「鉄旅日記」2016年夏 最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月13日・・・大館駅、十和田南駅、荒屋新町駅、前沢駅、一ノ関駅、愛宕駅、国府多賀城駅、陸前山王駅、北白川駅、東白石駅、蒲須坂駅、片岡駅(花輪線/東北本線)
2016・8・14 6:27 大館(おおだて)駅(奥羽本線/花輪線 秋田県)
朝風呂に浸かり、今日もよく晴れた路上へ。
ホテルもよかったし、大館に対していいイメージを持って帰れる。
駅に着いてさっそく迎え酒。
どうしようもなくダメなヤツだが、無様ではないつもりだ。
花輪線で大館を出ると、奥羽本線と分かれて大きく右に迂回し、やがてまた奥羽本線を跨ぎ東大館へ。
ここらは商業施設も住宅も多い。
やはり街の中心はこちらか。


7:18 十和田南(とわだみなみ)駅(花輪線 秋田県)
だだっ広い駐車場。
お宮へつながる駅前通り。
酒屋は町を出ていき、角の家の爺さんは「どっこいしょ」と庭の畑に水を撒く。
気のいい駅長さんが迎えてくれたこの土地には、謡曲「綿木塚物語」という悲しい愛と死の話が伝わっている。
改札前には十和田南駅の詩が刻まれた碑がある。
内容は愛情にあふれた優しいものだ。
駅に着く前に右手から線路が現れた。
スイッチバッグ駅だったのか。
ここで数分の停車。
発車時刻を迎えると列車は後ろ向きに動き出し、さっき右手に現れた線路を走り始めた。


十和田南駅周辺風景

8:19 荒屋新町(あらやしんまち)駅(花輪線 岩手県)
5年前と同じようにここで行き違い停車。
駅長に愛想はなく、朝から顔に苦渋を浮かべている。
もっと穏やかな顔もできるだろうに、惜しいことだ。
自衛隊員募集の看板はおそらく5年前にもあったのだろう。
「日本の滝100選」に入る「不動の滝」への入口に大きな赤い鳥居が立っていた。
住人は代々そこに神を見てきたわけだ。
駅での別れの光景が見られた。
父親の腕に抱かれた小さな子供がきょとんとしていて愛らしい。
彼等が次に再会できるのはいつだろう。

11:17 前沢(まえさわ)駅(東北本線 岩手県)
盛岡駅で東北本線に乗り継ぐ。
岩手山がよく見えた。
快晴だ。
盛岡から豪華列車に乗って、岩手産「一番搾り」に喉を鳴らす。
列車の窓からきれいな田園を見ていた。
美しくて見飽きることはない。
たまに目を瞑ると心地よい眠りが訪れる。
右手には、3月には雪をまとっていた奥羽山脈。
夏とはこんなにも美しいものか。
かつてそう表現した記憶がない。
前沢駅は新しいが、一歩出れば由緒ありげな田舎町。
歩く。
わくわくする町歩きになった。
「本家」の木札を掲げた薬屋、明治天皇行在所跡にある旅館、前沢牛を売る店。
商店街は古く、夏が似合う。
懐かしく感じる。
毎年そんな瞬間があるが、ここにいられてうれしいと、気分が上がってくる。
そんな町だった。
坂上田村麻呂に率いられた遠征軍を迎え撃った蝦夷の大酋長「アテルイ」の里でもある。

前沢駅周辺風景


11:54 一ノ関(いちのせき)駅(東北新幹線/東北本線/大船渡線 岩手県)
夏を楽しむ人々に囲まれている。
今では珍しくなったホームに置かれた「駅そば」でラーメンを注文。
うどんそばに比べて出てくるのにほんの少し時間がかかる。
しかし美味かった。
求めていた味で、汁まで飲み干した。
覚えておこう。
小牛田行きに乗っている。
乗車率が急激に落ち込んだ。
13:13 愛宕(あたご)駅(東北本線 宮城県)
日を遮るもののない駅で焼かれる。
鮮やかな青のマンションが無人駅を見下ろしている。
近くにはコンビニのみ。
松島付近で線路に人が立ち入ったとかで計画にひびが入る。
最近は外国人観光客が増えている。
偏見に満ちているとの批判は承知の上だが、おそらくそういった手合だろう。
これといって特色のない駅で、こうして青信号に変わるのを待っている。
かわいらしい赤ちゃんが乗ってきて気持ちが和む。

13:41 国府多賀城(こくふたがじょう)駅(東北本線 宮城県)
東北歴史博物館が重厚な存在感を放っている。
休館なのか人の姿は見られない。
疎らな住宅街があたりを包んでいる。
歴史的な地名だが町は寂しい。
1,000年以上前の旧跡が、そのまま地名として残っている例は稀だろう。
当時みちのくは大和政権に組み込まれていなかった。
従って坂上田村麻呂の登場によって初めて東北は教科書に現れる。
この歴史は知っておくべきだ。

13:56 陸前山王(りくぜんさんのう)駅(東北本線 宮城県)
多賀城文化圏が続いている。
ここは明らかに仙台文化圏からは外れている。
駅前にはカフェが一軒あるのみであとは何もない。
コンビニもない。
ビールも売っていない。
史跡へと誘う案内に目を向ける人間がそもそもいない。
たまたまだが、さっき降りた前沢は「アテルイ」の里だった。
彼と征夷大将軍との間で戦われた最後の戦場はどこだったのだろう。
東北は負けてきた。
だから記念碑は乏しい。
多賀城は中央政権の前進拠点だったから地名として残ったのだろう。
仙台平野を風が吹き抜けていく。


15:27 北白川(きたしらかわ)駅(東北本線 宮城県)
仙台で白石行きに乗り継ぐ。
何もない場所でビール売場を探して県道を歩いていく。
風景はさらに鄙びて白石川に出る。
遠くに新幹線高架が見える。
視線を下に移せば犬を散歩させる男とひとり往く少年。
オレは蝉時雨の中を立ち止まった。
弱くなった日差しが、この暑い夏に無常を教えていた。

北白川駅周辺風景


15:44 東白石(ひがししろいし)駅(東北本線 宮城県)
「宮城蔵王36景」に数えられる東白石は無人駅。
この駅の存在を意識しだしてから、白石川に沿ったこの駅に降りる機会をずっと待っていた。
川向かうに村があるが、駅舎があるあたりはまるで秘境駅の風情だ。
降りていった若者3名には迎えの車が待っていた。
風景にケータイを向けた。
蝉の声に切なさを感じた今日。
明日が盆。
暑さには毎年苦しめられるが、夏とはやはり短い。




19:11 蒲須坂(かますさか)駅(東北本線 栃木県)
福島、黒磯で乗り継ぐ。
闇に紛れてしまった駅で、父親が迎えの車を待たせている。
浴衣を着た女子のほか女性2名が待合室に座っていた。
この列車に乗るでもなく、変わらず待っている。
ここから1駅戻って片岡に降りるオレの行動も謎だが、彼女たちの行動も読めない。
どうでもいい話だが。
関東野州は涼しかった。
今宵の東京はどうだろう。

19:22 片岡(かたおか)駅(東北本線 栃木県)
新しい駅舎を出ると小さなロータリーがあり、取り巻くのは菓子屋と、正面に片岡交通。
真ん中の植え込みに、この駅を詠んだ石碑がある。
古い家屋が隣り合っているせいか、暗いことも作用しているのだろうが、駅前通りは由緒ある宿場町のように見える。
おそらく住人はこの駅を気に入っているだろう。
ただ、冬場の風は冷たかろう。
新しい駅舎に旅情を感じて、この旅も終わる。
改札を入って左手にあるベンチに腰掛けて、「旅の終わりがここでよかった」としみじみとした気持ちになり、やがて正面のガラス窓に宇都宮行の光を見ると立ち上がり、オレはホームへと続く階段を下りていった。


関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ
-
-
「鉄旅日記」2022年盛夏 最終日(大津-東京)その1 ‐大津、関ヶ原(東海道本線)/ホテルアルファーワン大津【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2022年8月15日・・・大津駅、関ヶ原駅(東海道本線)/ホテルアルファーワン大津
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その3‐羽咋、能登部、徳田、七尾、和倉温泉(七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月22日・・・羽咋駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅、和倉温泉駅(七尾線)
-
-
「鉄旅日記」2023年新春最終日(彦根-東京)その3 ‐中津川、塩尻、辰野、上諏訪(中央本線/中央本線辰野支線)【南海各支線、水間鉄道、泉北高速鉄道、阪堺電気軌道、信楽高原鐡道、、、関西乗り鉄旅でございます。】
2023年1月9日・・・中津川駅、塩尻駅、辰野駅、上諏訪駅(中央本線/中央本線辰野支線) 1
-
-
「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その1-盛岡、仙北町、花巻、遠野、足ヶ瀬(東北本線/釜石線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】
鉄旅日記2019年9月22日・・・盛岡駅、仙北町駅、花巻駅、遠野駅、足ヶ瀬駅(東北本線/釜石線)
-
-
「車旅日記」2000年春 初日(東京‐足利‐鬼怒川‐会津若松‐新潟豊栄)その2‐足利郊外ポテチーノ、下今市駅、鬼怒川ホテルニュー岡部、上三依塩原駅、会津若松駅、津川町、道の駅豊栄 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】
車旅日記2000年5月3日 15:12 293号国道‐足利郊外ポテチーノ 108㎞ 繁華街を抜ける
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 2日目(香住-東萩)その2‐浜坂、東浜、福部、鳥取(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月24日・・・浜坂駅、東浜駅、福部駅、鳥取駅(山陰本線) 8:55&nb
-
-
「鉄旅日記」2007年如月 初日(東京-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】
鉄旅日記2007年2月10日・・・東京駅、名古屋駅、大垣駅、米原駅、草津駅、柘植駅、京都駅、木津駅、
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青梅街道駅、北朝霞駅、朝霞台駅(
-
-
「車旅日記」2006年皐月 4日目(大曲-青森)その2-弘前駅、道の駅つるた、毘沙門駅、津軽中里駅、三厩駅、中小国駅、駅前ホテルニュー青森館 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月5日・・・弘前駅、道の駅つるた、毘沙門駅、津軽中里駅、三厩駅、中小国駅、駅前ホ
