悩まされたことだろう。

もうひとつは変わり映えのしない風景だ。
この先のことは分からないが、ハイウェイでは高所を走る分、眺めはよかった。

いつの間にか空は晴れている。
気温も上がり18度と出ている。

一昨日の下今市以来また半袖に戻した。
まあ適当にいこう。

ハイウェイは古川で下りるだろうけど、それさえ明確じゃない。

そう考えると何だか楽しくなる。

17:14 東北自動車道-前沢SA 907㎞
今日は少し疲労が激しい。
それとなぜか消化不良気味なのが気になる。

象潟が旅のクライマックスではあったけど、まだ3日目じゃないか。
まだ2日残されている。
気分の高揚をひたすらに望んでいる。

ここも何度も寄ったことのある場所。
見覚えがあることに懐かしさを感じるより、今日の場合は興ざめする気持ちが大きい。

できる限り、新しい場所にいたいのさ。

子供の笑顔がまぶしくて、またかわいい。

いろんな事件が起こっているが、彼等には素晴らしい人生を歩んでほしい。

18:47 古川駅 972㎞
巨大な駅ビルの出現に驚いた。

北の国にはまだオレの知らない世界が存在する。

怪訝そうな視線を感じる。
彼等の目には明らかにオレが異邦人として映っているのだろう。

求める弁当はここにはない。
かなりの期待を抱かせた駅だったけど、駅弁はない。

今夜はビールと粗食だな。

残りは47号国道を少しばかり。
鳴子までゆっくりいくよ。

19:20 47号国道‐サンクス 984㎞
夕食と朝食の調達。

まぶしく照らしてくれていた西日も沈んで、すっかり夜。

あの太陽が日本海に沈んだのだと思うと、妙な感慨を覚える。

さて、あと30㎞。

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