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「鉄旅日記」2021年夏 初日(東京-上田)その3 ‐しんざ、十日町、越後鹿渡、津南、戸狩野沢温泉(北越急行ほくほく線/飯山線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/06/13 旅話, 旅話 2021年

鉄旅日記2021年7月10日・・・しんざ駅、十日町駅、越後鹿渡駅、津南駅、戸狩野沢温泉駅(北越急行ほくほく線/飯山線)

11:10 しんざ駅(北越急行ほくほく線 新潟県)にて

11:48 十日町(とおかまち)駅(飯山線/北越急行ほくほく線 新潟県)
しんざ駅はトンネルの先にあった。

まつだい、ほくほく大島、うらがわら、大池いこいの森、くびき。平仮名表記の駅名が目立つほくほく線路線図。しんざは新座甲という町名にちなむ。

子供たちに電車を見せるために集まった家族が二組。オレにもそんな過去がある。胸をあたためる。

振り返れば、重たい空色に抗するように色とりどりの七夕飾りや短冊が下がる駅。十日町までひと駅を歩くつもりで下りた駅。

高台のしんざ駅から十日町へと下る道はらせん道。大回りをするように街へ下りていく。

途中現場作業中の男と目が合い、黙礼を交わす。

オレは男。誇り高い男との静かなやりとりの後、不意にもたげてくる思いにもまた胸を熱くする。

雨上がりの街は蒸して、アーケード街では地元ローカル放送の音声が流れる。

十日町に宿泊した2009年を思い出しながらさらに駅へと下り、途中の酒屋では水上での会話を繰り返す。

飯山線に乗るのも2009年以来になる。駅に着いて、下りてきた街を振り返る。

12:13 越後鹿渡(えちごしかわたり)駅(飯山線 新潟県)にて

13:38 津南(つなん)駅(飯山線 新潟県)
飯山線沿線の中核駅とも言えるこの駅で記録を残したかった。津南は沿線はおろか、国内でも有数の豪雪地帯に数えられている。

温泉のある駅だが、営業は14:00から。最近NHK日曜朝の番組「小さな旅」にも登場したが、その主役ともいえる嘱託駅員さんの姿もない。

曇り空に時折涼やかな風が混じる。さっきからホームのベンチに座っている。

ひとつ手前の越後鹿渡駅から草木に愛を込めながら歩き、時に蛇行する信濃川を眼下に見下ろす。途中の矢放神社では神域の厳かさに心打たれ、約80分をかけて津南駅に到着した。

恋人はコロナ感染予防の2度目のワクチン注射で体調が優れない日々を過ごしている。そんなリアルの中で、オレは旅を楽しんでいる。「ぜひそうしてきて」。思いが伝わってくる。

少し眠ったようだ。いつからか覚えていない。駅の温泉開館を迎えて、人の気配が感じられる。

鉄を伝って列車がやってくる気配を感じる。

15:23 戸狩野沢温泉(とがりのざわおんせん)駅(飯山線 長野県)

津南から乗った列車は戸狩野沢温泉行。この駅に降りられるのも喜びのひとつだった。

あれも2009年。同じ7月のはずだが、当時たくさんの風鈴が垂れ下がっていたホームには水溜まりが残り、たまたま居合わせた控えめな青空がこの町の午後を気だるく見せている。

戸狩でも野沢温泉でもかつてスキーを楽しんでいる。野沢温泉では左肺の異変で目覚め、町医者にかかったが、手に負えないと飯山の赤十字病院を紹介され、当時の恋人を助手席に乗せて、痛みをこらえながら自ら運転して飯山に下りて診てもらうと、「自然気胸」で肺がしぼんでいることを告げられ即入院。恋人はバスで野沢温泉に戻り、同道していた友人カップルとともに苦労の末に当日帰京した。

22歳の時だった。思い出すことがあれば、あの時は迷惑をかけたと、今でも痛切な思いにひたる。

そうした地であり、懐かしさもあって降りた2009年。駅から両スキー場は離れていて、当時を偲ぶことは叶わなかった。

そして再訪した今日。酒屋にしか用を思いつかない男が歩いても、他に何が見つかるわけもない。

早々に長野行に乗り込み、出発を待っている。

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