「鉄旅日記」2017年夏 初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄道/高山本線)
16:53 郡上八幡(ぐじょうはちまん)駅(長良川鉄道 岐阜県)
ドアが開いたら蜩の声が聞こえてくる。
夏の充分条件だ。
オレの暮らしの中では石神井公園しか思いつかない。
駅前は閑散としている。
町の中心まで約2キロ。
中央通りを進み、中心に近づくにつれて通りは観光色を身につけ、やがて観光客に呑まれた。
郡上八幡旧庁舎記念館を左に曲がり吉田川を渡る。
郡上八幡城を見上げ、小駄良川に架かる清水橋で水と戯れる人々を見る。
中国人女性にシャッターを押してくれるよう頼まれた。
彼女は写真に満足して謝謝。
駅に戻ると人声は疎らになる。
駅前でビールを買って、涼しいし、気持ちも穏やか。
こんな風景の中で暮らしたことはないが、オレの頭の中にはいつもこんな風景があって、思い出す度に懐かしい気持ちになる。
夕暮れ前に雲間から陽射しが。
空にも青が戻って、いつしか心も上天気。




郡上八幡の町並









18:16 北濃(ほくのう)駅(長良川鉄道 岐阜県)
在りし日。
オレは鉄路と並走する156号国道を車を走らせて、九頭竜湖に向かったのだろう。
国鉄はこの鉄路を九頭竜湖に繋げて、福井へと抜ける壮大なルートを計画して、ここで頓挫した。
旧国鉄越美南線、長良川鉄道の終着駅、北濃。
美濃太田から72キロ。
ここまでトンネルを潜った記憶はない。
ここから先は必要になる。
そして集落は稀だ。
きっと他の地域に様々な計画が持ち上がって先を越されるうちに、国鉄は民営化されたのだろう。
同じような事情で開通が待たれ、実現した三江線が、来年だかに廃線が決まった。
皮肉な現実だ。
過去の記録を手繰る必要があるが、ビールを買いに歩いていった「道の駅白鳥」にも寄ったような気がする。
高山本線の風景とよく似た旧越美南線。
今年は仕事が思うようにいかない中で、ブログを立ち上げ、新たな関係性の構築に動き、様々な現実の中で、こうして懐かしげな風景に包まれて蝉の声を聞いていると、なんだか遠くを眺めている気分になる。
それが過去であれ、未来であれ、今見ている空と同じ色になる。
黒雲を連れてるけど、悪くない夕焼け空だ。




北濃駅前風景

18:51 美濃白鳥(みのしらとり)駅(長良川鉄道 岐阜県)
列車の交換待ちで外に出たら、またぱらっと降ってきた。
台風5号の進路にあたった当地の被害を心配した記憶が甦った。
何で最近はそうなる。
自然界がもたらす暴力になすすべのない人間が下らない政争にかまけている。
優先事項は連中とオレとじゃ決定的な違いがある。
たった今、天界に架けられたかと思わせる橋の下を通った。
美濃白鳥は町だった。
駅前を出て、そのまま歩きだしたくなったよ。


19:26 郡上八幡(ぐじょうはちまん)駅(長良川鉄道 岐阜県)
交換待ちで4分の停車。
夜になった町に戻ってきた。
今は郡上おどりの最中。
祭囃子でも聞こえるかと表に出てみれば花火の音が聞こえた。
ここも川上健一さんの「祭囃子が聞こえる」に描かれた町。
刈和野、越中八尾、西大寺・・・。
あの物語に登場する橋はどれだったのだろう。
またあの小説を手にとりたくなった。

20:25 関(せき)駅(長良川鉄道 岐阜県)
刃物の街は夜の明かりが少なかった。
今オレの頭を悩ませている仕事のクライアントがここ関を発祥の地としている。
今はこの様だが、良縁にしてみせると誓う。
ふと見た灯りは、小さな剣道場だった。
北濃からこうして戻ってきて、長良川はすでに姿を消し、時に民家の庭かと思うようなせせこましいところを通る。
街が近づいている。
富加でドアが開いたら、醤油の匂いが香った。
弱い雨が落ちている。

20:52 美濃太田(みのおおた)駅(高山本線/太多線/長良川鉄道 岐阜県)
随分と街が明るく見える。
夜の高山本線は初めてになる。
外に出たかったが乗り換えは6分。
ホームから確かあんな街だったと思い出しながら、5年ぶりになる街の灯を眺めた。
どこの国の青年だか知らないが、日本人ではなかなか見かけないマナーの持ち主がいて、しゃかしゃかうるさい。
東京じゃ目立たないだけなのだろうが、地方で空いた列車に乗ると目につく。
東北や北海道では見かけない。
東南アジア産まれの彼等には、寒さへの耐性が具わっていないからか。
次は鵜沼。
2年前の春に並走する名鉄線に乗った。
高山本線沿線に大雨が降ったらしい。
その影響で列車に遅れが出ている。
昼間のもそうか。
大雨はいつ降ったんだ?
21:34 岐阜(ぎふ)駅(東海道本線/高山本線 岐阜県)
東海道本線の遅れは解消していない。
区間が長いため致し方ないのかもしれないが、ひとりの愚か者がどれほどの人々に迷惑をかけたのか。
憤りは余計な感情や不安を連れてくる。
それらを押し込めるか、追い出すかして、少しでも明日をいい状態で迎えるためにいつも苦心している。
それは、ひとりじゃなきゃ磨けない。
何も今である必要はないけれど。
ところで今アナウンスで聞いた。
現在の遅れは愚か者のためじゃなく大雨のせいだという。
オレが通りすぎた後に、東海道は更なる混乱に見舞われていたのか。
今日の宿、大垣にはじきに着く。
大垣(おおがき)駅(東海道本線/美濃赤坂支線/養老鉄道養老線/樽見鉄道 岐阜県)にて

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その1‐鷹ノ巣、二ツ井、鷹巣、阿仁合(奥羽本線/秋田内陸縦貫鉄道) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】最終日(鷹ノ巣-東京)
鉄旅日記2023年1月13日・・・鷹ノ巣駅、二ツ井駅、鷹巣駅、阿仁合駅(奥羽本線/秋田内陸縦貫鉄道)
-
-
「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、新潟・みちのくひとり旅】初日(東京-横手)-郡山、津川、亀田、さつき野、水原、坂町、村上、あつみ温泉、鶴岡、余目、刈和野(東北本線、磐越西線、信越本線、羽越本線、陸羽西線、奥羽本線)
鉄旅日記2012年8月11日・・・郡山駅、津川駅、亀田駅、さつき野駅、水原駅、坂町駅、村上駅、あつみ
-
-
「車旅日記」2005年冬 初日(熊本空港-都城)走行距離270㎞-羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホテル 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】
車旅日記2005年2月11日・・・羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホ
-
-
「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】
鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西線/東北本線) 2022
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その1 ‐焼津、金谷、千頭、井川(東海道本線/大井川鐡道本線/大井川鐡道井川線)/焼津温泉やいづマリンパレス 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月20日・・・焼津駅、金谷駅、千頭駅、井川駅(東海道本線/大井川鐡道本線/大井
-
-
「車旅日記」2005年初夏 2日目(山形-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】
車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童
-
-
「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】最終日(観音寺-東京)-観音寺、宇多津、岡山、瀬戸、高槻、山崎、名古屋、豊橋、掛川、熱海、金町(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)
鉄旅日記2009年5月6日・・・観音寺駅、宇多津駅、岡山駅、瀬戸駅、高槻駅、山崎駅、名古屋駅、豊橋駅
-
-
「鉄旅日記」2018年弥生 初日(東京-会津若松)その1-保谷、池袋、赤羽、高崎、井野、水上(西武池袋線/埼京線/高崎線/上越線) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】
鉄旅日記2018年3月3日・・・保谷駅、池袋駅、赤羽駅、高崎駅、井野駅、水上駅(西武池袋線/埼京線/
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 いよいよ金沢へ‐その2(R8→北陸道)敦賀、尼御前SA、金沢駅
車旅日記1996年5月5日 18:11 8号国道‐敦賀 琵琶湖ともお別れ。 8号国道を飛ばした。
-
-
「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その2-田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】
車旅日記2004年8月14日・・・田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 2004
